ハーメルン は すごいです
こんにちは、最近はフロントエンド界隈を探索中の夕月です。デザインの勉強も頑張らねば。
そういえばこの割烹分析シリーズだいたい一話5000~7000文字(タグ含めて1万文字くらい)あるんですよね。全部で4~5万文字。割烹ガチ勢って感じがしていいですね!(錯乱)
さて、ということで今週もまた終末がやってきました。終末割烹分析をやっていきましょう。今回はハーメルン(+pixivも簡単に)を見ていきます。
なお今回はハーメルンさんの
すごいです係になりますので、「すごい。すごいです。」を多用します。あしからず。
今回の目次は以下の通りです。好きな項目をお読みください。
目次
- ハーメルンの現状
- pixivについて
- ハーメルンの今後予測
- まとめ
ハーメルンの現状
まずはハーメルンの現状からです。
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ハーメルンの基本情報
- 生まれ:
2012年07月(きっかけとなったにじファン/NOSは2008年10月開始)
- ユーザー登録数:
約30万人(2021年6月)
- 作品数:
約9.4万作品(2021年6月)
- 月間PV数:
約5億PV(2020年後半)
- 運営:
個人
PV数に関しては公式データはないので、
作る人さんの発言内容とSimilarWebからの推測です。たまにグラフを出しているので、そのグラフや発言内容、SimilarWebを考慮して出しています。多分現在は月間5億PV~7億程度と思われます。
作品数とユーザー登録数は検索で出てきます。規模としては大体カクヨムの半分です。ただし、月間PVとしてはカクヨムの2.5倍程度となってます。要するに作品数に対してPVが多いので、読者がかなり多い感じですね。
個人開発運営で月間5億PV達成しているというのは本当に、すごい。すごいです。大体の場合、管理が追いつかないので法人化するところがほとんどなのですよ。そもそも企業ですら到達しにくいような領域にいます。すごい。すごいです。
なぜこのように、すごいサイトになったのかは歴史的な問題が絡んでくるので、そのあたりも説明しながら今回は進めていきます。
参考資料
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今回の割烹を作るために閲覧したページです。参考にどうぞ。
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小説投稿サイト ハーメルン 成立史
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小説投稿サイト『ハーメルン』をちょっと調べて分かる理想郷状態 これマジ?読者の数に比べて一次創作が少なすぎるだろ……
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なろうから消えた二次創作文化はどこへ行ったのか? 副題:ハーメルンは良いとこ一度はおいで
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にじファンが閉鎖してから早6年。そろそろあの頃の思い出を語りたい。
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ハーメルン (小説投稿サイト)
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ハーメルン要望まとめ @ ウィキ 作る人 ◆ZjXNknkVmk さんの発言のまとめ
ハーメルンさんの歴史や機能などはなろうのエッセイで語っているものが多いです。特に
小説投稿サイト ハーメルン 成立史はとても良くまとまっているのでお勧めです。
簡単な歴史
ハーメルンさんの誕生のきっかけとなったのは
にじファン/NOSという二次創作専門の小説投稿サイトです。小説家になろうグループの1つ
だったところです。
NOS(N:二次創作を O:大いに盛り上げる S:小説のサイト)は2008年10月に誕生した二次創作専門ケータイ小説サイト。にじファンはNOSのパソコン版として2010年8月に追加された二次創作検索サイト。どちらも2012年7月20日をもって閉鎖されています。
にじファンのページに行くとまだサービス終了のお知らせを見ることができます。このにじファン/NOSが閉鎖される時に、避難先として作られたサイトがハーメルンなのです。
ハーメルン誕生の経緯は時系列にすると凄さが分かるので、大まかな流れを時系列で書いていきましょう。なお細かい流れは
小説投稿サイト ハーメルン 成立史をみてください。
ハーメルン誕生までのおおまかな時系列
- 2012/07/04 にじファン/NOSが7月20日に閉鎖というお知らせが発表される。閉鎖まであと16日。
