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岸田ハレンチ政権「裏の顔」を撃つ 公明エリート候補は自身の性交動画を違法公開

「週刊文春」編集部

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 清廉なイメージで語られがちな岸田首相。だがここに来て、政権内ではハレンチな事態が相次いでいる。セクハラに違法買収の細田議長。18歳とのパパ活が報じられた4回生。そして公明エリート候補が手を染めたのは――。

 

▶︎細田議長「違法買収」に反論できない決定的“証言音声”

▶︎「5W1Hを示せ」公明次期代表がセクハラ被害者潰し

▶︎“18歳とパパ活”男を国会議員にした岸田のゴリ押し

▶︎「値上げを許容」黒田総裁の生涯年収は10億円超

高支持率を維持する岸田政権だが……

 岸田政権発足から約2週間後の昨年10月19日。衆院選の公示日、公明党の山口那津男代表は神奈川県川崎市で第一声を上げていた。

「岸田首相と『国民の声を聞き、謙虚な姿勢で真摯に政権運営に努めること』を確認いたしました」

 同じ日、〈しん〉というハンドルネームの人物が自らのツイッターにこんな投稿を行っていた。

〈10/17エッチダイジェストPart2(略)なんか、編集したらAVみたいになっちゃった〉

 合わせてアップロードされていたのは、二日前の10月17日に撮影したと見られる〈しん〉自身の性交動画。時間は2分18秒に及び、男性器も無修正のまま映し出されている。誰でも閲覧可能な状態で、視聴回数は3万3000回(6月12日時点)に上っていた。

 この“本人出演”の無修正性交動画を、公示日にツイッターで全世界に公開していた男性。それは、衆院選に出馬した公明党のエリート候補だった――。

 クリーンな政治を標榜し、清廉なイメージで語られてきた岸田政権。だが来る参院選を前に、小誌が報じてきた細田博之衆院議長(78)のセクハラ発言や違法買収問題をはじめ、様々な疑惑が噴出している。

自民党を離党した吉川議員

 6月10日発売の「週刊ポスト」が報じたのは、吉川赳衆院議員(40)の“18歳とパパ活飲酒”問題だ。

「記事によれば、吉川氏は5月27日夜、アイドル風の18歳女性と焼き肉店で飲酒後、ホテルで1時間半ほど過ごした。女性は取材に、吉川氏が彼女の胸を見ながら自慰行為をしたと語っています。また、20歳未満の飲酒は今も法律で禁じられている。吉川氏は『党に迷惑をかけた』として離党しました」(政治部記者)

 10代の姉妹の父親でもある吉川氏。娘ほどの年齢の女性とのパパ活について、その直後、親しい議員にこう“自慢”していた。

「女性のいる店で知りあった子が『食事に行きたい』って積極的だった。その子は男性経験が無いからどこかで経験したかったらしくて、『初めては優しい吉川さんがいいから』ってホテルまで来て、シャワーを浴びた。でも彼女が過呼吸みたいになっちゃって、ホント困っちゃったよ」

検察幹部が「これはアウト」

吉川氏は岸田派議員だった

 そんな吉川氏を国政の場にまで押し上げたのが、他ならぬ岸田文雄首相だ。

「吉川氏は岸田派に所属していましたが、12年選挙では細野豪志元環境相に静岡5区で敗退。14年、17年の選挙では比例復活もできないほどの惨敗だった。“小選挙区で比例復活が2回以上続く議員には、比例の重複立候補を認めない”という党のルールに則れば、吉川氏の比例重複での出馬は認められないはずでした」(自民党関係者)

 岸田首相は総裁選などで、自派閥の議員を優先させる二階俊博幹事長(当時)の姿勢を批判。透明性のある党運営を掲げてきたが、

「自らは党のルールを捻じ曲げる形で、吉川氏を比例重複で立候補させたのです。実際、岸田首相は衆院選公示の約2週間前、参院補選の応援の名目で静岡入り。吉川氏は首相と一緒に手を振っていました。結果、彼は比例で復活当選を果たすのです」(同前)

 岸田首相の特別扱いで生み出された“パパ活議員”。吉川氏の携帯を鳴らしたところ、「文書で頂けますか」を繰り返すばかり。改めて事務所に文書を送付したが、回答は無かった。

説明を避け続ける細田議長

 吉川氏に対し、世耕弘成参院幹事長は「議員辞職を求めたい」と主張。ところが、“あの大物”に対しては国会での説明を求める声すら、党内からは上がってこない。細田議長である。

