9B 2022/06/15版
第9回 俗の芸術史 その5 参考文献
ヤンキー芸術論-05(番外編)
ワールド・ヤンキー、ヘアスタイル考 他
髪の毛は不思議だ! ムダ毛など、手入れされた髭や髪の毛だけが、スタイリングされる。進化の過程で体毛が失われた我々人間にとって、なぜ髪の毛だけが、これほどまでに伸びていくのか?! 爪と髪の毛だけが、伸び続ける。毛はあきらかに動物的要素である。脳という、もっとも進化した人間の部位に生えている毛だけが伸びる。あたかも脳の活動を助け、その機構を守るように頭毛はある。そしてこの人間にゆういつ遺された動物的要素が、もっとも人の魅力やセクシャリティーを印書付け、セックス・アピールを作り出す。ご存じの通り、その生え方や、量や、形状は、遺伝とホルモンの分泌とバランスに依存する。
髪の毛−髪形(ヘア・スタイル)は、モードやカルチャーにおいて欠かせない要素だが、とりわけ20世紀以降のポップ・カルチャーやカウンター・カルチャーと強く結びついてきた。
ビリー・アイリッシュとか、ゼンデイヤとか。
・海外のヤンキー文化(ワールド・ヤンキー百科)
※中国から来ている方は『東北往時之黒道風雲二十年』や『謝文東』の影響を受けた若者、最近話題の「鬼火少年」とかが、この日本のヤンキーと親和性をもちます。
アメリカに住んでいた方なら、「ホワイトトラッシュ」や「ギャング・スタ」。ブリン・ブリンやヒップホップ系の文化。
ヨーロッパだと、イギリスのチャヴ(Chav)とか、「パイキー(Pikey)」、またはモッズやパンク。フランスの「リフラフ(Racaille)」、都市部にやたら多くいるイスラエルの「Arsim」の人たち。
いないと思いますがロシアに住まれていた方なら「コプニク(Gopnik)」の人たちに相当します。
これらは差別的なニュアンスを含む用語として、それぞれの国で使用されている言葉であることを充分承知した上で、あえて使用しております。民族学的視座、および学術的研究における客観的観察を前提として、挙げております。ご注意とご了承下さい。
ここで扱う日本のヤンキーと類別されてしまうかわいいものとは、比べようがないほど、ハードでありますが、そんなものも、この論考には含まれているのです。
・身体表象としての俗美術 ――髪型とモード
・デヴィッド・ボウイ 中性的で異星人なスタイリング
髪の毛、ヘアスタイルは多くの主張を表す自己表現であり、そのデザインや歴史はアート&デザイン、とりわけロックを初めとするエンターテイメントにおいてなくてはならない重要な要素である。
デヴィッド・ボウイは、70年代初頭にデビューした。スペース・エイジといわれたこの世代を代表するポップ・アイコンである。
彼はコンセプトともにと自己の先駆的で斬新さを主張する表現をために数々の方法を用いた。楽曲や歌詞だけでなく、レコード・ジャケットや、ライブ演出、さらにファッションやメイクへと、独自の美意識とセンスで多くの人を魅了し続けた。
デビュー時に、宇宙で一人死んでいく孤独な宇宙飛行士メイジャー・トムを唄った「スペース・オデッセー」では、中性的あり、さらに地球人を超越したような、独特なコスチュームやメイクでパフォーマンスを行っている。
この時期のボウイはマレットヘアといえそうな、前髪はおかっぱ、だが、後頭部がロングというヘアスタイルで、新しいセックスシンボル的な身体、ファッション誌や時代のモードではなく、未来を見据えたようなイメージを展開している。
・マレットヘアのその後
マレット・ヘアは70年代~80年代に欧米で大流行した。前髪など全体的にはショートヘアだが、襟足部分の髪だけを長く伸ばす。側頭部は刈り上げにすることが多い。
現在でも、やんちゃな家の子とか、やんちゃそうなスポーツ選手の方なんかがやっていたり、アメリカでも、ある一定の層の人たちがやっている。
なんで、こんなにダサいのか?
