“飲み文化”の復興から水戸を元気に!『水戸バー・バル・バール』
アール型の独特のデザインと昔ながらの雰囲気を醸し出す建物。
泉町会館はその名の通り、茨城県の中心市街地・水戸市泉町に立地する。
オリジナルは昭和初期に竣工されたが、その後空襲を受け焼失。
その後、昭和30年に“戦災復興” “安心安全”のシンボルとして再建された。
現在は市民活動の支援をする場として、様々なイベントに使われている。
そんな泉町会館を中心に、年に数度、水戸のマチナカが盛り上がる。
それが「水戸バー・バル・バール」と呼ばれる“街バル”イベントである。
“街バル”とは…
地域活性化と飲食店の集客支援を目的とした、地域・街・グルメ・イベントをコンセプトに、
食べ歩き・飲み歩きを通して様々な飲食店を楽しむ大規模なグルメバルイベントを指す。
- 経済低迷による、消費の低迷
- 消費の低迷による、地方経済の衰退
- 地方経済の衰退による、地元の商店街・飲食店の衰退
という、現在の日本が抱えている以下の問題を解決しうる画期的な大規模イベントであることから、
“街バル”という言葉は今や日本全国に浸透している。
イベント創始者の秋山さん(写真左)・髙野さん(写真右)に話を伺うため
泉町会館を訪れると、さっそくアツアツの鍋と日本酒でお出迎え。
初対面の私にも気さくに接してくださり、和やかな雰囲気で始まったものの、
本題のイベント発祥の話に入ると、お二方とも真剣な面持ちに変わった。
―水戸バー・バル・バール(以下:バーバル)のきっかけはなんですか?
「記憶に新しい出来事だとは思いますが、2011年の東日本大震災です。」
「元々まちづくりに携わる活動はしておりましたが、震災後の閑散とした水戸を見て、
街を利用する人がいないという危機感が一層増しました。」
「震災復興のため、水戸でもバルイベントを行おうと声を上げたところ、
震災後わずか2週間で泉町~大工町の75もの店舗が集いました。
しかし、その後すぐに噂を聞きつけた隣町の店舗からも参加希望の声が上がり、
最終的には135店舗での開催となりました。」
―135店舗!それはすごいですね。
「はい。新しい取り組みですし、最初は身内だけで始めて、拡げていければ…
と思っていましたが、水戸の飲食店経営者の積極的な姿勢を見て、
中心市街地の活性化は、水戸全体で取り組まなければいけない問題だと痛感しました」
「今でも実行委員は10名程度なのに対し、“私たちもお手伝いしたい!”と
有志で集まってくれるスタッフは50名もいるんです。嬉しいですね。」
▲水戸駅にいらっしゃったスタッフの皆さん
―そこまで当事者意識を持って水戸の活性化問題に取り組んでいる理由はあるのですか?
「青年時代、活気あふれる水戸の街を見て育ってきているからこそ、
もう一度その光景を取り戻したいんです。」
チケットを持って水戸の街に繰り出すと、思い思いにお店を自由に選び、
自分らしく心地よい時間を過ごしている人々で溢れていた。
「加盟店にはチケットの原価に沿ったものではなく、
“その一枚で自分の店を表現できる”一品を用意してほしいとオーダーしています。」
「どのお店に行っても料金以上の料理やサービスが手に入りますよ!」
▲cafe PICO さま
普段なら入ることを躊躇してしまう、いかにも高そうな料亭やスナック・パブにも
チケット片手に勇気をもって入る若者も見受けられた。
「まだまだ水戸の復興はこれからです。とはいえ、バーバルの目的は、
単純に皆さんに色々なお店を知ってもらいたいだけなので、ぜひ気軽にご参加ください!
そして、お気に入りのお店が見つかったら、別な機会に、また利用してみてくださいね。」
回を追うごとに盛り上がりを増しているバーバルは、
次回で14回目の開催となる歴史的イベントとなった。
近年では、参加者から自発的につくられた「#310bbb」というハッシュタグが
SNS上で飛び交い、さらなる盛り上がりをみせている。
どこのお店に行っても家族のように迎え入れてくれる、街一体の雰囲気が非常に心地いい。
ぜひ皆さんにもこのイベントを通して、水戸マチナカの魅力に酔いしれてもらいたい。