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「ライダー、本当にこちらの道で合っているのですか!?」
明日香とモードレッドが対峙している、ほぼ同時刻 セミラミスが操る空中庭園には容易く侵入し 黒のランサーとキャスターと合流すべく複雑な内部を走り回っていた
「俺も2日しかいなかったから何とも言えないが今は魔力が感じる方向へ向かうしかねぇだろう!?良いから付いて来い!」
「っ、早く合流しなければもし赤のランサーにヴラド公が遭遇してしまってるとしたら危険です。」
「どういう事だ、先生。」
「ヴラド公は…彼は圧倒的な知名度補正とそして固有スキルが加わってステータスを上昇させていたのです。」
「ですが、それはあくまで地上に置いての話ですね?」
ルーラーの問いかけにケイローンは走りながら頷く
「成程、此処はあの女帝の領域…そのスキルも補正も意味がないって事か!」
「そういう事です。彼は今著しく弱体化していると言っても良い。」
アキレウスは明日香との会話を思い出す。 黒のランサーは固有スキルと知名度補正があってこそ、強力な戦闘力を得ていると。 その全てが無効化にされているこの空中庭園では戦闘力はガタ落ち同然。
カルナに遭遇していたら、もはや勝てる見込みは無い。 黒のランサーまで失ってしまっては黒の陣営は絶体絶命以外の何にでも無くなってしまう。
「ッ、いました!あそこに…!!」
ルーラーの言う方向にカルナと交戦している、黒のランサーがいる。 既に彼は膝を付き苦虫を潰されたような顔だ、一方のキャスターは援護としてゴーレムを生成するも手も足も出ない。 引きつれて来たであろうホムンクルス達も状況に困惑をしていた。
「アキレウス!私が矢を放ちます、その隙に彼を!」
「おう、任せな先生!!」
合図を送ったケイローンが放った矢がカルナの足元へと突き刺さる。 次の二の矢を危惧したカルナが回避し、後ろへ飛んだ瞬間。
「久しぶりだな、ランサー。」
「ッ…!」
俊足を生かし眼前にまで迫っていたアキレウスが槍を振りかざす。 だがそこはインドの大英雄、表情を崩すことなくその攻撃を自身の槍で容易く防いだ。
「お前は…、黒の陣営に寝返ったのか?」
赤のランサー、カルナは突然現れた人物に多少驚きを見せたが 逆に無事だったのかと安心感を抱いた。
「ハッ、完全に寝返った訳じゃねぇよ、ただ大聖杯をお前等に渡す訳にはいかねぇってだけだ!!」
「成程、軽くシロウから話は聞いていたがアーチャー…いやマスターと共に離反したと。あまり意味が分からないが…」
「やっぱりマスターの事はもう知れてるみてぇだな。」
やはり、彼らには何か目的があり信念に基づいて行動を起こしていたのか。 僅かな時間だけしか共にしていなかったが、その瞳に宿した覚悟の強さが見て取れる。
「ああ…だが、お前は以前よりも良い目をしている。良いマスターに巡り合えたのだな。」
「そりゃあ、そっちと比べたら何億倍も良い女だぜ?俺のマスターはよ。」
他愛のない会話をするも、互いに歴史に名を轟かせる大英雄同士 交わり続ける互いの槍は一歩も引かずに犇めきあっている
「大丈夫ですか、ランサー。」
「ああ、無様な所を見せてすまない…。あのサーヴァントは何者だ。」
驚きを隠せない膝を付いたままのヴラド三世をケイローンが肩を貸し立ち上がらせる。 どうやら肩を貸さなければならない程ダメージを負っているようだ。 これではもう…
「彼はライダー…元赤の陣営のサーヴァントですが、訳があって私たちに協力してくれています。」
「何…?」
「…お前達は俺のマスターの事何処まで把握してやがるんだ?」
「赤のアーチャーに扮して侵入していた事ぐらいだ。次はこちらの質問だ。俺はお前の信念の目的を聞きたい。我が陣営を抜けてまですべき事とはなんだ?」
「ハッ、んな事は一つだろう。俺はマスターの覚悟を知った、それに嘘偽りない信念があると!!それが『正義』であるならば俺は悪に加担するなんざ御免だ!彼女の力になる、そう俺が決めただけだ!」
何故赤のライダーが離反し我々に協力しているのかは分からない、 だが自分が苦戦を強いられていたランサーと対等に槍を打ち合っておりその強さは圧倒的だ。
彼らが助けに来てくれなければ確実に自分は負けていた、見るも無残に散っていただろう。