「マレットヘアは現在世界で最もダサい髪形」に認定されているという。
古いモノがダサいのか、それともやる人によってかっこ悪いのか、色々言われている。
この問題に簡単に結論を出せるモノではないが、「目的」や「思考」なのではないかと思う。
先に見て頂いた世界のヤンキーっぽい人たちの図像がそうであるように、
イギリスの「チャブ」が、イギリス伝統のターテンチェック、それもバーバリーの高級感溢れるテイストの「バッタもの」を取り入れたり、ロシアのコプニクがアメリカ(西洋資本主義社会)のカジュアルを代表するアディダスを用いるように、借り物の借り物と化して、本来の目的や美意識から逸脱して用いられたマレットはダサい。
実際、最近また「世界中でイケている人たちの間でマレットヘアが流行っている。」というが、これらは確かにダサくないように感じる。
日本のヤンキーカルチャーでも90年代以降、いまでもマレットヘアが用いられている。ヤンキーと呼ばれる人たちの子供とかがやっている。
正面から見ると角刈り、だけどすだれ状に前髪が垂れていて、横はまぁ、普通だったり2ブロック的、だけど後ろから見るとロン毛である。
これは考えようによれば「普通っぽいけど、実はワイルド」とか、そんな2面性をもつ。そして普通ではないという印象をほどよく与えるわけである。
少なくとも、世界中で、マレットヘアが、いまだにヤンキー的な人たちの間で行われているのだから、やはりなにかしらの理由はあるのだろう。
最初に書いた通り、髪形は、その時代のモード、流行というだけでは足りない、なにかしらの(俗的な)文化の一端を担うものである。
髪型の歴史 →
本講義「「俗芸術」としてのヤンキー文化」の中では、カウンターカルチャーとしての「ロック」や、戦後の日本におけるアメリカ文化の影響などを紹介してきた。
その中では、烏帽子(えぼし)とちょんまげ、さらにリーゼントといった男のヘアスタイルの歴史を少しだけ紹介した。
外的な影響であったり、ボウイの特異なマレットヘアが、本来の意図を介さず、間違った、(いや、別の目的や、思考で取り入れられて)、ヤンチャーな髪形として、世界中で流行して、さらに定番化してしまう。
しかしそれだけでなく、再びそのような俗の度合いが高くなったものを、最近のセレブたちが、あえて、「既存の美意識に抵抗するカウンター的思考」から、用いるという事態が起きているのである。
・モード—デザインによる主張と、はやり廃りの流行
長髪—ロン毛は70年代のユースカルチャーを代表するアイテムであった。
従来のコンサバで、一般的な、短くて、さっぱりとしたヘアスタイルや、フェミニンといわれるような、定番化した女性的な髪形が、社会への帰属や従属を身体的に表すものであるなら、それをやらないというのが、カウンター的選択である。
60年代のヒッピーカルチャーや、学生紛争世代の人たちが髪の毛を伸ばしたのは、そのような既成概念に対するカウンター的思考である。
その反動として、その後のパンクは、モヒカンや、ショートヘアや借り上げといったモードを成立させたが、これは偶然ではなく、むしろ、時代の変遷、ユースカルチャーの歴史が作り出した、風俗の美術の一端である。
もう少しすそ野を増やして、付け加えておくと、
60~70年代に日本でロン毛が流行ると、困ったのが美容院と理容院であった。
だれも髪の毛を切りに来なくなってしまった。
そこで考え出されたのが、パンチパーマであった。
要は黒人のアフロ・ヘア(ドレッドも!)をモチーフとして、日本で、これを再現したのが(ピコ太郎の)パンチパーマであった。
