本項ではDS版の情報が欠如しています。追記できる方は加筆をお願いします。


ソニック カラーズ

【そにっく からーず】

ジャンル アクション

対応機種 Wii
ニンテンドーDS
発売元 セガ
開発元 【Wii】セガ
【DS】ディンプス
発売日 2010年11月18日
定価 【Wii】6,090円
【DS】5,040円
判定 良作
ポイント 多種多様なカラーパワー
爽快感溢れるステージギミック
シリーズ屈指の完成されたレベルデザイン
反面で以降続くシナリオ迷走の皮切り
ソニックシリーズ


概要

ハイスピードの爽快感でお馴染みのソニックシリーズ。今作では宇宙人の「ウィスプ」の力を借り、様々なアクション「カラーパワー」が使えるのが特徴。

Wii版は前作『ソニック ワールドアドベンチャー』のPS3/360版をベースにしたものとなっており、Wiiでもゲージ制ブーストを楽しめるようになった。
なお、サイドステップやドリフトが特定コースの区域でしか出来なくなった代わりに、二段ジャンプが出来るようになっているなどの違いがある。
DS版はこれまでの『ソニック ラッシュ』シリーズの流れを全面的に汲んだ内容となっている。

ソニック達の掛け合いを書く脚本家に、アメリカ人ライターのケン・ポンタックとウォーレン・グラフという二人が採用された。 ストーリー自体はセガ側が用意したものとポンタック本人が証言している。

あらすじ

Dr.エッグマンが今までの悪事のお詫びにと宇宙空間に建設した巨大な遊園地「エッグプラネット・パーク」。
しかしソニックは何かウラがあると考え、テイルスとともにそこに向かう。
すると案の定、エッグマンは不思議な宇宙人・ウィスプの力を世界征服に使おうと企んでいた。
ソニック達は意思疎通が出来るようになったウィスプ「ヤッカー」と共に、エッグマンの野望に立ち向かう。


