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第五話『開戦の狼煙』

第五話『開戦の狼煙』 - Ask(プロフ見てね)の小説 - pixiv
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13,851文字
彗星は大地に降り注ぐ
第五話『開戦の狼煙』
アキレウスが来ました、沖田さんピックアップで来ました。(ピックアップとは)

虹回転久しぶりに見たの…

☆5は単発で来ますね。輝石が足りません、落ちません。

あえて、天草くんがセミラミスに令呪を使ったのかは皆様のご想像にお任せします。
アニメではその堂々たる風格でセミ様をビビらせる事が出来たので使わなくてもいいだろうし
それぐらい邪魔したら怒るぞって事で使ったのかもしれないし。

一人称が変わってるので結構マジです。

あとですが設定の方にも記載がありましたヒロインちゃんのお母さんは「禅城家」出身です。
詳しく言うと葵さんのお姉さんという設定です。(年齢差はルートによって10個以上離れてたり数歳程度だったり…)
ですから、基本的にうっかり時臣さんは叔父で凛や桜とは従姉妹同士になります。
これはFate/Zeroアニメ放送時にハマった時に考えたのですが「本当にチートだな」と自分でも思いました…。

葵さんたち禅城の体質はアキレウスの母テティスと同じ『父親より優れた子を産む(配偶者の家系の血を最大限に引き出す)』ものであるのもちょっと奇縁だなあ…とアキレウスにどっぷり沼ってから思います。

ヒロインちゃんの父方の家系『桐城(キリシェロ)』は以前は御三家や名門アーチボルトとかにも全く引けを取らない魔術の名家でしたが当主だったお祖父ちゃんが日本人の妻と結婚を機に魔術とは離れて家を畳み日本に移住した…とかどうとか。
なので、ヒロインのお父さんは魔術回路や魔力の量に関しては超一級品だけども一切魔術を教わったりしなかったので宝の持ち腐れ状態でした、もしちゃんと特訓とかしていれば凄い魔術師になってました(語彙力)

なのでキリシェロ家は簡単に言うとまだまだ発展や成長を遂げてトップ企業になれた筈なのに、それを望まず「もうおーしまい」で畳んだ会社です。

魔術回路が細くなって衰退していった間桐やユグドミレニアさんたちは大違いな幕の閉じ方です。
これには時計塔とかも大変ビックリされたとかどうとか。

そんなお父さんと禅城家出身のお母さんが結婚し生まれたのがヒロインちゃん。

じーちゃんより凄いのがとーちゃん。

そのとーちゃんより凄いのがヒロイン。

という事なるので、ひたすら凄くすると詠唱無し、現代の魔術師レベルじゃ収まらない、魔力量や魔術回路とんでもない。
その上前世がエルキドゥというプラス補正が掛かり士郎と同じチート投影が可能という事になるのです。(やっつけ)
封印指定喰らわないの?という事に関しては気にしたら負けレベルです(ヤケクソ)

結果:

時臣『葵と義姉さんは母体として半端なく優秀』
ギルガメッシュ『俺の朋友マジで凄い』

だそうです、裁判長。

そしてパソコンに残っている残りのストックがピンチ。
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2018年6月1日 18:51








「ルーマニア各地で、殺人事件か…。」







朝方にポストに放り込まれた注意喚起のチラシを目に通しながらアキレウスはこんがりと焼かれたパンを齧る 「殺人事件」も大層物騒な問題ではあるが 聖杯大戦が始まった此方からしたら表側のそっちで頑張ってくれという話だ。





「おかげでトゥリファスの街もお店閉まるの早くなって来たね…。アキレウス、コーヒーおかわりいる?」



「おう、貰うぜ。……ミルクと砂糖入れていい?」



「ご自由に。ユグドミレニアの方向からサーヴァントが新しく6騎召喚されたのは間違いないから、いつ戦闘が起こっても可笑しくないんだけどねぇ…。」



「だよな、それを感じて4日だぜ?本当に聖杯大戦始まってんのか、コレ。」















聖杯大戦が始まって…正確に言えば両陣営にサーヴァントが正式に召喚され4日。 一向に両陣営共々、目立った動きが見られない、 強いていえば街にサーヴァントの気配が一つ増えたぐらい。

恐らく赤のセイバー、モードレッド。赤陣営の魔力とは違っており、何よりアルトリアに似ている魔力だ。

ともあれ… 本当に聖杯大戦してるのかコレ?と言いたげな事案になってきた。 いや多分、赤の陣営もアーチャーとライダーが欠けて下手に攻め込めないだけなのかもしれないけれど。

気配感知スキルも、前世の全盛期と比べ格段に下がり良くて周囲5キロ。 精度も落ちまくり余程集中しないと感知不可能。 昔はもっと細かい所まで感知出来たのだが…







ちなみに前世がエルキドゥだった事と魔力を使うがその姿を取り戦えることをアキレウスに教えたら



『ブフォッ』





また飲み物を吹きこぼしていた。 冗談だろ?と言われたので、正真正銘エルキドゥですと姿を変えたら… 『俺と髪がお揃いの色だな!』と何故か喜んでた。 生前は朋友が『ちょっと我でもどうかと思う』と言うぐらいアクティブモンスターだったと思いますと言うと

『えっ?』と言葉を失ってた、はっ…反省してるよ! あの暴君時代のギルが言うぐらいだったんだから!