パンチパーマとは、理容院雲合いが苦肉の果てに展開した、アンチ・ロン毛戦略であった。
しかし、これが以外と受けた。
怖い業界の人、ちゃらちゃらしたロン毛の若者をよく思わない(おもに田舎の)おじさんたちの間で、いつのまにかパンチ・パーマは、定番の髪形になった。
・髪形の研究
前回の講義で、日本のカワイイ文化を成立させる特徴的な美意識として、成熟しないもの、幼いものを美しいとする思想があると書いた。
その中で取り上げていた「アホ毛」も髪形のひとつである。
主にマンガやアニメで取り入れられるものであって、実際の髪形として扱うべきではないかもしれないが、
そうであっても、これも「ヘアスタイル考」の一端として扱うべきものであろう。
少なくとも、アニメや、マンガ、さらに絵画や、デザインや写真表現で、髪形—ヘアスタイル、スタイリングを扱うアーチストにとってみれば、無自覚ではいられない要素であるだろう。
理由なき反抗-1955
以上
オラオラ美術列伝 ――ヤンキー文化民族学的芸術史論考 〜取り扱えなかったものリスト
・畏敬と畏怖
日本の古層、人類の欲望と思想の根底に根ざしている、バイオレンスの神々に向けられた畏敬の念。
・大衆的な粗暴の美意識
大衆文化に根ざした快楽や痛快さを生成している野生(ワイルド)と、粗暴(ロックネス)に向けられる憧れや親近感。
・寄せ集めの美学(プリコラージュ)
下劣と捉えられているが、親しみやすく、グランジやファンク、パンク、かっこ悪さや、ダメさ、それらの美意識における「らしさ」、割り切れないもの、へたうまや、折衷的なもの――パッチワーク、プリコラージュが生成する美術
・創意工夫の過激さ――ヤンキー的プリコラージュ
~改造と過激のファンション
~ヤンキー的ファブ文化
〜ブリンブリン
~イミテーションとキッチュ キティちゃん
〜ジョジョとモードとゴルチエ的グラマラス
・ポップカルチャー
および第二次世界大戦後、アメリカのジェネレーションXや日本の新人類世代、高度資本主義社会に成立するパンクやヒップホップ等のストリートカルチャー。
・民族学の美学から環境と民俗美術へ
P・ヴィヴィリオが定義した郊外的環境の影響が色濃く散見されるブルーカラー労働者階級の風俗、およびポップカルチャーから成立した価値感や美意識の影響を強く感じさせる美術や製品、あるいはファッションと音楽。
・戦後のジャパン・コロニアルと美術
・日本の地層論的に残されている無意識下の美意識
現代日本の風習や民俗的倣わしや意匠から読み取れる武士的思想、土着的精神論や思想の介在を読み解く。
・ヤンキーの創造性とストリートカルチャー
デコトラ、
アラビアンナイトとたけのこ、
かぶきとダンス甲子園
野球 スポコンと青春
バイオレンスとファンシー
ダンスカルチャー(フィフティーズのグリース、プロム、etc)
制服と学校
きくずしときながし
髪型の精神性~前髪のヘルメット 無自覚の無防備さ
でこめーる、
デザインとヤンキー
ロードサイド店舗
イミテーション、キッチュ、グラングラン(幼児言葉)
・ヤンキーの精神性:表象されたヤンキー伝説
不良の伝説
ヤンキーは伝説好き、
神話伝承システムとしての縦社会
不良の表象史
愚連隊、
ジェームズ・ディーン、
マーロン・ブランドー、
少年漫画、
裕次郎の太陽族、
日活、
トレイン・スポッテイング、
ヘルスエンジェル、
ストリート・ギャング、
ウエスト・サイド・ストーリー、
サタデー・ナイト・フィーバー、
フットルース、
・ なぜヤンキーはいなくなったのか?