評価点

  • 色とりどりの追加アクション「カラーパワー」
    • 少しゲームを進めることで、白色以外のウィスプが入ったカプセルが見つかる。これは触れる事で中のウィスプに対応したカラーパワーを1つだけストックできるもので、初出ステージをクリアすればその前後のステージで半透明だった色付きカプセルも実体化して利用可能になる。
    • 初見では対応するカラーパワーを使用できない状態のステージがある構成上、基本的に全てのコースはパワーを使用しなくても必ずゴールできるように設計されている。しかしスコアもリングも、そして大抵はスピードも稼げるので使わない理由はない。一部のレッドスターリングは特定のパワーが入手に必要なこともある。
    • 基本的にカラーパワーは進んだ距離か、使用中のリアクションに応じてボーナススコアが入り、対応するギミックを利用するとボーナス点は大幅に上昇する。
      + カラーパワーの一覧
    • シアン・レーザー
      • ソニックがレーザーになり、一定距離を瞬時に突っ切る。
      • 壁や天井に触れると反射して得点が入る。また、空中に浮かぶプリズムや地形に埋め込まれたケーブルの端に触れると、大量のボーナス点とともに決まったルートを通りつつ一定のポイントまで超高速移動出来る。
    • イエロー・ドリル
      • ドリルに変身し、地中や水中を自由に移動できる。パイプに入ると超高速で移動する。
      • 潜れない地形ではそもそも使えない、旋回時に相当の慣性がある、地中にいる時に効果時間が切れると即死するなどピーキーな能力。
    • ブルー・キューブ
      • 発動すると、ソニックがキューブに変身し辺り一面に衝撃波で攻撃する。これによって青いブロックと、高得点の青い大リングを入れ替え変化できる。
      • 瞬間的に発動する能力なので、これだけ「最初の変身から一定時間中はキューブへの変身が何回でも出来る」。ただし、時間が過ぎると青キューブ/リングは初期状態に戻る。
      • ブロックはリングとして取ると高得点だが、そうした場合足場もなくなってしまう。アクションパズルのように考える必要がある。
    • グリーン・ホバー
      • 空中に浮かびあがり、ジャンプボタンを押している間上昇する。
      • 普段はとても遅いが、リングのそばでブーストボタンを押すと、リングのラインを高速で辿って行く「ライトスピードダッシュ」が使える。
    • オレンジ・ロケット
      • ロケットになって、真上にかなりの距離を上昇する。
      • 効果が切れるとソニックが手足を広げてダイビング状態になり、ゆっくりと左右に移動できる。
    • ピンク・スパイク
      • 発動するとソニックが丸まってより鋭いトゲが生え、壁や天井に張り付ける。
      • ジャンプやホーミングアタックは普段通り行える。時間中にブーストボタンを押すと3Dソニック久々のスピンダッシュが繰り出せるが、ゲージを大きく消費する。
    • パープル・フレンジー
      • 狂暴化したウィスプが辺りの敵や障害物を食い尽くす。食うごとに巨大化し、通常壊せないものを壊せるようになり、新しい道を開けることも。
      • 終盤に登場するだけあって、3Dではまっすぐ進めない・2Dではスピードが出過ぎるなど慣れないと苦労するカラーパワー。
    • レッド・バースト (DS版のみ)
      • 発動すると大きな炎のような形になり、長押しをすると爆発し大きくジャンプが出来る。また爆発で周りのザコ敵を一気に倒す事が出来る。
      • ジェネレーションズやロストワールドでも復活する人気のウィスプだが、未だに携帯機版にしか登場していない。
    • バイオレット・ヴォイド (DS版のみ)
      • 終盤で限られた場所で使用できる。雰囲気こそパープルに似ているが、こちらはダークホールとなって真っ直ぐ進むようになっている
      • ちなみに発動の際は立木文彦氏が全力でカラーパワー名をシャウトしてくれる。その様は某ライダーを彷彿させてくれる。 「レェーザァー!」 「ロ↑ケットッ!」 「ドリルッ…!」
  • ファンシーで綺麗なステージ
    • 本作の舞台は遊園地であり、しかもアトラクションは惑星一つ分を丸ごと使った規模という設定。そのためか、ステージの各々は過去作とうってかわって大胆な風景揃い。代表的な物としては見渡す限りが本物のお菓子で作られている「スイートマウンテン」、宇宙空間を舞台にした艦隊のパレードを突っ切る「スターライトカーニバル」など。
      • もちろん終盤はファンシーなだけでは無く、自然の残る中エッグマンの機械開発が進む「プラネットウィスプ」など、旧シリーズのイメージをひっくるめたようなステージも用意されている。