「ッ…余では赤のランサーおろか、赤の陣営には勝てぬ…」
固有スキルと知名度によるボーナスがあったからこそ陸地では優勢に立てたが 今はそれも無駄な足掻きだ、完全に自分の負けだ。
黒のランサー ヴラド三世は落胆…失意のどん底に突き落とされていた。 王としてのプライドもそうだが敵であったものに助けられたという事が彼から戦意を削いでいた。 今の自分は最早王ではない、吸血鬼に貶められたヴラド三世でしかないのだ。
「いえまだ負けた訳ではありません、領王よ。-------------------」
黒のランサーは落胆していた顔を上げ、声がした方へと振り返った。 そこにはいるの筈のない人物が立っていたのだ。 予想外の人物の登場に槍を交えていたアキレウスとカルナも動きを止める。
「ダーニック、貴様何故ここに!」
安全な城塞にいる筈のユグドミレニアのマスターの首領が其処にいた。 敵の領地にわざわざ乗りこみ、余裕ともいえるその表情から胸騒ぎが鳴る
「(この男が60年前に大聖杯を盗んだ男…!)」
黒の陣営の首領にして、黒のランサーのマスター ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。 この世界に置いて聖杯戦争のルールを狂わせた張本人他ならない。 いや…この世界だけではない一周目の大元もこの男のせいだろう。
「そんな事は今はどうでも良い、貴方はまだ負けてはいない。貴方にはアレがあるでしょう?」
「…貴様、今なんと言った?余にアレを使えというのか!!余が憎んでもどれだけ望んでも消す事の出来ない、忌まわしき伝承を!!ふざけるな!!あのような物を使うぐらいなら此処で自害して散る方がよっぽどマシだ!言った筈だ!!あの宝具は決して使わぬと!!忘れたか!!」
ダーニックの「アレ」という言葉に、黒のランサーは激昂を隠すことは無く怒りをぶつける。 奥の手があるようだがそれは黒のランサーが自害をする方がマシな程の代物らしい。 喧嘩をするならよそでやってくれと言いたい気分なのだが、どうも…様子がおかしい。
「忘れているのはお前の方だ、
だがそれをモノともせず、ダーニックは反論する。 鬼の形相とも取れる程怒りを隠せなかったあのヴラド三世の激昂を全くどうとも思っていないのか 挙句の果てには我らサーヴァントにとって侮辱とも取れる言葉を放った
「我々は是が非でも大聖杯を手に入れる!入れねば我が夢が潰えてしまうのだ!それだけは決して許されない!!」
それがこの男の本性だ。 冬木の聖杯戦争の際に混乱に乗じて大聖杯を奪い去ると言う大胆な暴挙にまで出たというのに 赤の陣営にこのまま盗られてはあの時の苦労が水の泡だ、 ならば手段は選んでいられない。
使い魔、そう自身のサーヴァントに言い放った。 既にこの二人に信頼関係など無い、完全に破綻している。 この男は黒のランサーを利用し尽くすつもりだ、その誇りすらも踏みにじって。
「ならば宝具を使うしかあるまい!!」
ダーニックが右手を前に差し出す。 そしてその甲に刻まれている刻印は-------------------------------------
「令呪を以って命ずる!!宝具、
怒りすら覚えた、絶対命令権の令呪を使ってまでもこの高貴な王の魂すらをも穢し尽くすというのか! マスターが言っていた糞みたいな魔術師のタイプで間違いないようだこのダーニックとやらは。
「ダーニック、貴様ァアア!!!!がぁああああああああああああ…!!」
強制的に宝具を使用させられた黒のランサーは苦しみだした。
顔も歪な形相へと変貌していく、なんだこの異常な様子は…。 鋭い牙が生え始め…これではまるで、
「余は、余は
「そして第二の令呪を以って命ずる、」
「くっ…ダァアアニィィィックゥウウウウ!!」
だがランサーも簡単には屈しない、 抵抗を続け自身のマスターであったダーニックへと槍を深々と突き刺す。 ダーニックの口から鮮血が垂れ落ちる
「貴様の思い通りにはさせん!!」
「-------------------大聖杯を手に入れるまで生き続けろ!!」
だがそれをモノともせず、ダーニックは重ねて令呪を使用する。 次第に進んでいく吸血鬼化に拍車がかかる。 死んでまで令呪でサーヴァントを束縛させるつもりか?
