割れ対策

登録日:2018/08/22 (曜日) 15:52:49
更新日:2022/06/11 Sat 01:32:54
所要時間:約 35 分で読めます







概要


割れ対策とは、ゲームのROMを違法な手段で入手(割れ行為)し、それをマジコンなどのエミュレーターで起動した場合に
ゲームが起動しない、同じ場面でループする(進行不可能になる)、特定場面でゲームがフリーズするなど
割れ行為で入手したソフトが正常にプレイ出来ないように企業側が仕込んでいるコピープロテクトの事を差す。

この項では主な割れ対策と実際に割れ対策が確認できたゲームを羅列する。
ゲーム部分は作品によってはネタバレを含むため注意!

SFCのコピーガードについてはコピーガード(SFC)も参照。

海賊版の検知手段には様々なものがある。
古典的なものとして、データの中に一部0でも1でもない不安定なビット*1を用意しておく、製造時にメディアのフォーマットをイレギュラーなものにする*2といったあたりが有名。
前者は正規ROMから起動すると読み込むたびにビットが0か1のどちらかにふらつくが、コピーROMだとふらつきが再現できないため違法データであると検知できる。
そして後者はコピーを取ろうとすると書き込み先メディアにデータを書き込み切れず、中途半端なコピーしかできないという状況が起こる。

なお、近年は「面白すぎるコピーガード」などと称した映像が多数出回っているが、これらの多くは 捏造 である。
詳しくは下部を参照。



主な割れ対策


ゲームの起動をさせなくする

違法データを感知した場合、警告文などが表示されゲームが起動しない、フリーズする、強制再起動等を実行するプロテクト。
PSのレッドハンドプロテクトや、SFCのコピーガードが有名である。
ただし、このプロテクトは正規ROMでも誤作動してしまうことがあるようで、
スーパードンキーコング2』を起動した際に不幸な事にこのプロテクトが発動し、ゲームオーバーの音楽と一緒にブルースクリーン一杯の白文字が表示された事がトラウマになってしまった人もいるようだ。
古いPCゲームやエロゲーの割れ対策として広く使われていた「Alpha-ROM」などのCDプロテクト系は、Windows10では尽く動作しなくなったため、かつて採用されていたゲームは正規品であっても一切起動不可という大変困った状況になってしまっている。


ゲームの進行を不可能にする

「ボスが倒せなくなる」、「進行フラグになっているキャラが登場しない」「逆に進行不可能な状況にされるフラグが建つ」等の方法を用いてゲームの進行を不可能にするプロテクト。
タイトル画面すら拝めず門前払いにされるものもあれば、最初は普通に起動できたように見せてゲーム中にトラップが発動する所謂「途中プロテクト」と言われるものもある。
あからさまにおかしくなり最初から引っかかったことに気づきやすいものもあれば、正規版の仕様を知らないとバグや攻略法を間違えたように見えてしまうようなわかりにくいものもある。
基本的にフラグを建てる行為が不可能なため、チートを使っても突破できないパターンが多い。
割れ利用者はこれをバグと思い制作会社や某掲示板、SNSなどに報告し「それ割れ対策ですよ」と言われる事もよくあるようだ。
特に最近はSNSの普及により自ら割れ行為を晒しあげて自爆するケースが見られ、こうなると一般人でも非難に晒され、有名人であれば大炎上に発展するなど、社会的瀕死に追いやられることとなる。

ものによっては最初は大丈夫だが中~終盤辺りに進行不可能な状態に追い込みそれまで使った時間を無駄にするというダメージを与えてくるものもある。
これはそれ以外にも続きが気になった場合は正規品の購入を促す作用だけでなく、コピー品を販売する業者に対し動作チェックに手間をかけさせてコストを上げさせる効果がある。

まれに不正にゲームを動かした場合のみ見られるイベントやメッセージも存在する。
そこには製作者の遊び心やセンスが光るものから、不正コピーに対する怒りが籠ったものが見える。

余談だが、事実上の進行不可レベルにまで難易度を上昇させるタイプの割れ対策が施されたゲームの場合、あえてプロテクトを発動させて鬼畜難易度を楽しむという変態猛者が現れる事がある。

ゲームの電池切れを引き起こす

主にアーケードゲームで見られたプロテクト。
バッテリーバックアップで専用ステータス(暗号化されたゲームデータを復元するための復号鍵など)を管理している場合、基盤を解析しようとすると強制的に内部電源を寸断して専用ステータスを消去、筐体の交換や修理の罰を与えるプロテクトになっている。
当然ながらコピーを強行してもコピー基盤には専用ステータスをうつせないため、ゲームは起動しない。
カプコンのCPS-2及びCPS-3基板に採用された、通称「スーサイド(自殺)・バッテリー」がよく知られており、これはしばしば誤って正規ユーザーに牙を剥き、ゲームセンター側に多大な負担を強いることもあったという。
現在ではメーカー修理が不能なため、復号キーをRAMではなくROMで所持するバッテリーレスキットがその手のショップで販売されている。


鍵の役割を果たすハードウェアとセットにする

ソフトを特殊なハードとセットで販売し、ソフト起動時ないし作動中にそのハードが装着されているかどうかを確認することで正規ユーザーを感知するというプロテクト。
早い話がソフトにセキュリティ用の「」が付いているのである。
割れ対策をソフトのみに頼るものと異なり「鍵」の分だけ製造コストがかさむため、それに似合った高価な業務用システムに向いた方法であり、ゲームにおいてもアーケードゲームで主に採用されている。
専用筐体や特殊な固有コントローラーといった「鍵」役におあつらえ向きな装備を持つアーケードゲーム(『ハウスオブザデッド』や『タイムクライシス』等のシューティングゲームなど)は、たいていドライバとコントローラーが1対1対応の専用になっているため、エミュレーターではコントローラーの再現が困難となる。
横長画面をウリにした『ダライアスバースト アナザークロニクル』ではディスプレイの型番が「鍵」となっている。


シリアルコードを入力させ、サーバーで照合する

主にインターネットが浸透した直後の中期PCソフトに見られる。正規品のパッケージに紙に書かれたシリアルコードが付属しており、入力したシリアルコードはインターネット回線を通じて認証サーバーで照合され、有効なコードであればインストールを続行できるが、シリアルコードを入力できないとインストールの続行は不可能となる。ダウンロード販売版でもシリアルコード認証を採用しているものがあり、こちらはメールで送られてくるものを保管・入力することになる。
パソコンのシステムエラーでOSを再インストールしたり、故障やアップグレードなどでパソコンそのものを買い替えたり、インストールに失敗したりといったことを想定し、何回かは再利用が可能ではあるものの、ある一定回以上使用されたシリアルコードは無効となり、インストール続行が出来なくなる*3。こういった場合、ユーザーサポート窓口に電話やメールなどで問い合わせをすることで再利用が可能となる。
この手の認証方式を採用したソフトは中古ショップが買い取ってくれない事例もあるため、正規で買ったユーザーにもやや不便を強いることになる。
こうした事態を想定して、シリアルコードだけ別途購入できるようになっている場合もあり、この場合はついでに中古からも利益を得られる。
ちなみにダウンロードカードやギフトカード等も万引き対策で似た仕様を採用している(簡単に言えば、レジを通すまでは該当の入力番号が使用できない)。