- 2012/07/11 ハーメルン運営(以下、作る人)が避難先を作り始める。作る人が、なろうの機能そのまんまコピったサイト作っている、という発言を掲示板に投下する。
- 2012/07/12 避難先仮公開(仮ドメイン)、投稿機能、検索、閲覧部のサンプル公開。
- 2012/07/13 ユーザー認証機能の追加、バグ修正等。
- 2012/07/14 利用規約作成、活動報告の機能作成。バグ修正等。
- 2012/07/15 ハーメルンという名前に決定。ドメイン決定。正式運営開始。
- 2012/07/20 にじファン/NOS閉鎖。
もうすこし詳細を知りたい方は
ハーメルン要望まとめ @ ウィキ 作る人 ◆ZjXNknkVmk さんの発言のまとめをご覧ください。
凄い慌ただしい2週間ですね。閉鎖のお知らせから閉鎖まで約2週間。その間で移転準備することになった作者の人はとても大変だったでしょうね。
さて、これを見ると作る人のすごい点はいくつもあります。
まずハーメルンはperl+mysql 独学+我流フレームワークで実装されているようです。ずっとPHPか何かのフレームワークかなと思ってましたが、我流フレームワークを使っているようです。我流とはいえきちんと動作するフレームワークを作るのはとても大変でほんと、すごい、すごいです。
またスレの発言内容から当時大学生だったことがうかがえます。期末考査がせまっているタイミングで作っていたようですね。そういえば、なろうも運営さんが大学生の時に作られたというのを見るとなんだかつながりがあるなぁと思ったり。
作るスピードも尋常じゃないくらい速く、7月11日からの5日間でハーメルンの原型が完成しています。リアル小説投稿サイト作成RTAですね。すごい、すごいです。
7月20日付近で1日約10万PVのアクセスがあったということなので、ざっと初期から月間3000万PV程度(今のエブリスタよりちょっと少ないくらい)だったのかな。それをさばく技術もすごいです。
もちろん最初は今と比べると機能も少ないですが、そこから開発を続けて多くの機能を追加し便利にしていって今に至るわけです。すごい。すごいです。
ハーメルンの由来
なおハーメルンというサイト名は元々、皮肉(
理想郷を荒らし回る『にじファン難民』=『鼠』をまとめて引き連れていき、そのまま溺死させてくれる人)から来ているそうです。ただそれに対する作る人の反応を見ると。
サイト名:「ハーメルン」について
由来:
元々は他スレ皮肉
>>336
この前の「ハーメルン」、いい捉え方すれば熱中しすぎて出て来れないってなるからいいと思った
>>399
略称は、ハーメルン=洞窟
子供達は洞窟に連れて行かれ、以後姿を見せなかった。
おまいらは洞窟に連れて行かれ、以後他サイトには姿を見せなくなる。
↑利用規約揶揄
そもそも二次創作は黙認によって成り立っているのだから。
作る人としては、かなり肯定的に捉えていて、おそらくこれがハーメルンの理念だと思われます。
熱中しすぎて出て来られないサイトを目指しているかと。(違ったらごめんなさい)
ハーメルンがこれほどまでに成長したのはこの理念を貫いているからではないのかと思っています。すごい、すごいです。
データ
さて、簡単な歴史を振り返ったところでデータ比較に入ります。PVに関しては、たまにTwitterでデータを出してくれるのでそのあたりから集めました。
PV推移です。絶対値についてはSimilarWebからの推測ですが、他のサイトの現状と比べるとそれほど外れているわけではないと思ってます。概ね今は5億~7億付近です。
恐ろしい成長ですね。なお直近でピークが出ているのは新型ウイルスの巣ごもり需要とゴールデンウイークの影響だそうです。
初期から数千万PVあったということです。分離した時のなろうのPVが5億PV付近です。にじふぁんのアクセスが10%~30%とすると(作品割合としては10%程度だった)だいたい0.5~1.5億PV。その中の一部が流れ込んだと考えるとあり得る数値です。なろうとの比較も見てみます。
絶対値は違いますが、よく似てますね。二軸にしてみると、成長度合いがよく似ていることが分かります。
これまで見てきたところと比較するとこうなります。
PVはカクヨムやアルファポリスの2.5倍くらい。
作品数はアルファポリスと同程度です。
作品増加数は結構意外で少ないです。作者人口はそこまで多くないようです。
サイト規模を合わせてみた時のPVはハーメルンがトップです。規模に対してPVがかなり多いのです。
新規の読まれやすさを見てみると、なろうさんよりも上だと思われます。すごい。すごいです。
これをみると作者に対して読者がかなり多いと分かります。多分、新規でも読まれやすい場所のトップクラス。
作品増加数が少ないのはハーメルンの仕様によるところが大きいです。現在は投稿に1000文字以上必要となっています。
他の投稿サイトでは以下のような制限です。