    • ステージと音楽は惑星ごとに6コース・3曲分のアレンジが存在。どれもステージのイメージにぴったりかつ印象に残る名曲揃い。
  • 久々の2人プレイ「ゲームランド」
    • 本編とは別に、「ソニックシミュレーター」と称した特別ステージが存在する。
    • 基本的にシンプルな作りだが、あちこちにウィスプのカプセルが配置されているため、ほとんど使い放題と言っても過言ではないくらいにカラーパワーを発揮できる。
    • 一応このモードも1人プレイ&カラーパワーなしで全クリア可能。しかしカラーパワーを2人が同時に使用すると、1人では使えない隠された特殊効果が引き出せる。このタッグプレイが最大の醍醐味である。
    • 遊べるステージは最初は少ないが、本編コースで「レッドリング」を見つけていくと遊べるステージが増える。
      • 隠しを含めた全てのシミュレーターステージをクリアすると、本編でスーパーソニックが使えるようになる。カラーパワーが使えない代わりに、ブーストゲージが無制限になる為スピード狂のプレイヤーにはうってつけ。
  • HDと言われても違和感のない驚きの高画質。
    • HD作品を含めた歴代シリーズは勿論Wii全体のソフトの中でも屈指のグラフィックを誇る。HD版ワールドアドベンチャーの路線は性能的には下位と言われる機種変更を経てなお、見事に引き継がれたといえる。
      • フレームレートは30fpsだが一切処理落ちせず滑らかに動作する。
    • OPやED等で流れるプリレンダリングムービーも非常に綺麗に仕上がっている。
  • 短いロード
    • 昨今のシリーズで問題視されていたロード時間だが、本作ではどのシーンのロードも一瞬で完了する。
    • お陰で全編スピード感を崩すことなくプレイすることができる。歴代作の反省がしっかり活かせている部分と言えるだろう。
  • 練りに練られたステージ構成。
    • ソニックらしくないと思われるかもしれないカラーパワーだが、まったくスピード感を殺さず、新しいソニックの可能性を提供している。
      • 相当なボーナスポイントが入り、当然使わなければ入れないルート・手に入らないレッドリングもあるので、スコアアタック・新ルート開拓には欠かせない。
      • それでいて使用を強制されるシーンが一切ないのは見事。あえて初回プレイ時はカラーパワーを使用させないことで「このコースはカラーパワーなしでもクリアできるルートが有る」ということを暗に示している。
        カラーパワー以外にもボーナス点要素が豊富なほか、あえてカラーパワーを使わないことで短時間で済むルートもあるなど、やり込みの幅が広いステージが多い。
    • 気持ちよく走る楽しさ、カラーパワーによる新たな攻略法開拓、それによるスコアアタックとタイムアタックの自由度といった要素がストレスなく合致した構成は3Dソニックシリーズでは最高峰と言える。
    • 地味ながら特筆すべき点として、気持ちよく走った先に予兆なしの落とし穴・トゲなどが設置してあるような、いわゆる「初見殺し」が非常に少なくなっている。
      • 近年のソニックシリーズでは死に覚えゲーとも言えるようなステージ構成が多かった*1が、今回は初挑戦のステージでもなんとかノーミスクリア出来るような配慮がされた構成が多い。
      • 普通のプレイでも底なし穴に落ちる可能性のある部分にはたいてい注意マークが表示されるようになっているのがその代表例。
      • 今回は『ワールドアドベンチャー』と違い、ダメージを受けた際にリングは0になる旧仕様だが、かわりに大量のリングを持っていた場合「エクストラリングボーナス」がその場で精算されるという救済処置もあるため、ノーダメージが達成できなくともランクが 落ちにくくなったのも嬉しい。
    • 細かい点では、『ワールドアドベンチャー』でブーストボタンと同じ割当になっていたホーミングアタックがジャンプボタンに戻されたことも挙げられる。これによりブーストが空中でも使えるようになった他、暴発に神経質になることも無くなった。
  • 賑やかなステージ
    • テーマパークということで、エッグマンの園内放送が流れており、各星にカーソルを合わせた際にもエッグマンによるアナウンスが流れる。
      • 時折素に戻ったりアナウンスの最中にトラブルが発生する等ずさんなテーマパークの運営状況を聞くことが出来る。シナリオに関しては不評だがこの面白おかしいアナウンスに関しては概ね好評。
      • 演じている大塚周夫氏もアドリブを利かせているのか、時折ぶっ飛んだテンションのパートもあるため、とにかくギャグ路線に突っ走っている。シナリオ内でもエッグマンは「寝ないで考えた」と語っただけあってノリノリである。
      • なおキューボットが混ざる場面が存在するが、没ボイスにはオーボットの一言も存在する。

