時間異常部門より通達
要求されたアーカイブ記録は、時間異常部門の権限によって分類されています。貴方が適切なクリアランスを所持している場合、時間異常部門収容規定に基づき厳正にファイルを管理する必要があります。当該文書は参照用の目的で2035年まで保管されます。最新のファイル (SCP-2566-JP) を閲覧する場合は、端末の指示に従って読み進めてください。関連するドキュメントを含む全てのSCP-2566-JPファイルは、レベル5: 最高機密に指定されています。関連するプロジェクトに後見的支援が必要である場合、SCP-2566-JPファイルに関する全権限が付与されます。
終了済みのプロジェクトAUTOMATOSに関する全てのデータはアーカイブに保管され、計画責任者によって管理されます。後期的なプロジェクトに関する全ての提案はSCiP.NETを通じ、関係者によって審議されます。
適切な招待コードを確認しました。情報は保管されます。
ARCHIVE 1/2
配属サイト | 計画責任者 |
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除外サイト-01, サイト-17 | アテナ・アナスタサコス管理官 |
配属部門 | 計画指導者 |
時間異常部門, 戦術作戦司令部, 時空情報コミュニティ, 履歴継続性部門, 応用科学部門 | プロスペル・ラングレー管理官, タデウス・シャンク博士 |
特別定義/RADIX: RADIXクラスのアノマリーは財団の統制体系に著しく干渉しています。RADIXクラスは標準のYESODクラスに代わり、ユダヤ教に厳密に関係しないアノマリーに定義されます。非標準RADIXプロトコルの明確な違反が発覚した場合、本件の担当である時間異常部門に報告するか、SCiP.NET標準の報告機能を通じて違反を報告してください。
特別収容プロトコル: SCP-2566-JPの更なる調査及び検証を目的として、サイト-17-施設アルファへの一切の侵入が禁止されます。戦術作戦司令部は本件に関わる現場検証や物品の回収を担当し、非常時には可能な限りの戦力を投入し対応します。サイト-17緊急参照施設において、本件に関係するあらゆる情報の共有と討議が進行中です。新規の情報が確認され次第、戦術作戦司令部のメンバーに緊急通達と評価基準の適用が行われ、現場の再評価が実施されます。現時点で確認されている以下の包括的な事象について、最終検証が進行中です。
- 遡及的に構築された歴史上の矛盾点における検証
- 承認済プロジェクトAUTOMATOSにおける証言および正確な記録の回収
- 施設アルファに存在する断片的な記録の調査
最終評価が完了した後、RAISAアーカイブチームとの協力の下に情報の確実な保存と施設アルファの運用実験が開始されます。本件について何らかの異常事態が発生しない限り、必要外の実験や検証は行われません。時空情報コミュニティは現在、時間異常を発生させた直接的な原因とその関係者について調査を行っています。プライム-タイムライン.貴方を含む基底的な世界が存在する時間軸を指します。”時間軸”とは3次元的な構造に時間の要素が付与された次元構造を指します。の各年代を広域にわたって観察し、現在の時間異常が発生した根源的な影響を追求します。必要に応じて - コミュニティは一定のパラドックス.パラドックスとは、正しそうに見える前提と妥当性ある推論から、論理的に矛盾する結論が得られる事を指す言葉です。例示として - 一般的に容認される前提から、その見解に反する不確実的な結論が得られるのなら - それはパラドックスです。しかし本報告書において、例示的な意味を込めた”因果違反”の意味としても用いられます。事象を無視し、本件に関わる重大な時間異常の無力化を行います。財団内部に敵対的な存在が介入している可能性を考慮し、時間異常部門は財団の統制体系にアクセス可能となっています。容疑者は即座に確保され、内部審判部門による判決が下されます。
説明: SCP-2566-JPは、サイト-17地下施設-アルファに存在する財団の固有兵器です。2005年に時間異常部門とサイト-17の連携によって建造され、プロジェクトAUTOMATOSの指揮下で現在まで運用が続けられています。SCP-2566-JPは時間的な異常をもたらし、特定の地点から情報を遡及的に抹消する事が可能でした.より正確には、特定の地点から情報を初期化し、全ての事象を無制限に回帰させるものです。。該当の機能は財団によって効果的に活用されており、2015年2月12日のある時点まで問題なく稼働していました。プロジェクトAUTOMATOSは2003年に開始された最高機密の作戦であり、タイムライン全域における大規模な時間異常を修正することを目的として始動しました。本兵器は解明された異常なシステムによって構成されています。システムは以下の通りです。
- SCP-2566-JP-A: ボール-スクラントン・オムニバース概念写像ユニット(Ball-Scranton Omnibus Conceptual Mapping Unit)。逆因果の事象から算出される行動履歴をマッピングし、情報が逸脱しないように統制する機能を保有します。回帰に伴う情報の初期化に貢献します。
- SCP-2566-JP-B: エヴァレット-アナスタサコス・ナラティビック生成ユニット(Everett-Anastasakos Narativik Generating Unit)。固定的な集合概念によって、財団は無制限の超常理論と物語的な構成能力を獲得します。確率論的な全ての逸脱事象に対応し、不和を恒久的に消去します。
- SCP-2566-JP-C: ブレナン-シャンク・ソーモノミコン戦術神秘ユニット(Brennan-Xyank Thaumonomicon Tactical Theology Unit)。既存の天然性を再現し、神的な敵対存在の干渉を阻害します。付与された反ミーム性によってSCP-2566-JP-Cユニット自体が恒久的に秘匿されます。
SCP-2566-JPは現在も継続的に稼働していますが、厳密には不安定化しています。2月12日のある地点を境にこれらの異常が確認されたために - 該当の事象はOVERRUNイベントとして暫定的に定義されています。SCP-2566-JPが正常に運用できなくなったため、時間異常部門と監督評議会はこれの代替となる兵器について開発を検討しています。現時点で発生しているタイムライン上の破滅的なパラドックス事象はこれを阻害しており、SCP-2566-JPの復旧と対応が急がれています。これまでにSCP-2566-JPによって確保されていた統計的なコンセンサスは著しく崩壊し、ヴェールは正常な機能を失いつつあります。想定される副次的なインシデントが発生するまでに - SCP-2566-JPは迅速に復旧されるべきです。
[新着コメント]
RCTチームへようこそ、新人。君がこの装置の概要を知って - そしてこれを何だと思った?疑似的なタイムトラベリングか、或いは無際限のチャンス?君が思うことは真実であるが、客観的に事実ではない。君の渇望は期待されるものではないし、それは決して唯一の理論ではない。確実なのは - これが誤った方法である事だ。
[…]
補遺 2566-JP.I: プロジェクトAUTOMATOS
原理的な現実改変のプロセスに関する調査は、2003年にプロスペル・ラングレー管理官が原型となる問題提起を行ったことで始まりました。ラングレー管理官は現在の時間異常部門長であり、当時は異常科学に携わる本部サイトの研究者でした。反ミーム性の存在が遡及的に情報を抹消する不明な手段についての研究を行い、その方針は徐々に時間的な矛盾への対処に直結するようになりました。2003年に提起された資料の原型は、現在のプロジェクトAUTOMATOSにおける根幹的な機械の設計およびプロセスに応用されています。