- 200文字 なろう
- 1文字 カクヨム
- 1文字 アルファポリス(多分)
- 0文字 エブリスタ(画像だけの投稿が可能)
必要文字数が多いほど、投稿数は減りますね。なので増加数は意外と小さいのです。
なお、
当サイトでは最低でも2500字程度での投稿を推奨しております。と
FQAにあるように、あまり短い作品は求めていないようです。
ハーメルンの傾向
ハーメルンさんはかなり優れた小説投稿サイトですが、メインのターゲットユーザーは男性向け二次創作を好む人です。
利用者の男女比をみると、9:1とほぼ男性です。
また一次創作(オリジナル)と二次創作の比率を見てみると、13:87でほぼ二次創作です。なので、男性向け二次創作を好む人にとってはとてもいいサイトです。公式でコンテストは開かないので、完全に趣味でやっている人向けとなっています。もし、書籍化したい場合は他のサイトとのマルチ投稿をすることが推奨されています。
万人受けのサイトではないのでそこだけ注意が必要です。ターゲットユーザーに入らないといくら優れていても関係ないのですよね。
pixivについて
男性向け二次創作はハーメルンでした。では女性向け二次創作はどこにいるのかと言われると、色々とあるのですが、総合的にはpixivですね。
pixivはイラストやマンガが有名ですが、小説も投稿可能です。主に女性向けの二次創作が活発に投稿されています。最近は小説機能の開発を頑張っていて、ますます便利になっているところです。
ということでpixivについても、ちょっと見てみましょう。
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pixiv小説の基本情報
- 生まれ:
2010年07月(pixiv自体は2007年9月)
- ユーザー登録数:
約6400万人(pixiv全体 2021年2月)
- 作品数:
約1400万作品(pixiv全体では約1億作品 2021年2月)
- 月間PV数:
約4.4億PV(小説のみ。pixiv全体では約44億PV 2021年2月 小説は全体の約10%)
- 運営:ピクシブ株式会社
ホント、はんぱないですねー。
イラストが有名で作品割合は以下のようになっています。
小説割合は約14%です。全体の作品数が1億あるのでだいたい1400万作品あります。単純計算でなろうの18倍くらいあります。
といっても、ここにはカラクリがあって、pixivの作品の数え方は単品なのです。同じ作品でも別の話それぞれがカウントされるので多く見えているのです。
小説家になろうの
小説掲載データを見てみるとR18を除いた全掲載部分数(話数)は約1000万です。
なろう基準で考えるとpixivはなろうの1.4倍程度(100万作品くらい)だと思われます。R18含めるとほぼ同じですね。作品数はなろうと同規模だと思われます。
Pixiv小説の
プレスリリースを見ると、pixiv小説の週間閲覧数は1億といっているので、だいたい月間4.5億PVくらいでしょうか。概ねハーメルンさんと同程度です。
pixiv全体では月間44億PVなので約10%に相当します。作品数割合と同じくらいで見られているようです。
男女比をみてみると3:7で女性が多いです。
一次創作と二次創作のタグ検索をしてみた感じ、だいたい二次創作割合は85%~95%くらいでおおむねハーメルンさんと同程度かと思います。
女性向け二次創作を嗜む人はよさそうです。
なお登録ユーザー数は桁が違います。6400万人って日本人の半分が登録しているの!?と思われるかもしれませんが、pixivは海外比率がかなり高いです。最近の新規登録の7割が海外ユーザーだそうです。現在のアクティブユーザーは約40%が海外ユーザーだそうです。どんどん国際路線へ進んでいます。
登録ユーザー数の推移を見てみると。
- 2007年9月10日:運営開始
- 2009年6月26日:100万人
- 2011年3月29日:300万人
- 2012年9月06日:500万人
- 2014年2月22日:1000万人
- 2016年9月02日:2000万人
- 2018年2月11日:3000万人
- 2019年4月22日:4000万人
- 2020年4月28日:5000万人
そんな中でpixiv小説も国際化対応していっています。
小説の「言語検索機能」リリースを記念し、繁体字小説コンテストを開催
繁体字対象小説コンテスト「Hot Taiwan Taste2」
pixivのクリエイターの皆さまが海外で作品を公開できる『外部サービス連携』を提供します
翻訳活動なども活発に行われていますし、国際的なコンテストも多くなっていくのではと思われます。
またpixiv小説はオリジナルの方にかなり力を入れてきていて、どんどん機能を開発していっているところです。
日本だけで見ると小説家になろうが最大級です。しかし、世界的に見るとpixivの方が有名ですね。国際的に活動したい人はpixivに行くのもいいかもしれません。
