2022年4月、秋田県横手市に一軒のカフェがオープンした。経営するのは2人の女子高校生。地域の実情や自分たちの将来を見据えて一念発起した彼女たちの思いを取材した。
緊張した面持ちで新聞社の取材を受ける2人の生徒。横手清陵学院高校3年の佐々木桃弥さんと小坂涼音さんだ。2022年4月、高校生ながら横手市内に自分たちが経営するカフェをオープンした。
佐々木桃弥さん:
「新型コロナの影響で祭りなどがなくなり、地域のつながりが少なくなっていると思う。地域の人たちが気軽に集まることができる場所になりたい」
開業資金はインターネットを通じて募るクラウドファンディングで調達し、月2回のペースで営業している。
4月2日のオープンに続き、2回目の営業となった4月23日も、開店直後から大盛況。
接客を担当するのは小坂さん。人と接することがあまり得意ではないと話すが、カフェを開こうと佐々木さんを誘ったのは小坂さんだった。
小坂涼音さん:
「高校を卒業して仕事を始めたときに、難しいと思っても人と話す場面が出てくると思う。『話すこと』を今から頑張れたらと思っている」
一方、佐々木さんは、スイーツ作りから盛り付けまでをすべて担当する。
佐々木桃弥さん:
「一口食べたときに『おいしい』と感動できるものを作りたいと思っている」
佐々木さんは母親の影響で、保育園に通うころからお菓子作りを始めた。横手市が開いたお菓子のコンテストで、2年連続のグランプリに輝いた実力の持ち主でもある。
佐々木桃弥さん:
「自分が好きなスイーツを出すこと、地元の食材を使うことにこだわっている」
リンゴの味がマイルドに感じられるように工夫されたタルトタタンなど、オリジナルのスイーツはどれも好評だ。
客(フランス料理店勤務):
「丁寧に作られていておいしい」
客(ジェラート店経営):
「すごく濃厚でおいしく、高校生が作ったとは思えない。一流シェフが作ったような手の込んだ味」
2人がカフェの経営を始めるにあたり、小坂さんが通う学習塾の塾長が店舗のスペースを提供し、高校への理解を求めるなど後押した。
学習塾プライムスクール・奥真由美さん:
「『地域のために何か役に立ちたい』『アルバイトではなく、本当のカフェの経営としてやってみたい』という強い思いが2人にあった。全面的にサポートしたいし、育てていけたらなと思う」
この日は2人が通う高校の先生も訪れ、味にも、校外での活動にも太鼓判を押した。
横手清陵学院高校の進路指導担当:
「こうした形で外に出て、世の中を知って勉強していく。その中で自分の進路を選んでくれるなら一番良いと思うので、すごく良いことだと捉えている」
小坂涼音さん:
「自分の接客に対して良い点数が取れていないので、とにかく何回も練習して頑張りたい」
佐々木桃弥さん:
「見た目がきれいで味がおいしい、いろいろな人に喜んでもらえるお菓子を作れるようになりたい」
地域に愛される憩いの場を提供したいという2人の思いから実現したカフェ「SucRe(シュクル)」。次回の営業は5月28日の予定。