――『ジャンプ』といえば、連載はもちろんですが、そこで生き残るのが難しいというイメージがあります。連載が始まってから重圧はありましたか?
宇佐崎 あったんですけど、結局『阿佐ヶ谷...』以降読み切りを描く機会もなく、『ジャンプ』本誌での連載がマンガを描く2回目というレベルで。評価が悪かったら終わるというのはもちろん念頭にあって怖かったけど、最初の頃はもうこれ以上頑張れないくらい頑張って毎週描いていたので......。
マツキ 読み切り用のネームが通らないまま、連載ネームが通ってしまったから......。
宇佐崎 いや、マツキさんを責めているわけではなく(笑)。確かにもう1本読み切りを挟んでいたら、もうちょっとマシなものをお出しできたかなという思いはあるんですけど、それは完全に私の力不足なので。今、私、『アクタージュ』の第1話を見るのがすごくつらいんですよ。
村越 「ここにスピード線がもうちょっとあったほうがいいね」とか、そういう技術的な話をしたよね。
宇佐崎 絵のことを村越さんに教わるという、不思議な感じ(笑)。
村越 俺は描けないのにね。
宇佐崎 昨年の1月末から連載が始まって、気持ち的に少し落ち着いてきたのはゴールデンウイークくらいの時期。初めて1週間休めたので。
村越 確か「デスアイランド編」のオーディションが終わったくらいじゃないかな。
マツキ 主人公の夜凪がオーディションで暴走しちゃって、(同じオーディションを受けた役者仲間の)茜ちゃんを泣かせてしまうという場面があって。そこで夜凪もショックを受けて反省するんですけど、そこからすごく描きやすくなった。「さすがにこうなったら、こいつ、困るんだ」って。アクタージュは「夜凪が人間性を獲得してゆく話」なんだって発見ができた。