説明書やパッケージに書かれている情報を入力させる

付属品をキーとする方式で、「マニュアルプロテクト」と呼ばれる、かなり古くからある手法。
前述のシリアルコードに似ているが、こちらは全ての製品に同じ情報が書かれている点が異なる。
作中の謎解きという形で入力を促したり、直接入力させるのではなくその情報が無いと先に進むための謎が解けない…といった派生パターンも。
古い時代ならともかく現代なら付属物ごとコピーして配るという方法で突破されるが、それでもそこまで強固であることを望まずライトな割れを防ぐのが目的であるならば一定の効果は上げられる。

海賊版使用者のハード・データに損害を与える

海賊版を感知するとパソコンやゲーム機のデータを消去する、あるいはドライブ等に高負荷を与えるような命令を乱発しハードウェアに故障を生じさせる過激なプロテクト。
PS1・2のゲームではメモリーカードを初期化し、他のゲームのデータもろとも消去するという罰を与えるゲームも存在する。
これは割れ行為をやっている者は他のゲームでもやっている可能性が高いため、他のコピーしたゲームに使った時間を無駄にしダメージを与える意味がある。
そもそも割れ利用は犯罪であり、このような報いを受けて当然と考える人物も結構多い。

一方で、接触不良などで正規品でも偶然起きてしまった場合や、EAが採用していたSecuROM*4*5のようなシステムの欠陥とメーカーのやらかしが起こった場合、正規購入者にも甚大な被害が及んでしまうという欠点も存在する。万が一、このような事態が起こってしまうと、場合によっては賠償問題などにも発展しかねない。
またスーサイド・バッテリーのような一種の自己破壊装置とは異なり、こちらは自力救済*6を禁じる近代法の理念に反するのではないかという批判もあり、2011年には刑法改正でついにコンピュータウイルス扱いされて罰則付きの犯罪となった*7ため国内では用いられなくなった。

なお、ゲームソフト以外にも国産PCソフトに有名な事例が複数あり、往年のPC用シンセサイザー音源『WinGroove』にて、不正なシリアルコードを入力されるとハードディスクのFAT*8を破壊する同様のトラップが搭載され、同じく不正利用者を狙ってトロイの木馬を仕込んでいた往年の音声除去ソフト『Vocal Cancel』*9共々国内で大問題となったことがある。

割れ対策を施した主なゲーム一覧


ゲームが正しく進行しない編(20世紀)

コンピュータゲームの歴史はコピーとの戦いの歴史だったと言っても過言ではない。
制作体制が小規模だったためか、この頃のコピープロテクトはユーモアのある物が多い。

トランシルバニア:1982 AppleⅡ

初期PC用の海外製ホラーアドベンチャーゲーム。ゲーム自体はプレイできるが、プロテクトが発動すると進行上行かなければいけない場所へ行けなくなってしまい、そこで行き詰まってクリア不可能となる。表面上はプロテクトが発動しても問題なくゲームはプレイできるため、プロテクトと気付かずに右往左往するコピープレーヤーが見かけられたという。
余談として、AppleⅡのディスクドライブはソフト上で読み書きのスピードがコントロールできるため、それを利用したハードウェアプロテクトが施されることが多かった。

ザ・キャッスル:1985 PC88

アスキー製のパズルアクションゲーム。とらわれた姫を助け出すゲームなのだが、普通にゲームがプレイできると思ったら突然敵が姫をさらってトンズラするグラフィックとともに「COPY PROTECT」と表示されてゲームが進行不可能になる。
また、近年になって別種のプロテクトとして異常な難易度のステージへ飛ばされ、なんとかクリアしても幽閉され死ぬこと以外何もできなくなる「COPYしたらAKANDE」とブロックが配置された面へ飛ばされるバージョンも報告されている。

大戦略シリーズ:1985~

最初はなんともないのだが、しばらくすると敵国が核ミサイルを量産、世界はまさに核の炎に包まれることになる。
ソフトによっては「マウスマーク7」なるミサイル搭載のスーパー戦車が出てくることも*10。当然というかマーク2~6は無いようだ。

だが当時のユーザーもさるもので、コピー後にデータを改造し、自軍でも核ミサイルやマウスマーク7を量産できるようにした世紀末バージョンを作成、それはそれで楽しんでいたそうな。
そればかりかあの状況で何ターン生き残れるかという縛りプレイに興じるなど、熱い遊びもあったらしい。

クリスタルプリズン:1986 PC98他

PC-88などで発売されたアドベンチャーゲーム。
裏庭に入るとシャベルを持った男に問答無用で殺されてしまいどうやっても進めなくなる。
プロテクトだと知らずに、雑誌「マイコンBASICマガジン」内の攻略質問コーナー「チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム」へ投稿した人がおり、「そんなキャラは出てこないはず」と突き返される珍事があった。

イシターの復活:1988 PC88他

『ドルアーガの塔』の続編。PC版ではコピーしたディスクで遊ぼうとすると、『ドルアーガの塔』のネームエントリー音が流れ始めてヘラヘラとした笑顔にデフォルメされた主人公・カイの顔が現れ、目が青と赤に点滅するという物理的に*11インパクトあふれる画像が表示される。「ぼげら~。」

ドラゴンスレイヤー英雄伝説:1989 PC88他

第1章で主人公であるセリオスが牢屋に投獄され、仲間であるリュナンが助けに来るシーンがあるのだが、
違法コピーの場合はそのまま永久に助けに来ず、進行不可能になる。
つまり牢屋から出られないという事で、ある意味皮肉に見えなくもない。

続編の2では、竜の祭りが永遠に始まらないため進行不可能になるという、似たようなトラップが存在する。
また4章まで進んでも敵から得られる経験値とお金がどんどん減っていって詰むというトラップも存在した。
(が、やりこみレギュレーションの一種としてわざと半端なファイラーでコピーしてこの状態でクリアするプレイヤーも存在した)

エメラルドドラゴン:1989 PC88他

「相談」というシステムを使い、仲間からいろいろ意見を聞きながら進めていくPC用RPG。
しかしコピープロテクトに引っかかるとゲーム中盤で「コピーしたな」や「コピーする主人公なんて大嫌い!」というセリフしか言われなくなり、ゲームの進行が不可能になる。

