今回は、南アルプスワインアンドビバレッジの富士金襴(きんらん)を飲みます。

中国向けウイスキー?

_DSC4396_01ウイスキーの名称にある「金襴(きんらん)」とは、綾地の布に金糸を使って文様を織り込んだ織物を意味します。安土桃山時代に中国大陸の明王朝から技法が伝わり、京都の西陣でも織られるようになりました。

光沢のある厚手の絹織物である「緞子(どんす)」と合せ、高価な着物という意味の「金襴緞子」という言葉もあります。

さて、このウイスキーの裏のラベルには中国語(簡体字)が書かれていて、企画、輸入を手がけているのが金襴貿易という上海にある企業の名前が書かれています。

それを見るに、このウイスキーが中国向けに作られたものだと推測されます。実際、南アルプスワインアンドビバレッジのサイトには掲載されていません。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはラムレーズンのような香りが広がります。
液色はシャンパンゴールドです。

ストレート

レーズンの香りが全体的に香ります。その後はトースト、ナシの香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みが少なく、甘味と酸味が半々に感じられます。時間がたつとほろ苦さも軽く広がります。

ロック

ラムレーズンとナシの香りが先に訪れ、スモーキーさというかミントのような爽快感が後に続きます。奥からはウッディさも鼻を通っていきます。

味わいは、苦みが少々先だって、後から甘味がジワジワ感じられます。

ハイボール

レーズンの香りが最初に感じられ、ほのかなスモーキーさの後にバニラの甘い香り、樽香が続きます。

味わいは、少々苦みがあるものの、奥から甘味がやってきます。

フレッシュだがまろやかな味わい

特にカラメルで着色することなく、熟成期間の短い原酒を使っていると思われますが、未熟な原酒ならではのアルコールの刺激や辛みはうまく丸め込まれていて、巧みなブレンドを思わせます。

おそらくは自社で蒸溜した原酒よりも、スコットランドから輸入したバルクウイスキーの割合が多いかと思いますが、それでもブレンダーの技術は侮れないように思えます。

700mL、アルコール度数40度、価格は2500円ほど。

<個人的評価>

  • 香り B: ラムレーズンの香りが先立ち、ミントのような爽やかさを伴ったスモーキーな香りが続く。
  • 味わい B: アルコールの刺激、辛みが少なく、比較的甘さがあり、ストレートでもいける。
  • 総評 B: 見た目に比べてまろやかで、普通に飲んで悪さを感じない。