「告発されたら捜査せざるを得ない。記事通りなら、これはアウトじゃないか」

 小誌が先週号で報じたのは、細田氏の「違法買収」問題。発売日の6月9日、検察幹部はこう漏らしていたという。

違法買収を報じた先週号

 昨年の衆院選で、細田氏が、選挙運動に携わっていた地方議員11名と元地方議員5名に対し、計9万7700円の「労務費」を支払ったというものだ。公職選挙法は原則として、選挙運動を行う人物への金銭の支払いを禁じている。今回のケースは、過去の判例と照らし合わせても「運動員買収」にあたる可能性が極めて高いのだ。細田氏は事実確認を求める取材に対し、一切回答しなかった。

 ただ、小誌報道後、地元議員らは違法性を否定。例えば、地元メディアの取材に矢壁正弘・雲南市議はこう答えている。

「ポスター貼りの労務費として1枚当たり200円、は法律的に認められている」

 ポスター貼りは、金銭の支払いが認められる「機械的な単純作業」に当たると主張したのだ。仮にそうだとしても、矢壁氏は街頭演説など選挙運動に携わっており、そもそも労務費を受け取ることはできない。

 実は、更なる問題はここからだ。市議らが違法性を否定したため、あえて付記するが、小誌は取材内容を“証言音声”として残している。それらを改めて精査したところ、矢壁氏は先週号の小誌の取材に対し、ポスター貼りの実態をこう“詳しく”説明していた。

山口代表が「一押し」の石井氏

「僕はこの地区の自民党の幹事をしてますけど、貼る場所も決めてありますから、自民党員さんにお願いして貼って頂いている。(掲示板にポスターを貼る)番号が決まるとすぐ連絡が来ますので、(各)地区の人に連絡かけて『何番ですけんね』とお願いして。『お金は1枚なんぼだから、オタクはなんぼだよ』って振り分けて(報酬を)持っていって」

 労務費を受け取っていた元安来市議の上廻(かみさこ)芳和氏も、こう証言している。

「この地区では、4部隊でポスターを貼らせますけんね。僕は司令塔でね。(ポスターの)番号が決まると、何番に貼ってくれって貼ってもらいます」

 小誌の取材に対し、労務費を受け取った現職・元職の地方議員のうち、4名が自分で貼るだけではなく、「他者に指示して貼ってもらった」旨を認めていた。すなわち、彼らはポスター貼りの「取りまとめ役」も担っていたというわけだ。

 政治資金や選挙に詳しい岩井奉信・日本大学名誉教授が解説する。

「ポスター貼りの取りまとめをしている人は、選挙運動員の中でも『組織的選挙運動管理者等』という位置付けとみなされる。『ここに貼れ、あそこに貼れ』と指示する行為が“組織管理”と解釈されるためです。つまり、この行為は、報酬を受け取ることのできる『機械的な単純作業』ではなく、完全な『選挙運動』に当たる。その対価として報酬が発生している時点で、運動員買収にあたる可能性は極めて高いと言えます」

 島根県選挙管理委員会にも尋ねると、

「指示をされてポスターを貼るだけなら(報酬を受け取れる)単純労務。ただ、人に指示をするのは『組織的選挙運動管理者等』に当たるとの判例もあります」

 少なくとも4名の市議らがポスター貼りにおいても、取りまとめ役として選挙運動を行っていた問題。細田氏の見解を問うため質問状を送付したが、今回も期日までに回答は無かった。

 政治部デスクが語る。

「細田氏は民主主義の根幹である選挙に関わる買収問題について、一切説明をしていません。加えて、一連のセクハラ問題についても国会などでの説明を避け続けている。問題を有耶無耶にしようとしているとして、産経新聞は〈細田氏は恥を知り猛省を〉と題した社説を掲げましたが、三権の長としての資質が問われる事態になっています」

石井幹事長は東大卒で旧建設省出身

 だが、そうした細田氏の対応を表立って“擁護”したのが、岸田政権と連立を組む公明党の石井啓一幹事長(64)だ。6月3日の記者会見では、こう述べている。

「事実が確定されているわけではない。5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)が明らかにされることが必要だ」

 セクハラ問題に詳しい伊藤和子弁護士が言う。

「5W1Hが身元の特定に繋がることを恐れる被害者も多い。厚労省はセクハラ対策で『プライバシーを保護するために必要な措置』を講じることを定めており、報道機関にも被害者の人権に配慮した報道が求められる。被害者を守る仕組みを作るべき政治家が、被害を軽視する発言をするのは非常に問題だと思います」