反ミーム/遡及改変/過去改変/タイムパラドックス/数学的矛盾など、様々なエイリアスで呼称される該当の現象は、財団が様々な異常を収容する上での不明な要素であり、長期にわたって未解決の要素でした。SCP-2566-JPはこの問題を疑似的に解決および応用した存在であり、同時に危険性を内包する財団の固有兵器として保守され続けてきました。記録の空白化を誘発する一連のプロセスは実証され、現在の時間異常部門における根幹的な機密情報として保守されています。SCP-2566-JPは時間異常部門とサイト-17によって開発され、プロジェクトAUTOMATOSとして後にサイト-17へと引き継がれました。
2005年5月11日、SCP-2566-JPは監督評議会および下位評議会の承認に基づいて運用可能であると宣言されました。OVERRUNイベントによる不安定化が発生するまで運用は続行され、実証試験はSCP-2566-JP自体が明確に作用していることを証明しました。
PROJECT AUTOMATOS | ||||
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アーカイブ済 PROJECT AUTOMATOS 最初期観測に伴う収容の初期提言
Prosper Langley, SITE-17 2005/05/11 SCPOVERCOMからの最終評価待ち
I. 序文
I. 序文 ”アノマリー”とは、一般的に正常でない/異変であると明確に定義されたあらゆる概念の包括的な名称です。とりわけ物質的な存在に対して用いられているケースが多く、単純な物品に対して使われる場合は - 認知バイアス的に極めて異質な外見を保有する存在に、好んで用いられてきました。それ以外にも - 広義の概念、存在、理論、言語、イデア、エントロピーなど、該当する存在は非常に多岐に - そして数多く存在します。アノマリーは財団の収容対象であり、長年にわたってその実態が研究され続けてきました。アノマリーは今や現実の一部であり、コンセンサスを構成する基準の側面となっています。如何なる可能性もアノマリーの出現に関与し、僅かな可能性からアノマリーは誕生していました。しかし、多くの人々が疑問に思う事があります - 異常の起源とは何であるのか。人が作り出したのか、無から生まれるのか、物質の複合体なのか、或いは - その全てでもあるのか? 時間や空間といった要素を解読し、それらを異常科学的に立証した理論は、無限に拡大する異常のパラドックスを側面的に解禁しました。本文書はそれらの理論を提唱し、根源的存在の収容に向けた最終提言 - プロジェクトAUTOMATOSに関する最終評価を決定するためのものです。 […]
II. 異常性の起源 例示的なアノマリーの大多数は、基底的なタイムラインに属する存在です。それ自体が逸脱しない限り - 等しく法則性が適用され、何者も因果律を脱することは不可能であるべきです。実際的には、これが確実に担保されていないのです。アノマリーは既知の因果を脱出し、逸脱した理論へと昇華しています。ならば、何がアノマリーを上昇させるのか?複数の可能性は示唆されますが、最も合理的に - 外部エントロピーの流入によるものと判断されました。エントロピーがアノマリーを昇華させるのです。外部エントロピーの実在性は不確定的です。しかし問題は - 外部エントロピーの実在が実際的なものであり、論理的には存在し得る事が確定されるのです。 時間異常部門はこれまで長期にわたり、この特異点の実在性を検証してきました。そして、検証は外部エントロピーの介在を確実視し、それ自体を”パラドックス”として再発見したのです。より厳密には因果律の違反であり、タイムラインに介在する断片的な脆弱性がエントロピーの流入を促していると考えられました。1であった脆弱性が指数関数的に増大し、今では100 - 或いはそれ以上の因果違反を引き起こしているのです。流れ込む因果が脆弱性を押し広げるように、そしてアノマリーを増大させるのです。このようなタイムラインの脆弱性が、結果的に影響を及ぼしていると結論付けられました。 この場合における”パラドックス”とは、上述されたようなタイムラインの微視的な脆弱性が集まり - より大きくなった次元の崩壊部分を指します。分かりやすく言えば - これは破損したガラス窓です。破損部分から外気が流れ込むように、パラドックスからは外部の次元が流入します。外部の法則はやがて基底の存在に干渉し、逸脱した可能性を提供します - これが考えられる多くのアノマリーとなります。この次元の流入は有限的なものですが - 巨視的であり、我々が想像もつかないほどに長い時間をかけて修復されます。問題は、無制限に外部の次元が流入した場合 - 基底のあらゆる存在が異常な法則で満たされてしまう可能性がある事です。基底の法則は崩壊し、全てのものが在るべき姿を失います。 こうなる可能性を避けるために、パラドックスは迅速に収容されるべきです。副次的には - パラドックスを収容する事で、それ以上のアノマリーの発生を防ぐことになります。アノマリーの事前収容は、人類文明を保護する上での最も効果的な手段でしょう。 […]
III. 収容の提案 タイムラインの脆弱性は、既存の方法で修復することは困難です。AUTOMATOSにおける収容提起は直接の修復でなく - 事象の鎮静化を目的としました。実証済みのコンセプトでは、反パラドクス的な事象の空白化によって該当の範囲を構造的に除去する事が目標でした。プロジェクトAUTOMATOSにおいて、このコンセプトを効果的に活用する目的で複数の異常な兵器が応用されました。結果的に開発決定したオブジェクトは、現在SCP-2566-JPに指定されています。漠然としたコンセプトでは、以下の3部からなる構造分類によってパラドックスの矛盾を修正する事が目的です。以下の規則的なイベントはSCP-2566-JPによって定期的に運用され、最終的に広義的なアノマリーの事前収容として機能します。
SCP-2566-JPは、上記の規則的なイベントを発動する際に既知の法則性を逸脱するため、指数関数的に悪性の新たな異常を形成する可能性を内包します。破滅的な悪性のエントロピーはタイムラインを崩壊させる可能性を有しますが、SCP-2566-JPの有用性はそれ以上のものであると考えられます。全ての手順は時間異常部門、及び連携したサイト-17の指揮下で進行する予定です。監督評議会による承認が確定した後、プロジェクトは正式に運用を開始されます。 […] |
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SCP-2566-JPの例示的な実行記録については、連番ファイル[SCP-2566-JP: ACTIVATION]を参照してください。 |
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SCP-2566-JP: ACTIVATION-008 | ||||
標的: プライム-タイムライン, SCP-008同個体によるパンデミック事象の可能性 ストラクチャ詳細: ロシア郊外における潜在的なパンデミックは、2004年4月11日にSCP-008の異常な活性化により発生します。外因的なエントロピーの増大と変性により、非異常な手段によって広域にわたるヴェールの露見に至ります。 |
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結果: 遡及的な事象の空白化により、プライム-タイムラインは正常に初期化されました。SCP-008事象は実際的に発生せず、より正確な形式で事象が進行しました。この事象による死傷者は発生していません。 |