問題点

  • あまりに簡潔で盛り上がらないシナリオ
    • 昨今のソニックアドベンチャーシリーズはストーリー重視でシリアスなシーンがあったが、本作は概要でも書いた通りアメリカの子供向けにターゲットを向けた為か、『宇宙人を助けつつエッグマンと戦う』という非常にシンプルな内容である。
      • 良く言えば軽く見られる*2が、悪く言えば中途半端に任天堂のマリオを意識したような緩さで、これまでのシリーズとは異なりどうしても質が低く好評とはいえない。
      • シナリオの大筋はセガの開発チーム側が用意したもので、 アメリカ人ライターは本作では前後の流れも決まったカットシーンでの会話を考えるだけの担当だった と後にファンイベントにて証言している。ただしこれはあくまでライターの証言であり、どの程度の比率だったかは不明瞭。
      • もっとも、その掛け合い自体が本作の不評ポイントであるため、後述のように一概にライターの責任ではないにせよ、ライターの問題が一切ないとはいえないだろう。
    • 日本語版においてはセリフの内容(特にジョーク)も大きく変わっているシーンが多い。これについても日本側スタッフが大いにアレンジを加えたと当時インタビューにて発言しており、実際日本では伝わりづらいネタや台詞は改変されている*3
      • 例えばキューボットがチップで変わる性格は海外と日本とでまるで異なる(例えば最初の性格設定である「忍者」は海外では「海賊」。)また、テイルスに「拳法を教えようか?」「正拳二回でアチョーってな!」と言うシーンも海外では台詞がまるで異なる*4アレンジしたスタッフのセンスの問題もあるが元のジョークも後述の通りシナリオの流れ通りとはいえ冴えてはいないし、翻訳面でもアクション的にニュアンスを変える他なかったと言える。
      • 最後の最後でようやく少し感動できる程度。「初期作品の単純明快な流れに回帰した」ともいえるが、その後復権を果たすクラシックソニックシリーズとの過渡期にあたる作品故の迷走とも言える。
    • このあらすじ自体には大きな問題があるわけではないが、ソニックが微妙なジョークを飛ばす変な性格になってしまった。この辺は海外でも不満なファンは多い。
      • 別にジョーク自体が悪いわけではない。シリーズを通してそういったジョークは飛ばしていたし、日本ではシナリオ担当が変わる前のストーリーブックシリーズで見せていたウィットに富んだジョークは好評であった。
      • しかし本作のソニックはそのジョークが全体的に寒く、ゲーム内でもテイルスから微妙な顔をされることから狙った演出だと思われる。こういったキャラ性は海外・アレンジされた日本ともども好評とは言い難い(特に旧来のファン)。
    • この緩い路線を、ソニックチームは後継作のジェネレーションズからフォースまで引き継がせてしまった。近年のソニックシリーズが海外主導とはいえ、どうにかならなかったのだろうか?
      • スタッフ曰く新たな魅力を見出すため、若年層へのアピールのためとのことだが、肝心の海外ですら本作以降のシナリオは特に評価が高いわけではない。
    • これ以降は世界観もころころ変わるため、場当たり的な感が強まってくる。設定だけならそういったことは大なり小なり起こったが、以降は以前の世界観を無視するような変化もしばしば起きる。
  • ギミックだらけのステージが存在する。
    • 初見では足を止めざるを得ないアスレチックコースも点在し、やはりそういった箇所は多くのコースから浮いていると感じることもある。
    • ただし、そういうステージもやり込んだり、回収要素を無視したりすればスピーディに進めるようになっている場合が殆ど。
  • オプション周りの劣化。
    • 近年のソニックシリーズではゲームを進めるとBGMやムービーや設定資料などの要素が閲覧できたが、今作ではそれらがほとんど排除され、ムービーしか見られなくなってしまった。
      • しかもサムネイルが表示されないため、中盤のムービーは数字順に片っ端から探さなくてはならない。
  • 微妙な予約特典
    • 予約特典は当時セガが展開していたTCAG『歴史大戦ゲッテンカ』のカード、「うつけノブナガ&ソニック」であった。
    • ちなみに海外版の特典はソニックの帽子であった。
  • 明確な欠点とは言いがたいがスタッフロールは10分もかかる。操作可能ないわゆる「遊べるスタッフロール」なので感覚的には緩和されてはいるが…。

総評

任天堂機種にとどまらぬ3Dソニックシリーズ全体の集大成にして、映像面をはじめとしたWiiの性能を出し切った傑作。
ステージ構成を覚えても覚えなくても手軽に爽快感が味わえ、爽快感やアクションの個性の拡大、最終的にはタイム短縮やスコア稼ぎに大きく貢献するカラーパワーなど。
初心者も上級者も満足できるシステム、そして音楽などの演出どちらも申し分ない。 現状、ソニックチームの底力を実感できる最後の作品である。


余談

  • 基本的にエッグマンは特定の配下を付けていなかったが、レギュラーキャラクターの数を抑え気味な昨今としては珍しく、本作からオーボットとキューボット*5という側近ロボットが登場した。
    • 『ソニックジェネレーションズ』で宇宙に放逐されたためお役御免とファンから認識されたり、『ソニックトゥーン』のゲーム版では初期作で登場しなかったりなど、出演はまちまちであった。
      • が、『マリオ&ソニック AT オリンピック』シリーズではレギュラー化し、『ソニックトゥーン』のアニメ版でも登場。さらに後にゲーム版続編の『ファイアー&アイス』でアニメに合わせて出演を果たすなど、名実ともにエッグマンの側近としての立ち位置が確立。公式サイトにも名前が載るまでになり、現在はほぼレギュラーとなった。
      • なお『ソニック ワールドアドベンチャー』では側近を担当していた毒舌なロボットがおり、これをさらに発展させたのがこの二名である(特にオーボットは色を変えただけ)。また、ソニックXで登場した側近デコー・ボコーも意識したと語られている。本作はシナリオの不満こそ多いが、この二名はそれなりに好評。
  • 海外では目的の通り新規層の開拓には一定数ちゃんと成功していた。が、これがシナリオの影響かプレイ内容の影響かは不明である。