・和洋折衷の思想(崩壊した末裔たちのアイデンティティーの)
・ストリートカルチャーと郊外型の風土
・24時間年中無休の夜祭りの駄菓子ワールド
〜不夜城ドンキホーテは終わらない仲店である
・山の手カワイイと郊外のロードサイドカルチャー
明治と山の手 江戸から山の手へ 言葉
~お嬢様、JK、かわいいへの進化
江戸の上層武家が日常用いた言葉を基盤に、明治時代に成立した。日本語の標準語は、中流階層の山の手言葉を母体として形成された。ただし、標準語との違いもある。
半分青いの方言
・グラフティとストリート・アート
JUN INOUE | 井上 純
バンクシー
・フューチャー・ヤンキー
〜ネット世界のヤンキー
・古層論
・日本的大人への変身儀礼では変身が重要な要素 〜卒業
元服(げんぶく、げんぷく)とは、奈良時代以降の日本で成人を示すものとして行われた儀式。通過儀礼の一つである。
「元」は首(=頭)、「服」は着用を表すので、「頭に冠をつける」という意味。加冠とも初冠(ういこうぶり)とも言われる。なお、公家の女子の成人式は裳着(もぎ)と言う。民間においては褌親(へこおや・ふんどしおや)の元で、初めてふんどしを付け、性に関する知識を授かる褌祝(ふんどしいわい)と呼ばれる儀式がある。
・同世代集団の美意識 「盛りの誕生」
~世代でつながる文化 先輩、同期という世界観
~先輩、後輩、同期、上司、部下‥ 卒業
・日本の普遍的な奇想の美意識 ヤンキーはメインカルチャー
〜神話伝承システムとしての縦社会
〜国粋論者としてのヤンキー
〜和洋折衷の思想(崩壊したアイデンティティーの末裔)
〜ヤンキー表象 ないものをあるとするヤンキー的精神
〜制服と様式美の日本文化 (ギャルと制服)
〜ギャル化する社会 ジェンダーとカワイイ
〜オタクもまたヤンキー
〜ゲーム的環境に棲む消費するヤンキー(日本の末裔)
↑
以上のネタを含められませんでした。
・青少年不良文化評論家 岩橋健一郎(39)〜wikより
1970年代~1980年代前半に、大阪は南区(現中央区)のアメリカ村で売られていた派手なアロハシャツと太いズボンを好んで着た不良少年を、関西では「ヤンキー」と呼んだ事が起源とされる。ただし語源的には、もともと関西圏で彼らがケンカの際に、乱暴に河内弁で話す「~やんけ」という語尾を使うことから「やんけ言い」→「やんきぃ」(『き』にアクセント)と呼ばれるようになったものである、とも言われる。ヤンキーの起源は他にも「ヤング・キッズの略」など諸説あって、確定はされていない。アメリカ人を意味するヤンキー(Yankee、『ヤ』にアクセント)との関連の有無は不明である。
その頃、同じく南区のヨーロッパ村でたむろしていた不良少年をヤンキーと区別し「ヨーロピ」もしくは「ヨーロピィ」と呼び、そのファッションも若干異なっていたがヤンキーの隆盛と共に衰退同化したようだ。1983年に歌手の嘉門達夫がリリースしたコミックソング『ヤンキーの兄ちゃんのうた』のヒットで日本全国に広まった。現在は、テレビなどメディアの影響によって全国的に広まり、関東での不良少年を意味する「ツッパリ」よりもよく用いられる語である。ツッパリという言葉が廃れていくにつれ、代替語としてスライドする形で浸透した。「ツッパリ」「ヤンキー」ともに、そう呼ばれる不良自身も、自らとそうでない一般人との区別のために、自らを指してそう呼べる語句として使いやすかったものと思われる。なお、「ヤンキィ」と書くこともある。
・バブル崩壊 ~クラシックからニューウェーブ、そしてヒップホップへ
