AV出演救済法が成立 公表から1年間、無条件の契約解除可能に
アダルトビデオ(AV)のような性的動画の撮影や配信による出演者の心身や私生活への被害を防ぎ、救済する「AV出演被害防止・救済法」が15日、参院本会議で可決、成立した。
どの年齢、性別でも、映像を公表した日から1年間は無条件で契約を解除し、販売や配信の停止もできるようにする。
AVなどをめぐっては、出演契約を強要される被害があるだけでなく、貧困などを背景に出演する人もいる。映像が販売されてから周囲に知られて心身の健康を崩したり、私生活に大きな悪影響を受けたりするケースもある。
そのため新法は、契約に問題のない場合も、映像公表後1年間は無条件の契約解除が可能とする。施行後2年間に限り、2年間は無条件解除ができる。
映像の制作や配信をする側は、撮影する性行為の内容や、出演によって個人が特定される可能性があることなどを明記した契約書を出演者に渡すことが義務づけられる。
法案審議をきっかけに、金銭と引き換えに性行為をすることの是非をめぐり議論も起こった。この問題については「2年以内の検討事項」とされた。
新法には衆参両院の付帯決議があり、被害に遭った人が相談しやすい環境整備の必要性も指摘した。全国の性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(全国共通の短縮番号#8891)をはじめ、関係機関での対応を想定したもので、相談に乗る人材育成も課題になる。(久永隆一)