ソニックカラーズ アルティメット

【そにっくからーず あるてぃめっと】

ジャンル アクション

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Xbox One(海外のみ)
Windows(Epic Games Store)
発売元 セガ
開発元 Blind Squirrel Games
発売日 2021年9月9日
定価 【通常版】4,389円
【カラフルパック】4,939円
【30thアニバーサリーパッケージ】9,889円
判定(改善前) 劣化ゲー
判定(改善後) 良作
改善
ポイント 当初はアルティメットとは程遠い不具合の連続
アプデ後はロード問題を除いて多くが純粋強化
残機制廃止とメタルソニック参戦等の豊富な追加要素
アニメや漫画でストーリーを補完
仕様変更点はオリジナルファンからやや不評気味

概要(アルティメット)

同作のリマスター版。Switch/PS4/PC(Epic)で発売され、海外ではXbox One版も登場。
リマスター版の開発は『BioShock:The Collection』や『Borderlands:Game of the Year Enhanced Edition』といったリマスター作品や、『Sunset OverDrive』のPC版移植を手掛けたアメリカのBlind Squirrel Gamesによるもの。 『アドベンチャー』以降の3Dソニックシリーズは復刻の機会が少なく、PS2アーカイブスの『ソニック ヒーローズ』以来となる。

2020年に公開された映画『ソニック・ザ・ムービー』の大ヒットにより、ソニックシリーズを知らない低年齢層からの認知度が世界的に上昇した。
ソニックマニア』『ソニックフォース』『チームソニックレーシング』等様々なゲームを展開してきたが、映画で初めてソニックを知った層に「初めてプレイするソニック」として遊んでもらいたいという理由によって『カラーズ』のリマスターが決定したという経緯がある。
本作は従来のファンからの評価が安定して高く、オリジナルのWii版は現在では遊ぶ手段が限られているというのもリマスターの後押しとなった(ファミ通インタビュー)。

「ゼロから楽しんでもらうソニック」と言うコンセプトを掲げ、様々な改善を施した究極版という意味を込めて「アルティメット」というタイトルが冠された。
時代に合わせたシステム変更、新カラーパワーの実装など意欲的な要素が追加されているが、外注開発かつゲームエンジンを変更したことが仇となってか発売当初は不具合が頻発した。
よって当初の評価はかなり低いものだったが、アップデートが進められた現在は操作性の改善等が行われたことなど、純粋な移植作としての評価点が見えてきた。

評価点・変更点(アルティメット)

  • 残機制度を「テイルスセーブ」に置き換え
    • チェックポイントリトライの制限回数がなくなり、そこからさらにテイルスセーブという新要素を追加。これはステージ外に落下してミスしたときに限り、テイルスセーブの回数だけ直前の地上ポイントから再開できるお助け機能。
      • テイルスセーブとチェックポイントの違いとしては、それまで所持していたスコアやリングを失わない点などがあげられる。
      • リングゼロ時のダメージでの救済はないが、チェックポイントの仕様は変わっていないため、スコア=クリアランクこそ低下するが、ストーリーを最後まで進む分には影響は少ない。
    • また、落下死の可能性があるポイントの警告もよりわかりやすくなっている。
  • 操作性と視認性の大幅な改善
    • リマスターなだけに新作と比べるとディティールが見劣りするものもあるが、オリジナル版を知っているとその映像美の向上は雲泥の差で、感動したという声も多い。また、全体的にソニックの制御が非常にしやすくなっている。
      • fpsも高スペックハードに限るがオリジナルを軽く凌駕する60fpsで安定しており、ゲーム中もぬるぬる。Switch版は『ソニックフォース』と同様にfpsで遅れを取っているが、逆に「当時のそれと遜色ないプレイ感覚を得られる」とも取れる。
      • ホーミングアタック時、特定のタイミングでボタンを押しているとブーストゲージが回復するようになり、その際に追加されたSEもかなり派手派手。
      • カラーパワー中の挙動も制御がしやすく操作性がマイルドになっている。
      • 解像度の向上により、アステロイドコースターで一撃死となる「横からせりだす柱」は視認性が悪く難易度を変に上げていたが、競りだす様が見やすくなっており、回避するタイミングがわかりやすくなっている。
  • リミックスBGM
    • オリジナル版では各ステージのBGMが3通りまで作られ、各ステージに振り分けられていたが、本作ではそれぞれのBGMにリミックス版が追加され、全ステージで曲かぶりが起こらなくなった。
      • リミックスされたことで雰囲気の合わなくなったステージもあるため良い事ばかりではないが、サウンドトラックをオリジナルのみ・リミックスのみに設定することも可能で、オリジナル版と同じ仕様にもできる。ただしOPテーマのみリミックス版でしか流れない。
  • 新ウィスプ「ジェイド・ゴースト」
    • ソニックチームレーシング初出のウィスプで、一部の足場などをすり抜けて移動ができる。ホバーとは違いライトダッシュはできないが相手をロックするとホーミングアタックが可能。
  • ソニックの見た目のカスタマイズ
    • ソニックフォースのそれを受け継いだ要素で、ソニックの手袋やシューズなどをカスタマイズすることが可能となった。
      • 追加要素なため数は少ないが、ブーストの見た目なども変えられるため単純に視認性向上にも使える。開放には専用のメダル「パークトークン」を収集する必要がある。
  • ライバルラッシュ
    • レッドリングを集めることで開放。オリジナル版では未登場だったメタルソニックがストーリーとは別に登場し、ACTのスピードクリアでソニックと競走することができる。
      • これにより本作用にメタルソニックが新たにモデリングされたが、しっかり本作のゲーム映像と合わせて、なるべく違和感がないように調整されている。
  • ボイスの追加
    • ボスを倒した際のソニックの台詞や、テイルスがソニックに話しかけるパートが追加された。
      • 特にオリジナル版ではただのバグであっただろうコース外を走るショートカットをそのまま残し、その際に専用のテイルスのセリフが流れるようになった点はマニアックなファンから高評価。
    • なおストーリーについては元のバージョンの音声をそのまま使用しており、エッグマンのCVは大塚周夫氏のままである。また、大塚氏らがアドリブで入れたためか字幕のなかった台詞にも字幕がつくようになった。
  • オプション周りの拡充
    • 以前は簡素だったオプションが先のコスメアレンジ等を含めてかなり強化されている。