 細田氏の説明ではなく、被害者の特定を求めた石井氏。どのような人物なのか。

「東大工学部出身で旧建設省に技官として入省。93年に初当選し、現在当選10回を数えます。15年から国交相を務め、安定した答弁ぶりが評価された。20年秋から幹事長の職にあります」(公明党関係者)

連立を組む公明党・山口代表

 今秋に7期目の任期満了を迎える山口代表。4月27日の講演で「次のリーダーとして一(いち)押しだ」と語ったのが、この石井氏だ。

「山口氏は『聡明で判断力も的確』と絶賛していました。ただ、官僚出身の石井氏は政策通な一方、堅物な人柄で、弱者への目配りも疎かになりがちです」(前出・政治部デスク)

選挙中も無修正動画を連続投稿

 石井氏に会見での発言について尋ねると、主に以下のような回答があった。

「事実関係が明らかでない報道を、『議長不信任案提出の理由』とするのはいかがなものか、との主旨での発言です。したがって、セクハラ被害者の方に名乗り出るべきとの主旨での発言ではございません」

 クリーンで高い倫理観に基づく政治を謳ってきた公明党。しかし、そこには「裏の顔」が――。

 冒頭のように衆院選の最中、無修正の性交動画を公開していた候補者がいたのだ。それが、比例代表で東京ブロックから立候補した大沼伸貴氏(40)である。

「党職員で、出馬時の肩書きは総合センター事務局副部長。創価高校から創価大学教育学部に進んだ“学会エリート”です。既婚者で、妻との間には子どもがいます」(別の公明党関係者)

 そんな大沼氏には「裏の顔」があった。〈しん〉名義で約2年前にツイッターのアカウントを開設。非公開の“鍵アカウント”ではなく、誰でも閲覧できる状態だった。フォロワー数は約2万5000人。自らのマスク姿や似顔絵を公開する一方、無修正の性交動画や写真を大量に投稿していた。

 例えば20年10月20日には、〈思わず仕事中なのに勃っちゃった^^ 周りに人がいるけど、デスクでコッソリ顔出してあげました〉などと投稿。職場と思しき場所で、ズボンから出した局部をアップにした写真を公開していた。

 一方で、党副部長の要職にあった大沼氏は昨年10月7日の中央幹事会で、比例候補として公認が決定。だが、その後もツイッターでのわいせつ投稿は止まらなかった。10月13日には、〈今日は、写真の精子のように、仕事が濃厚な一日〉と自身の局部と精液を露出した写真を投稿している。

公開されていた無修正動画

 選挙期間に入っても、同じような投稿は続く。10月23日には〈29歳フォロワーさん〉と〈35歳フォロワーさん〉の二人と性交し、後にその動画をアップ。結合部や局部を露出した無修正動画だ。ツイッターを“性交相手探し”に使っていた疑いも残る。

 そして迎えた10月31日の投開票日。比例名簿で4位だった大沼氏は落選に終わった。その翌11月1日には〈昨日は7人に〉などと、投開票日に七人と性交していたことを窺わせる投稿をしている。

 ただ、落選したとはいえ、比例代表東京ブロックで当選した二人の議員に有事があった場合、繰り上げ当選の可能性も残っている。今でもなお、公明党の“国会議員候補”なのだ。

 だが、未成年者の目にも触れかねないこうしたネット上での無修正動画の投稿に、警察の取り締まりは年々厳しくなっている。最近もまんだらけの社長がサイト上で“ビニ本”の画像を掲載したなどとして、わいせつ図画頒布などの疑いで書類送検されたばかりだ。

 性犯罪やインターネット犯罪に詳しい奥村徹弁護士が解説する。

「性器や性交の結合部分を露骨に描写した画像は、わいせつ物に当たります。局部にモザイクがかかっていない画像をネットに公開するのは、わいせつ電磁的記録公然陳列罪となり、2年以下の懲役または250万円以下の罰金、科料が科されます。また、約2万5000人のフォロワーがいるとすれば、同程度の人数が見てくれるという期待で公開しているとも言える。範囲が広いので、罰金の額も高くなる可能性があります」

党の特設サイトには経歴が

 6月13日朝、大沼氏に話を聞いた。

――(ツイッターの写真を見せ)これは大沼さん?

