来春閉校の国東・熊毛小、思い出刻む壁画作り
大畠正吾
来春、三つの小学校の統合で閉校になる大分県国東市国見町の熊毛(くまげ)小学校で、全校児童26人が記念の壁画を制作中だ。「地域の人たちがいつでも見られるように」と熊毛地区公民館に飾る予定。児童たちは地域の伝統芸能や特産品などを題材に盛り込み、協力して絵筆を振るっている。
熊毛小は1873(明治6)年開校。1941年には309人が在籍していたが、過疎化などで児童数が減少。来年4月に伊美(いみ)小、竹田津小と統合されて「国見小学校」になる。
学校は「熊毛小があった歴史を残そう」と壁画作りを計画した。縦1・4メートル、横3・4メートルの3枚で、地域で活動する芸術家グループ「くにみ匠(たくみ)塾」のメンバーで画家の柾木高(まさきたかし)さん(71)が指導した。
初日の4日、体育館に集まった児童たちは自分たちで考えた「校舎」「自慢」「伝統」のテーマにそって下絵を描いた。柾木さんが準備した1メートルほどの竹の先に絵筆を付け、立ったままで大きな模造紙に大胆な線を描いた。
6年生の岐部翔麻(とうま)さん(12)の班は校舎の絵を担当。児童たちは「もっと秋っぽくしよう」「姫島もいれなくちゃ」などと話し合いながら仕上げていった。同校最後の卒業生になる岐部さんは「『熊毛小はこんな学校だったね』と、思い出してもらえるような作品にしたい」と熱心に筆を動かしていた。
壁画は今月後半に完成の見込み。絵の中には26人それぞれの自画像を貼り付けることを検討中だ。来年2月の閉校記念式典でのお披露目を予定している。(大畠正吾)