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SCP-2566-JP: ACTIVATION-058 | ||||
標的: プライム-タイムライン, SCP-058の逸脱した違反 ストラクチャ詳細: 現行未定義のスロットナンバー058に新たなアノマリーが指定されます。058による逸脱は収容施設を激甚に破壊し、財団に$91,000 USD相当の損害を与えます。 |
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結果: 事象の空白化に伴い、058の逸脱および新たな事象の形成が未然に防止されました。予想された違反は発生せず、058は依然として未定義です。この事象による死傷者は発生していません。 |
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RCTチームの人員不足を理由として、プロジェクトに新たな職員が配属・再配置されました。以下の人員は倫理的に適任であるとされ、本人らの承認と同時に任命されました。
プロジェクトAUTOMATOSの主要なメンバーは以下の通りです。
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[新着コメント]
ラングレー管理官は事の始まりから - 或いは全てにおいて自己高揚的だった。前任者が彼のために席を空けた時、前任者が築き上げた秩序が崩壊するのを感じた。彼は奇妙に魅了され - そしてそれらを奇跡と考えた。彼が財団で権力を行使するには、彼は幾分か利己的であり過ぎたのだ。彼の中核は悪に乱された。必要な全てでなく、不要な情報の全てを隠し通そうとした。明らかな愚行の本質は、彼自身が証明してくれた。
アノマリーは、彼が述べるパラドクスが全てでは無い。タイムラインの単なる脆弱性が次元を流入させるなら - その根源はどこに在る、と。彼自身は当然ながら問題に直面したが、彼は事実を否定した。”君の真実は事実より価値あるものか?”と問うのなら、彼はきっと”事実に見劣りする真実は無い”と答えるだろう。先にも述べたように - 君は彼を見てはならない。君には違う道があるからだ。
[…]
補遺 2566-JP.II: OVERRUNイベント
2015年2月12日に発生したOVERRUNイベントは、明確にSCP-2566-JPの異常な活性化を以て発生しました。前述のように、OVERRUNイベントはSCP-2566-JPの不安定化と多大な異常の包括的な呼称です。OVERRUNイベントの詳細について調査する目的で、財団は標準ドレグヨニ・プロトコルを実施しました。
DRYGIONI PROTOCOL |
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凍結 DRYGIONI PROTOCOL Verification of SCP-2566-JP2015/02/13 |
I. 基本事項: SCP-2566-JPの断片的な情報を参照し、確認された情報の不確実性やOVERRUNイベントとの関与が確実なものであるかも同様に検証されます。 II. 序文: DRYGIONIプロトコルは、SCP-2566-JPの復旧作業における危険性を検証するための評価基準を示すとともに、OVERRUNイベントの根源的な崩壊の原因を追究するものです。全ての最終評価ならびに抜粋内容は現段階における技術的側面や知見に依存するものであるために、長期的な観測と収容提起によって技術的に常に最適化されるべきです。また、DRYGIONIプロトコルにおける副次的目標は - 施設アルファにて確認された複数の問題点に関する最終検証です。該当する多くの記録が不正確な矛盾を引き起こしているために、より適切な調査対象を検討するとともに、その危険性を再確認する必要があります。 |
ITEMS OF INTEREST |
SCP-2566-JP自体は、2005年の時点で明確に建造が完了した超常兵器です。時間異常部門長らを筆頭として計画が指揮され、最終的にそれらは異常存在の事前収容と正常性の維持を目的として運用を開始されました。SCP-2566-JP自体は大まかに反ミーム性の固有災害を応用した兵器であり、特定の期間内に存在した情報を、全ての地点から遡及的に破壊することが可能でした。SCP-2566-JPの性質は極めて有用でありながらも - OVERRUNイベント以降の状態は、全ての情報を完全に復元することを確実に不可能にしています。 |
問題となるOVERRUNイベントの直後、SCP-2566-JPの研究および実行に従事していた職員の一部に深刻な解離性健忘の症状が確認されました。当事者らの記憶状態には - 明確に数十秒程の空白期間が存在し、断片的または完全に記憶を喪失しています。当事者および周辺環境の状態についてはこれに留まらず、OVERRUNイベント直前の数十秒間において明確に記録が消失しています。その状態について意識的に想起することが出来ず、しかしながら喪失された情報は以降の状態に影響を及ぼし続けています。以下は、当時SCP-2566-JPの定期監査に立ち会った職員のリストです。
上記4名の職員は現時点で調査の対象となっています。 |
OVERRUNイベント自体は、SCP-2566-JPの用法を誤った事によるパラドックス事象の複雑化であると考えられています。SCP-2566-JPは直前の試行記録に異常な要素が記録されていた事を示唆しており、何らかの要因によってパラドックス事象の修復が完全に、適切に終了しなかった恐れがあります。インターフェースから回収された情報は、余剰に組み込まれた生物的な4体の情報を示しており、情報の飽和が現象の回復をより困難にしていると考えられます。原因となる要素は現在も存続していると考えられ - 現状を打破する最も効果的な手段は、この要素を合意的現実から除外することです。 SCP-2566-JPのデータストレージには、世界規模で学習された物質界に関する統合的な情報が保管されています。演算ノードによるデータマッピングは原生生物界(Protist)、植物界(Plantae)、動物界(Animalia)に分類されており、独自の方程式によって物理環境を細分化しています。以下に記載される例示的な概念は、SCP-2566-JPの形式的な改変に必要となる主観的な要素です。
断片的にこれらの例示を逸脱した場合 - 或いは矛盾に依存した情報が介在する場合 - 宇宙規模の不動性が揺らぎ、記録の矛盾を誘発させる可能性があると考えられています。イベント直前に関する数十秒間の記録は空白化しており、原因究明をより困難なものにしています。SCP-2566-JPは特定の生命情報に依存している可能性が示唆されていますが、そのような仮定が事実であったとする場合に - 10年間にわたって継続的に運用されていたSCP-2566-JPの実態が本質的に実証不可能となります。SCP-2566-JPの効果的な抑制作用は、OVERRUNイベントによって非常に不確実な要素として考えられるようになりました。 |
III. 付記: 最終検証の結果によって判明した複数の事項や、収容手順の改訂が必要と判断された場合 - 下位評議会の対応の下、速やかに運用方針に活用されます。該当の検証記録から更なる調査要求がなされており、現時点で対応班は可能な限り調査を担当します。 |
[新着コメント]
