こんばんは。


鉄平です。


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◆読売新聞 西部朝刊

 [追う]密室の虐待2年放置 福岡の障害者施設

◇父の理事長 職員の直談判無視か

 福岡県小郡市の障害者就労支援施設で起きた虐待事件は、障害者虐待防止法(昨年10月施行)に基づく自治体の立ち入り調査で、その陰湿な実態が明らかになった。内部では、管理職だった坂本静治被告(48)(暴行罪で起訴)による横暴を指摘する声が何度も上がっていたが、問題は放置され続けた。なぜ2年以上に及ぶ虐待は表面化しなかったのか。背景を追った。

 □執拗な暴行

 「障害者施設で女性利用者が性的虐待を受けている」 福岡県障害者福祉課に福岡法務局を通じて一報が飛び込んできたのは、同法が施行された直後の昨年10月2日。県の担当者は、系列施設のある佐賀県や関係する市町に通報し、運営する小郡市のNPO法人「リブロ」(坂本勉理事長)と4か所の施設に立ち入り調査した。その結果、判明したのは、障害者就労支援施設「ひまわり」の元支援次長、坂本被告による執拗(しつよう)な虐待だった。利用者に殴る蹴るの暴行を加え、知的障害の女性に性的関係を強要する……。福岡、佐賀両県は今年1月、2010年以降の利用者7人に対する虐待を認定。組織の刷新などを求める改善勧告を同NPOに出した。

 しかし、虐待はこれだけではなかった。「マヒして動けない障害者の足を蹴り上げたり、馬乗りになって殴ったりしているのを見た」「自分を『親分』と呼ばせ、床に座らせた入所者めがけてサッカーボールを蹴り込んでいた」。複数の関係者は証言する。両県の勧告後も被告は施設に出入りし、被害者と顔を合わせる状態が続いた。このため、関係市町は2月5日、緊急措置として被害者を一時保護し、他の施設に避難させた。福岡県警は同13日、坂本被告を暴行容疑で逮捕した。県の担当者は「福祉を担う人間の行為とは到底思えない」と怒りをあらわにしつつ、「これまでは行政に限界があったが、新法によってより積極的に介入でき、被害を掘り起こすことができた」と振り返る。

 □自浄能力なく

 なぜ、深刻な実態は表面化しなかったのか。福岡県などによると、被害者の多くは知的障害者や精神障害者で、被害に遭ったことを自覚していなかったり、周囲の人にうまく説明できなかったりしたという。「立場の弱い障害者を狙った卑劣な犯行だ」と県警幹部は指摘する。複数の関係者によると、被告は理事長の長男で、11年に理事に就任。弟を含む親子で系列10施設を取り仕切っていた。昨年夏、一部職員が被告の横暴を理事長に直談判したが、はねつけられたという。失望した職員らは次々に辞めていった。取材に応じた元職員は「理事長は『NPOは監査もなくてやり方次第で金になる』と話していた。親子だけに任せては、自浄作用は働かない」と話す。福岡、佐賀両県は同NPOに、改善命令を含めて更なる指導を検討している。

 □自治体へ相談相次ぐ

 同法施行以来、各地の自治体には被害相談が相次いでいる。佐賀県では54件の相談があり、今回を含めて7件を虐待と認定。熊本県は15件を認定した。山口県立大社会福祉学部の重岡修准教授(障害者福祉論)は「障害者は被害を周囲に伝える力が弱い。施設という『密室』で起きる虐待は、発覚が遅れてエスカレートしやすく、早急な対応が必要だ」と指摘する。

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 坂本被告に接見した弁護人によると、通所者に千枚通しを投げたり、エアガンを撃ったりした起訴事実について、「千枚通しは面白半分で投げた。エアガンは遊んでくれと言われたので刑事ごっこをやった」などと話しているという。勉理事長は29日、取材に対し、「二度とこういうことが起きないよう組織を立て直したい」と話した。

 ◇来月にも全国調査

 障害者が家庭や施設内で暴力を振るわれたり、財産を奪われたりする虐待について、厚生労働省は4月にも、初の全国規模の実態調査に乗り出す。年内にも調査結果をまとめ、効果的な施策の検討につなげる。調査は、全都道府県と1748市町村(特別区を含む)が対象。昨年10月以降、相談・通報を受けた件数のほか、個別の事案について立ち入り調査の有無や虐待の類型、被害状況などを尋ねる。

〈障害者虐待防止法〉

 両親やきょうだいなどの養護者、障害者福祉施設の職員、障害者を雇用する事業主による身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の5類型を「障害者虐待」と定義。発見者には自治体への通報を義務付けた。自治体の権限も強化され、立ち入り調査や一時保護することもできる。立ち入り調査を拒むなどした場合は罰則規定もある。


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以上、鉄平でした。

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