いや、ダーニック本人が死んでは願いを叶える元も子も無いではないか。
「ルーラー!どうにか出来ないのか!?」
「いえ不可能ですっ!先程から令呪の使用を試みているのですが…効かないのです!」
「ルーラーの令呪が効かない…!?」
「重ねて第三の令呪を以って命ずる!我が存在をその魂に刻み付けろ!!
吸血鬼、そうダーニックは叫んだ。 だとしたら無理矢理使わせた宝具の効果は伝承通り、彼を吸血鬼へと変貌させるもの。 そして更にあろうことか自身の魂まで刻ませるという行為。 つまりその意味は…
「ランサーを…乗っ取りやがった…!」
「彼の魂と融合した彼はもはやサーヴァントではない…、完全な怪物です…ッ」
「成程、でしたら私の令呪が効かないのも頷けますね…。」
既にランサーの救出は不可能、もがき苦しみながらもダーニックの魂を刻んでしまった彼は 二重人格者のように叫び狂っている最早そこにヴラド公の面影はない。 そこにいるのは大聖杯を手に入れようと狂気と吸血鬼の本能により崩壊した『化け物』。
---------------------------------------無銘の怪物
溢れ出た吸血衝動により近くにいるホムンクルス達を襲い始めた。 血肉を喰らい吸いつくし、そして喰らわれた者は彼と同類の存在へと成り果てていく。
吸血鬼に吸われた者は同じ吸血鬼へと変貌する、まさにその光景そのもの。
もし今の彼が地上へ逃亡してしまえば、聖杯戦争どころの騒ぎじゃなくなる
ネズミ算方式で吸血鬼が蔓延る世界に繋がりかねない。
ルーラーの特権である令呪も無効化
既にサーヴァントですらない、この怪物を制御する事は不可能。
だとすれば、すべき事は唯一つ
「ルーラー ジャンヌ・ダルクの名において令呪を以って命ずる!今此処に集いしサーヴァント全ての総力を以って、吸血鬼を打倒せよ!!」
一刻も早く、この怪物を倒す事である。 ルーラーのスキル『神明裁決』がこの場にいる全てのサーヴァントに発動された。
今は敵も味方関係なく、結託する事が最優先であると。
「キャスター!周りにいる吸血鬼化したホムンクルス達は任せましたよ、彼は私達でどうにかしましょう。」
「分かった、善処しよう。君たちはその化け物の相手に集中してくれ。」
「という事だ、ランサー。今はお互い協力といこうや。」
「誇り高き英雄とこうして肩を並べて戦えるとは光栄だ、俺よりヘラクレスのが良かったのでは?」
「ハッ、
一時的だが、カルナとの共闘はありがたい。 だがルーラーがそれだけの判断を下すと言う事はそう簡単に倒せる相手ではない。 恐らくサーヴァントも奴に吸血されてしまえば同類へと成り果てる。
それは圧倒的な防御力を持つカルナやアキレウスも例外では無い。
既に自我という物が崩壊している、怪物は 向けられている武器に嫌悪感を零し言葉を吐き捨て始める。 「
自分は、生きなければならない、大聖杯を手に入れるまで
邪魔だ、消えろ、道を開けろ
返せ、返せ、返せ、返せ、返せ、私の聖杯を!!