主に1980年代から1990年代初頭にかけては、不良少年少女全般を指して「ヤンキー」と呼んだ。またこれらを”古典的なヤンキー”の意で「クラシックヤンキー」とも呼ぶ。当時のクラシックヤンキー男性はリーゼントに幅の広いズボンや、主に紫色をベースにした派手な柄のシャツ等で見た目から判りやすく、現代の不良とはスタイル、ファッション共に隔世の感がある。現代の若者達の感覚ではヤンキーとは昔の不良の事を指し、同年代に使用する場合も、遅れたファッションセンスの不良を揶揄して呼ばれるようだが、一方では「ヤンキー的なるもの」は脈々と受け継がれ、形を変えつつ「新たなるヤンキー」が生まれつつあるという指摘もある。後述のヒップホップヤンキー以降がその流れとなる。
バブル崩壊から90年代末にかけては、カラーギャングやチーマーといった新しいスタイルのヤンキー、「ニューウェーブヤンキー」が台頭。しかしファッションに若干のセンスアップが見られるだけで、基本的にはそれまでのヤンキーとなんら変わりないメンタリティや行動原理を有するとされている。ファッションは主にハードロック系のアメカジスタイルが主流。ただしこのムーブメントは後の「ヒップホップヤンキー」の登場への布石となる。
2000年代には、アメリカの低所得者層の不良子弟(→ギャングスタ)のそれに似た様式が日本に流入し、日本の古典的ヤンキースタイルとは一線を画している。ヒップホップのスター達が主として取り入れていたスタイルをそのまま真似たようなファッションをしたヤンキーを「ヒップホップヤンキー」と呼び、そして前述のクラシックヤンキーと区別する向きもある。
・ファッションカテゴリーとしてのヤンキー
ヒップホップヤンキーヤンキーの代表的なファッションは、ジャージやジーンズなどのボトムのウェストを、サスペンダーで釣って股下までずり下げ着用する「腰履き」が主流である。また、これをファッション詩等のメディアでは、「B系」と称する場合が一般的であるが、その場合は必ずしもヒップホップヤンキーの事を指す表現ではない。例えばB-BOYという表現は、単にB系ファッションに身を包んだ少年の事を指すものである。
ただし2007年現在では、着用の際の工夫を凝らさずともあらかじめ腰履きに見える手軽さと履き易さが特徴である「ヒップホップジーンズ」やサルエルパンツなどが好まれている。ただ、このスタイルは、一見してヤンキー的メンタリティを持ち合わせていないと思われる若者の間にも広く受け入れられ、外見的にはヤンキーと一般人の区別があいまいで困難になった。しかしかつてクラシックヤンキーが好んで履いた「ボンタン」との類似点が指摘されており、そういう物を好み、あえて選択するセンスやメンタリティはやはりヤンキーそのものであるとも言えるだろう。
ヤンキーといえば外せないのは自動車である。ヤンキーが好む車種として中古の国産高級車、ソアラ、クラウン、セルシオ、シーマ等あり、ヤンキーが嗜好する車を指して「ヤン車」「VIPカー」とも呼ばれる。
また、現代ヤンキーが好む車種も変遷し、アメリカ車のハマーH2や、リンカーンナビゲーターが憧れとされる。ただ現実には購入費や維持費の問題もあり、中古のシボレーサバーバンや、アストロ、国産のミニバンや軽自動車をVIPカー仕様に改造し乗用している。所得の問題もあり、近年はBIGスクーターの改造車や親の車を無改造で使用したり、車や単車等を所有していない若者も多い。
他にも、高価なAVシステムやハイドロ(油圧式車高調整機構)を搭載する趣味でワゴンやアメ車を好むB-BOYの乗るローライダーやラグジュアリースポコン等もあり、これらもまたヒップホップカルチャーの一つであるが、日本のヒップホップヤンキーと必ずしも密接な関わりがあるわけではないと指摘する向きもある。
かつては不良少年を指す言葉だった「ヤンキー」は、徐々にこうした趣味嗜好を有する者たちや、そういうカテゴリーそのものをくくるための言葉として変容しつつある。
・ヒップホップヤンキーが起こす重犯罪
