司法書士試験の勉強を進めていると、「ダブルライセンス」という言葉を耳にすることがあります。
「ダブルライセンス」とは、司法書士だけでなくもう1つ資格を取得し、2つの資格を活かして業務を行っていこうというものです。
司法書士試験に合格した方や、場合によっては司法書士試験を勉強している最中の方のなかには、このダブルライセンスを積極的に考える方がいらっしゃいます。
そこで当記事では、ダブルライセンスを目指す事情やその有効性等、ダブルライセンスにまつわる話をしていきます。
司法書士のダブルライセンス取得は有効
司法書士がダブルライセンスとなることは、業務の幅が広がるという点でとても意義のあることです。
業務の幅が広がれば、その分自身が受け持つ業務の数・種類が増えることになるのですから、その分売上げがアップすることが期待できます。
そのため、ダブルライセンスが特に有効なのは「開業司法書士」となります。
将来自分の事務所を構えることを検討している方は、ダブルライセンスとなることも検討しておくとよいでしょう。
実際、司法書士の方のなかには、ダブルライセンスであるという方は多くいらっしゃるようです。
日本司法書士会連合会が毎年刊行する『司法書士白書2014年版』において特集された「平成25(2013)年度 司法書士実態調査集計結果」のなかで、「司法書士以外に行っている業務を教えてください」というアンケート項目があります。
その結果を見てみると、実に回答者のうちの半数近い方(約48.5%)が司法書士以外に行っている業務があると回答しています。
司法書士とのダブルライセンスに相性の良い資格は?
では、司法書士のダブルライセンスについて、『司法書士白書 2014年版』を参考にしながら、もう少し詳しく見ていくこととしましょう。
司法書士以外に行っている業務として最も多く挙がっているのは「行政書士」です。
行政書士を行っている方が675名(行っていると答えた方全体(1,103名)のうち半数以上)いらっしゃいました。
次に多いのが、「土地家屋調査士」です。
土地家屋調査士を行っている方が233名いらっしゃいました。
【参考】アガルートアカデミーの土地家屋調査士試験講座はこちら>>
このように見てみると、「行政書士」と「土地家屋調査士」だけで、司法書士以外に行っている業務全体の80%以上を占めています。
このことからも、これら2つの資格が、司法書士との相性がとてもよいことが伺えます。
例えば、行政書士の業務の1つに「定款の作成(とその代理、相談業務)」があります。
「定款」とは会社の基本的なルールのことで、会社を設立する際に必ず作成する必要があります。
そのため、新たに会社を設立しようという方が、定款の作成を行政書士にお願いすることがあるわけです。
新たに会社を設立するとなると、やらなければならないことがあります。
商業登記への登記申請です、会社の代表者や会社の所在地等一定の事項を登記してもらうために書類等を作成し申請しなければなりません。
この登記申請は、もちろん司法書士の業務範囲です。
ここで司法書士が行政書士のダブルライセンスだという場合、定款の作成と併せて商業登記も引き受けることができるわけです。
依頼者の側からしても、こちらの事情が分かっている司法書士(兼行政書士)にまとめてお願いできるわけですから、会社設立の慌ただしいなか手続が簡便になって助かりますね。
他にも、不動産登記は「表題部」「権利部」という2つのグループで成り立っているのですが、このうち「表題部」を担当するのが土地家屋調査士で、「権利部」を担当するのが司法書士です。
そのため、土地家屋調査士のダブルライセンスとなると、不動産登記全般を取り扱うことができるようになりますから、不動産登記に関して一切合切を引き受けることができるようになるわけです。
このように、司法書士と行政書士や土地家屋調査士とのダブルライセンスというのは、依頼者の側からすると、同じ人物に複数の依頼をまとめてすることができるため手間が省けるので印象がとても良いのと同時に、
司法書士の側からすると、依頼人から受任する業務が増えることになるため売上げアップに直接的につながることになります。
最も多いのは行政書士とのダブルライセンス
上記の通り、司法書士とのダブルライセンスで最も多いのは「行政書士」です。
行政書士については、司法書士になった後でも構わないのですが、司法書士試験の勉強をしている段階で取得することをお勧めします。
司法書士試験の勉強を進めていると、行政書士試験の出題科目の多くをカバーすることができますから、司法書士の勉強をそのまま行政書士試験の合格に結び付けることができます。
また、試験の実施時期も、司法書士試験が7月で、行政書士試験が11月となっています。
7月の司法書士試験が終わった後の期間を使って行政書士試験の準備を行っていただければ、同一年に2つの資格を獲得することも十分可能です。
将来的には司法書士として独立・開業し、大幅な年収アップ・売上げアップを考えている方・狙っていらっしゃる方は、ダブルライセンスにぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。