ソフトでハードな物語2:1989 PC-9801/X68000

ゲーム業界を舞台としたアドベンチャーゲーム。
終盤に自分の会社のゲームをコピーした人物からクレームの電話で「お前の所のゲーム動かねえぞ、金返せ」と苦情が来て、これに対して主人公が「てめえは犯罪者なんだよ!コピーした時にな!警察に電話して逆探知してやるからな!」と怒鳴り返す。
ただしこの展開になると主人公の会社が理不尽にも評判が地の底に落ちて倒産しゲームオーバーとなってしまう。
こちらの方がかなり先だが「現実のコピーユーザーがゲーム内のコピーユーザーに屈する」という内容であり、下記のGame Dev Tycoonの先駆けと言える。もっとも、エンディングのフラグ管理があまりにもシビアすぎて、何がプロテクトでどこが正常なのかもわからない状態ではあったが。*12

Lords of the Rising Sun:1989 Amiga

源平合戦を題材にした海外製の歴史シミュレーションゲーム。コピープロテクトが作動すると、ゲーム中のイベントミニゲーム「Ninja Attack」*13が唐突に始まる。「源平合戦で忍者?」とは言わないお約束。このミニゲームが延々と続き、ゲーム本編はプレイできない。

ラグーン:1990 X68000

X68000用のアクションゲーム。
コピーに失敗すると「どうやらコピーに失敗したようですよ。未熟者ですねェ。まぁ、いいでしょう。ラグーンの評価版として、最初のボスまで見せてあげましょう。いよっ!太っ腹!…という訳で、続きがやりたかったら本物を買ってね。-ラグーン スタッフ一同-」と不正プレイヤーを虚仮にするメッセージが表示され、メッセージ通り体験版の様な範囲までしかプレイできなくなる。

バブルボブル:1990 X68000

X68000版で発生。プロテクトがかかったディスクで起動するとロード画面とともに「東京音頭」…のようでいて不協和音が響く曲が延々と再生される。こちらは正規ディスクをデータ側のドライブに入れて起動しても再現される。一説にはこのプロテクトを破ってもゲーム中に主人公が数秒ごとに死ぬという別プロテクトがあると言われているが、真相は不明。

ギミック!:1992 FC

サンソフトから発売されたプレイヤーの心理を読んだ仕掛けが登場する、横スクロールアドベンチャーゲーム。
ステージ7に登場する城に張り付いている虫が実はコピー版かどうかの判定を行っており、正常に描写できなければプロテクトが発動して真っ暗な画面で「BLACK HOLE」だけ真ん中に表示されゲームが進行不可能になる。
「BLACK HOLE」とは、同じサンソフトのゲームである『アトランチスの謎』において、入ってしまったら残機が無くなるまで落下死し続けるしかなくなる42面のトラップ部屋をセルフパロディしているとか。

らんま1/2 飛龍伝説:1992 PC-98

女らんまのヌードCG が出てフリーズ。「残念だったネ..」
ゲームは出来ないが、通常プレイでは絶対に見られないヌードが見られるので一説にはご褒美だとかなんとか。

龍の花園:1992 MSX2

4名のプロ漫画家が原画として参加している美少女アドベンチャーゲーム。
コピーしたディスクでゲームを起動すると「こうして MSXのひがきえていく... 」というメッセージが表示される。非常にストレートにえぐってくるプロテクト。

ザバッシュ2:1993 PC-98

船を入手するシーンで船がまるで子供が書いたラクガキのようなアヒルの形を模した船になる一枚絵が表示される。
ゲーム画面とは思えない程インパクトのある絵なので興味を持った人は検索してみてみると良いだろう。
その後、部下である仲間達から「今度からボスの事はコピーと呼ばせて貰うぜ」と宣言された後に多数のメタ発言を挟んでゲームが進行不可能になる。
ちなみに、その中には「もし正規品(マスターディスク)でこの画面にきてしまったら会社に連絡してくれ!」という趣旨のメッセージも入っており、誤動作などに見舞われたプレイヤーへの気遣いも忘れていない。

カービィボウルMOTHER2 ギーグの逆襲:1994 SFC

どちらも故・岩田聡氏がプログラムを手掛け、それぞれ半年で完成させたといわれる名作。
スーファミ独特の事情はコピーガード(SFC)にもあるが、
短期間で仕上げた割になかなかに手のこんだプログラムが満載されている。

カービィボウルはコピーガードに引っかかっていると、敵を倒しても体力が回復せず、挙げ句ホールインワンでも1UPせず、コンティニューやセーブすらできなくなっている。
8コース15打未満でいけばなんとかワールドクリアはできるが、そこで必ずクラッシュとなり、やっぱりセーブは残らない。

MOTHER2は海賊版ロムだとシンボルエンカウントの敵がとんでもない量まで増える(通常その場所には出てこないような場所、敵も含めて)。
これを遮二無二切り抜けてラスボスまでたどり着くと、戦闘中にクラッシュし、再起動するとすでにセーブデータは全消しされている…という抜け目なさを見せつけている。
ちなみに不正チェックは全部で5箇所見つかっているが、そのうち1つはコレ自体の効果が不明なんだとか。
ともあれ、「動作チェックに手間をかけさせてコストを上げさせる」という方面の模範解答といえる事例だ。

パーフェクトダーク64: 2000 N64

名作の割に、この手の話題ではあまり上がることのなかったソフト。
しかし発売から20年以上経って、ROM解析が行われたことにより常軌を逸した量のコピーガード/改造対策が行われていることが判明。

雑にコピーしたらそもそも起動しないのは当然、(公認ゲーム内機能の方の)チートで楽しようとすればクラッシュ、敵に音聞かれてもクラッシュ*14、ポーズ解除してもクラッシュ…などなど。
一見正常動作していても、ドアは開かないわ、アイテム拾ったら敵が壁無視するわ、見られたら坂通れなくなるわ、ステージ読み込んでもガラス割っても…といった具合に事あるごとに不正チェックが走る。
未だに「なんかしてるけど、どういう効果かはわからん」というものも。それらの中には「初期化ルーチンを毎フレーム改竄チェック」なんてものもあり、そこまでコストを掛けて効果不明なのが逆に不気味すぎる。
かと思えば、爆発がやたら大きくなるとか、グレ投げたらプレイヤーを巻き込んで爆発し続けるとかの笑える系嫌がらせも完備。

しかもこれら全部、発動条件はもちろん「どこの改変をチェックしてるか」も逐一異なっているので対策が非常に困難。
上述した「動作チェックに手間をかけさせてコストを上げさせる」をMOTHER2以上に徹底していた120点の逸品。

ゲームが正しく進行しない編(21世紀)

