バンダイナムコエンターテインメントより2022年9月1日(※)に発売予定の『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトルR』(以下、『ジョジョASB R』)。本日2022年6月16日、プレイステーション5、プレイステーション4向け期間限定体験版が配信開始された。
※PC(Steam)版は2022年9月2日発売予定。
本作は、2013年8月29日に発売されたプレイステーション3用ソフト『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』(以下、『ジョジョASB』)をベースに、ゲームデザインやモードの変更、キャラクター追加を行ったタイトルだ。総勢50人の歴代キャラクターが参戦し、ボイスはアニメ版の声優をキャスティング。3Dモデルもアニメに準拠したデザインになっており、バトル部分はゲームスピードや技性能の変更など、昨今のトレンドに合わせてバランスも調整されている。
本稿では、配信に先駆けてメディア向けに実施された体験会でのプレイリポートを紹介。あわせて、体験会後に実施された本作のプロデューサー・又野健太郎氏へのインタビュー内容もお届けしていく。
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体験版で遊べたのは、キャラクターの操作練習を行えるプラティクスモードとプレイヤーマッチ対戦が楽しめるオンラインモードの2種類(体験会では約2時間程度プレイできた)。環境は以下の通り。
- 使用ハードはプレイステーション5とプレイステーション 4 Pro
- プレイアブルキャラクターはジョナサン・ジョースター、空条承太郎、DIO、空条徐倫の4人
- ステージは両モードとも“第1部 ファントムブラッド”のディオの館(ステージギミックあり)で固定
やはり注目は「『ジョジョASB』をベースにしてどこまで変わっているのか?」だろう。体感として、かなりバランスに手が加えられていたので、気になった点を順に紹介していく。
基本操作の変更・追加点。攻防の変化など
まずは基本操作から。技モーションの速度が全体的にアップしており、対戦のテンポを上げようと意識しているように感じた。以前の『ジョジョASB』では地上での中・強攻撃はモーションが遅く、コンボ用途以外では技を振りづらかった印象だが、本作ではモーション速度が目に見えて速くなっていた。
さらに、ダッシュしながらジャンプすることで通常ジャンプより低く飛べる“ダッシュジャンプ”が追加され、攻めの起点も増えている。ほかにも、攻撃を当てたときのヒットストップ(※)により、ヒット/ガードを少し確認しやすくなった。
※攻撃を当てた瞬間に一瞬だけ動きが止まること。攻撃の重みや手ごたえを演出する。
防御面では、“スタイリッシュガード”が新たに登場。↓+□+×の同時押しで自キャラクターが構えの体勢を取り、そのあいだに攻撃を受け止めると、相手の攻撃を軸移動で避ける技だ。全体的なゲームスピードが上がって攻めが強くなった分、防御も強くしてバランスを取ったように感じたが、似たようなカウンター系のシステムとして、タイミングよくガードすると軸移動しながらかわす“スタイリッシュムーブ”が『ジョジョASB』から存在している。
体験会ではスタイリッシュガードの長所や短所など細かい部分まで調べるまでには及ばず、少し触った感触としては“初心者にも使いやすい防御システム”、“少し簡単になったスタイリッシュムーブ”という印象だった。簡単だけどデメリットが大きいのか、それとも慣れている人はスタイリッシュムーブを成功させたほうが恩恵があるのか。それぞれの差別化については、体験版でじっくり試したいと思う。
追加要素のひとつである“アシスト”は、設定したサポートキャラクターをバトル中に呼び出して“自身の攻撃と組み合わせてコンボをつなぐ”、“相手の攻撃やコンボに割り込んで止める”といった2種類の使いかたができる。
アシストで出せる技は、ジョナサンなら飛び上がりアッパーを出す“緋色の波紋疾走(スカーレットオーバードライブ)”、徐倫なら “糸の結界”を設置するといった各キャラ1種類固定。ただし、キャラクターによって1ラウンド中に呼び出せる回数が決まっており、出した後はクールタイムが設けられている。
使い放題のサポートではなく制限付きなのは、アシスト起点の攻めやコンボ妨害が中心のゲーム展開を避けるためだろう。攻めと守りをどう使い分けるのか、タイミングも重要になりそうだ。
難しく感じる人もいるかもしれないが、対戦を飽きさせないための作りであり、味方との連携で勝つのはまさに『ジョジョ』。キャラクターゲームとしてもうれしい要素だ。好みのコンビか、それとも短所を埋めるアシストを入れるか悩ましい。とりあえず製品版では康一と露伴とか組み合わせたい。
キャラクターの変更点やオンライン対戦の感触は?
