台湾キューは何故品質が高いのか。
大昔から台湾キューは質が良かった。
その質とは見た目の綺麗さではなく、
道具としての性能を完全具備しての
実用品としての品質だ。
80年代に日本でビリヤードが大流行
した時、廉価な台湾キューはかなり
普及した。日本製は高価で、アメリ
カ製は超高価だったからだ。
私も80年代に台湾キューを2本持っ
ていたが、申し分ない性能だった。
何故台湾は高品質を保持できたの
か。
それは、戦後早くから台湾は西側
先進工業国の仲間入りをしたから
だ。近代化が早期に開始された。
元々、中国にビリヤードを持ち込
んだのは戦前の日本だった。
中国は一つだったが、政党により
国民党と共産党に分かれ、国も割
れた。元は一つの国、多民族を擁
する一つの中国だ。
だが、赤化された中国が正統中国
であるかのような国際情勢になっ
てしまった。本来は中華民国が中
華の正統であるのに。
しかし、台湾は「台湾が本当の中
国であり、大陸は別な実効治世
地区でしかない」という姿勢を
堅持している。大陸側は逆。自分
たちこそが中国であり「台湾は
でっちあげの偽国家」としている。
なのでどちらもどちらのエリアを
「自国」として主張している。
そういう意味では、国境紛争領土
問題は「無い」。
日本が北方領土は日本固有の領土
である、と言っているのと同じだ。
台湾キューは「安かろう悪かろう」
ではなく、とても良い「使える」
キューだった。いや、だったでは
なく今でも。
それは近代工業化と、品質管理の
重要さを日本や西欧工業に早くか
ら学んだからだ。
1960年代には台湾からの技術留学
で来日する人たちが多くいたし、
私もその台湾の人たちと子ども時
分から何度も接して来た。うちに
も自動車産業留学生が寄宿したり
していた。
クソ真面目。
それがどの台湾中国の人たちに
対してもの印象だった。礼儀正し
く、そして勤勉だ。
やはり、そうした人たちが帰国し
てからの国造りは、先進西側諸国
と同族として国は発展した。
その頃の大陸中国などは、自動車
などは存在しない。国内に数台、
共産党幹部が使うだけだ。
また、日中は国交を結んでおらず、
日本は台湾を中国としていた。
大陸中国は、西側の経済システム
を限定的に採り入れる事により
近代工業化が爆発的に発展した。
今や、地球上で最も典型的な資本
主義国家となっている。
だが、政治統治のみ擬似社会主義
の独裁政治であり、下部構造の経
済基盤と上部構造の政治体制に整
合性がなく矛盾している。
それゆえ、いろいろな歪みを抱え
ている。
社会主義でありながら、大資本に
よる搾取が基盤となっており、
賃労働と資本が基盤の社会だ。
それは社会主義とも共産主義とも
無縁の社会形態だ。
その大陸中華は、今や、全世界、
全地球規模で工業と農業のジャン
ルで「中国がなくば成り立たない」
という構造を作り上げた。
今や、旧西側先進諸国も大陸中華
との国際貿易無くして国家的な産
業基盤が成立しない構造になって
いる。
米軍だけでなく、自衛隊でさえ
大陸中華製品を使っている。
第一、世界中の綿がそうだ。絹に
至っては100%大陸中華製だ。
世界中の人間が着る服の糸は大抵
は中華製。
反中言うならパンツ脱げ、という
話になってしまう。
そして、今。
大陸中華製のビリヤードキューが
頗る良い。品質が。
これは、マスプロナイフがほとん
どのメーカーが大陸中華にOEM
生産を依頼しているのと同じで、
大陸中華のキューはCNC導入後、
極めて超絶高品質を保持するよう
になったのである。
もう、国民全員が人民服を着て
チャリンコ大集団で工場に通勤
していた時代の中国ではない。
今や若者はジーンズにTシャツだ。
「帝国主義国の腐敗した被服」
とされた物を着てスマホを持って
いる。
今後、大陸中華は、多くの工業
製品で世界産業の覇者となった
ように、ビリヤードのキューも
大陸中華製品が中心となる事だ
ろう。マスプロ製品は。金太郎
飴として、皆同じ顔をして。
さらには、国家事業として、ビ
リヤード選手を特別優遇して育
て、世界の王者となる事だろう。
すでに台湾の世界チャンピオン
のウー・チャーチンのように祖国
を裏切って大陸中華に移住する
ような者も現れた。
どんなに玉撞きが上手くとも、
国を裏切る者は国家反逆者だ。
それがまた、自国が横暴を極める
独裁全体主義国家ならともかく、
民主主義台湾の国を捨てる。
理由は徴兵を拒否して玉撞きが
したいからだ。
その徴兵は何のためにあるのか。
大陸中華が台湾を軍事併合しよう
としているからそれの国防の為に
ある。
モハメド・アリの取った行動とは
大きく異なる。
私は、個人的にはウー・チャーチン
の取った行動は容認できない。
スウェーデン人がアメリカ選手登録
しました、というのとは事情が違
う。
また、日本生まれ育ちの在日朝鮮人
がやむなく日の丸をつけてスポーツ
競技に参加したのとも事情が異なる。
ロードレース世界チャンピオンの
片山敬済選手のように。
台湾から大陸中国に鞍替えするの
は、今ロシア系ウクライナ人がロ
シア国旗をつけてロシア側に立つ
ようなものだ。あなたはどこの国
の人なの?といった具合に。
そして今、ウー・チャーチンは名前
さえも大陸系に変えて、大陸中華の
国旗を胸に着けて国際大会に出場
している。
それって、なんなの?
どこの国の選手なの?
ウー・チャーチンを選手として英
才教育を手厚く施して育てたのは
台湾国家だ。
だが、しかし。
亡国の人となってまでも玉撞きを
したがって、それで勝ったとて、
それはどこの国の代表なのか。
メジャーリーガーのダルビッシュ
は言った。祖国の未曾有の震災
災害危機の時に。
「野球選手である前に私は人だ。
野球なんてやってる場合じゃない」
世界のトッププロはそう言って、
言うだけでなく動いた。
国を捨てる人とは、かなり思考の
根源が違うと感じる。
ビリヤード界というのは時事に疎い
人間が大集団でいる世界だ。
ただ玉突きが上手ければ、その人
は全人格的にも偉人かと持ち上げ
るような風習がある。
どんなに玉突きが上手くとも、国
を裏切る者は駄目だと私は思う。
国を売る者は友も家族も裏切り、
そして売り渡す。うどん一杯で
仲間を売り渡す犯罪者のコソ泥
とさして変わらない。
それは、果たして人なのか?
人に非ずではないのか。
どんな種目でも、スポーツはそれを
愛してやまないのは大いに結構だ。
素晴らしい事だ。
だが、国や家族や友を裏切ってま
でも、そのスポーツをやれる条件
が良い国に鞍替えするとしたら?
しかも、準戦争状態にある敵国に。
それね、あかんやつ。人として。
スポーツさえできればあとはどう
でもよい、同胞(はらから)がどん
な状態になろうが自分は関係ない。
自分さえ好きな事ができればいい。
それは餓鬼道だ。人の道ではない。
誰だって笑顔でスポーツをやりた
いだろう。オートバイにも乗りた
いだろう。楽しく。
だが、本当の笑顔は裏切りによっ
て担保はされない。