あっ、話が脱線してしまった。





「まあでも、近々何かしらアクションはあると思うよ。」





そう、赤の陣営は作戦の立て直しでワタワタしていて。 ユグドミレニアはヴラド公のボーナス補正で慢心しまくっている。敵なしだと思い込んでるだろうし



何が起こっても本来はおかしくないのだけれど。













































「気にしない様にするつもりで居たんだが…このタイミングでこの街でも殺人事件が起き始めたか。」









昼食を何処か食べに行こうと思い、外に出れば 歩いてすぐの民家から死体が見つかったと住民の話声が耳に入った



現場の近くまで行き、ブルーシートに包まれて運ばれる死体を見てアキレウスと共に考える。





警察が言うにはルーマニアで起きている殺人事件と関連性が強い事 しかし一切手がかりとなる証拠が見つからない。 死体には心臓や臓器が綺麗に抉り取られているという残虐な殺し方らしい。



「警察が言うに状況的に殺人で死体からは薬品の反応なし、って事は意識があった…生きたまま殺されたって意味だよな?」 「多分ね、首を絞めた様子もないとか言ってたし。でもそんな生き地獄なのに断末魔も聞こえなかったってのがね…。」







本当に手馴れてる人物しか行えない技法。 薬を使い意識を混濁させる方法もあるだろうが薬品反応がない事からそれは消える。 そうなると…







「…サーヴァント、あるいは魔術師の類だな。セイバーに関しては王に反逆したと言え円卓の騎士様だ、それは無ぇな。」

「黒のアサシン。ジャック・ザ・リッパー…で間違いないと思う。切り裂きジャックは被害者の臓器を持ち去ったりしてたって言われてるし…サーヴァントにとって人間の臓物とかってどう?特に心臓。」





厳密に言えばアサシンはジャック・ザ・リッパー本人…という訳ではないのだが。





「言い方は胸糞悪いが即席のご馳走…魔力の塊みてぇなもんだろ。俺たちサーヴァントはマスターからの魔力供給が途絶える、もしくは足りない場合は生きてる人間の魂啜るか血液や内臓食って現界し続けなきゃいけねぇ時もあるからな。」



その問いかけにアキレウスは苦虫を潰したように説明する。 申し訳ないが、その通りだ。 マスターからの魔力が足りなければサーヴァントは現界を維持出来なくなる。

その為行う事になるのが、魂食い、そしてその次に血液や臓物を食らい魔力へ変換させる事 魔術師に比べ一般人からは微々たる量かもしれないが補う事は出来るだろう







「…つまり、黒のアサシンのマスターは魔力が異常に少ないか、あるいは魔力すら持ってないか。」

「うん。きっとね、あの死体からもほんの僅かにだけど魔力の気配が残ってる。ユグドミレニアの魔術師かなんかだと思うよ。アサシンのマスターはきっと一般人の可能性が高い。」



「一般人がマスター、ねぇ。あんのかそんな事。」







貴方の死後の奥さんがそうだったよと言いたかったけど彼女の場合は事情が特別だ。









「流石にユグドミレニアの関係者が殺されたとあって黒側も黙っちゃいないと思うよ、黒のアサシンがこの街に来てるのは確定したんだし。…偵察がてら早くて今夜来るかも。」

「来るとしたら誰だと思う?」

「そりゃあ…そういう偵察っていうのはアーチャーじゃない?」





アーチャー、そういうとアキレウスは「げぇえ…先生か。」とつぶやく。 というか、黒の陣営では多分彼が一番適任なのでは? あともう一つ怖いのは此処までアサシンがやらかし続けていると、一応監督である天草四郎が動く可能性も無くは無い。 セミラミス、シェイクスピア達が「様子見てこい」と言われてやるとは思わないし カルナも街では浮きすぎてしまう、そう考えると…適任なのはアイツ本人。

うわあ…出くわしたくない。





「多分だよ、多分。それに来ても下手に喧嘩売る事もしなけれればいいし。」

「聞くぜマスター。それで敵が来なかった事ってあるか?」

「ないねー、冬木の時は皆血の気盛んだったからね。ヘラクレスが特に。」 「ですよねー。」





どんぐらいヤバかったか?