インターネットとマジコン、PCゲームの普及により、子供でも簡単にコピーされたゲームを入手できるようになった時代。
ゲーム会社も社会に広く認知されアングラな事はしにくくなったのか過激な演出は鳴りを潜めており、ネタ成分は薄めになっている。

ArmAシリーズ:2001~2013 Win

ゲームが始まったその時から画面全体にぼかしがかかったように見えづらくなったり、武器類の使用が不確かになったり、
乗り物は動いたり止まったりと不安定な状態になり、さらにゲームを進めると突然プレイヤーが鳥に変身し、「良い鳥はこのゲームから飛び立たないが、貴方は自責の念から飛び立ってしまった」という旨のメッセージが表示されゲームが進行不可能になる。

ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁(DS版):2008 NDS

DS版リメイク時にコピー対策として大いに話題になったコピーガード。
内容は最初に主人公が乗っている船が永久に港に付かないというもの。
進行フラグである船長との会話はできるが、その際に「会話をした」というフラグを建てない処理が施されている。
某掲示板では阿鼻叫喚となり、 「スクエニは割れ厨を客として見てない」 など頓珍漢な迷言まで生まれた。

その末に、発売数時間後にフラグを建てる為のパッチが配布されたとか・・・。

ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人:2009 NDS

ゲームのムービー中に画面がフリーズし進行しないようにプロテクトが為されていた。

なお、ラスボス戦前にゲームデザイナー・堀井雄二が「まじこんを つかうなんて とんでもない!」と注意勧告してゲームがリセットされる…という画像は虚構新聞が作った偽画像である。

Crysis Warhead:2008 PC

FPSゲームだが、コピープロテクトに引っかかると発射される弾が全て殺傷力0のニワトリになってしまう。
当然、敵を倒せないため詰み。

Grand Theft Auto IV:2009(PC版のみ)

ご存知GTA4、不正コピーを感知すると悪酔いしたがごとく画面が常に揺れ続けてプレイするどころではなくなる。
この他、乗った車の耐久力が炎上寸前まで下がる上に強制的にアクセル全開になる、一部ミッションでフラグが立たず進行不能になる*15などの対策も施されている。

ただ、このプロテクトがチップセットとの相性で誤作動してしまい、正規品を買ったのに発動してしまう被害者が続出した。
そもそもこれを抜きにしてもマルチプレイサーバーに評判激悪のGames for Windows Liveを使ってたり、GTAIII~SAまでMODに対しかなり寛容だったのにIVでいきなり厳しくしたりと、
当時のゲーマーに対しPC版のみ評判がすごぶる悪い。そもそも当時はまだデュアルコアCPUが主流だったがクアッドでないとまともに動かないなど、
このコピープロテクト誤作動以外でも評判を落としまくっていた(海外版をインストールしてもアップデートで日本語字幕対応になる等、そこそこ良評価のポイントもあったのだが)。
今はゲーム向け環境が最低クアッドになったのに加え、Steam版なら誤作動しないので安全にプレイ可能。

ちなみに旧作のGrand Theft Auto:Vice Cityにも対策が施されている(3とSAには今のところ確認されていない)。
こちらはミッション終了後に永久に雨が降る、セーブすると街から一般人と車が消える、一部の銃が殺傷力0になる、などなど。
しかしながら、こちらはPC版リリース直前にプロテクトが破られてしまった。

バットマン アーカム・アサイラム:2009 PS3/360/Win

おなじみバットマンを、『ものすごくバットマンらしく』操作することができる革新的なゲームで、特に海外での評価が非常に高い。
コピーROMでプレイするとマントを装備しているのに空が飛べない、バットモービルのタイヤが外れるなど一般人と何ら変わらないただのおじさんに。
この現象をバグと思いフォーラムに相談した割れユーザーは「バグってるのは貴方の道徳面です」と辛辣なパンチを食らったそうだ。

ゼルダの伝説 大地の汽笛:2009 NDS

「汽車を操縦する」という要素がある本作だが、割れ対策に引っかかると汽車の操作が一切できなくなる。
というのも、本来表示されるはずの操作盤やメニューボタン等が軒並み画面から消えてしまうからである。

本作では、ゲーム開始直後に汽車の操縦を学ぶチュートリアルが始まるのだが…
操作不能な状態だと「汽笛を鳴らして線路上の動物を追い払う」ができず、動物と衝突した汽車はその場で緊急停止させられ、永久に立ち往生する羽目になる。

ポケットモンスター ブラック・ホワイト:2010 NDS

全てのポケモンから経験値を得る事が不可能になる。
経験値がもらえないという事は当然レベルが上げられず、後半の敵に勝てるわけもなく実質的な進行不可能に。

「これを突破すると今度は新たなプロテクトが発動しポケモンショック回のピカチュウの放電シーンを更に攻撃的に編集したものがエンドレスに再生され、オープニングより先に進めないどころかリアルに肉体的にダメージを受け病院送りになる」というのは虚構新聞のネタ。またお前か。

ちなみに、「ポケモンを倒しても経験値を得られない」というのは通常プレイでも一度だけ見ることができる。具体的には、Nの城で現れるレシラム/ゼクロムは捕獲するまでイベントが進まないが、ここで倒した場合経験値を得る場面がカットされ、レシ/ゼクは「捕まえてみろ!」とプレイヤーを見つめてくる。

シリアス・サム3:BFE:2011 PC

最序盤の段階からすべての敵が尋常じゃないくらいにスピードアップし、獰猛にプレイヤーに襲い掛かってくる。

デビルサバイバー2:2011 NDS

最初の大ボスであるドゥベ戦で、指定されたマスへプレイヤーキャラクター全員を向かわせる事でキャラクターの一人がドゥベに向かいトラックで突っ込む事で弱体化させ倒せるようになるというシーンがあるのだが
コピープロテクトに引っかかるとドゥベへトラックが突っ込むシーンが永遠に来なくなり進行不可能になる。
某掲示板では発売から1週間くらいは「どうやったらドゥベを倒せますか?」→「とりあえず指示されたマスへ移動して」→「移動しましたが何も起きません」→「割れ乙」の流れが結構あった。

Newラブプラス:2014 3DS

恋愛シミュレーションゲームであるが、コピーROMで起動するとキャラクターの好感度が一切上がらなくなる。
当然、デートイベント等も一切発生しないため、自分に全く興味がない女キャラに対してただ話しかけるだけのゲームになる。