「私の」
「余の」
「
_________________________________________________
一方地上では二つの剣がぶつかり合う音が響いていた。 円卓の騎士の一人であったモードレッドの剣技は一流だ、彼女はアルトリアとほぼ同じステータスを持つサーヴァント 本来ならば一筋縄ではいかない強さを持つ者。
だが圧されていた----------------------------------------------
愛しき憎き父が持っていたというあの剣をもつ少女に。
「っ、その剣を何処で手に入れた!!それは父上のものだ!!それを、何処でぇええ!!!」
怒りと焦りあるからだろうか。
それとも
「この剣は正真正銘、貴方の父上から正式に譲り受けた物!選定の剣そのものだよ!」
信じがたい
受け入れがたい
その事実が目の前で起こっている為か
自分が焦がれていた剣が此処に存在している。 その剣を握るのは父でも、ましてや自身でも無く、全く無関係の者
「っ、ざけんじゃねえ!!それはアーサー王が王として歩み始めた時からある剣だっ、そしてそれは永遠失われた!!お前が持っている筈がねぇ!」
「剣が失われたとかどうとか、そんな事はどうでもいい!!」
「ッ!!」
何故自分は圧されている!?俺は円卓の騎士であり、アーサー王の嫡男、そして反逆の騎士だというのに! こんな小娘がサーヴァントである俺と剣技で同等なんて有り得ない。
魔術師であれば、筋力などに強化を掛ければ一縷の望みは僅かにあるかもしれない、だが
この剣の扱いはまさにアーサー王その人に重なる
俺を殺した父上と同じ剣技だというのか!?
違うッ、この女は父上では無い!!そうあっていい訳がない!
「貴方は強いよ、モードレッド。流石はブリテンを滅ぼし、アーサー王に死に繋がる致命傷を負わせた騎士。」
「ああそうだ!俺はアーサー王の息子であり反逆した騎士!!父上の野郎が俺を認めなく否定し続けた!!だからブリテンは滅んだ!!俺に大人しく王位を譲りさえしていればそれは回避出来たというのにな!!」
「知ってるよ、余りにも貴方の叛逆の物語は有名だからね…!ただ…--------------------------」
「ぐっ!?」
怒りだけの力任せに剣を振るう今のモードレッドと 冷静を保ったまま剣で迎え撃つ明日香とは大きな差が生まれる 一瞬、魔力により筋力を爆発的に上昇させれば油断していたモードレッドは態勢を崩し 一気に押し込まれる。
その気迫は凄まじく地に足がめり込んでしまう程の力だ。
「理解したことがある?」
だが、それと対照的に声音は震えていた。
「国の為、人の為の良き王で…理想の王様であろうとし続けたあの子を…。」
まるで自分の事のように悲しみながら
「滅び行く国の行く末を見つめながら、それでも人々の理想に応えようと自分の人生を捨てて戦い続けたあの子を…」
苦しむように
「本当のあの子を理解しようとしない癖に、遠い理想だけを押しつけて…ッ!!誰一人本当のあの子を救おうとはしなかった!!」
だ目の前の女は目に涙を張りながら自分の事のように叫んだ。
その表情が、瞳が、最期に見た
「それはこっちの台詞だ!!アーサー王の子として産まれ、彼に憧れ、円卓の騎士まで自力で上り詰めた!!自分が王の息子と知った時の俺の高揚した気持ちが分かるか!?正統な後継者は自分だというのに、否定された俺の気持ちが!子としてすら認めて貰えず殺された俺の気持ちがテメェにわかんのかよ!!」
だがモードレッドも不満を全てぶちまけた。 あの日もそうだ、父であるアーサーに問いただした。 だが返ってきたのは、己を突き刺す槍とその思いを否定する言葉だ。
死にゆく自分を看取る事さえしなかったのだ。
「だからアルトリアは後悔してたよ!!貴方をもう少し理解して心から向き合っておけば、少しは変われたかもしれないって!!全部、全部吐き出して泣きながら後悔してたんだよあの子は!ごめんなさい、ごめんなさいって!でも貴方はアルトリアを理解しようとした!?息子と認めて貰いたいばっかりそれだけを押し付けて、滅びゆく国の王位継承を迫ってくる息子にどんな思いでいたか!!騎士王がどれだけのものを背負うのか、お前に分かるか!!」
「アルトリア…どうしてそれを!!父上の幼名を!!」
「彼女とは一聖杯戦争で…一緒に戦った!この剣はその時に…!