………思い出したくないぞ。 バーサーカーでまだよかったと思えるぐらいだからね!





「アキレウス、お昼どこ食べに行こうか。」

「んー…肉がいいかな。」



「それだったらね、お肉屋さんの奥さんが教えてくれた店あるからそこ行こうよ。」

「おっ、そいつは楽しみだ。でも俺はマスターの料理が一番好きだぜ?」

「それはどういたしまして。」































そして予想は的中する。



その日の夜、サーヴァントの気配を新たに感じた。



偵察を警戒しながら建物の屋根に身を潜ませる事にし 最初は時計塔にしないかと考えたが。 向こうが偵察しに来るのなら街を一番見渡せる場所を選ぶだろうと

それに最も適しているのはこの街のシンボルである時計塔しかない。



だったら私たちは時計塔を見れる位置にいればいい。 幸い時計塔から死角になる建物をこの長い滞在期間で見つける事が出来た。 あちらからは見えなくてもこちらからは見える。





街の様子は、流石にルーマニアを震え上がらせている連続殺人事件のおかげで人通りは無いに等しい その為アキレウスも戦闘服ではなく私服で屋根に堂々と這い蹲る事が出来るのだ 傍から見たらこの男女なんで屋根に寝そべってるんだろうね、と通報されかねない。







「こんな殺人ばっか起きりゃあ流石に夜も人通り少なくなるか、どうだマスター見えるか?」

「うん、サーヴァントが2騎。地上とやっぱりあの時計塔から…多分、お互いにマスターもいる。」



地上には

視線の先には厳つい強面の男性と

その隣を歩くのは



「甲冑姿…もしかしてアレがモードレッド?」



…いくら人通りが少ないと言え甲冑姿で最初から堂々と出歩くか!? 甲冑の作りがアルトリアの物と似ているから恐らくアレがモードレッドで間違いないとは思うけど…



「あのちっこいのが騎士王の息子か、ガラ悪ぃ…田舎のヤンキーみてぇだ。」

「分かりやすい例えだね、それ。さてと、次は…」



モルガンさんどういうご教育されたんでしょうね、本当に。 やれやれと思いながら次に時計塔の方に視線を移す 上の方に立っている比較的大柄な男性、じーっと見つめながら アキレウスに確認を取る







「ケイローンって茶髪?髪の毛長い?」

「おう。子供の頃は乗せてくれたら手綱代わりに掴んでたぜ。綺麗な茶髪です。」

「尻尾生えてる?」

「はい、勿論。ケンタウロスなんで…」

「弓持ってる。」

「…ソレ、センセイデス。」



私の問いかけにアキレウスは淡々と答えていき、最後はもう敬語やカタコトになってた。 確定です、裁判長。あの人がアキレウスの師匠、英雄育成塾と名高い大賢者ケイローンです。 そしてその隣に佇んでいる女の子がマスターに違いない。 ケンタウロスの容姿で現界してアーチャーと来たら速攻で真名がバレるのを考慮したのか

今回は敢えて人型での現界を選んだようだ。



アキレウスは見るのが怖いのか顔を手で押さえている。



「ヤバい、会ったら色々怒られそう…。踵に矢、それだけは避けたい…マジで。」

「大丈夫だよ。まだこっちに気付いて無いし…アレ?」







突然、モードレッドたちの居る近くから霧が発生しだした。 私たちの周りには一切そういった事は起こる気配はない

あの一帯だけ…

ケイローン達の仕業という訳でも無さそうだ、むしろ「何ですかねアレ。」みたいな顔をしている。

そうこうしている内に霧の中から聞こえ出す金属音。 流石にアキレウスも顔から手を離し霧の中を睨む





「なんだ…!?」

「ケイローン達の仕業でも無いとしたらきっとアサシンの…!アキレウス、帰ろう。戦闘範囲が広くなればケイローンたちも乱入してくるかもしれないし今此処で彼らと鉢合わせるのはちょっとね…。」

「よし帰ろう、すぐ帰ろう。先生が来る前に迅速に帰ろうぜ。無事に帰るまでが撤退だ!」





モードレッド、アサシン、ケイローン達と乱戦する気にはとてもなれない。 帰ろうと言った時のアキレウスの行動は早くすぐに私を抱え込み屋根から屋根へ飛び移って行く 背後から爆発音まで聞こえたけど知らない。気にしちゃあいけない。

