「私は人を見る目がある」という人は採用の仕事をしないほうがいいと思う理由
この仕事をしていると「ちょっと話せば採用すべきかわかりますよ」や「人を見る目には自信があるので、自分が採用に携われば問題ないです」といったことを耳にします。
また、「熊谷さんは経験あるから人を見る目があるんでしょう?」などと聞かれることがあります。
なんやかんやこの仕事を10年以上していますが、正直見る目なんてないです。人を見るという点に関しては、失敗も数多くしています。
前提が変わると結果が変わる
まず、成功って何?ということです。
- 辞めずにずっとその会社にいてくれることですか?
- その会社で高い成果をあげることですか?
- その会社で出世してくれることですか?
- 入社後、上司からの評判が良いことなんでしょうか?
会社によってまちまちです。
どこの会社での経験か、どういったパターンでの経験かわかりませんが、前提が変わる中で「見る目がある」というのはどのパターンでも対応できるということです。それができるなら相当な手練ですね。
僕はそんな人に会ったことありません。
人の直感には偏りが生じる
次に「見る目がある」という場合、経験に裏付けされた直感の場合が多いです。
- 採用した人が自分から見てよく活躍してくれている
- 採用しなかった人が採用しなくてよかったなという事実を後から知る
人は見たいものを見るように脳ができているので、どうしても直感を正当化してしまいます。
そうすると、正当化している間にどんどんバイアスがかかり、個人に最適化された人たちの集まりになります。
「私は人を見る目がある」という人が採用の仕事をすると、個人の自己満足を満たすための活動になってしまいます。なにより、「私は人を見る目がある」という自己評価が、組織の採用力強化の妨げになります。
採用の仕事は直感で人を判断する仕事ではない
組織で人の採用をする以上、直感をどれだけ言語化・数値化し、仕組化し、採用して良かったという確率を数%でも上げる仕事だと思います。
仮説、検証を繰り返しながら、その企業に即したやり方の精度を上げていく。採用すべき人を採ってしまったという評価になることもあるでしょう。採って良かったという人が、働いてみたらワークしないということもあるでしょう。
それらを一つ一つ検証しながら確率を1%上げるためにはどうすれば良いのか改善していく、そんな仕事かなと思います。