「父上と聖杯戦争を…!?」
アルトリア---------、それは父であるアーサー王の幼名だと母から聞いた。 王となってからその名を捨て父はアーサーになった。 それを誰かに教えるという事は、その相手が絶対的な信頼におけるという意味だ。
なら今この女が言った言葉は全て、父が本当に話したことだというのか。 自分に歩み寄ればよかった? 理解してあげればよかった? 何を今更、そんな都合がいい話を?
だったら俺は何のために反逆したと言うのだ、
何の為にアーサー王に殺されたというのか。
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!!--------------------------------------------
「ッ!!?」
モードレッドから突如魔力が放出され火力が増す。 その足から繰り出された蹴りは容赦なくガラ空きの腹へとめり込み、蹴り飛ばされる。 アストルフォが叫ぶ声がしたが、立ち上がりモードレッドを見据える。 その瞳は大きく見開き、涙が張っていた。
「それが父上の言葉だと言うのならば何故、歴史をやり直さない!!?後悔だらけだと言うのであれば聖杯に願えばよかっただろう!!一からやり直したいと!!そうすれば俺を殺すこともブリテンが滅ぶことも回避出来た筈だ!!」
そこまで言われて、そう思うのは当然だ。 だがアルトリアは決してそれを望まなかった、それが正しい歴史だからと。
ブリテンが史実通りに滅ぶ事こそが世界に刻まれた正しい歩み、 でなければ後に繋がる生命へ亀裂が生じ今ある人類史が消滅しかねない。 そして、何よりその時代にブリテンの大地に生きていた人々への侮辱だと。
それをあの優しい王様は出来なかった。 だから諦めたのだ
それにモードレッドは気付けていない、王になりたいっていうのはただの形だけで 王になって、それでどうすればいいのかすら分かっていない。 ただアルトリアの認められるにはそれだけしか無かっただけで、それも空振りに終わったけれど。 辛く苦しみ続けたのはモードレッドも同じ
更に魔力が高まって行く、そして彼女の剣に走り出す赤雷。 怒りや憎悪が入り混じった父への感情の具現化…
あの手にある剣は
本来の持ち主、使い手では無い彼女がその真価を扱える筈が無いのだが…-------------------------
手に握る、選定の剣に魔力を込める 真名解放を感じた剣はその力を放たんとばかりに黄金に光り かつて見た聖剣のように辺りから黄金の粒子が舞い上がり、なんとも幻想的な光景を生み出す それは、かつてかの騎士王が始まりを告げた日、彼女の旅の始まりを照らさんとした光。
「これこそは、我が父を滅ぼし邪剣!喰らえ…---------------------------」
「選定の剣よ、邪悪を断て…-----------------------------」
憎悪を纏った赤雷が一直線に向かい放たれる、それは愛しき父、憎き父に反逆を起こした彼女の象徴。 それに対して迎え撃つは黄金の一閃、それは聖剣と同等の眩い程儚いアーサー王の歩みの歴史。
互いの想いはぶつかり合い大地を揺らす
そして、両者一歩も引けを取らず閃光は相殺された
だが
「まだ、打ってくるか…!」
消えたと思われた赤雷は再び光を奔らせる 宝具の連発、それがどれだけリスクが高い事か彼女のマスターの負担も良い所だ。
そんな凶行に出たのは、恐らく
だとしたら---------------------------------------
「これで終いだ!!消えろ!!」
モードレッドが再び剣を振りかざし、
二発目の
モードレッドは知っていた、
ならば、そこを突けば確実に仕留められる
だが、彼女の瞳は未だこちらを真っ直ぐと見据えている
差し出した手には何も握られていない。
なんだ、何をするつもりだ。武器を持たずに、素手で受け止めるとでも?
