マツキ 村越さんは「役者モノ」というジャンルにしたかったんですよね。
村越 そう。「演技バトル」みたいな。
マツキ まずジャンルをはっきり示さないと『ジャンプ』の読者はついてきてくれない。それはそのとおりだと思ったので乗っかりました。でも芝居ってジャンルはやはり未知で、打ち合わせも「人生ってなんだろう?」みたいな荒唐無稽な話題になりがちですね(笑)。
村越 ルールのないスポーツに、こっちでルールを与えて戦わせているみたいな感覚はあるよね。
――宇佐崎先生は、そういうストーリーの部分にはまったくタッチしないんですか?
宇佐崎 しないですね。「下ネタのノリがきつい」とか、それくらいです(笑)。
村越 宇佐崎さんは、キャラをちゃんと愛するタイプの読み方をするから、そこの意見はけっこう参考にしますね。『銀河鉄道の夜』編の七生に舌ピアスが開いてるとか、夜凪が変なTシャツ着てるとか。
マツキ ひいきかよってくらいの愛し方をしてますよね。例えば、千世子とか七生の絵に対する愛着は、すごく感じる。
宇佐崎 ひいきというよりは(笑)、私にとってわかりやすいんですよ、千世子は。単純に「こういう人間好きやな」と思っていろいろ掘り下げてきた部分とかがリンクしていて。「こんな表情してほしい」とか「このしぐさやったらぐっとくるな」とかそういうのがあって、それがダイレクトに作品に出る。今後「好き」の範囲を広げていければいいなって思っています。