また、キャラクターの通常技以外も調整されており、入力コマンド、特殊技、コマンド技も一部リニューアルされていた。過去に『ジョジョASB』をプレイしていた筆者にとっていくつか気になる連携や変更点もあったが、体験会で確証を持てた部分だけ紹介する。試しにジョナサンを使って気づいた点は以下の通り。
- 弱版ズームパンチのモーションが速くなった。
- 中版ズームパンチが通常攻撃からつながるので【立ち弱攻撃>立ち中攻撃>立ち強攻撃>中ズームパンチ>タックル>緋色の波紋疾走】というようなコンボルートもできるように。
- 波紋疾走連打のコマンド“←→”が“↓↓”に変更。
ある程度プラティクスモードを遊んだ後に、筆者と編集者でオンラインモードのプレイヤーマッチをプレイ。オンライン対戦時の遅延が気になるところだが、少なくとも体験会の環境では気になる遅延はあまり感じられず、お互い快適に対戦できた。
また、プレイステーション5とプレイステーション 4 Proといった異なる機種間でも、フレームレートが基本の60fpsから可変することなく対戦できることも確認済みだ。
ゲームスピードの調整をはじめ“格闘ゲームらしい”ブラッシュアップが施されているが、コアなユーザー層に寄りすぎているわけではない。スタイリッシュガードや簡易入力、先行入力の追加など、これから『ジョジョASB R』に遊ぶ人も触れやすいような要素も含まれているのはうれしいポイントだ。
ただ、より遊びやすくなった本作でも惜しい点は見受けられる。前作の『ジョジョASB』では広いステージに対して歩き移動が遅かった。個人的に対戦中での立ち回りでは歩き移動の必要性はあまり感じられなかったので、ゲームスピードの調整に合わせて歩き速度も上がっているようだが、もう少し早くてもよかったかもしれないというのが正直なところ。
そしてもう1点がプラクティスモードだ。対戦格闘としてのクオリティが上がっているのだからワンボタンでのリスタート機能(※)や技のレコーディング、反撃設定などもつけてほしかった。多数の参戦キャラクターに合わせて練習したい項目は多いのだ。とはいえ、この辺の違和感は筆者が格闘ゲーム好きだから、かもしれない。慣れれば気にならない可能性もあるので、体験版の配信後は、じっくり反復してみたい。
※本作ではポーズメニューを開き、“リトライ”を選んでリスタートする。
開発経緯やリニューアルされたゲームデザインなど、気になる点をプロデューサーにインタビュー
最後に、本作のプロデューサーを務めるバンダイナムコエンターテインメントの又野健太郎氏(文中では敬称略)へのインタビューをお届けする。
──『ジョジョASB R』を作ることになった開発経緯についてお聞かせください。
又野 アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』の放映期間に、『ジョジョ』のゲームを作りたいと考え始めたのがきっかけでした。日本はもちろんワールドワイドで『ジョジョの奇妙な冒険』の盛り上がりを感じていたんです。あとはデータを調べていく中で、PS4・PS3向けに発売した『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』が、発売から時間が経っていたにも関わらず、販売が好調に推移しているのがわかりました。アニメの影響を受けたんだと思います。肌感からも数字面からもジョジョが盛り上がっているのを実感し、新しいファンのみなさんにもゲームを届けたいなと考えたのがきっかけになります。
なぜ『ジョジョASB』というゲームにしようと思ったか……。『ジョジョASB』は(現行機でない)PS3用ゲームという面であり、プレイされた人がまだまだ少ない、というのはあると思います。お客様の中には『ジョジョASB』の存在自体は知っているという方がたくさんいて、海外の方からも「遊びたい」という声を目にしたことが何度もあったことです。ジョジョのゲームを作りたい、どういうゲームにしようかと思ったときに、『ジョジョASB』を蘇らせて、日本はもちろん世界中のみなさんにお届けしたいと考えました。
──本作はプレイステーションの最新情報番組“State of Play”で発表されました。どういった反響がありましたか。
又野 海外の反応がすごく大きかったですね。弊社の海外拠点のメンバーからもすごく反応が大きかったと聞きましたし、私もSNSなどで調べた範囲ではすごく盛り上がっているのを感じました。国内に関しては、前作で厳しいお声があったと私も認識しております。
当時も、ゲームをより快適に、楽しくプレイしていただけるように改修(アップデート)を続けていたんですけれども、最後までお客様がプレイしてくださったわけではないと思っておりますし、回収前に離脱されたお客様もたくさんいると思っています。そういったお客様にはあまりいい思い出がないタイトルかもしれないと思っていたので、反応がすごく心配でした。
“State of Play”の反響としては、もちろん厳しい声もありましたが、「当時遊んでいた」、「最後のアップデートまで遊んだよ」といった応援のような声もいただけました。当時嫌な思いをされたお客様からも「今度は大丈夫なのか」という声も頂戴しました。本作をこれからお届けするにあたって、応援する声も厳しい声も励みにしつつ気を引き締めて、最後の追い込みをしていこうと思ったのを覚えています。
──そのような厳しい意見もある中でリニューアルという道を選ばれたかと思いますが、ここだけは大切に、あるいはこだわって開発したというポイントはありますか?