参考資料
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ピクシブ株式会社
-
ピクシブ社内ブログ
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pixivお知らせ
-
pixiv広告資料
-
pixiv小説編集部
ハーメルンの今後予測
というわけでpixivからハーメルンへ戻ります。
過去を振り返ったり各種のデータを見てきて、ハーメルンさんの今後についても予想してみます。
PVの推移を見ると、最近はもう伸びは少なくて安定している感じです。ほぼターゲットユーザーの取り込みは終わったかと思われます。誕生から2017年くらいまでは、にじファンから理想郷や暁、アットノベルス、OTRなどに散らばっていたユーザーがほぼ集まり切ったのかと思います。
これ以上大きくするには、オリジナルの方の拡大、女性向けへの拡大が考えられます。
オリジナルを増やすのならば、書籍化コンテストや企画を開くなど、女性向けなら夢機能だったり、パスワード、タグの追加やサイトの住み分け促進などが考えられますね。
書籍化については
ぶっちゃけ自分達にとって書籍化関連はやぶ蛇だと考えていて、あんまり触れたくない
うちのサイトはこの先も多分ずっと出版社とのタイアップとかはないやろうから、書籍化したい人はなろう(カクヨム)に行こう
ハーメルンで書籍化が決まった作品もいくつかありますが、それらについては他の投稿サイトで発表し、そっちで宣伝するようにと言っています。
掲載作品の出版について(出版社向け)
サイト立ち上げ時にも、
そもそも二次創作は黙認によって成り立っているのだから。と作る人はいってますし、今後も書籍化コンテストはとかはないでしょう。書籍化の宣伝することもないでしょうね。
女性向けについての拡大の可能性はあるかもしれませんが、今の倍くらいになるとすると管理が大変になるかと思います。
Twitterを見る限り、そこまで大きくする気はないといってますし多分こちらもなさそうですね。
うちのサイトの規模感はこれ以上大きくしようと思ってないので、企業サイトさんの応援をします
管理とか追いつかなくなっちゃうので(´・ω・`)
概ねこれまで通り、サイト改善で使いやすくしていくのだと思われます。作品傾向についてもこれまで通りかと思います。
ただ、ハーメルンさんでちょっと怖いのが、個人開発だということですかね。
作る人に完全に依存してしまっているので、突発的な事故などで大変なことになる可能性があります。理想郷も個人開発でしたが、災害などで運営維持管理が難しくなりました。
そのため、リスク回避のためユーザーが増えてアクセス数が多くなった段階で法人化するパターンが多いです。
最近だとSkebとか質問箱が有名ですね。
ちなみにですが、pixivも小説家になろうも元は個人開発からスタートしています。ユーザーが増え、アクセスが増えたので法人化しました。
個人開発では確実にどこかの時点で運営交代があります。流石に永遠に生きられるわけではないですし。その運営が法人なのか、個人なのかは分かりませんが、その運営が今と同じように進んでいくかどうかは分かりません。
そのあたりがちょっと怖いところです。特に今は新型ウイルスで健康が損なわれやすいのですしね。
まとめ
では、最後にまとめです。
まとめ
- ハーメルンは小説家になろうグループのにじファン/NOSの避難所として作られた。
- 7月11日から作られ始め、7月15日に正式オープンした。
- 熱中しすぎて出て来られないサイトを目指していると思われる。
- 現在は月間約5億PV程度の規模。
- 作者に対する読者数は小説投稿サイト内でトップクラス。
- 作る人はすごい。すごいです。
- ハーメルンでは出版社とのタイアップなどはやる気はない。
- 今後も使いやすいサイトを目指して改善がされていくと思われる。
- TSFはいいぞ。
さて色々とハーメルンさんのすごいところを見てきましたが、私が一番すごいと思うのは、最初に建てた理念をずっと貫き通しているところだと思います。
長年運営しているとぶれることもあるでしょうし、これだけアクセスがあるのであれば色々なところから勧誘がくることも容易に想像ができます。それでも、ブレずにひたすら優れた機能を追加して、管理していくのは並大抵の事ではありません。
本当に理想的な歩みだなぁと思います。すごい、すごいです。
私もああいう人になりたいな。頑張ろう。
こんなところですかね。ということで今回は以上。次回は新興小説投稿サイトについてです。ノシ。
>九谷 さん
あー、ウマ娘流行ってますね。二次界隈は流行に敏感ですものね。
>黒イ卵 さん
すごい!(おつです~)
すごい(いやー、すごいですよね。神か)
すご(みんなすごい!)
す(ピクシブのルビ形式、ユニーク)