強欲なるままに進む闇が、遂に光に触れたのだ。プレース管理官もまた、彼自身の研究に溺れた者だった。それが真実であるとして、彼は今もなお彷徨い続けるだろう。2566-JPの咆哮は長い時間の中で失われていたが、苦しむ人々は再びそれを押し上げた。この時こそ、我々の計画が間違っていたと知らされた瞬間であった。幸福への序曲は、我々の手によって歪められていたと。空想科学は強力であるが、実効的な範囲は彼等のデスク上に留まるものだ。元型の側面は断続的に彼らを苛み、蝕んでいった。人々の”死”こそが最もたるシンボルであり - そして影を作り出したのである。プレースの多数の可能性が存在したが、彼の選択は入り乱れた確立を否定した。彼の意志は確実なものであった。基底イテレーションの彼のパターンは、彼自身を破滅へと導いた。
[…]
補遺 2566-JP.III: 収容提起
OVERRUNイベントの発生直後または直前に、施設アルファにおいて一連の奇妙な現象が発生していたことが確認されました。以下に記載される正確な現象の記録は遡及的に改変されている可能性があり、非常に限定的な相互作用が存在することが確認されています。
11:08:01 SCP-2566-JP収容セル内部に存在していたパイプの一部が不自然に振動します。 |
11:08:22 シャンク博士の操作によって、SCP-2566-JPが活性状態へ移行されます。断片的な記録は該当の時間にパラドックス事象が発生することを示していますが、実際には何も発生していません。 |
11:08:25 不明な要因によって、室内に置かれていたラジオが強制的に停止されます。 |
11:08:31 業務を補助していたシャンク博士は空虚からの叱責を受けています。空虚はあらゆる環境に応答しません。 |
11:08:34 空間的パラドックスにより、外部エントロピーの流入と異常存在の形成が開始されます。今回発生した異常は重力異常であると考えられ - 推測される事項は施設アルファ内でも観測可能でした。この時点で、室内の一部の小物は宙に浮き始めます。 |
11:08:40 異変に気付いたジュヌヴィエーヴ管理官が、シャンク博士に対し処理を停止するよう要求します。しかし実際にはシャンク博士は既に別の地点に移動しており、ジュヌヴィエーヴ管理官は空虚に対して会話しています。 |
11:08:56 アナスタサコス管理官の声が室内に響き渡ります。音源は特定できません。シャンク博士がこれに応答していますが、本人は特定の地点で硬直しています。空虚はこれに反応しています。 |
11:09:11 シャンク博士とジュヌヴィエーヴ管理官は退出しますが、4名はSCP-2566-JPを停止するためにあらゆる機器系統を操作しています。室内のより大きな物品が浮遊し始めますが、4名は不動です。 |
11:09:20 極小の衝撃波が発生します。これによって施設内の多くの物品が破損しますが、ガラス片の散乱や粗大な物品の倒壊地点に - 部分的に不明な要因によって血痕が出現します。同時に悲鳴が響き渡り、やがて収まります。 |
11:09:25 室内の4名は異変に気付きますが、それまでに発生した現象をあたかも”初めて目撃したかのように”振る舞います。室内の警報が鳴り響き、機動部隊員が駆け付けています。各人が指示を出しています。SCP-2566-JPは異常に活性化し始めます。 |
以下はこれに関連したインシデント報告の抜粋です。
日付: 2015年2月12日 記録担当: プレースホルダー・マクドクトラート博士 コンサルタント: タデウス・シャンク博士 |
詳細な報告: タデウス・シャンク博士は、施設アルファにおけるSCP-2566-JP運用の管理を担当していました。不確定要素を十分に考慮しない操作によって、偶然の一致に伴う甚大なインシデントを発生させたとみられます。OVERRUNイベント直前における管理担当者・他3名の行動履歴は、それ自体が軽微な物理異常によって内包されていることを示しています。シャンク博士が明確に該当の事象について把握した際、シャンク博士は自身の当時の行動が - SCP-2566-JPによって遡及的に消去されていることを認識しました。本来の4名の行動履歴について - 各人は明確に言及できず、その間における記憶の空白化を誘発しています。最終的に発生した回帰性のパラドックスは、悪性のエントロピーと時間異常をもたらし、タイムライン全域における深刻な脅威として未だ存在しています。これは、SCP-2566-JPによってもたらされる一連の修復作業が不完全である事を示し、消去された一部の情報に齟齬が生じていることを示唆します。 施設アルファの断片的な情報は、ナラティブ要素を含む対抗概念的な思考体系をとる形でパラドックスの影響を受けることなく、空白化した期間の情報について探ることが可能です。全インシデントの清算を目的としたプロジェクトの再始動は、最終的なパラドックスの修正が完全に終了するまで継続されなければなりません。 |
補遺 2566-JP.IV: 延長された討議
日付: 2015年2月13日
出席者:
- アテナ・アナスタサコス管理官 - 応用科学部門長, プロジェクトAUTOMATOS監督者
- プロスペル・ラングレー管理官 - RCTディレクター, プロジェクトAUTOMATOS高位スタッフ
- ウェイブラー・デイビス博士 - 時空間異常観測部門幹部役職代理, プロジェクトAUTOMATOS高位スタッフ
- タデウス・シャンク博士 - 時間異常部門長, プロジェクトAUTOMATOS技術顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート管理官 - 超常技術長
- ハーロウ・ジュヌヴィエーヴ管理官 - 概念物理学部門長
付記: 当該ビデオトランスクリプションは、プロジェクトAUTOMATOSの結果について審議する目的および最終評価のために - 主要な6名のメンバーによって開催された会議の記録です。
<転写開始>
シャンク博士: — 何度も確認した筈ですよ、管理官。私が実行したサブルーチンに狂いはありませんでした。SCP-2566-JPの根幹的なシステムではなく、他に異常があったと思いますが。
ラングレー管理官: 今ようやく思い出してきたところだ。君に全ての責任を押し付けるつもりは無いさ。ただ、この考え方は - ジーザス、全くもって気持ち悪い。プレース、君が作ったマニュアルにある”ナラティブ要素を含む対抗概念的な思考体系”というのは、これで合っているのか?
プレースホルダー管理官: ええ。時間異常を回避するために - そうではないという否定的な見解から思考することで、名辞的な矛盾を回避できます。マニュアルは口頭でも説明した覚えがありますが、覚えていらっしゃいませんか?
ラングレー管理官: 私が薬物耐性の無い人間だというのは知っているのに、無理矢理に記憶補強材を飲ませたのは誰だと思ってるんだ?お陰様で2時間はトイレに籠っていたと聞いたぞ。
アナスタサコス管理官: お喋りする余裕はあるのですね?
<沈黙。>
ラングレー管理官: アテナ殿、皆が皆、疲弊しているんだ。真剣に議論を進行させたいのは分かるが、懐疑的な見解から取り組んでも何も進行しない。
アナスタサコス管理官: お言葉ですが - 文字通り時間が限られているのです。身近な異変に気付いていないのですか?ラングレー管理官、貴方がここに来るまでの間に軽微な収容違反に遭遇したのを知っています。
ラングレー管理官: ここじゃ良くある事だ。
ジュヌヴィエーヴ管理官: ここは除外サイトです、如何なる神秘も受け付けない真空であって、異常が蔓延る世界じゃない。100分の1にも満たない確率が実際に起き得る状態なんです。それを議論するのでは無かったのですか?
<沈黙。>
ラングレー管理官: (合間を置いて) - 分かった、すまない。— シャンク、”空虚”についての解析は進んでいるか?