その後も激しい爆発音やら衝突音は続きアキレウスは「えっ先生の矢爆発すんのか?」と震えていた。

翌朝、現場近くを確かめると車が何台かがボコボコになり地面やら壁やらも 道路もご愁傷様な事になっていた。修繕費凄そう

おまけに運悪く市民が一人巻き込まれが呼吸困難に陥り亡くなっていたらしい。 多分アサシンのあの霧を吸ってしまったんだろう。 人間がそうなると言うのなら毒かあるいは酸性の有害なもので魔術師でも対応が遅れればタダじゃすまない。 肺や気管が爛れ死に至る。魔術師でもそれなのだから一般の人間はどうしようもなかった筈だ







「先生が赤のセイバーと黒のアサシンに対して矢を打ったとすれば…アサシンを歓迎って訳じゃなさそうだな。」

「うん、そりゃあ身内の魔術師が殺されてるんだし聖杯戦争という秘匿を表に晒すのは普通の魔術師だったら避けたい事案だしね。」 「…お堅いねェ、魔術師ってのは。」

「そうだよ魔術師って。基本的に頭が馬鹿みたいに硬い人や古い文化が全て正しいと思ってる人が殆ど。名家になればなるほどその深みは凄いんだから、現代の電子機器すら真面に扱えないし嫌う人も多いし…。」









子供の頃に亡くなった叔父も



『では今度凛と私の予定が合いそうな日が分かったら手紙を送ろう、えっ?電話で良い…?いや違うよ?私は使わないだけであって苦手な訳じゃないからね?ボタンの一つや二つ押せるとも!』と渋っていたし



その娘も娘で



『ねえ先生からこのプリントをコピーしておいてって頼まれたんだけど…、コピー機の使い方を教えてくれないかしら…。まっ、前にも聞いてきたでしょって顔しないでくれる!?壊して弁償とか言われたらウチの家計が火の車になるのよ~!』

…見事に遠坂家の機械音痴は遺伝しまくっている。 凛はどちらかというとボタンやメニューが多い系が苦手って感じだったな。





「なんとなくわかる気がするわ、大体どの時代も古臭い連中はろくな事しねぇ。特に上司や王ってのは。」

「ウン、ソウダネ。オウサマロクナノイナイコトオオイネ。キンピカトカ」

「何でカタコト?あー…マスターの前世の朋友がそんなんか。」

「私がもっと長く生きていれば頭ぶん殴って直せた事もワンチャン…あーでも私もあの時結構アクティブモンスター…」

「すまんマスター!いやでも俺はちょっとトゲがある奴も良いと思うぜ!?」





よくギルガメッシュは暴君で「ドン引きだわー」と思う事相当やっていて呆れたけど 友達だから、まっいいか!で大抵は流していたし…そりゃあ酷い時は怒ったよ。 それを思い出す度に『俺もちょっとどうかと思う』とあのマジでそう思いますって顔が浮かぶの! あのギルガメッシュに言われたんだからね! 多分コレ一生引きずるわ、霊基にガンガン刻まれてるなあ…。









「……!!」





「どうした、マスター?」

「いや、少しだけど…空中庭園が動きだした…ユグドミレニアの方角に向かってる。」





空中庭園の位置や気配が明らかに初日から移動している。 速度はとてつもなく遅く、まるで亀のようだが… その言葉にアキレウスは眉間に皺をよせ





「アイツら…本当にカルナ一人に突っ込ませるつもりか?」

「それは分からないけれど…、ユグドミレニアに奇襲をかけれる準備が出来たって事?」





私が気配を感じられる範囲だから高度は少なくとも2000メートルは降下し ユグドミレニア城塞に向けて進路を向けているとなればそう考えるのが正しい。 ただどうやって戦うつもりだ?

だが赤が動き出しのであれば次に動くのは黒だ。



そしてルーラーが現れる。



そのチャンスを逃し大人しくしている訳にはいかない。



「…今夜ユグドミレニアの城塞に行こう。多分そこに黒も赤もルーラーもみんな集まる…」 「了解した、だがどう動く?立ち回りによっては俺達は黒と赤から攻められるぜ?」











アキレウスの言う通りだ、城塞に向かえば 両陣営の争いに巻き込まれる。 赤側からも『裏切り者』と攻撃され、黒側からも勿論『敵』と認識される。













だったら…_____________________________________





















































夜、木々が生い茂る深い森を三頭の馬が繋がれる戦車が駆け抜ける その頭上の暗い空に浮かぶは巨大な城塞。 改めてその桁違いのスケールには息を呑む、だがそれだけじゃない。



「黒の陣営からは5騎のサーヴァントしか感じない…!誰か退場したっぽいんだけど!」

「どうなってやがる!?今日までろくに争いは無かった筈だぜ!…クソッ相変わらずでけぇな、女帝様ご自慢の庭は!」



黒のアサシンを抜いたとしても6体のサーヴァントがいる筈だ。 だが黒の陣営はそのうちのどれか一つが欠けていた。 理由は分からないが、数ではまだ赤の陣営が圧倒的不利なのは変わらない。



