台湾の音楽に最近ハマっている。
同じアジア圏だからか、なんとなく日本人の琴線に響く音楽が多いように思う。英語圏の洋楽よりも聴こえ方が邦楽に近い気がするのだ。
自分はDSPSというバンドがきっかけで興味を持ち始めた。2019年にHomecomingsとの2マンライブを台湾と日本で行なったバンド。日本の音楽ファンにも注目され始めているバンドでもある。
DSPSについて調べると、彼らは日本の音楽に強い影響を受けたことがわかった。納得した。どことなく日本のバンドと耳障りが似ていたからだ。
さらに調べてみると、日本の音楽は台湾の多くのバンドに影響を与えていることがわかった。その影響も聴けば伝わるような、ダイレクトに影響を受けているバンドが多い。
ちょっと聴いてみて欲しい。良いバンドが多いし、聴けば日本の音楽から影響を受けているバンドだとわかって興味深いので。
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DSPS
DSPSはSUPERCARからの強い影響を公言している。
SUPERCARは作品を出すごとに電子音の割合が増えたバンドでもある。その編曲は当時新鮮で、新しい日本のロックの形を作ったバンド1つだ。DSPSに電子音はないが、それ以外の音色はSUPERCARの音作りに近いように思う。
フィッシュマンズやORIGINAL LOVE、Corneliusなどの影響も公言している。音作りが丁寧な落ち着いたサウンドのバンドを好んでいるようだが、意外にも10-FEETや銀杏BOYZに影響を受けているメンバーもいるようだ。
日本のバンドマンと同じように日本の音楽に密に接して吸収しているバンドかもしれない。
(参照:スーパーカーに憧れた台湾バンドDSPSが抱く「自由」への切実さ - インタビュー )
透明雑誌
日本で最初に注目された台湾のバンドは透明雑誌に思う。あまりにもNUMBERGIRLに似ていたこともあり話題になった。
2011年に日本盤のアルバム『僕たちのソウルミュージック』が発売された際は〈台湾のナンバーガール〉と宣伝されていた。サウンド面でも注目されたが、海外にナンバガから影響を受けたバンドが存在する事実も衝撃があり注目度が高かった。
メンバーもNUMBERGIRLからの影響を受けていることを公言している。
透明雑誌を始めたときの最初のアイデアとして、PIXIESやNUMBER GIRLみたいな曲をやりたいという考えがありました。パンク・ロックだけじゃなくて、もっと色んな音楽をやりたいと思って始めたんです。透明雑誌という名前もNUMBER GIRLを意識しています。最初は「IGGY POP FANCLUB」をバンド名前にしようと思っていたくらいNUMBER GIRLが好きだし、IGGY POPは神のような存在です(笑)
ゲシュタルト乙女
ゲシュタルト乙女は不思議なバンドだ。
台湾出身・在住で活動の拠点も台湾。それなのに日本語で歌っている。発音も日本人と変わらない。そのため曲を聴いても日本のバンドだと勘違いしてしまう。
初めてオリジナル曲を作り始めた17歳の頃の話ですが、曲を友達に聞かれた時、歌詞の意味を理解される事がすごく恥ずかしいと思い日本語で書く事を決めました。
日本の事が好きなので、私たちの曲が台湾と日本を繋ぐ橋になり日本の皆さんが台湾の事にもっと興味を持って頂いて好きになって頂ければなって、一方で台湾の皆さんには私が好きな日本の事をもっと知って貰えるといいなといつも思っています。
影響を受けた音楽は東京事変や椎名林檎、スピッツ、ペトロールズなどを挙げている。ジャジーながらもロックを感じる演奏は東京事変の影響だろう。メロディの美しさはスピッツの影響だろうか。
影響元がわかりやす音楽ではあるが、彼らのオリジナリティも感じる。言葉の壁がないので日本でヒットする可能性もあるかもしれない。
(参照:傷ついた心に寄り添う-ゲシュタルト乙女にインタビュー。)
旺福(WONFU)
旺福(WONFU)は20年以上のキャリアがあるベテランバンド。シティポップや渋谷系に近いサウンドの彼らも日本の音楽からも影響を受けている。
SUPERCARやJUDY AND MARY、PUFFY、ピチカート・ファイブなどに影響を受けたことを公言している。オシャレな編曲ながらキャッチーなメロディでポップな理由は、日本のサブカル的な音楽もメインカルチャーの音楽も分け隔てなく聴いて影響を受けたからかもしれない。
ザ・コレクターズの加藤ひさしのお気に入りバンドでもあり、加藤ひさしのバックアップによって来日公演を行なったこともある。
その後もライブだけでなくミュージックビデオの撮影を京都で行ったりと、定期的に来日している。日本の音楽を好んでいるだけでなく、日本との縁も深いバンドだ。
(参照:旺福(WONFU)インタビュー )
滅火器(Fire EX.)
滅火器(Fire EX.)は結成20年目の台湾パンクシーンの重鎮とも言えるバンドである。
17歳のときに初めて『AIR JAM』(日本で開催されるロックフェスティバル)のビデオを見て、台湾から近い日本にこんなロックシーンがあることを知って衝撃を受けた。台湾もいつかこういう風になったらいいなと、夢を持つようになった。
彼らはインタビューで『AIR JAM』の衝撃について語り、影響を受けたバンドとしてHi-STANDARDの名前を挙げていた。ハイスタは日本のメロコアシーンに大きな影響を与えたバンドだが、海外にもその影響は及んでいたらしい。
他にもHUSKING BEEやELLEGARDEN、MONOEYSの影響も公言しておりMONOEYESとは対バンを行ったり、細美武士や磯部正文とは楽曲でも共演している。
J-POPや邦ロックだけでなく、日本のパンク・メロコアも台湾の音楽シーンに影響力があるようだ。
雀斑(Freckles)
現在海外では日本のシティポップが流行っている。竹内まりや『プラスティック・ラブ』を海外の音楽リスナーがYouTubeで見つけ、シェアしたことがきっかけで流行り始めた。主に70年代から80年代の楽曲が流行っているらしい。
Frecklesは日本のシティポップから影響を受けている。インタビューでは山下達郎やカシオペア、角松敏生などからの影響を公言している。山下達郎の『いつか』を聴いてシティポップの研究を始めたらしい。
シティポップでありながらブラックミュージックの素養も感じるリズム。アルバムではラッパーとコラボレーションしたりレゲエのリズムも取り入れたりと、幅広い音楽性の作品を作っている。影響を受けた音楽を自分たちの個性を加えて昇華しているバンドだ。
(参照:【発見!シティポップな海外バンド】雀斑(Freckles) from.台湾 )
まとめ
DSPS
透明雑誌
ゲシュタルト乙女
旺福(WONFU)
滅火器(Fire EX.)
雀斑(Freckles)