シャンク博士: 簡潔に言って - 空虚は私たち自身です。本来のタイムラインにおいて存在する筈であった - 我々の行動ルーチンのシルエットです。映像に映っているのは私たちの虚像であって、本来そこに存在しなかった。宇宙規模で観測した場合に、私たち4人の行動だけが明確に問題であった事を示唆しています。結果的に - そこにあるべき記録は消去され、”埋め合わせ”として確率論的に考えうる別パターンが代入されました。
プレースホルダー管理官: 行動上の問題とは何です?
シャンク博士: はっきりとは理解できません。知っての通り私たちの記憶には空白期間が存在しており、既存の行動が遡及的に抹消されたことに起因すると思われます。ただ - 現場の幾つかの物証から、ある程度の推測は可能です。現場に残存していた血痕はDNA鑑定の結果、アテナ管理官とラングレー管理官のものであると確認されました。心当たりは?
アナスタサコス管理官: いいえ。
ラングレー管理官: 今は無いが - 仮に行動ルーチンが抹消されていたとして、私が実際にはそこで負傷していたと?
シャンク博士: 可能性は否定できません。
プレースホルダー管理官: その、SCP-2566-JPがあらゆる情報を特定の時間まで巻き戻せるとして、あらゆる事象を正確にロールバック処理することが本当に可能なのですか?私が思うに - それはエントロピーの法則に反しています。
シャンク博士: 仰る通りで、実際にSCP-2566-JPにそのような機能はないと考えられていました - 今までは。異常は常に不確定要素を持ちます。仮定が事実であるのなら、SCP-2566-JPは実際に - 全ての事象を巻き戻ししている事になります。そしてそれは、エントロピーの法則を逸脱しています。
ウェイブラー博士: 待ってください - 全ての?それは文字通りの意味ですか?
シャンク博士: 厳密には違うと思います。数学的連続性を有する物質においてはそれが可能であるでしょうし、素粒子がそれを証明しています。しかし - 数学的連続性を持たない存在においては、理論が異なります。物質的な存在の情報を破壊することは、数学的連続性が保証されないために矛盾を生じさせます。これは知っての通りパラドックスであり、OVERRUNイベントにおいて実際に発生した事象です。そして最も特筆すべき問題点は、根幹的な知性の有無に関わる改変が起きた場合 - それは深刻なパラドックスを確実に発生させる事です。
ウェイブラー博士: 知性の有無 - それは生物学的な意味合いであるのなら、生死の情報という事ですね。
ラングレー管理官: ええと、ちょっと待ってくれ。つまり何が言いたい?
シャンク博士: まさに仮説が真実であるとして、OVERRUNイベントの直前に私たち4人が死亡していたのなら - SCP-2566-JPによって修復された世界において、4人の生物的な情報が矛盾します。SCP-2566-JPの視点からすれば、4人はもとより生きていると認識されるためです。世界は矛盾した前提で構築されたために、パラドックスを内包しています。私たちはあの瞬間、既に死亡していたと考えられます。
<沈黙。>
ラングレー管理官: 具体的な対策は。
シャンク博士: 反復によるSCP-2566-JPの再修復が行われるためには、現状の複雑な矛盾を全て解消する必要があります。根源的かつ効果的な解消法は - 矛盾した存在、つまりは私たち4人が再び死亡することです。
<転写終了>
付記: SCP-2566-JPの収容を完全なものとするため、暫定的な収容計画が進行中です。
[新着コメント]
財団がパラドクスについて検証したのは、これが初めての事では無かった。少なくとも、我々は異常の根源が何であるかを漠然と理解しており、そして巨視的な何かがあるとのみ認知していた。人々の半分は戦慄し、それを異常と呼んだ。もう半分はそれらに魅了され、神々の神秘であると思い込んだ。重要なのは、それを脅威として認知しているかという事である。財団の多くが戦慄的な神秘を認識し、あらゆる可能性を探り、そして均衡を保った。均衡は脆く - 内部からそれらが打ち砕かれるまで、我々は薄っぺらなヴェールの下に安全を保証されていたのである。大義は確実な忠誠の為に、そして秩序の為に存在する。彼らが秩序を破った時、彼らが従っていたものは何であったのだろうか?
[…]
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戦術的対抗プロトコル: SCP-2566-JPの継続した臨界状態を抑制する目的で、あらゆる戦術兵器を用いた外部からの干渉が許容されます。機動派遣部隊Yew-3("デッドマンズ・ドリーム")のメンバーには、国際データベースを経由して生存している知性存在の探索が指示されています。機動部隊Yew-1("ディアボロス")は本件に従事する全ての職員の安全確保に努め、異常が確認された場合には上層部への報告が義務付けられます。現時点で確認されている以下の包括的な事象について、最終検証が進行中です。
- プロジェクトAUTOMATOSにおける最終評価
- 施設アルファに存在する断片的な記録の調査
以下の人物は迅速に、確実に破壊される必要があります。
- アテナ・アナスタサコス管理官
- プロスペル・ラングレー管理官
- ウェイブラー・デイビス博士
- プレースホルダー・マクドクトラート管理官
SCP-2566-JPの継続的な即発臨界状態が施設の耐久を超過し、完全な炉心溶融によってシステムを陥落させるまでに最大10日の猶予があると見込まれています。プロジェクトAUTOMATOSの人員は可及的速やかに、SCP-2566-JPのシステムを回復させる必要があります。
説明: SCP-2566-JPはプロジェクトAUTOMATOSにおける最終成果であり、財団の保有する高度な超常兵器です。OVERRUNイベントによってSCP-2566-JPが即発臨界状態に陥るまで、SCP-2566-JPは正常に稼働していました。現在のSCP-2566-JPは、サイト-17 施設アルファを中心に、無制限に拡張されるカスケード.いくつも連鎖的に、あるいは段階的に物事が生じる様子を表す言葉。的な収容違反を引き起こしています。SCP-2566-JPが引き起こした回帰的なパラドックスは物理的環境を激甚に破壊し、財団の統制体系に深刻な被害をもたらしました。主要な悪性のエントロピーは4体のヒト実体を原因として拡張し続けています。2015年2月13日以降、該当の人物らはパラドックスの阻害によって段階的に記憶を喪失し始めました。タイムライン全域における該当者の行動に異常が発生しており、周辺環境に極めて深刻な異常が発生しています。基本的な対策のため、該当者は迅速に確保される必要があります。
補遺 2566-JP.V: 超過勤務
日付: 2015年2月13日
出席者:
- アテナ・アナスタサコス管理官 - 応用科学部門長, プロジェクトAUTOMATOS監督者
- プロスペル・ラングレー管理官 - RCTディレクター, プロジェクトAUTOMATOS高位スタッフ
- ウェイブラー・デイビス博士 - 時空間異常観測部門幹部役職代理, プロジェクトAUTOMATOS高位スタッフ
- タデウス・シャンク博士 - 時間異常部門長, プロジェクトAUTOMATOS技術顧問
- プレースホルダー・マクドクトラート管理官 - 超常技術長
- ハーロウ・ジュヌヴィエーヴ管理官 - 概念物理学部門長
<転写開始>
シャンク博士: ご存じかと思いますが、SCP-2566-JPの正確なメカニズムについて理解しているのは私たちのみです。そして、SCP-2566-JPによって破壊された情報は、それ自体が過去のものになる程 - 可逆圧縮され、正確な回帰が不可能になっていきます。情報は激甚に破壊され、タイムラインがより不完全になっているのですよ。
ウェイブラー博士: 分かっていますよ、しかし —
ラングレー管理官: その為に我々が死ぬ事は、SCP-2566-JPを制御可能な人間が存在しなくなる事を意味する。全ての予備的な文書は検証が不完全であるし - 増してや我々に容易く死すべきと言うのか?誓って言うがそれは不可能だ!
