村越 だから、『阿佐ヶ谷...』の後にもう何本か読み切りを経験させて、マンガの描き方に慣れてもらってから連載を狙おうと思っていたんです。けど、マツキ君からなかなかネームが上がらない(笑)。
マツキ 出したんですよ。出したんですけど......。
村越 全部ボツに。
マツキ 企画段階から否定されるレベルのボツばかりで。
村越 キスすると回復能力が上がる話とかありましたね。
宇佐崎 逆に、私のイラストを出発点にして、そこから話を広げてみたりとかも試したんですけど、しっくりこなかったらしくて。
村越 全然面白くない。
マツキ 「『ジャンプ』に合わせにきてるよね」って、ジャンプ編集者に言われると思わなかった。
村越 変に少年マンガっぽいものを描こうとしているというか、窮屈そうに描いていたんですよ。自分のフォームで投げてないみたいな。で、ようやく「これはおもろい」って上がってきたのが『アクタージュ』の1話目だったんです。『阿佐ヶ谷...』と同じ世界線で、その数年後を舞台にしている。登場人物もかぶっていたりするんですけど、ですから最初から『阿佐ヶ谷...』を広げて連載を狙いにいったわけではなくて、原点に舞い戻ってきたみたいな感じでした。
『アクタージュ act-age』のプロトタイプともいえる記念すべきデビュー読み切り『阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ』の扉絵。『週刊少年ジャンプ』掲載後も大きな話題に。ⒸTatsuya Matsuki・Shiro Usazaki/SHUEISHA