「マスター、森を抜けんぞ!」





「…!!」













深い森を抜けると、そこに広がるのは拓けた草原。

更にその奥へと目を向ければ古城が聳え立つ。 あそこがユグドミレニアの城塞であり、その地下に冬木の大聖杯が眠っている。

だがそれまでの道程が問題だ。





「なんつー数の伏兵を用意させてやがる…!」





大量に大地を埋め尽くさんと言わんばかりに量産されたゴーレム そして…









「ホンムクルス…----------------------------」





手には武器を持ち、侵入者の足止めの為だけに作られたであろう人造人間。 その両者が行く手を阻んでいた。 既にサーヴァント同士が戦闘を開始しているのだろう、巻き込まれたり返り討ちに遭った残骸が随所に見える。

ただこの為だけに作られて 用が済めばゴミ同前に捨てられて忘れられていく 死んだら誰も悼んでくれない。





本当に、聖杯に執着し続ける奴らはおかしいと毎度の事思う。













「…本当にいいのか?これから別行動(・・・)で。」



「うん、きっともうケイローンは気付いてる。一緒にいてもきっと彼だけはずっとアキレウスを狙ってくる。」



「だよなあ…。しかし先生を倒さずに時間稼ぎだけってのも難しい話なんだが…」



「大丈夫、踵には一度だけ攻撃を無効化する礼装付けたし。一度だけならイケるよ!」













作戦としては二手に分かれアキレウスはケイローンを引き付けて時間稼ぎ。 私はこの戦闘大勃発地帯を突破し直接城塞に乗り込む 比較的警備が手薄であろう城内に侵入して大聖杯を見つけ破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)を打ち込んでしまえば後はもう解決だ。

杜撰かつ単純なステップでしかないが、現段階ではそれが一番理想的である。



赤の陣営も黒の陣営もお互いのボスが話をして『受託』する人間ではないのはもう明白であるのだから 1パーセントの超絶無謀な賭けより、99パーセント手っ取り早い手段の方が選べるのであれば選びたい。 ただこうして戦場に出たという事は











「俺が先生に見られてるって事は、天草達にもマスターの事を見られるって事だぜ?」







そう、両陣営に私たちの姿を認識されてしまう事。 特に赤側には衝撃以外なんでもない筈だ、姿を消したアキレウスが何故か居て知らない女と一緒にいる きっと何かしらちょっかいは出してくるとは思うが…











「大丈夫だよアキレウス。私は貴方のマスターなんだから。」



「ああ…そうだな、俺のマスターはその程度でヘコたれる女じゃない。だが何かあったら令呪を使ってでも呼べよ?」



「うん、そっちも何かあったら直ぐに言ってね。令呪でのバックアップも惜しみなくするから。」



「おう、そん時は頼むぜ。…じゃあ、後でなマスター!」











アキレウスはぐしゃぐしゃと乱暴に彼女の頭を撫でると 一直線に駆け出す、その方向から恐らくケイローンの気配を感じたのだろうか。 正直彼には戦士として申し訳ない指示を出してしまった。

かの大英雄に時間稼ぎ、をしろだなんて。



しかも師であるケイローン相手に彼を倒さず、引き付けて置いて欲しいと。 それがどれだけ無理極まりない事か…。 この作戦を話した時は「ざけんな」の一言は言われるとは思っていたが彼は笑いながら





『がががが…頑張るぜ、先生相手に時間稼ぎかつ倒さずに引き付けてやるからな…。ワンチャンいける…』



いや…ガタガタと震えながら快諾してくれた。 一体ケイローンはアキレウスにどんな特訓の仕方をしていたのか。 この反応はクー・フーリンの時と同じだぞ。 いや多分あっちのがもっと酷い。

「俺の師よりひでぇのがいるなら是非とも教えてもらいたいね」とちょっと荒れてた。





とりあえずそんな彼の気持ちを無駄にする訳にはいかない、 意を決して城塞目指し明日香は走り出した。









-------------------------------





アキレウスは、森を駆けていた。 疾風の如く俊足の足を惜しみなく発揮し、ある一点の気配の元へ。 近付くにつれて強まる視線。





マスターをあの激戦の地に残すのは心苦しい物があったが、恐らく自分が彼女と行動していても 彼は自分を狙ってくるに違いない、そうなれば彼女に被害が及ぶ。 生前の彼であれば女性に矢を向ける事はしないだろうが今の自分たちはサーヴァントだ。