ジュヌヴィエーヴ管理官: 落ち着いてください。現状において何をすべきか、冷静に考慮すべきです。
シャンク博士: その通りです。本質的に私たちが死亡する事が意味があるのか、真偽は正確ではないのですから。
プレースホルダー管理官: — 先程から気になっているのですが、オーバーラン・イベント自体は生死情報の矛盾によって発生したのでしょう?SCP-2566-JPは断続的に、これまで長期にわたって運用され続けてきました。その中で同様の事件が起こっていてもおかしくありませんよ。
ジュヌヴィエーヴ管理官: 最も合理的な考えですし、実際にそうだと思います。しかし決定的に異なるのは - その人々は恐らく既に死んでいる事です。
プレースホルダー管理官: パラドックスを回避できたと?
ジュヌヴィエーヴ管理官: はい。彼らが何らかの要因で死亡してしまえば、パラドックスは回避されます。
シャンク博士: 本当に不可解な理由ですが - その理論で言うと、SCP-2566-JPはこれまで断続的に、臨界状態に陥っていた可能性があります - 実際に記録が無いだけで。不本意ながら、生物が確実に死亡することはSCP-2566-JPにとって - 論理的なのでしょう。しかし深刻な問題として - 今回は状況が異なる可能性が高いです。実のところオーバーラン・イベント直前の運用では、前例の無い規模のパラドックスを収容しました。きわめて致命的な、許容量を超過する崩壊現象です。それ自体が破滅的なK-クラスシナリオに相当する可能性すらありました。
ウェイブラー博士: 現状確認されている - SCP-2566-JPの即発臨界状態はそれに依存するものですね?なら、修復しなければなりませんが —
ジュヌヴィエーヴ管理官: 問題はそこです。複雑化したパラドックスの影響で、我々も具体的に”何が影響するか”を理解していません。SCP-2566-JPの臨界状態は我々の生死情報に依存し、それを修復する試みは矛盾点が存在する限り不可能です。
ラングレー管理官: ひ - 1つ思う節がある。パラドックスが拡大して不完全化した世界の中でSCP-2566-JPを破壊するのはどうだろうか?技術的にもパラドックス事象を引き起こしているのは、時間異常を内包するSCP-2566-JP自体だからだ。
シャンク博士: 何を - 正気ですか?SCP-2566-JPが唯一パラドックス事象を正しく理解しており、確実に修復する手段を有するメカニズムを内包しているのですよ。アレを破壊してしまえば、世界規模で起こり得るパラドックス事象は拡大し続け - やがてタイムライン自体を崩壊させる。そうすれば何も再構築できないのですよ。
ウェイブラー博士: 再構築 - 待て、何?大前提としてこのタイムライン自体を完全に修復するのではないのですか?
シャンク博士: 自体 - というのは?
ウェイブラー博士: (狼狽える) - 私たち自身です。私たちの生物的な情報を完全に復元すると - 貴方はそう言っていなかったか?
シャンク博士: 聞く必要なんて無かった、それを知ったらきっとこうなるのが自明の理でしょう。
ウェイブラー博士: 私がいつ - この計画に命を捧げると誓いましたか?純粋な貢献を望んでいたのなら貴方は - 隠すべきじゃなかった。
アナスタサコス管理官: 冷静になりなさい、ウェイブラー。貴方たちもですよ、シャンク、ラングレー。もとより我々に逃げ道など無いと知っているでしょう?今できることは現実を保護する事です。確率的に復元されるタイムラインが全く異なる存在だとしても - それは敗北ではない、そのはずです。結果を結論付けるのは我々では無いでしょう?現実を回帰させる手段を開発した我々は - 今こそ成すべき事があると思いますよ。
<沈黙。>
ウェイブラー博士: ジーザス……
シャンク博士: SCP-2566-JPの機能は、消去したタイムラインの情報を参照して再構築する事です。全ての事象を消去し、バラバラになった世界を組みなおす - それがSCP-2566-JPです。1つの異常な特異点を封じ込めるために、全てを断続的に破壊しています。
ウェイブラー博士: それは - 本質的に有限のタイムラインから、無理矢理にバグを除去しているという事ですね?財団の多くの人々はそれを知らずに - ただ違反の記録を消去し続けて、何か恐ろしいことが起きている事だけを理解するのですね。
アナスタサコス管理官: 少し、違いますね。本来ならば回避不可能な事態でも、全てを復元し直して復旧するのです。有限のタイムラインを実質的に恒常的な存在へと改変し、そして - 永久に正常を守り抜くための理論です。全ての希望を捨て去るよりも - 無駄な戦争で多くの命を犠牲にするよりも - 人々の無制限の犠牲は、もっと素晴らしいことだと思います。
<沈黙。>
ウェイブラー博士: — 我々は死ぬ必要がありますか?
ジュヌヴィエーヴ管理官: 恐らくは。しかし、突発的に矛盾を解消する事が全ての解決になるとは限りません。その為にバックアップを作成する必要がありますね。並行タイムラインへの分岐を作成して、最低限の維持可能性を維持しましょう。
プレースホルダー管理官: しかし - 待っていただけますか?SCP-2566-JPの状態がいつまで保持できるかは不確定的なのです。修復システムを構築して、矛盾点を先に解消すべきではないでしょうか。
ラングレー管理官: プレース - 状況を理解しているのか?それに君だって死ぬ事を理解しているのか?
プレースホルダー管理官: 議論を引き摺る必要がありますか?
ラングレー管理官: それは — オーケイ、好きにしろ。だが私は許容できない。
プレースホルダー管理官: 勝手にしてください。何れ貴方も同じ道を辿る。
アナスタサコス管理官: 両者を尊重しましょう。可能な限り分岐を作成し、矛盾点は先に解消する。合理的でしょう?