一時期出回った「男に寝取られるBADENDがある」というのは虚構新聞が作った偽画像である。だからまたですか社主。

Angel Beats! -1st beat-:2015 Win

keyから発売されたPCゲーム。割れでインストールしたデータは2日目までは正常に進むものの、3日目が何度もループするため先に進めなくなる。
これをバグと勘違いした割れ利用者が多発し、公式ツイッターアカウントが「正規ROMならしっかりと進むはずよ」と発信し、大きな話題を呼んだ。
この対策によって割れでプレイしていることが発覚したユーザー、すなわちTwitter等でバグってる、進めないと報告してしまった者が叩かれてアカウントを閉鎖するなどの事態も発生した。
中には生放送で実況プレイをしている際にループが発生(割れが発覚)して炎上した例もある。

Summer Pockets:2018 Win

Angel Beats!同様keyから発売されたPCゲーム。こちらも3日目から先に進めなくなるというもの。内容としてはキャラクターの一人に卓球勝負を持ち掛けられ、不正データだと断ることが出来ず永久に卓球のミニゲームをすることになる。
Angel Beats!ほどではないが公式が同様な告知をしたために大きな話題となった。

SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE:2019 PS4版

ゲームも後半に入ろうかという頃に「宮の破戒僧の幻影」と戦う際、何回忍殺(トドメ攻撃)を決めても辺りに霧が立ち込め、破戒僧が復活する。攻略上必ず倒さなくてはならない敵なので詰みとなる。
割れ対策だけでなく不正な外部機器対策でもあるが(というかおそらくはそういうアンチチートが本命)、不正ではない方法で録画・配信していても発生することが稀にあったようだ。
アップデート後はそういった報告を聞かないため、修正されたものと思われる。

説明書やパッケージに書かれている情報を入力させる編

覇邪の封印:1986 PC-88他

工画堂スタジオの初期作。オーソドックスなRPGなのだが、このゲームでは主人公の視界が極めて狭い上に、ゲーム内で全体マップ・現在地点を確認することができない。
その上うっかり海に落っこちてしまうとあらぬところへ流されゲーム続行困難になってしまう。
ではどうするのかというと、ソフトに布製のマップとフィギュアが付属し、これを実際に動かしつつゲームを進めるのである。
発想自体は面白いが、正規ユーザーにとっても非常に難易度が高く、ドラクエの生みの親である堀井雄二にも名指しで批判されたほど(根拠・理由は言わずもがなだろう)。
もっとも一定のファンは獲得したようで、様々な家庭用PC、ファミコンなどに(ご丁寧にも毎回マップ&フィギュアつきで)移植されている。
ProjectEGGでも復刻配信されており、マップをスキャンしたPDFが付属する。

原宿アフターダーク:1989 MSX他

同じく工画堂スタジオの初期作である推理アドベンチャー。
捜査中に浮上してくる人物から電話で聞き込みを行う必要があるのだが、連絡に必要な電話番号はゲーム中に一切出て来ず、製品付属のシステム手帳式マニュアルにのみ記載というちょっとひねったマニュアルプロテクトが採用されている。
このシステム手帳式マニュアルは再発行もしないと公式から明言されていたため、製品の購入が必須。
ProjectEGGでも復刻配信されている。こちらはPDF類は付属しないので詰みかと思いきや付属のReadmeファイルにしれっと記載されているので安心。

METAL GEAR SOLID:1998 PS

コピープロテクトとは少し違うが、フラグ立てに必須となる「ある無線周波数」をパッケージの裏に書く事でコピーROM使用者は進行できないようになっていた。
マニュアルプロテクトの一種で、まだネットが普及していなかった当時にこのような割れ対策はかなり有効だったようだ。
ただし、後年パッケージレスのダウンロード版が販売された際に困惑した初見プレイヤーも少なくなかったとか。
メタルギアシリーズは他にも説明書に書いてある解読表を元に暗号を解かねば進めないといったマニュアルプロテクトが用意された作品もあり、ある種の定番要素であるメタネタの一環だった。

Wizardry#4 ワードナの逆襲

10階層からなる迷宮を最下層から登っていき地上を目指すゲームなのだが、この次の階層に移動するさい、パスワードを聞かれることがある。
そのパスワードはどこにあるか、というと、マニュアルに書いてあるのだ。しかもたくさん。
プレイヤーは、PCからの質問をマニュアルと照らし合わせて、見つけたパスワードを入力して先に進むというリアル謎解きをするハメになる。

二ノ国:2010 NDS

DSで発売されたRPG。ゲームに付属している大きい本「マジックマスター」に書いてある紋様「ルーン」をDSに書き込む事でゲーム内で魔法を使役できる…というギミックが搭載されている。
また、ゲーム内の独自文字「アストラム文字」の解読表、見えない通路、ダンジョンの固定トラップ、順番を間違えるとスタートに戻される迷路、モンスターやボスの弱点、レアアイテムの合成、背景設定、その他隠し要素も同書に書かれている。
当然、この本が無ければ魔法を使役する事が不可能になるため*16、むしろ外部品を利用したマニュアルプロテクトがゲームの中核ですらある。
本の内容をスキャンした物も一時期出回ってはいた物の、本体が300ページにも及ぶ重厚さ故、現在でもきちんと現物を用意しないと完全なクリアは不可能である。
たまに、「本をなくしてしまったのでルーンを教えて欲しい」と言ってくる人がいるが、その人には「3500円と購入証明書をレベルファイブに送れば本を送ってくれるよ」と教えてあげよう。


すごい対策・それはどうなんだ対策編

ABYSSⅡ 帝王の涙:1985 FM-7

製造上で通常の仕様とは異なるディスクフォーマットを採用して、PC上から普通には見えない位置に必須データを仕込んでいる。よってPCから普通にファイルコピーしようとしても絶対に必要なデータが欠落するという、ディスクパーティションのからくりを使ったプロテクトがかけられている。
コピーしたディスクで起動しても、ゲームオーバー画面である頭蓋骨が転がっているCGが表示されるだけ。

怨霊戦記:1988 PC88

ホラーゲームなのだが、正規品にはお札が付属しお札が手元に無いままプレイすると呪われると謳っていた。
「新手の霊感商法じゃねぇか」とか「本作は後にプロジェクトEGGでも配信されており、お札無しでプレイすることになるのだがそれはいいのか?」などツッコミ所がある。

サイオブレード:1988 PC88

T&EソフトのSFアドベンチャーゲーム。ゲームを進行していくと「このメロディはどのメロディか」といった質問が出てくる。
これはゲームに付属してくる「メロディモジュール」という機器を使用し、ボタンを押すごとに流れるメロディと一致するものを選べばいいのだが、コピーディスクしかなければ当然聴こえず行き詰まることとなる。
作中でもメロディモジュールはストーリーの核のひとつとなっていて、世界観とプロテクトをうまくリンクさせた好例だった。
ProjectEGGで復刻配信された際には、ゲーム内にメロディモジュールを再現した機能が内蔵されている。