サーヴァントを倒すより、敵のマスターを殺した方が早く片がつく。 作戦は単純であり順調にいく確率は少ないが一番ベストなものだ。















「やはり、貴方でしたか。」







だがそれでも、貴方に槍を向けたくは無かったと思う。 我が師であり赤子の時から自分を育ててくれた父。実の両親よりも長い時間を共に過ごした

英雄である自分の基盤となる知識、戦術その全てを授けてくれた。







「こっちのセリフだぜ。先生(黒のアーチャー)-----------------------。」







巨木の上から自分を見下ろす師。 その手には記憶に色濃く焼き付いている弓が握られている。









「赤のライダー…随分、本陣とは遅れてやって来ましたが?」



「数千年ぶりの会話がこれかよ、もう少し言う事あってもいいんじゃねぇのか?大きくなったなとか。」



「出来るものであればそうしたいですよ、ですが…そうは今はそれが叶わない。皮肉なものですね、かつての師と教え子がこうして刃を交えなければならないとは。」



「俺も出来るもんなら、先生と殺し合いなんざ御免だ。だが、」



「今はサーヴァントとなった私達には役目がある、貴方は赤のライダー、そして私は黒のアーチャーとしての。」



「俺にもマスターと共に成し遂げなければいけない使命がある。」



「よろしい…構えなさい、アキレウス----------」











『アキレウス』そう自分の事を真名で呼びながらケイローンは矢を弓へと番える。 その強い眼差しは子供の時に嫌と言うほど見た、獲物を狙う狩人の瞳。 …本気だ、彼は本気で自分を射殺そうとしてくるであろう。



きっと前の自分ならば迷っていた、何も知らずにケイローンと刃を交える事になれば 甘さが引き金となり満足にこの槍を振るう事が出来ずに。 あの矢を心臓に受けているだろう。



だが今のは俺は違う、俺は赤の陣営ではない。

彼女のサーヴァントだ。





彼女のために力を振るうと約束した、その為ならば惜しみなく力を貸すと。

その選択に後悔はない。例えその選択が再び神に殺される事になったとしても曲げる事はない



それが俺の覚悟だ。









「まあコレも…惚れた弱みって奴か。」























だがやっぱり先生相手に時間稼ぎだけってのは厳しいと思うんだ、マスター。





















------------------------------







空中庭園の玉座ではセミラミスと天草四郎が遠視をしていた。 映し出される空間には各地戦闘を行っているサーヴァント達が映し出されている。 その中の一つに







「…ライダー…!!やはり我らを裏切っておったな…!」





黒のアーチャーと交戦する、アキレウスの姿もあった。 セミラミスの苛立ちは収まらない。





「しかし、我らを裏切ったとして何故彼は黒の陣営と交戦しているのでしょう。」

「知らぬ!反逆者の考えなど知った事か、アーチャーは何処だ!あの獣女め…!!」





これは相当、苛立っているな。 天草は口に出しては何をされるか分かった物ではないと感じそれ以上は何も言わないようにする。

セミラミスと共に見ているがアタランテの姿は発見できない。 アキレウスがいるのであれば、彼と同時に消えたアタランテが現れても可笑しくは無いのだが… いくら森の狩人といえど神代の魔術を扱うセミラミスの遠視を簡単に逃れる事が出来るだろうか。





「なんだこの小娘は。」

「おや?凄いですね、とんでもない勢いで突き進んでいます。」



「関心してる場合か!」







遠視の中の一つに気になる影が代わりに居た。 ゴーレムや使い魔、そしてホムンクルスで溢れ返る草原を魔術を駆使し駆け抜ける少女の姿。

黒側のマスター?

そんなわけがない、彼女が攻撃を行っているのものは全て黒の陣営側の物。



だとしたら?









「そもそも現代の魔術師が行える範囲の戦い方ではない…!詠唱をしている素振りすら無いぞ…!」





驚くのはそれだけじゃない、その魔術の行使の仕方だ。 この時代における魔術師であれば魔術を発動する際に詠唱は必須、魔術刻印を用いれば詠唱を省略出来る事も可能だ。

だが戦場を駈けていくこの少女の戦い方は高ランクの魔術の乱れ撃ち。 詠唱の「え」の字すら口が開いていない。魔術の種類があまりにも多岐に渡り過ぎている

ガンド、宝石…投影…これ以上見てても目が追い付かない。

魔術刻印があったとしてもこんな出鱈目な戦い方が可能なのか?

