栃木県日光市の小学 3~6 年生の子どもたちが中心となってつくった「さんぽセル」。
重いランドセルを背負わず、タイヤをつけたスティックを装着することでキャリーケースのようにランドセルを持ち運びできる。
発売当初大人からの批判に反論した子どもたちは、今回新たにクラウドファンディングでつくったさんぽセルの寄付先を首相や文科相らから募集する反撃に出た。

「さんぽセル事件」の反論と同時にクラファン開始
子どもたちと開発を担当した株式会社悟空のきもち THE LABOによると、子どもたちは通常5kg程度のランドセルを、さんぽセルを使うことで9割軽く感じることができるという。
重いランドセルを背負うことによる子どもたちへの健康被害はこれまでも指摘されており、今回子どもたちは「重いランドセルを軽くしたい」との想いから商品開発に乗り出した。

さんぽセルは4月の発売当初から累計約3000台の予約が入り、納品まで最長4カ月待ちになっている。
一方その発売ニュースには1000件を超える大人たちからの批判コメントが寄せられ、それに子どもたちが「さんぽセル事件」と呼んで反論したことが大きな話題になった。
また同時に「さんぽセル利用者の小学生が1人で使うのは寂しいので、友達に配りまくりたい」とクラウドファンディングを開始したところ、約3500台分の支援が集まった。

さんぽセルを寄付する校長・市長・文科相・首相を募集
そして子どもたちは今回、さんぽセルを寄付する「校長先生・市長・文部科学大臣・内閣総理大臣」をきょうから募集することにした。
この募集では子どもたちからのメッセージとして「3300台のさんぽセルは一般的な小学校10校の全校生徒分に相当します。この貴重な 3300 台を有効利用し、より多くの子どもたちを通学の苦痛から解放するため、希望を頂いた内閣総理大臣はじめ文部科学大臣・市長・校長先生に必要分のさんぽセルをプレゼントします」としている。

また「プレゼント希望の方は私たちを褒めてください。そしてこの行動の意味を深く考えてください。さんぽセルを求めない校長先生・市長・文部科学大臣・内閣総理大臣のみなさまは、さんぽセル不要の時代を作って頂けるものとして、小中学生の通学の荷物の重さをいまの半分にする指導をお願いします」としている。

文科省も「教科書などが過重になると身体に影響」
文科省では2018年に児童生徒の携行品について「授業で用いる教科書やその他教材、学用品や体育用品等が過重になることで、身体の健やかな発達に影響が生じかねないこと等の懸念や保護者等からの配慮を求める声が寄せられている」として、「家庭学習で使用する予定のない教材等について、児童生徒の机の中などに置いて帰ること」、いわゆる“置き勉”を認めるなど各教育委員会などに配慮を求めている。
この子どもたちの募集に、果たして首相や文科相はどう応えるのか?注目だ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】