又野 「対戦ゲームとして、格闘ゲームとしてレベルアップさせる」を旗印にして、開発現場一同努めてまいりました。もちろんハードルを上げたいわけではないので、とっつきやすさは変えず、対戦ツールとしての楽しさを向上できるようなゲームを目指しています。
──その想いが今回の先行体験版の配信につながっているのでしょうか。
又野 先行体験版にはふたつ意図があります。今回こだわった点や改修、追加したシステムなどを説明することはできますが、触っていただくことに勝るものはないと思ったんです。どのようなゲームになっているか、PS3版からどのように進化したのか。こういった点を知ってもらうために、プレイいただく機会を早めに作ろうと思ったことがひとつ目の意図です。
発売は9月1日なので、早いタイミングでの体験版配信になります。体験版は1週間限定です(2022年6月22日(水)15時59分まで)。ぜひ触ってみてください。
百聞は一見に如かずだと思いますので、本体験版で本作の購入を悩むお客様には納得いただける機会のひとつにしていただければと思います。
また、本作には“アシスト”、“スタイリッシュガード”というシステムを新たに追加いたしました。“スタイリッシュガード”は前作だと“スタイリッシュムーブ”(ジャストガードするとポーズをとって避ける仕組み)のみでしたが、今回は↓と□と×を同時に押すとカウンターの体勢を作ってそのあいだに避けられるシステムも追加しています。ジャストガードじゃなくても待ち受けて避けられるシステムです。あとはダッシュジャンプを追加したり、細かい部分ではモーションのスピードを変えてゲームのテンポを改善していたり、コリジョンを調整していたり、いろいろと修正を加えています。この調整を一度お客様がどういう風に感じるか知りたい……というのがもうひとつの意図になります。
声が多く挙がる仕様に関しては、よりブラッシュアップできないかをプロジェクトでも検討させていただきたいと思っています。
──ぜひゲームの感想や応援のコメントなどを寄せたりSNSで発信したりしてほしいと。
又野 僕たちがいいと思って選択した結果が体験版には集約されていますが、多くのお客様が「このシステムは楽しくない」と思うものがあれば、対応については検討できないかと思っています。
──プレイした感覚としては、全体的に対戦格闘ゲームとしてのクオリティアップに注力しているように感じました。
又野 そうですね。ですが、新規ファンにとってもイージービートとか遊びやすい要素を入れています。そういったものをカットして対戦特化の調整をしているわけではないので、格闘ゲームが得意でないお客様もご安心いただきたいと思っています。
──競技性を高くするものではなくて、エンタメ性を高くしつつ、より盛り上がる方向性の調整といった感じでしょうか。
又野 ハードルを上げている感覚はもちろんないですけど、入っていただいたお客様が満足できるようにいろいろなブラッシュアップを図っていったイメージかなと思います。
──キャラクターのアシスト要素も追加されていますが、基本的にアシストを交えた2対2の対戦になるのでしょうか?
又野 基本的にはアシストも含めたゲームデザインとなっているので、プレイキャラクター+アシストキャラがベースとなります。
──体験版のプレイヤーマッチではアシストありの対戦しかできませんでしたが、前作のようなアシスト抜きの1対1の対戦もできるわけですね。
又野 はい、できます!
──ところで、アシストアタックを入れた経緯を教えていただけますか?