そんな事が出来るはずが無い、直ぐにこの赤雷が全てを吹き飛ばす
「なに!?」
だが、それは届かなかった。
届いている、
いや、違う。
弾かれている…-------------------------------------!!
彼女に向かって放たれた憎悪は
例えどんな怒りも、どんな憎しみも、呪いさえも我には届かず。
この守りを貫ける物があれば、名乗りを上げよ。
この黄金の鞘を切り抜けるものがあるのならば、受けて立とう
命を紡ぎ続けた、この鞘の名は--------------------------------------------
「
「凄い…」
アストルフォはその幻想的な光景に感動をしていた。 彼女がどうしてアーサー王の宝具を簡単に扱ってしまっているのかというのを理解する事は無く。 ただ圧倒的な神秘を見ていた、
自身やフランケンシュタインを追い詰め、苦しめたあのセイバーの宝具と渡り合い そして今この瞳に映る光景はなんなのか。
なんて、温かい…黄金の光。
まるで、魔法のようだ。
あの禍々しい赤の全てを飲み込んでしまった。
「オレの宝具を二度も凌ぐとはな…、だが何故お前がそこまで俺を全力で迎え撃つ!?いくら父上と面識があった所でお前とは赤の他人だ!そんな事をした所で解決する問題じゃねェ!!」
「だって、二度と貴方に会えないかもしれないじゃない。そうしたら貴方はアルトリアの事を知らないまま、またアルトリアを憎んで、苦しみ続ける。そんなの辛いだけでしょ。」
全力全開とは言えなくとも、宝具を二発も連発し 流石のモードレッドも疲弊を隠せずに息が上がっている。
「…ッ、オレがそれを聞いた所で俺の憎しみは消えない!!オレのアーサーへの憎悪は消える事は無い!!」
だが、それでもモードレッドは問わねばならなかった。彼女へと進まなければならない 人の家庭に首を突っ込むお節介とも言えるこの少女に何故自分にそこまでするのかと、 自分がこうして叫ぶ度に、悲しそうに辛そうに聞いているのが腹に立つ、という訳ではない。
どうして、こんな自分にそんな優しい顔が出来るのか。
どうして、父は自身の内心をこの少女に吐露したのか。 王の仮面を脱ぎ、ただ個人として打ち明けられたのか。 悔しい、悔しい!!実の息子よりこんなほんの僅かな時間を共にしただけの者にまるで父を取られたかのような気分だ
何なんだ、何なのだ
一体
「お前は父上のなんだって言うんだ!!」
この女は、何だというのか。________________________
「私はアルトリアの…---------------------ッ!!」
モードレッドの問いかけに答えようとした時だ。 体が桁違いに重くなり、視界が揺れる。 膝から崩れ落ちるように体制を崩してしまった
「(エルキドゥ化の影響がこんな時に…!!)」
ヘラクレスの時にとったエルキドゥへの変身の副作用がこんな時に限って出てしまったのだ。 しかもその後に宝具を二連発で放ったのも災いしたのか、発作のように襲った疲労感は腕一本動かす事も満足に行かない
そして、その大きな隙をモードレッドは見逃さなかった、一気に距離を詰め彼女へと斬りかかる。
「ッ、やめろセイバー!!」
アストルフォは駆け出し庇おうとするが、間に合わないのは目に見えていた。 折角自分の代わりに赤のセイバーの相手をして助けてくれたのに 見殺しにしてしまうのか、この少女すら助ける事は出来ないのか
「(駄目だ、間に合わない!!)………-----------------------------!!」
「くたばりやがれ!!」
不思議だ、自分の首を狙う迫り来る邪剣がゆっくりと見える。 避けられない、抵抗出来ない。
こんな所で終わってしまうのか
アタランテに約束したのに。
アキレウスと後でまた会おうと約束したのに。
だが、その邪剣が彼女の首を刎ね飛ばす事は無かった。 代わりにその斬撃を別の存在が防いでいたのだ
「ッ、貴様は…!?」
月の光に照らされ美しく光る長い銀髪 鎧を纏う屈強な男 感じるその気配からして、サーヴァントに違いは無いのだが
誰だ?
