2021年2月19日の夜。渋谷の住宅街の路上に、一組の男女が言い合いをする声が響いた。男が女の手首を強く掴み、女が倒れたところを近隣住民が通報。警察が駆けつける事態となった。実はその男は、アイドルグループ「ORβIT(オルビット)」の安藤誠明(TOMO、25)だった。
安藤が脚光を浴びたのは19年の『プロデュース101JAPAN』(TBS系)。101人のタレントがデビューの座を巡って挑む、オーディション番組だ。ボーカルで人気を博した安藤だが、惜しくも落選。20年2月、日本人と韓国人混成のオルビットに選ばれた。現在、全国ツアー中だ。
安藤がレースクイーンのA子さん(30)と出会ったのは、19年12月。福岡で暮らしていた安藤は上京し、二人は同棲を始める。A子さんが語る。
「彼に『人に見られる仕事は辞めて』と言われ、レースクイーンを辞め、事務仕事に転職しました」
仕事がなければ安藤は、A子さんの職場まで送り迎えもしていたという。
「彼は料理上手で、豚の角煮、オムライスなど何でも作ってくれ、旅行にも連れて行ってくれました。マンション代や生活費も出してくれました」(同前)
安藤はLINEで、〈2年後結婚する〉〈結婚式もふたりだけで小さくでもできたらいいなぁ〉と送るなど、結婚も仄めかしていた。
一方で安藤の束縛は激しく、A子さんが女友達と食事に行くだけで安藤は〈頭おかしくなりそう〉〈俺だけばかみたいや〉と100件以上もLINEを送り続けた。性行為中の暴力も日常茶飯事で、殴る、噛み付く、首を絞めるなどを繰り返した。
「最初は軽く首を絞められた。驚いたのですが、行為の後はまた優しくなるので、私も受け止めてしまった。流石に顔をグーで殴られた時には『やめて』と懇願しましたが、どんどんエスカレートしていった」(同前)
赤く腫れあがった痣が彼女の体中に浮かび上がっている写真も残されている。
「タバコを吸うなど、彼の気に食わない行動を私が取ると、暴力を振るわれました。そして彼はお酒を飲むと、嫉妬深くなり、怒り始めるのです」(同前)
繰り返される壮絶なDV。一線を超えたのが、冒頭の場面だ。原宿警察署の聴取で、安藤は暴行を認めた。限界を感じた彼女は、自分で整形外科に行き、診断書も貰っている。
「それでも普段の優しさと、『結婚しよう』という彼の言葉を信じ、被害届の提出はやめました」(同前)
だが彼女は精神的に不安定な状態に陥ってしまう。
「彼の仕事も忙しくなり、結婚の約束が曖昧になり始めて。精神安定剤も飲んでいました。今年5月、距離を置こうという話になったのですが、数日後には彼が『やっぱり好きだ』と。でも私の存在が、彼の仕事の支障になるならと……」(同前)
そして5月26日、彼女は薬を大量に服用してしまった。LINEのやり取りから危うい状況を察知した安藤が救急車を要請。一命をとりとめた。だが数日後、退院するA子さんを待っていたのは警察だった。
「彼に近づかないように言われました。私は彼にストーカーとして相談されてしまっていたようです」(同前)
その日、安藤は〈大好きだよ〉と彼女にLINEをしているが、一方で警察に連絡していたのだ。以来、彼女は安藤と会っていない。
事実確認をするべく、安藤に連絡したが返事はなし。
事務所に質問状を送ると、交際やほぼ同棲状態であったことを認めた上で、社長が概ねこう回答した。
「DVの事実はございません。(行為中の暴力は)彼女のご要望にお応えしたとのこと。(診断書は)通報の数日後、Aさんが薬と酒を大量に飲み、救急車を呼ばれる事態になったことがあり、搬送先の病院で診断書を取ったと聞いているそうです。(警察に相談した件は)私から要請しました。警察からストーカーとして被害届を出して貰った方が良いと言われましたが、TOMOの希望で出しておりません」
だが小誌は彼女の体に付けられた痣の写真を確認している。診断書に至っては、彼の言う搬送先の病院で取ったものでもない。
A子さんは警察に被害届を出すつもりだという。
source : 週刊文春 2022年6月23日号