「え、こんなエッチなサイトをやってるってことですか? 違いますよ」

選挙期間中のツイッター投稿

 だが数々のツイートを見せると、やがて肩を落とし、自身の投稿だと認めた。一体、何の目的で、わいせつ動画を公開していたのか。

「なぜって……。ツイッターは何か、お金を儲けるとかそういうのではないので。趣味として個人的に、やり取りをするっていうことはありますけど……。法律に引っかかるって分からなかった。ツイッターがよくないと判断すれば止められると思ってたんで……」

――選挙に出馬していた。

「立候補はしましたけど、公認としてやっていく立場ではないので。僕は1回だけ出ることになりました」

 そして法律に抵触するならツイートをやめると語った大沼氏。直後、彼のアカウントは削除された。

 公明党に6月14日、見解を問うと、書面で主に以下のように回答した。

「今回の事案を把握したのは、昨日、本人から申し出があり、それを受けてからであります。本日、公明党では事案の内容に鑑み、懲戒処分〈免職〉を行いました。公認候補の選定にあたっては、厳正に対処してきたところでありますが、十分把握しきれずこのような形になってしまったことは遺憾といわざるを得ません」

 さらに、公明党広報担当者は「本人が15日に離党届を出し、比例名簿からも削除される」とした。

 かように、清廉なイメージとは裏腹の“ハレンチ”な事態が相次ぐ岸田政権。そして、国民から非難を浴びた人物がもう一人――。

「家計の値上げ許容度も高まってきている」

 6月6日、都内の講演でこう語ったのが、日銀の黒田東彦総裁(77)だ。

 物価が上昇し、家計の負担が増す中での発言には批判が集中。国会で「スーパーでものを買ったこともあるが、基本的に家内がやっている」と述べていたことも火に油を注ぎ、共同通信の世論調査(13日公表)では「日銀総裁に適任だと思わない」との回答が約6割に上った。

 ニッセイ基礎研究所上級エコノミストの上野剛志氏が指摘する。

黒田総裁は息子の一軒家にも…

「黒田氏の発言は、東大大学院教授のアンケート調査が根拠です。しかし、この調査では“家計の節約志向が高まっている”という結果も出ている。賃金が上がらない中、人々は値上げを不安に思っているのが実態でしょう。実際、日銀が4月7日に発表した『生活意識に関するアンケート調査』では、暮らし向きに“ゆとりがなくなってきた”との回答の割合が増えている。これは、長年日銀が行ってきた重要な調査。にもかかわらず、こうした数字を軽視し、都合の良いデータを恣意的に使った印象が拭えません」

細田氏と同級生の黒田総裁

 黒田氏は東京教育大学(現・筑波大学)附属駒場中学、高校から東京大学法学部に進学。筑駒からの同級生には、細田議長もいる。

「東大卒業後、旧大蔵省に入省。次官級の財務官まで務め上げました。博覧強記でアリストテレスの『ニコマコス倫理学』から、純文学まで何でも読むそうです」(経済部記者)

 13年に日銀総裁に就任し、現在は異例の2期目を務めている黒田氏。エリート街道をひた走る中、“天下り”も重ね、高額な報酬を手にし続けてきた。

 財務省時代の収入を試算すると、約5億円に及ぶ。さらに、05年から8年間にわたってアジア開発銀行の総裁を務めた際の給与は年約47万ドル。当時のレートで、8年間で約4億円超だ。日銀総裁の年収は約3千500万円だから、7年間で約2億4000万円。退職金なども含めると、黒田氏の生涯年収は10億円を軽く超える計算になる。

 住まいもリッチだ。総裁就任後の15年、都内の高級マンション(約91平米)を現金で一括購入。地元不動産業者にマンション価格を尋ねると、

「15年時点の価格は約1億2000万円でした。そこから価格は上がり続け、売りに出された同条件の部屋は今年、約1億3500万円で成約しています」

 13年には、息子が都内1等地に新築一軒家を購入していた。ただ登記簿によれば、土地の5分の2、建物の75分の73を黒田氏が所有。黒田氏が頭金を出したと見られる。

「富裕層特有の何不自由ない生活を送っています。それだけに『値上げ許容』はある種、自らの肌感覚から出た本音の言葉なのでしょう」(前出・経済部記者)

 前出の上野氏が言う。

「黒田氏は、自身の目玉政策だった大規模緩和に縛られ、だらだら政策のマイナーチェンジを繰り返すばかり。企業の内部留保は増えたものの、賃上げのための有効な手段は見出せませんでした。日米の金利差などから円安が急速に進み、今後、更に物価上昇が加速する可能性は高い。国民生活が楽になる兆しはありません」

 聞く力を掲げてきた岸田政権。その「裏の顔」が次々浮き彫りになっている。

source : 週刊文春 2022年6月23日号

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