一体、彼はどこから現れたと言うのか
いや、どうして自分を助けてくれているのか。
「彼女を殺させはしない!!退け、赤のセイバー!!」
「くっ!?」
その剣士は圧倒的な力でモードレットを押し込んでいく そしてその最中、剣士の髪が揺らぎ大きく開かれた背中が露わになる。
そこには、何かが張り付いていたような跡。
まるで、大きな葉のような…
「君っ、良かった!怪我してない!?」
彼とモードレッドの戦いに唖然としていると アストルフォが駆け寄り、肩を貸し立ち上がらせてくれた。
「怪我、してない訳ないか…。結構蹴られてたもんね…」
「ありがと…、あのセイバーのようなサーヴァント知ってる?」
「うん、勿論!彼はまあ味方なんだけど、実はあのセイバーはさっきまで死んでいたと思った彼だよ!」
「えっ」
…すみません、どうだ!凄いだろう!とばかりに言われても意味が分からないです、アストルフォさん
アストルフォの説明から纏めると
まず、
だがそれだとしても、ホムンクルスのあの少年はモードレッドに間違いなく殺され 先程までは完全に死んでいた。 ジークフリートの心臓の影響なのかどうなのかは分からないが蘇生を果たし
しかも、ジークフリートの能力を得て戦えるようになったのだと。
成程、全く分からん! きっとお前が言うなと思われるだろうけれど、自分が言われる立場になると意味が分からないですね、はい。
だけど…
あまりにその能力は強力すぎる-------------------------------------------
彼の肉体に、メリットと引き換えに何かしらデメリットが発生していても可笑しくない。 サーヴァントになった自分でも前世であるエルキドゥ化は負担が大きい。 それをホムンクルスと言えど生者である、あの少年にサーヴァント化は…
寿命を減らす事に近いのではないだろうか。--------------
「君も助かって本当に良かった、それにありがとう!僕を助けてくれて!所で君は一体、誰なんだい?」
「私は元赤のライダーのマスターで訳あって赤の陣営を離反してるから、今は黒側の味方みたいな物かな?」
「成程!赤の陣営を離反して、僕たちの味方かー!あははは…、えー!?それどういう事!?」
負ける--------------------------
黒のセイバーと刃を交えるモードレッドの脳裏に浮かんだのは「敗北」だ。 全力全霊とは言えなくとも高出力の宝具を二発も連続で放ち、消耗している上に 突如として現れたセイバーはほぼ体力満タンの状態に近い
もしこれ以上戦闘が長引き、宝具の打ち合いになったら
確実に押し負ける。
そうで無くとも剣の打ち合いで押されているのだ。
倒されるのも時間の問題である。
潮時だ
『マスター!!撤退すんぞ!黒のセイバーまで現れやがった、これ以上はマスターの魔力も俺の魔力も空になっちまう!』
自身のマスターに回路越しに撤退の意思を伝える
『ああ分かった また生き延びてりゃ戦えんだろうよ。お楽しみは次に取って置こう。』
話が分かるマスターで助かったとこの時ばかりは思う。
戦場から逃げるのを恥と知りながらも、モードレッドはその場から撤退し消えて行った。
最後に殺し損ねた父を知る彼女を見つめながら。
自分は本当にあの時、彼女を殺したいと思った。
だが、もし殺してしまったら自分の知らない父の心を知ることは二度と出来ないと思ったのも確かだ。
もし、次に相見える事があるというのなら
その時は、落ち着いて父の事を聞いてみたい。