ジーザスⅡ:1991 PC88/PC98/X68000

エニックスの名作アドベンチャーゲーム「ジーザス」の続編。ストーリー内で「●色のディスクを入れろ」と要求される。
これは実際の製品ディスクに貼付されているラベルの色がそのまま対応しているため、製品版がなければ「なんのこっちゃ」と行き詰まる。もっとも、その色と対応するディスクの情報が広まれば意味を成さないわけだが、当時はインターネットなどの情報網があまり発達していなかったため可能だった芸当ともいえる*17

ビーストブリーダーズ:1996 PC-9801

PC-9801用の美少女戦略シミュレーションゲーム。ゲーム自体はプレイできるのだが、正規シナリオではなく敵キャラが主人公、主人公が敵の番外編シナリオが始まる。マップひとつのみで終わってしまうが、なかなか力の入ったおまけ要素であった。その気力をデバッグのほうにもまわしてくれれば……

ぞくぞくヒーローズ:2000 GBC

前述の「二ノ国」と同様の外部品によるマニュアルプロテクトの携帯型ゲーム機での先行事例。
単独項目があるので詳しくはそちらを参照だが、ざっくり言うと、ヒーロー物の変身要素をゲームボーイカラー本体と外部機器を赤外線通信で連動させることで、体感ゲーに近い形で取り入れてしまった作品。
ゲームボーイカラー実機(重要)と外部機器の両方が揃わないとプレイ出来ないという多重のハードウェアプロテクトを仕込んだ特異性から、続編もリメイクも20年にわたって実現していない。


歩いてわかる 生活リズムDS:2008 NDS

前述の「二ノ国」や「ぞくぞくヒーローズ」のように外部機器による連動を前提に作られたソフト。
生活リズム計(と称した歩数計)から赤外線通信によって授受したデータを記録・分析するの実用系の作品。なので連動出来ないことにはまるで使い道が無い。
その赤外線通信を行うためのセンサーの片方は言わずもがな生活リズム計にあるが、もう一方はDSカードに仕込まれているため、DSカードそのものがハードウェアプロテクトになっている。

Michael Jackson:The Experience:2010 Wii

ゲーム内の音が2010年のFIFAワールドカップで名を馳せた楽器・ブブゼラのものに変わってしまう。
同ゲームはマイケル・ジャクソンの楽曲を使ったダンスアクションなのだが、全部の音がブブゼラに変わってしまうので、なかなかにミスマッチ。

Game Dev Tycoon:2012 Win(日本語名:「ゲームデベロッパータイクーン」)

海賊版対策として、おそらく最も独創的な行動を行ったPCゲーム。
ゲーム開発シミュレーションのゲームで、発売日には既にROMがTorrentに流されていた。
しかし、これを流したのは実は発売会社そのもので、どれくらいのユーザーが割れ行為によりプレイしているかを確認するための罠だった。
当然、流されていたのは偽バージョンで、ゲーム会社として軌道にのり始めたあたりから海賊版行為によってゲームの売り上げが減少していき、そのまま倒産が確定してしまうという内容になっている凄い皮肉。
なお、この試験の結果当時のプレイヤーの9割が割れという恐るべきデータが発覚した。

(種明かし前の)コミュニティサイトでは割れユーザーがどうやっても勝てないゲーム内の海賊版にキレるという笑えるような笑えないような状況になっていたとか。

この時点で相当キレッキレだが、更にその数年後Ultra Hardモード」として上記の海賊版の仕様を正式版に追加という斜め上のアップデートを行っている。
こちらはプレイ(と運)次第で攻略できるように調整されてはいるものの、ゲーム内で割れ対策を行うと現実の割れユーザーを参考にした反応*18が返ってくるなど、別ベクトルでも徹底的に割れユーザーを皮肉った内容となっている。・・・・すごい会社だ。

三國志12:2012 Win

オンライン認証をしなければ起動しない…という対策内容自体はシンプルなもの。
しかし1万円以上するパッケージゲームかつ基本オフラインゲームなのに毎日(プレイ中でも)認証が必要、もちろん認証サーバーが落ちたらプレイできなくなるというとんでもない仕様でむしろ正規ユーザーに大きな負担がかかるハメに。
結果、褒められたものではなかったゲーム内容や本体紐付けで中古で売れない事とも含めて大不評の嵐になってしまった。
一応今ならこれが必要ないCS版やsteam版があるので、どうしてもこのゲームがやりたいのならそちらを買った方がずっと快適である。
ちなみに2005年発売の「真・三國無双3Hyper」でも同様の常時認証だった。ただPS2で既に無双4が発売されていたという謎のタイミングに加え、後発のPC版にも関わらず猛将伝無しという誰得っぷりを発揮していたため、そもそも注目すらされてなかったっぽい。
その後の無双6やOROCHIのPC版では、アップデートパッチをDLするのにメールアドレスとCDキーを紐づけしなければいけない程度に緩和。
信長の野望 創造PKと無双7以降は認証システムをSteamのものに変更し、これを機に国産PCゲームの老舗は晴れてようやく現代の最大手市場に本格参戦を果たすのであった。

新妻LOVELY×CATION:2017 Win

当時の社長が割れ対策に苦心しており、「発売直前*19にゲームエンジンを丸ごと差し変える」という謎行為をしでかす。
…改めて言う事でもないだろうが、そんな急展開のせいで出来た代物は当然のようにバグだらけ。
特にオンライン認証周りのバグのせいで、あろうことか正規購入者がプレイできずオンライン認証回避パッチを作っていた割れ厨の方が快適にプレイできるという逆転現象すら起きる始末。
なんとか認証を抜けても動作が激重、画質の劣化、頻発する強制終了などなどまともにプレイできる状況ではなかった。

エロゲーの体験版は、内容確認以上に動作確認という面があるため、「体験版をプレイして準備万端で待っていたらこの有様」「エロゲーじゃ体験版詐欺なんてよくあることだが、まさか動作確認すら出来ない物が来るとは…」などと嘆かれる羽目に。

発売日と同日にパッチを出すものの、逆にバグを追加する有様。
間の悪いことにサポートがGW休業に入る時期だったため、プレイしたい購入者がこのパッチを手に入れるために割れに手を出したとも。
GW明けのパッチでバグは大方消滅したものの、シナリオなどの問題もありKOTYeに選評が届く結果に。人気シリーズのシリーズ最終作を有終の美で飾るはずが、台無しになってしまった。
なおゲームエンジンを変えた事自体は結局割れ対策にならなかった模様。

偽物編

ひぐらしのなく頃に祭:2007 PS2

Fate/stay night』2007 PS2

不正ソフトで起動すると、コピープロテクトでメモリーカード内の全データが消去されるという凄まじい内容で話題となった作品。
特に『Fate』での「───問おう、貴方のソフトはマスターか*20という劇中での名台詞をパロったコピーガードが表示されるのは有名である。

……なのだが、後に有志によってコピーディスクでの検証がされ、一連のコピーガード画面はP2Pで流通されていた「初期化プログラムが仕込まれた偽物ソフトの方だったと発覚した。



で、どのくらい効果があるの?