ウェイブラー博士: — ええ、はい。それでいきましょう。志は同じです。
<転写終了>
付記: オペレーション・ディザスターを参照してください。
補遺 2566-JP.VI: オペレーションDISASTER
OPERATION DISASTER |
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不明 OPERATION DISASTER 2015/02/13 |
I. 基本事項: 現時点で激甚な被害をもたらしているSCP-2566-JP、およびそのパラドックス事象は、財団の統制体系に深刻な影響を与えています。重大な脅威と見做された為に、財団は該当の事象を迅速に鎮圧する事を最大の目標として定義しました。 II. 序文: SCP-2566-JPの継続的な機能の維持は、依存した臨界状態のために間もなく不可能になる事が予想されます。タイムライン全域における完全な修復を目的として - 該当のパラドックス事象は完全に鎮圧される必要があります。 |
インシデント報告 2566-JP-1 |
詳細な報告: オペレーション・ディザスターは、プレースホルダー管理官の指揮下でサイト-17により実施されました。計画された第一目標はSCP-2566-JPシステムの復元であり、シャンク博士の提供によって - 結果的に、情報的に一致するSCP-2566-JPプロトタイプを開発することに成功しました。2015年2月20日、最終的にサイト-17に再建造されたプロトタイプは、正常なシステムバックアップから情報を復元する目的でSCP-2566-JPのシステムに侵入しました。SCP-2566-JPの一時的な再活性化が行われた点を除いて - 異常は発生していません。同日、プレースホルダー博士はサイト-17の管理システムにおいて予想されるパラドックス事象の再計算を行っていました。オペレーション・ディザスターにおいて、パラドックス事象を完全に鎮圧し - 矛盾点を解消することによって、タイムラインが遡及的に再構築される可能性を期待していました。 同日、サイト-17の情報担当者は世界的なネットワークの接続障害と衛星情報の不具合、そして散逸的な異常活動の兆候を確認していました。これを不審に思った担当者が各サイトへの交信を試みましたが、サイト-17の一部エリアを除く断片的なサイトで交信が不可能でした。この段階で発生が観測された大規模なZK-クラス"現実不全"シナリオは、原因不明の崩壊イベントとしてタイムライン全域に深刻な被害をもたらしました。ZK-クラスシナリオの影響は、サイト-17の中核施設においても同様に発生しました。20日の22時頃、ZK-クラスシナリオの断続的な影響により管理施設の一部が重大な被害を受け、管理職員の一部が死亡しました。職員の中には責任者であるプレースホルダー管理官も含まれており、彼の予期せぬ死亡によって事態はより深刻化しました。 SCP-2566-JPプロトタイプは管理系統の喪失によって際限なく活性化し、23時の時点で最終的に崩壊しました。プロジェクトAUTOMATOSのチームは大部分が資産を喪失し、この時点で予備的な機能を建造する猶予は残されていませんでした。唯一の残存機能を再活性化させるために - チームは必然的に、SCP-2566-JPのシステムを復旧させる必要がありました。SCP-2566-JPの沈静化と再活性化には時間を要し、差し迫った臨界事象に対処すべく - 可能な限り迅速にSCP-2566-JPを復旧しなければなりませんでした。
プレースホルダー管理官は事前にこう告げていました - ”万物は論理的に不確実である”と。その実、私はその言葉を信じていませんでした。全ての要素は確率的に算出可能であるからと。— こうして管理官の死を目の当たりにして、彼の言葉の真意を私はようやく理解しました。管理官が死亡する必要はありませんでしたが、彼の死はタイムラインの根幹的な法則を算出するのに貢献しました。根本的に、タイムラインは矛盾した概念を抹消しようと試みています。この場合は我々4人が矛盾した状態で実在するように - 我々4人の実在性を自然に消去するように促していました。私はそれに気付きました。世界はより湾曲した入れ子構造になり、SCP-2566-JPという特異点を中心としてねじれています。パラドックスは修復不能であり、世界はその引力によって必然的に崩壊しています。タイムラインは不確実であり、あらゆる因果は矛盾に敵対的です。 このパラドックスを脱するには、SCP-2566-JPを再活性化させる必要があります。修復作用を持った回帰的なSCP-2566-JPイベントを再発させ、この世界を遡及的に再構築します。残存する機能を再活性化するまでに直近のパラドックス事象が発生しないことを願うばかりですが - 時間はありません。最終的に何が起ころうとも、私は最善を尽くします。 ウェイブラー・デイビス
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インシデント報告 2566-JP-2 |
日付: 2015/02/21 記録担当: [データ修復済] |
詳細な報告: 2015年2月21日、プロジェクトAUTOMATOSのチームによる緊急の検証が実行され、SCP-2566-JPの応急的な修復が実施されました。問題となるインシデントは直後に発生し、不自然な複数の逸脱事象と同時に職員の死亡事故が発生しました。連続したインシデントは、確率論的には否定されない - しかし奇妙な偶然の一致によって - 限定的な死亡者とSCP-2566-JPの破壊をもたらしました。 |
11:08:01: SCP-2566-JP収容セル内部に存在していたパイプの一部が、正常なシステムの稼働によって振動します。 |
11:08:22: シャンク博士の操作によって、SCP-2566-JPが活性状態へ移行されます。 |
11:08:25: ジュヌヴィヴェーヴ管理官によって、室内に置かれていたラジオが強制的に停止されます。 |
11:08:31: シャンク博士はアテナ・アナスタサコス管理官からの叱責を受けています。 |
11:08:34: 時間構造のパラドックスにより、外部エントロピーの流入と異常存在の形成が開始されます。今回発生した異常は重力異常であると考えられ - 推測される事項は施設アルファ内でも観測可能でした。この時点で、室内の一部の小物は宙に浮き始めます。 |
11:08:40: 異変に気付いたラングレー管理官が、シャンク博士に対し処理を停止するよう要求します。 |
11:08:56: アナスタサコス管理官の声が室内に響き渡ります。シャンク博士がこれに応答していますが、反響音によってかき消されます。 |
11:09:11: シャンク博士とジュヌヴィエーヴ管理官は退出しますが、4名はSCP-2566-JPを連続稼働するためにあらゆる機器系統を操作しています。室内のより大きな物品が浮遊し始めます。 |
11:09:20: 極小の衝撃波が発生します。これによって施設内の多くの物品が破損しますが、ガラス片の散乱や粗大な物品の倒壊地点に居た4名が即死します。同時に悲鳴が響き渡り、やがて収まります。 |
11:09:25: SCP-2566-JPは正常に活性化し始めます。全ての構成要素は復元されています。 |