……いや、それはセミラミスの反応を見れば分かるだろう。 神代の魔術師に匹敵する魔術の使い手のセミラミスが驚きを隠せていないのだ。 となれば魔術の域はそこにまで達している。







「シロウ、あの小娘はお前の情報にないのか!?あの強さはサーヴァントに匹敵するレベルだ!」







知っているのであればこちらが知りたいものだと、思う。 セミラミスのその問いには首を横に振る。



「生憎ですが私が知りうる情報の中にあのような方の事は…城塞へと向かっているようですが…。まだアーチャーの姿は?」





「見当たらん!ライダーが現れた上にあの小娘は一体…!」





「ですが部外者となれば監督役として放置する訳には行きません、これでも一応監督ですからね。」



「…直接行こうと言うのか?」

「ええこのぐらいの障害をクリア出来なければいけませんし。可能であればスカウトでもしようかと。」





「物好きな男だな…まあ構わん。-----------------してアレ(・・)はどのタイミングで放り込む?」









セミラミスは少し落ち着きを取り戻したのか、大きくため息を付きながら 『アレ』と言われた物の指示を仰ぐ。







「大聖杯をスムーズに奪取したいので出来ればその直前辺りで黒陣営を引き寄せて頂いてほしいですが…。そこはお任せします。」

「了解した、すぐに放り込んで良いとは思うのだが…とりあえず気を付けて行って来い。」







「はい、あとですね……」













「…!」



  「()と彼女が話をしている最中は何があっても手を出すな、アサシン。」



















____________________________________









「数が多すぎるっての!!」



魔術を繰り出しながらゴーレムや使い魔たちを破壊していく。 だがホムンクルス達はそうはいかなくガントで気絶させているのだが数は減る所が増える一方だ。 いつになれば城塞へ辿り着けるのか、到着が遅れれば遅れるほど アキレウスには負担が掛かってしまうというのに



少し焦りを感じていた時だ。





「そこの貴方!一体何をしているんですか!!」









背後から怒りを含ませた怒声が聞こえた。 その矛先は間違いなく自分だろう、振り返れば大きな旗を手にし鎧を纏った金髪の少女が立っていた。



旗を持ち、鎧を纏う女性の英霊なんて彼女しか浮かばない。





この人が、ルーラー



オルレアンの乙女 ジャンヌ・ダルク。 アタランテが憎しみの矛先を向けてしまった聖女。









「いくらマスターといえど、こんな無茶苦茶な戦場に出てくるなんて何をお考えですか!様子から見て黒側の方ではないようですが…、まさか赤の?」

「あっ、いやそのまあ確かに黒側ではないけど、赤の陣営でもないよ。」



「えっ?それは一体どういう…って貴方は一体何者なんですか!?サーヴァント!?それに…!」





ルーラーは怒りながら私を見ると大きく目を見開いて驚きを隠せない声を上げる。 そういえばルーラーって特権上スキルでステータスや真名を見抜けるんだっけか。 つまり彼女には私がサーヴァントでありエクストラクラスでマスターである事がバレたと。 「えっ?えっ?」と慌てている、そりゃあどう見ても人間で魔術師だと思ったらサーヴァントでしたなんて





誰がどう見ても驚くわ。



「とりあえず落ち着いて!」



「あっ、はい!すみません!」



それにしても酷い狼狽えようだったので、 とりあえず彼女の肩を掴み 説得だ。





「あの…、私達と協力関係になってくれますか?」





「えっ!?私と協力!?」





気持ちはストレートに伝えるべきだと、藤ねえが言ってた。 理由も述べずに「協力関係」と言ったからルーラーは声が裏返っている。 でもね、詳しく説明している時間はないんですよ。



「まあこっちにも少し事情があって…、とりあえず私は今赤側でも黒側でも無い立場でね。裁定者の貴方が召喚された理由も理解しているし、この戦場に居るって事はそういう意味でしょ?」



「両陣営に所属していない…?理解しかねますが、確かに貴方の言う通り私がこの戦場に赴いたのは啓示が下りたからです。ご覧の通り状況は芳しくありませんが…。」









啓示というのはいわゆる直感スキルと似ている物で高ランクな程それは確定した未来予知に繋がる。 それはきっと…

天草四郎に関する何かの啓示を彼女が受けた。 この戦いで大聖杯が取られる事が下りたのか、それとも…別の事 でも彼女から天草という言葉が出ない事からしてまだ天草四郎とルーラーは対面していない。







「ッ、話は後にしましょう…貴方は先に行くべき場所へ。サーヴァントがこちらに急接近して来ています。」

「それなら一緒に…!」



「いえ私一人で事足ります、さあ早く!!」



ルーラーの言う通り、サーヴァントがこちらに向かって接近している。 気配からして恐らく赤のバーサーカー。それにしても何だか魔力の量が異常だ だが二人で相手をするより、どちらかが大聖杯の元へ辿り着いた方が最善だ。