又野 『ジョジョASB』を遊んでいただいたお客様にも、より盛り上がれる対戦ツールにしたいという想いで作っていく中で、もちろんゲームのバランス調整を行っていますが、わかりやすいシステムを追加することで、さらにヒートアップさせられないか……と考えた結果、今回の仕様を追加しました。
──相性のいい組み合わせを模索したり、1対1のときとはまた違った考えかたが生まれそうですね。
又野 そうですね。プレイアブルキャラクターは50人ですから、自身を除いた49キャラクターがいます。1対1のときより自分に合うスタイルを考えたり、自分の苦手な部分をどう対応するかみたいなところも含めて考えていただけるんじゃないかと思います。『ジョジョ』は仲間とともに戦うシーンもよく描かれていると思うので、作品性ともマッチしているかなと。そういった側面でも相性がいいと思います。
──『ジョジョASB R』は、ゲームスピードの調整、ヒットストップの追加、一部技性能などゲームデザインに調整を入れていますが、本作のバトル部分はほかにもどのような調整意図で行われたのでしょうか
又野 基本的には、先ほどお伝えしたように“対戦ツールとしてより盛り上がれる調整”をひとつのキーワードとして開発を進めています。ですので、意図とずれるかもしれませんが、GHA(グレートヒートアタック)というゲージ2本以上で発動できる必殺技は、2本のときは100%、2.5本、3本と増えていくごとに威力が上がる設計に変えています。
対戦ツールとしてのテンポや一発逆転の手段を持っているドキドキ感を大切にしたかったんです。「対戦ゲームとしてしっかり楽しめる調整とは何か?」を考えながら調整いたしました。
──前作では一部の技が強いなどの意見も見られました。そのあたりのゲームバランスの調整はどのようにされていますか。
又野 もちろん前作の評価は見ているので、全体的に見直しています。全キャラの全アクション、全ダメージ値ですね。手触りも違いますし、アクションを変えている技もあります。前作ベース……というよりも、全体的な見直しで生まれ変わったゲームになっていると思います。
──地上で出せる通常技の発生が全体的に速くなっているように感じましたし、先ほど仰っていたスタイリッシュガードもそのあたりも意識されて?
又野 テンポを重視したかったので前作と比べて発生速度などを上げています。スタイリッシュガードは『ジョジョASB R』では重要なカギになると思っていて、飛び込んで攻撃してくる相手に対して、カウンター的にかわして自分のターンを作るという。そういうことをうまく戦略に織り交ぜてもらえると、遊びがすごく盛り上がるかなと思います。
飛び込んで攻撃したいけど、そこにかわされるリスクも発生する。どう攻めるべきか思考を巡らせるようなゲームデザインをイメージしながら、ダッシュジャンプという新たな仕様とスタイリッシュガードというカウンター要素を追加しました。
──Nintendo Switch版を除いて、本作のフレームレートは60fps(プレイ状況や環境によって一時的に変動する場合あり)とのことですが、これはオンライン対戦やどのモードでも60fpsで遊べるということでしょうか?
又野 はい。基本は60fpsで遊べるようになっています。
──また、購入特典以外にも各キャラクターの追加新規コスチュームはありますか?
又野 前作『ジョジョASB R』のキャラクターは特典以外には追加コスチュームがありません。
──アニメファンとしても楽しみになってきました。
又野 いまお話しした通り、『ジョジョASB』がベースとなっていますが、各種システムやモードを変えていたり、ゲームバランスも一新したタイトルです。前作をプレイされているお客様もまだ遊んだことがないお客様も楽しんでいただけるゲームになっていると思います。
あまり格闘ゲームが得意じゃないお客様にはワンボタンでコンボをつなげるイージービートがありますし、荒木先生が描く『ジョジョ』の世界をゲームで再現したことが最大のポイント。ふだん格闘ゲームになじみのない方にも遊んでもらいたいと思っております。前作を遊ばれた方は本作の違いを体験版で試してみてください。今後も情報を発信していきますので、ぜひ追いかけていただけるとうれしいです。
商品概要
タイトル:ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトルR
発売日:PlayStation5、PlayStation4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S、Xbox One:2022年9月1日(木)
STEAM:2022年9月2日(金)
対応機種:PlayStation5、PlayStation4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S(ダウンロード版のみ)、Xbox One(ダウンロード版のみ)、STEAM(ダウンロード版のみ)
価格:PlayStation5、PlayStation4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S 、Xbox One
通常版:6980円[税込](ダウンロード版同価格)
STEAM:オープン価格
ジャンル:対戦格闘アクション
プレイ人数:1~2人
CERO(対象年齢):B