問題点(アルティメット)

  • 発売当初の看過しきれないバグとロード時間
    • 最も有名だった色味が変更されてしまうバグ、音量の不徹底、または消失バグ、セーブ破損など軽微なものから深刻なものまでかなり多かった。
    • 現在も全てが解消されているわけではなく、特にジェイド・ゴーストのウィスパーボイスが流れない不具合は放置されたまま(海外版では流れており、日本版も収録されているため音声の元がないわけではない)。
      • ただし概ね問題とされたバグは解消されており、スイッチ版のロードが長いことを除けばPC等でのプレイではほぼ問題なし。
  • 操作性や仕様変更による一部のショートカットが廃止に
  • 補完ストーリーと本家ストーリーの雰囲気の差
    • 不評だったことを受けてか、本作のストーリー補完となる短編アニメ・コミックが公開された。それ自体は良いことだが、尚の事本作のストーリーの薄さが目立ってしまうのは残念なところ。
  • さらに延長したエンドクレジット
    • 既存の10分に加えてアルティメットでの移植スタッフが加わってさらに伸びてしまった。しかもアプデ前は途中で音楽が途切れて無音になる仕様だった。
      • 最初は飛ばせない仕様も変わらずである。
  • カットシーンやムービーの解像度等はほとんどそのまま。ハードに合わせて少し綺麗になっている程度。

総評(アルティメット)

発売当初のバグや現在でも残るバグがいくらかあるものの、アップデート後は全体で見れば純粋強化となっている。
外注なだけにゴーストのボイス非実装バグや音声バグなどが今後どれだけ対応されるかが気になるところだが、概ね普通にプレイするうえでは良作たる所以を崩さない移植作となっている。

最終更新:2022年06月21日 05:37

*1 特に『ソニックアドベンチャー』以降は1度でもミスするとそれまでのスコアが全てなくなってしまうため、ハイスコア≒高ランク狙いは必然的にノーミスが前提条件となる。

*2 Wii版だと主要キャラクターがソニックとテイルスとエッグマンくらいしか登場しない。

*3 ちなみにこれ自体は外画ではよくあることであり、言葉遊び等は翻訳家が機転を効かせてアレンジするのが一般的である。

*4 厳密には「Hey,Talis! You missed the BBBE!(ようテイルス、“BBBE”を見逃したな?)」という問い掛け、それに対しテイルスが首を傾げるとソニックが「Best Boss Beating Ever!(史上最高のボス撃破)」の「頭文字の略」と種明かしをするという場面になっている。

*5 日本語版の声優はオーボットが岩田光央氏、キューボットが高木渉氏と実力派揃い