実際のところ、こうした「割れ対策」にどの程度の効果があるのかは定かではない。
というのも、ほとんどの割れ対策は発覚から遅くとも数日程度で対策され、無効化されてしまうためである。
酷いのになると、セーブ不能となるプロテクトが掛けられていた『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』(2009 NDS)などは発売日時前にプロテクトが破られてしまっていた

ただし、「発売日前後の割れさえ防げれば十分」という考え方もある。
正規版より先に割れが出回るのはもちろん問題だし、最もゲームが売れる時期である発売直後に割れが出回る事がダメージが大きい。
その後はダウンロード専売品でなければ中古品も出回るし、そうでなくとも話題性が落ちればどのみち売上は低下していく。
稼ぎ頭の発売直後さえ機能してくれれば、その後プロテクトが突破されても、売上への悪影響は限定的である、という訳である。


割れ対策の黄昏


さて、ここまでお読みになってきた方はお気づきになられただろうか。
上記の「割れ対策が行われたソフト」の中に、2010年代以降のソフトがとても少ないことに。
近年、割れでゲームソフトを入手するのは明らかに割に合わない行為になってきているのだ。

理由は幾つかある。
  • 近年の家庭用ゲームハードは高度な仕様とプロテクトが掛けられ、不正なソフトを通すのが困難になった。
  • ソフトの容量が巨大化したため(特にPC版は50~100GB以上のものも!)、配布自体が比較的高負荷になった。
  • インターネットに接続して遊ぶゲームや、アップデート・コンテンツが定期的にダウンロードされるゲームが一般化。
    海賊版ソフトはオンラインプレイでは弾かれる可能性が高く、そうでなくともバグ修正や無料での要素追加がなかなか出来ない等、弊害が高まった。
  • 遊んでいるゲーム・ハード・アカウントがそれぞれ紐づけられ、海賊版ソフトを使用した事で、ハード本体がネット接続するためのアカウントがBANされる危険性が生じた。
    この場合、海賊版ではない正規のソフトもネットに接続して遊べなくなってしまう。
  • ダウンロード販売の発達と復刻販売の動きにより、古いゲームや入手困難であったゲームが入手しやすくなった。同時に売り切れで買えないという事態も無くなった。
  • 法改正が年々進み、法を犯すリスクが高くなった(逮捕される恐れが出てきた)。また、メーカーから訴訟を起こされる可能性もある。
  • SNSや配信が一般的になり、割れの使用が発覚した時の炎上の規模と拡散スピードが高まった。
    また、情報交換が盛んになり、些細な差から海賊版の利用を見破れる人物・要素が増えた。

また、PCゲームにおいても、かつてのような「割れ9割」のような状況は改善が進んでいる。
日本ではまだギリギリマイナーだが、もともとPCゲームの発展土壌が十分にある海外ではダウンロード販売が急速に市場を伸ばしている。
その中でシェアを爆発的に伸ばしたPCゲームソフト販売プラットフォーム「Steam」の台頭が、海賊版対策にも極めて大きな威力を発揮した。

Steamで購入したソフトは*21初回起動にオンライン認証が必要だが、Steamは「ソフト数が多い上にやたらと安い・超割引されたものも」「自動アップデートされる」「コミュニティが充実」「購入後のインストール数制限がなく、どのPCからでもプレイ可能」「購入2週間以内&プレイ2時間未満ならば返品可能」など、とにかくユーザーフレンドリー。
これにより「不便な上にバレたら捕まったり訴えられたりするリスクがある海賊版より、Steamでセールしている正規品のゲームを買ったほうがよっぽど安くて手っ取り早いので便利」という風潮が一般化した。
また、Steamは世界のほとんどの国からアクセスできるため、「自国で欲しいゲーム(のPC版)が売っていないため、やむなく海賊版でプレイしていた」層を大幅に減らすことにも成功した。Steamに売り出してても自国のPCユーザーを締め出してる一部を除く

かくして、ゲームソフトは今や「割る」こと自体が非合理的になりつつあり、
「割れ対策」という文化も、ひっそりとその役割を終えようとしている。
コンピュータゲーム黎明期より続いてきた、ゲーム開発者と違法コピーとの永遠とも思える戦いは、遂に開発者の勝利で幕を下ろそうとしている。*22


















――エロゲー業界を除いて。

残念ながら零細企業の製品が大半を占めるエロゲーは、今日も相変わらず割れが蔓延している。
オンラインプレイがメジャーでないPCソフトなうえ、Steamなどメジャーな配信プラットフォームがまともに使えない*23など、上記した海賊版を非合理的にする作用が全く働かない状態にある。
更に、たいてい企業としての地力がない業界なので対策に使える資金はことさら限られており、たまに張り切りすぎた会社がやった対策はほとんどの場合裏目に出て悲惨な結果を招いている(上記の新妻LOVELY×CATION等)。
上述の「発売直後の一番売れる時期だけ割られなければ良い」という考えがより浸透した一因にもなっている。
かつてはオタクコンテンツのメインストリームであったエロゲー業界の著しい衰退に、歯止めがかかる様子はない*24

とはいえ最近ではFANZAやDLSiteなどといった成人向け同人作品を扱っていたR-18対応のダウンロード販売サイトで、現在も存続しているメーカーや消滅前に販売を委託したメーカーなどを中心に新作・旧作問わずエロゲーが買えるようになっている。
発売から2~3年経って旬が過ぎた作品などは定期的に値引きやポイント還元セールが行われ、10年以上前の絶版作なら定価でも新品の半額から4分の1程度まで値引きされる(これに先述の定期的な値引きやポイント還元、さらに値引きクーポンの利用なども合わされば1000円程度で購入できることも)などしてかなり安価に買えるようになり、やはりわざわざリスキーな割れに手を出す必要性や優位性も多少は薄れてきている。

ちなみに乙女ゲーでは、QuinRoseの「クリムゾン・エンパイア」において採用したプロテクトが大問題となったこともある。
アメリカで集団訴訟となり、大手ではまず採用しないものを搭載していた結果、フリーズ・突如襲う砂嵐・バグなど大量の問題を引き起こした。
当作はシナリオの問題もあり、KOTY乙女ゲー2008の大賞となっている。
なお翌2009年には同メーカーの「乙女ゲー業界で初のオンライン認証」を搭載した「ジョーカーの国のアリス ~wonderful Wonder World~」が登場している。
しかしこちらも「認証回数がまさかの1回」「将来的な認証解除の予定なし」「再認証手続きに必要な往復葉書はユーザー購入。記入不備があれば連絡も対応もされない」「昨日まで普通に起動できていたのに、いきなり認証情報が消える」と恐るべき事態となった。
つまり個人情報を渡したくない人間は再認証不可、サポート終了後の保証は無しということになる。
こちらもシナリオの出来の酷さで他の作品としのぎを削ったが、上記の問題が止めを刺して大賞となっている。