そう思った
A.FGO三周年の10大イベントに大興奮していたり、石を沢山貰ったりして嬉しくかったんです。あと体調悪かったり、法事だったり甥っ子たちと遊んで疲れ果てたり、でもその合間にちょくちょく加筆してたんで許してください。
Q.その間のガチャ記録をどうぞ
A.スカディさんシステムがヤバいと聞いて引かねばと思い40連しても来なくて、そこに課金石をまだ無課金石があるのに入れてみて単発したらスカディさん来ました。やっぱり単発は最高ですね。福袋はエドモンの宝具重ねたいなと思っていたら、この小説の悪役?ポジションの天草くん二人目ですよ、はっはははは。
ちなみにスカディさんの時に金キャスターで不夜城のキャスターが来ましたよ、4人目ですよ。王様殺しに磨きがかかるけど
このタイミングで金キャスターは良くないと思います。心臓に悪い
後はアーチャーインフェルノ、アストルフォとステンノさんが来てくれました、ステンノは2枚目なんですけどね。
ゴルゴーンとサリエリ先生来てくれました、サリエリ先生いなかったので個人的に嬉しいです。
ゲッテルデメルングはワルキューレちゃんが二人来てくれたんですよ。
ブリュンヒルデが個人的に欲しかったんですけど、同じ槍のワルキューレちゃんとメドゥーサが来ましたよ、はっはははは。
ipadにはシグルトが単発で二枚来て、ど畜生!と吠えました。
あっちガチャ運おかしいんですよねぇ、はっははは。ブリュンヒルデもいるから、全く畜生(あちらは無課金)
そんで水着の為に石は130個残していたんですけどね、物の見事に大爆死です。
エドモン重ねたかったんですけど、「エ」の字も無かったです。
今の石は0個でございます。ハハッ!そんな事よりキュケオーンをお食べ
残酷な事だ…
Q.福袋はどうしてエクストラにしたんですか?
A.期間限定が多すぎるからな、と。どのエクストラサーヴァントが来ても嬉しいですし。
アーチャーでギルガメッシュを引こうか、キャスター行こうか迷ったんですけど
そちらは暫く、フレンドさんにまだお世話になろうかと思います。
来てくれた天草くんも好きなんで嬉しいですよ、マーリン借りてバスターゴリラに仕上げるのが何とも堪んない。
Q.スカディシステムどうですか?
私の手持ちサーヴァントだとスカディシステム出来るのがエドモンとアキレウス、育て終わってないけどフランちゃんだけなので
実質あまりクラス相性を選ばないエドモンで楽しんでます。
アキレウスはまだ第三スキルがレベル6なので難しくて…エドモンはスキルマです。
ただ、カード運が無いと3ターン周回が成立出来ないのでその度にハラハラします。
さあさあ、小説の方もアニメの一期の終盤あたりの話になってまいりました。
副題は前半どう見てもヴラド公関係にすべきかなーとか思いましたが、
後半の殆どは『セイバー』関係だったので、セイバーにしました。
『反逆の騎士』『鮮血の伝承』色々候補はあったんですけどね…
ライバルをヘラクレスにしようか、ヘクトールにしようか、アキレウス絶対殺すウーマンにしようか迷っていたのですが。
後者2人は生前アキレウスに負けているので滅茶苦茶見せ場、みたいな戦いの場面が想像出来なかったという事もあり
やっぱり、コイツどうやって倒すんだよ的なイメージがあるヘラクレス先輩にしたっていう。
まあヘラクレス先輩は暫く出番ないからゆっくり休んでくれや。
次の話は、恐らくアキレウスと天草くんが対峙する場面になるかと思います。
いやー修羅場が待っている。