「分かった、ただ気を付けてルーラー。バーサーカー…スパルタクスの魔力量が跳ね上がってる…最初に見た時より数倍近くは。」

「…!ご忠告ありがとうございます、詳しいお話は後ほど合流した時にお聞きします!さあ行って!」







一先ずこの場は心苦しいがルーラーに任せる事にし、彼女に背を向けて走り出す。





ルーラーは会話の最中やたらと森の方角を気にしていた。 アキレウスとケイローンが交戦している方ではなく、強いて言うなら安全地帯だろう。



だが







誰かがそこにいる。_____________________





魔力の気配を隠す事なく、まるで堂々と自分はそこにいるとアピールするように。 森の奥から視線を感じる。ルーラーは恐らくそこへ向かおうとしていたに違いない。 彼女には啓示が、そして私には気配感知がそれぞれ警鐘を鳴らした。











誰、とは考えるまでもない。







天草四郎が来ている。







目的は恐らく私かアキレウス…いや私達の確保。

ルーラーの特権が無ければ二流の彼がこの激戦を繰り広げている戦場に危険を冒してまで赴くとは… まさか、わざとスパルタクスをルーラーの元に向かわせて分断して私が来るように誘導したのか?







行くしか…ない。 最悪戦闘になっても今の天草四郎になら余裕で勝てる。









そう警戒しながら森へと足を踏み入れる、アキレウスに念話で話そうか迷ったか ケイローンとの戦闘の最中に気が散る様な事はさせたくない。

大分奥まで来てしまったが、気配はどんどん近くなっていく。

























「----------出て来なさい、こんな誘き出す様なマネするなんて男らしくないんじゃないの。」



















そして薄暗い林道からゆっくりと姿を現す。





闇から溶け出す様な笑みを浮かべた



















「ですがそれでも来て頂けるとはお優しいですね…、こんばんはお嬢さん。」

























第五話『開戦の狼煙』
アキレウスが来ました、沖田さんピックアップで来ました。(ピックアップとは)

虹回転久しぶりに見たの…

☆5は単発で来ますね。輝石が足りません、落ちません。

あえて、天草くんがセミラミスに令呪を使ったのかは皆様のご想像にお任せします。
アニメではその堂々たる風格でセミ様をビビらせる事が出来たので使わなくてもいいだろうし
それぐらい邪魔したら怒るぞって事で使ったのかもしれないし。

一人称が変わってるので結構マジです。

あとですが設定の方にも記載がありましたヒロインちゃんのお母さんは「禅城家」出身です。
詳しく言うと葵さんのお姉さんという設定です。(年齢差はルートによって10個以上離れてたり数歳程度だったり…)
ですから、基本的にうっかり時臣さんは叔父で凛や桜とは従姉妹同士になります。
これはFate/Zeroアニメ放送時にハマった時に考えたのですが「本当にチートだな」と自分でも思いました…。

葵さんたち禅城の体質はアキレウスの母テティスと同じ『父親より優れた子を産む(配偶者の家系の血を最大限に引き出す)』ものであるのもちょっと奇縁だなあ…とアキレウスにどっぷり沼ってから思います。

ヒロインちゃんの父方の家系『桐城(キリシェロ)』は以前は御三家や名門アーチボルトとかにも全く引けを取らない魔術の名家でしたが当主だったお祖父ちゃんが日本人の妻と結婚を機に魔術とは離れて家を畳み日本に移住した…とかどうとか。
なので、ヒロインのお父さんは魔術回路や魔力の量に関しては超一級品だけども一切魔術を教わったりしなかったので宝の持ち腐れ状態でした、もしちゃんと特訓とかしていれば凄い魔術師になってました(語彙力)

なのでキリシェロ家は簡単に言うとまだまだ発展や成長を遂げてトップ企業になれた筈なのに、それを望まず「もうおーしまい」で畳んだ会社です。

魔術回路が細くなって衰退していった間桐やユグドミレニアさんたちは大違いな幕の閉じ方です。
これには時計塔とかも大変ビックリされたとかどうとか。

そんなお父さんと禅城家出身のお母さんが結婚し生まれたのがヒロインちゃん。

じーちゃんより凄いのがとーちゃん。

そのとーちゃんより凄いのがヒロイン。

という事なるので、ひたすら凄くすると詠唱無し、現代の魔術師レベルじゃ収まらない、魔力量や魔術回路とんでもない。
その上前世がエルキドゥというプラス補正が掛かり士郎と同じチート投影が可能という事になるのです。(やっつけ)
封印指定喰らわないの?という事に関しては気にしたら負けレベルです(ヤケクソ)

結果:

時臣『葵と義姉さんは母体として半端なく優秀』
ギルガメッシュ『俺の朋友マジで凄い』

だそうです、裁判長。

そしてパソコンに残っている残りのストックがピンチ。
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2018年6月1日 18:51
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