また、あまり表立っては語られないが、ヒップホップヤンキーの中でも犯罪傾向の強い者たちは、乗員数や荷物の積載量に余裕のあるいわゆるワゴン車を好む。彼らはワゴン車の特性を悪用し、主に主要都市部の駅周辺において、通行中の若い女性を拉致し、車内でレイプするという犯罪行為を行う事が多い。また販売する側もこの類の車種のボディをヤンキーが好む形状にすることが多く、自動車メーカーがレイプ犯罪を助長しているのではないかという指摘もある[要出典]。このようにヤンキー好みのワゴン車の事を特にヒップホップワゴンと呼ぶことがある。
クラシックヤンキーやニューウェーブヤンキーも犯罪行為を行わないわけではなかったが、それは主に暴走族やチームといったヤンキー組織同士の抗争が発端となるものが主流で、個人主義的な傾向の強いヒップホップヤンキーとは犯罪の性質が異なっているとの指摘もあり、ヒップホップヤンキーの社会に対する挑戦とも言うべき反社会的犯罪行動とは一線を画していると言わざるを得ない。
全般的に見れば少年犯罪は減少傾向にある(増加はしていない。詳しくは少年犯罪#最近の少年犯罪の動向を参照)ものの、ヒップホップヤンキーは少年とは限らず、暴走族などのクラシック系ヤンキーの高年齢化が明らかになっている現状を踏まえると、むしろそうした犯罪行為は主に成人のヒップホップヤンキーによって引き起こされている可能性が高いという事に留意しなければならないだろう。
・「ネオヒップホップヤンキー」の誕生、そして「お兄系」へ
2003年頃からは、ヘアスタイルはホスト系またはビジュアル系、上半身は裏原宿系、下半身はヒップホップジーンズ(腰履き)というスタイルの、「ネオヒップホップヤンキー」が台頭してきた。それまでの保守的なスタイルと現代的な流行が融合する事で、1980年代までのヤンキーファッションの野暮ったさや独特さは完全になりを潜め、また不良少年とそうでない少年との境界があいまいになってしまった社会状況ともあいまって、見た目もまた同様にヤンキーと一般人の区別がつきにくくなってきていると言われている。例えば男性が眉をそり落としたり、眉山に手を入れ積極的にラインを変えていく行為などは、1990年代末まではヤンキーメンズファッションのひとつの典型であった。しかしここ数年ほどで、剃り落とすまではいかずとも、女性と同様に眉のラインに手を加えるファッションは、必ずしもヤンキー男性のものではなくなった。また、単に男性が眉剃りを行うようになったというだけにとどまらず、10代の少女が眉剃りはもとより、化粧、髪染めなども積極的に楽しむようになってきている。このように、かつてヤンキーの特徴だったものが、現代では広く一般に受け入れられている例は多く、ややもするとそうすることが普通の身だしなみであるとされ、現に求人情報誌などでは、特に女性に向けては、面接前に髪を適度に明るく染める行為を、面接官の心証を良くするためのテクニックとして紹介されている場合があるほどである。
またファッション面ではヒップホップヤンキーとは別の流れで「お兄系」と呼ばれるものがある。かつてギャルファッションの男版として注目を浴びた、「ギャル男(ぎゃるお)」と呼ばれるスタイルの延長上にあるが、そのわかりやすいチンピラ風のコーディネート傾向から、これこそが現代的に洗練されたクラシックヤンキー直系のスタイルであるとする向きもある。
ちなみに、東京におけるヤンキーカルチャーのメッカも、ファッションや流行の変遷と共に移り行く。クラシックヤンキーの時代は原宿がヤンキーカルチャーの発信地であったが、その後はバブル崩壊と共に池袋へと移り(ニューウェーブヤンキー)、2000年以降は渋谷へ移ったと言える。90年代までは渋谷系といえば、今の「裏原宿系」を彷彿とさせるようなおしゃれな若者の流行ファッションスタイル、という意味合いが強かったが、今では完全に現代の典型的ヤンキーファッションである「お兄系」そのものを指し、商業広告などではその流行の最先端発信地が渋谷であると喧伝されている事が多い。
・主にヤンキーが登場する作品
漫画・映画・アニメ・ドラマ
雑誌
• VIPCAR
ゲーム
関連項目