2022.06.18
# エンタメ

ご存知ですか? 山守親分こと金子信雄が「イケメン俳優」だった頃

セコい上司役が日本一似合う俳優の真実
週刊現代 プロフィール

人を惹きつけた「生きた悪役」

映画に限らず、もう一つの主戦場である舞台でも、金子の奔放な芝居は異彩を放っていた。次男の金子こうじろう氏はこう語る。

「'75年に上演された『喜劇にぎにぎ』で、父は植木等さん演じる選挙屋に振り回される議員に扮しました。

楽屋で、植木さんが私にニヤッとしながら『お父さん、悪いよぉ』と声をかけてきたんです。どうやら父は舞台上でアドリブやイタズラをし、ずいぶん暴れまわったようです」

 

その『喜劇にぎにぎ』で、急病で降板した藤岡琢也の代役として、急遽舞台に立ったなべおさみ氏が言う。

「ポッと一座に入った私に、『こう演じなきゃ、と力んで考えなくていい。主張しようとせず、他の役者との調和を大事にすればいい』と助言して下さいました。

その後も共演する度に、金子さんのような、役になりきる『脇役』が、作品の濃度を高めるのだと感じ入りました」

こうじろう氏が振り返る。

「結局、生身の人間がいちばん面白い――それが父の口癖でした」。金子の演じる憎まれ役は現実にいそうな「生きた」悪役であり、それが人を惹きつけた。

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