謎のNVMe SSD ORICO V600 2TB 購入
ORICO V600 2TB
ネットフリマでクーポン利用で13500円で購入。
NVMe Gen3 2TBの新品の相場は、2万円ぐらいなので格安だ。
因みにまだ在庫があって、この記事公開時点で販売中。
でもそれほど売れてないようだ。
理由はCrystalDiskInfoの画面で、寿命と温度を隠して撮ってる胡散臭さと、この製品の情報が検索してもまったく出て来ないせいだろう。
ORICO N300、ORICO V500という製品はある。
N300はM.2 SATAで、V500はPCIe Gen 3.0 x 4, NVMe 1.3。
V500のコントローラーはSM2263XT、DRAMレスの廉価品用だ。
で、V600だが、出品画像でSM2262Gを使ってるのが分る。
このコントローラーは、ADATA SX8200 Proや、私も使ってるトランセンド TS2TMTE220S等で使われてる、DRAM有りの高性能品用（Gen3世代での話です）。
出品画像のCrystalDiskMarkの結果画像も、SX8200 Proの結果と類似してる。
V500の上位機がV600なら、コントローラーは妥当だし、信憑性は高い。
好意的に考えると、試作したけど、結局売らなかった物の横流し品。
中華の信頼度ベースで考えると、只の偽物。
CrystalDiskInfoとCrystalDiskMarkと基盤の画像はSX8200 Proの物（基盤はラベルを剥がして撮影）。
でも、これを売ってる人の評価数と販売経歴を見ると、横流し品臭さがある。
という訳で、えいやと購入してみた。
CrystalDiskInfo
ちゃんと新品だ。
CrystalDiskMarkも撮ったが、私が使ってるASRock X470 Master SLIは、M2_2がGen2x2(10Gb/s)で、最高速度を測る能力が無かった。
誤解を生まないように、RND4K Q1T1の所だけ載せると、
ちゃんと速い。
初期不良は無さそうなので、ラベルを剥がしてみた。
SM2262Gだ。
SSDコントローラに登録されてる部品情報を見るフリーソフトがある。
SSD utilsの、「○○ nvme flash id」のリンクからダウンロード（○○はコントローラーメーカー名）。
exeを実行すると、○○_nvme_flash_id.txtが作成される。
そこから要点を抜き出すと、
Model : ORICO V600 2TB
Controller: SM2262 [SM2262AB]
ROM version: 2262ROM:SVN00235
比較用にTS2TMTE220Sだと、
Model : TS2TMTE220S
Controller: SM2262EN [SM2262BA]
ROM version: 2262B0ROM:SVN047
ADATAの公式発言だと、SM2262GはSM2262ENの更新バージョンで、（SSDの寿命を延ばすのを目的とした）耐久性重視モデル。
FlashID : 0xec,0x5e,0x98,0xaf,0x84,0xcd,0x0,0x0 - Samsung 3dv6-136L TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die
NandはSamsung製、3dv6-136Lは、3D V-NAND、第6世代、136レイヤー。
このNandがリリースされたのが、2020年10月頃、現行世代。
なので、このNVMe SSDは製造されてから、それ程時間が経ってない。
最長でも1年半。
不可解に感じるのは、Gen 4.0のNVMe SSDが発売されたのが、2019年6月末なので、ORICO V600を作った時期には、Gen 3.0のNVMe SSDを新規で試作する意味は無い。
だから販売しなかったと考えれば辻褄は合うが、そもそもGen4.0で試作を作らないだろうか。
因みにTS2TMTE220SのNandは、
FlashID : 0x45,0x3e,0x98,0xb3,0x76,0x63,0x0,0x0 - Sandisk 96L BiCS4 TLC 16k 512Gb/CE 512Gb/die 2Plane/die
BiCS4 96レイヤー、このSSDの記事で考察した通りだ。
DRAM Size,MB : 2048 (possible incorrect)
DRAM Type : DDR4
DRAM Vendor : Samsung
DRAMはV600も、TS2TMTE220Sも、Samsung DDR4 2GB(1GBx2)。
2TBの1/1000なので、セオリー通りの容量。
さて沢山書いたが、検証した結果、私の判断ではこれはORICO V600という試作品の横流し品だと思う。
適当に部品を組み合わせたSSDに、箔を付ける為にORICOの名前のラベルを貼った偽物というには、中身がしっかりし過ぎてる。
これだけしっかりしてるなら、ノーブランドで売った方が、買う方が納得するので売れるぐらいだ。
あとNandが、コントローラーと釣り合わないような新型の上に、良い物過ぎる。
現行世代の512GBチップx4とか、コスト下げる気があったら、こんな高そうな物は使わないはずだ。
それこそBiCS 96L 256GBチップx8とかにすれば、コントローラーとの組み合わせも実績があるし、旧世代のチップだから安く手に入るだろう。
わざわざ良い部品を使ってるのは、良い製品にして、高く売る気があったからに違いない。
でも試作が出来た時には、商品価値が無い物になってたという事なのだろう。
怪しいNVMe SSDだったが、結局お得な買い物でラッキーだった。
今はこんな大容量は要らないが、メインPCのSSDが死んだ時の保険で、取っておくか。
2022年6月12日追記
この記事を書いた直ぐ後に、メインPCのOSが入ってるSSDを、ORICO V600 2TBに交換した。そして6月5日頃、Windows Updateがあったのだが、失敗していた。
手動でやっても失敗する。
CrystalDiskInfoでSMARTを見てみると、
データーリードエラーが発生していた（赤い矢印の箇所）。
試しにバックアップソフトで、フルバックアップを取ろうとすると、読み込めないので失敗しましたと出る。
OSファイルの一部が壊れてしまってる。
OSを丸ごとコピーしてから2ヶ月経ってない。
取り敢えず1ヶ月前に作ってたフルバックアップで復活させて、Windows Updateも通った。
これが運が悪かっただけなのかは、まだ分からない。
取り敢えずこのまま使って、2ヶ月後にまたデーターリードエラーが発生したら、ヤバいSSDという結論にする。
この記事を読んで興味を持った方には、メーカー保証の無いSSDは、こういうリスクが付き物だと言う事を、肝に銘じて貰いたい。
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