Anti Piracy Screen

2020年代に入って「Anti Piracy Screen」と呼ばれる、コピープロテクトを模したインターネットミームが海外のネット民たちによって創作されはじめた。
画面越しの実写風の動画編集とゲームのプログラムを組み合わせて製作しており、題材にはレトロゲームの日本語版がよく使われている。
しかし有名な物でもスーパーマリオ64の警告画面で日本語がたどたどしかったり、ポケットモンスター・赤で主人公の顔がメタモンになっていたり*25、そもそも日本語版が見当たらないソフトが元ネタだったりと、カンの冴えてる人はこの時点で偽物と察したと思われる。
それはそれとして大半はホラーなので閲覧には注意
なお、これらのミームの中にはごくまれに実際にゲームに搭載されている本物も混ざっていたりする。




いずれにせよビデオゲームのコピーはれっきとした犯罪行為である。いかなる理由があっても絶対に行わないように!




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最終更新:2022年06月11日 01:32

*1 光学メディアなら中途半端な深さのピット、磁気メディアなら中途半端な磁力の領域

*2 これは割れ対策というよりも、一枚のメディアに1バイトでも多くデータを詰め込むためという側面が強い。光学メディアがあまり普及していなかった時代にはフロッピーディスク数十枚組のソフトウェアというのも珍しくなく、メディアにかかるコストとインストール時の手間を減らす必要があったためである。

*3 その回数は基本的に公開されていない。最低でも2回は可能と思われる。1回だけという例も乙女ゲーではあったのだが

*4 もともとはソニーの光ディスク製造を担っていたソニーDADC(現在のソニーミュージックエンタテインメント)が開発した技術で、SCSI/IEEE1394a接続ドライブ下でOSやHDDを破壊するバグが存在した事でも知られる。

*5 EAは「The Sims2」や「DEAD SPACE」などのソフトでこれを採用しており、ネット経由での認証により3回(その後5回)以上はインストール出来ない仕様となっていた。ところがEAのSecuROMはあろう事か極秘裏にこのSecuROMを仕込んで常時起動させる手法を取り、しかもそれがシステムリソースを司るOSのカーネル部(=パフォーマンスが割かれてUSBすら使えなくなる)に仕込まれるシロモノで、極めつけは通常での削除おろかクリーンインストールですら除去不可能と言う極めて極悪なモノだった為集団訴訟を起こされた。

*6 権利を侵された者が法的手段によらず実力で権利回復を図る行為。「自分の敷地内に勝手に車を止められたので、勝手にタイヤにロックを取り付け、車の持ち主から金銭を受け取るまで足止めを行った」あるいは「アパートで賃貸契約解除したにもかかわらず住人が部屋に住み続けたため、大家が隙を見て部屋のカギを交換し、住人を帰宅不能にした」という状況を想像されたい。復讐の項目も参照。

*7 「不正指令電磁的記録に関する罪」。「ウイルス作成罪」とも。

*8 ディスク内のファイルの位置情報やサイズ等を記録したデータベース。これが失われるとディスク内のプログラムやデータは読み込みどころか存在の確認すら不可能となる。なおこちらは誤ってテスト版を公開した事が原因であった。

*9 こちらに至っては意図的に仕込んでいたのであるが、2005年にトレンドマイクロがトロイの木馬を確認。しかもソフトイーサのVPN(PacketiX VPN)の開発に外部参加していた事から騒動に発展し、Vectorから公開停止処分を受けた。

*10 ちなみに史実のマウスは8号戦車。7号戦車はWoTでおなじみレーヴェ

*11 いわゆるポケモンショックと同じパターンとなる。不正でしか見られないとはいえ、現代では絶対に不可能だろう。

*12 グッドエンドを見るには解析が必要とまで言われる始末で、最初の選択肢で正しいものを選ばない時点でグッド脱落確定、たくさん出てくる人物へ制限時間内に正しいタイミングで話しかけないとバッド確定と、ゲーム自体が超絶難易度を誇る。

*13 ゲーム中で暗殺を仕掛けられると忍者に襲撃され、味方が来るまで投げてくる手裏剣を日本刀で弾き落とし続けなければゲームオーバー。ちなみに成功すると逆に依頼主が切腹の危機に陥る。

*14 しかも即時ではなく、別の条件も満たしたタイミング。これにより、再現性の確保が困難になり対策しにくくなる

*15 車を届けるミッションでガレージが開かなくなる等。この時車から降りると鍵が掛かって乗れなくなるおまけ付き

*16 不可能になるのはこれだけではなく、ルーンの順序を特殊な線繋ぎで指定するイーゼラー、章の扉絵のアストラム文字の解読、門を開く合言葉の解読、入力画面から紋様を描かないと戦闘で使えない魔法、レシピがマジックマスターに載っている合成品の作成etc...

*17 当時は企業もしくは個人が開設したホストコンピューターへ電話回線を介してアクセスする「パソコン通信」があったが「接続先地域ごとの電話代が必要」「企業系は入会費や分単位(例:10円/1分)の接続料金が必要」「ホストごとに独立しているため、アクセスしたからといって目的の情報が得られるとは限らない」と気軽に触れられるものではなかった

*18 ファン(?)が不満を募らせる他、暴言メールも来るが、これらの内容はなんと実際に本作の会社に送られてきた文章を使っている。

*19 体験版と製品版でも違う事から相当直前になって変わったと思われる

*20 本来の台詞は「問おう。貴方は〜」と句点なのに対し、こちらは「問おう、貴方は〜」と読点になっている。また、フォントがゲーム内の物と全く異なる為によくよく確認すれば偽物の判別は容易であった。

*21 かつては「オンラインでないと遊べない」仕様だった

*22 この点は定額制音楽配信サービスの先駆けである「Spotify」と共通している。ただし、こちらはこちらでその他に様々な課題を抱えている(一部アーティストからは得られる収入が落ちたと批判されるなど)。

*23 Steam側の変更もあるが、基本的にはエロを抜いた・外部パッチで導入させる通常版のみが扱われる

*24 衰退の原因は割れだけではないし、一番の原因であるとも確定していないが

*25 変身後も顔がメタモンのままというのはアニメ独自の設定で、ゲーム中のメタモンは顔も含めて完璧に変身できる