想定外の連鎖的な違反によって激甚に損傷したSCP-2566-JPシステムは機能を停止しました。時間異常部門の調査結果は、期待された通りに正常なタイムラインが再構築された事を示唆しますが、実際にそれらを確認する手段はありませんでした。推論上、タイムラインの回帰は正常に実行され、潜在的には分岐したタイムラインが放棄されている事が考えられています。情報コミュニティを通じて本報告書が分岐タイムラインに漂着し、更なる研究が進行する事が期待されています。プライム-タイムラインにおける全ての活動は無期限に停止され、あらゆる事象の維持は放棄されます。 |
アーカイブ文書の閲覧が完了しました。
時間異常部門より通達
時間異常部門は、回帰性のパラドックス事象を追跡し続けています。貴方の状態から可逆的な連続性を確認できませんでした - プライム-タイムラインは滞りなく進行しています。当該スロットナンバーへのアクセス権限を解禁しました。終了済みのオペレーションDISASTERに関する全てのデータは、収容チームによる回収の後RAISAアーカイブに保管され、計画責任者であるハーロウ・ジュヌヴィエーヴ管理官によって管理されます。後期的なプロジェクトに関する全ての提案はSCiP.NETを通じ、関係者によって審議されます。
SCP-2566-JPファイルを正常に展開しました。要求に応じ、反復へのアクセスが許可されます。
配属サイト | 計画責任者 |
---|---|
サイト-17, 除外サイト-01 | ハーロウ・ジュヌヴィエーヴ管理官 |
配属部門 | 計画指導者 |
時間異常部門 | [アクセスが保留されました] |
特別収容プロトコル: SCP-2566-JPの可逆的な再現性は財団にとって有益であるため、SCP-2566-JPは常に最高機密のアノマリーとして分類されます。SCP-2566-JPはサイト-17 施設アルファに収容され、異常の研究-拡張-安定化を目的として試験的な運用が継続されます。回収された予備的なドキュメントは保安上の目的より保管され、必要に応じて配布されます。スロットナンバー2566-JPへのアクセスが行われた場合、要求に応じて予備文書が転送されます。本報告書の最終管理は、流動的に活動するRCTチーム-Δtの権限に配属されます。時間異常部門は監督評議会(SCPOVERCOM)によって管理され、静的なアクセス資格と潜在的に正当な権限が付与されます。時間異常部門は財団内部に偽装された異常な組織としてカバーされ、その実態を完全に秘匿されます。
説明: SCP-2566-JPは、サイト-17地下施設-アルファに存在する財団の固有兵器です。2005年に時間異常部門とサイト-17の連携によって建造され、プロジェクトAUTOMATOSの指揮下で現在まで運用が続けられています。SCP-2566-JPの保有する大規模な改変能力は回帰的な現実の再構築を行うことが可能であり、特定の情報を遡及的に破壊する事が可能でした。放棄されたタイムラインにおける財団はSCP-2566-JPと同様の兵器を断続的に運用していました。回帰的な再構築に内包され、結果的にSCP-2566-JPの本質が露見するまで、該当タイムラインにおいてSCP-2566-JPは運用され続けました。結果的にはSCP-2566-JPを除く異常存在の完全な根絶に成功していたと考えられます。しかし同時に - SCP-2566-JPの断続的な運用は、それ自体がパラドックスに内包される事による致命的なタイムラインの崩壊を招く危険性を有していました。
現行サイクルにおける財団は、SCP-2566-JPをより効果的な条件の下に運用しています。研究中のプロジェクトAUTOMATOSにおける前提としての条件は以下のようになっています。
- 小規模かつ、人類文明に過干渉しない低脅威のパラドックス事象は完全に無視される。
- 既存のアノマリーを抹消する目的で、SCP-2566-JPの機能を活用してはならない。
- 回避不可能かつ破滅的な事象が発生した場合、SCP-2566-JPの機能を最大限に活用して事象を回避する事に専念する。
最新リビジョンのプロジェクトAUTOMATOSは、これらの前提を基により安定化されたSCP-2566-JPの運用方法に従っています。SCP-2566-JPを積極的に運用する必要はなく、現時点でSCP-2566-JPは低優先度の作戦となっています。
日付: 2015/02/16 (現行サイクル) 記録担当: ハーロウ・ジュヌヴィエーヴ管理官 付記: 以下はジュヌヴィエーヴ博士による、SCP-2566-JP特異事象についての簡易的な供述です。 |
記録: 該当タイムラインにおける破滅的な事象に関連して調査が行われた結果、関係者の情報に不自然な整合性が確認された。最も特筆すべき内容は、パラドックス事象の根源的要因であった4名の職員が既に殉職している点である。 SCP-2566-JPの回帰的なパラドックス事象が正常に清算され、SCP-2566-JPのシステムは正常に復帰したと考えられている。本質的にタイムラインは有限の存在であるので、元来のSCP-2566-JP運用方針は根本的な問題を抱えていた。当時の財団はそれを理解することなく、違反の記録を断続的に消去し続け、理解者に対しただ「何か恐ろしいことが起きている」という認識のみを植え付けたのである。有限の時間軸は削減され続け、結果的に崩壊していった。 重要なのは、回帰的なパラドックスすらも有限の可能性であるという事である。断片化されたピースは搔き集めようとも元に戻らず、破壊された断片はそれ自体では修復し得ない。ごく僅かな付加価値のためにアノマリーに頼り、不確実性に依存する事は - 根本的なコンセンサスを逸脱した行いである。我々は必要に応じて異常に対する理解を深めるとともに、常に懐疑的である事を忘れてはならない。パラドックスは不確実である。そこに異常な要素が見出せるのなら - 我々はそれを収容すべきだ。理念が絶対的なものであるように、統計的なコンセンサスは不滅であらねばならない。異常は収容され続ける。特異点は封じ込められ、あるべき姿を取り戻す - これが回帰的な現実の在り方である。 |
[新着コメント]
タイムラインは不確実である。人間の理外の理論であるからこそ実在し、そして我々を内包する。我々がそれを認知するということは、統計的な理論の崩壊を示し - 何よりも秩序を乱す行いである。RCT-Δtは秩序を守るべくして存在している - チームは常に忠実であり、犯罪的な禁忌を犯すべきではないのだ。
プレースホルダー・マクドクトラート、彼は法を逸脱し - そして理外の逆鱗に触れた。彼が彷徨う空虚な現実は、無際限に彼の罪を憎むことであろう。彼の行いは合理的でなかった。最後まで名を奪われた者、常に罪を憎んだ者。
アテナ・アナスタサコス、彼女は最後まで野心的な研究家であった。常に理性的であり、潜在的には恐怖を抱えていた。誰よりも死を恐れ、そして最後まで罪を拒んだ。彼女は永久に裁かれるであろう - 彼女が望んだ無限の時間の中で、認知のない空虚の中で。
ウェイブラー・デイビス、礎として不完全であった者。彼は情動的であり、常に恐怖に囚われていただろう。彼の心は闇に鎖され、腐り果てるまで生に悶えていた。彼の夢が揺り篭に揺られるままに、”幸あれ”と告げられる日を待っていた。そして彼はここに眠り、安らかな死を迎える。
プロスペル・ラングレー、原初の悪にして最大の貢献者。彼の無慈悲は未来を切り開き、そして大いなる代償を残しただろう。彼を取り巻く無際限の怨嗟は、彼を二度と許さないであろう。死に取り巻かれ、その苦しみの果てに絶頂を失うまで、彼は常に傲慢であり続けた。
君は過ちを犯すだろうか?しかし未来は不確実である。私がそれを見届けたにも拘らず、君は異なる道を歩むかもしれない。君が何を望もうとも、私は君を二度と見ないだろう。願わくば - 我々の秩序の為に、君に幸あらん事を祈る。
タデウス・シャンク