初めてAlter Linuxを使う人のためのガイドブック

Alter Linux

こんにちは、山田ハヤオです。Alter Linuxのプロジェクトリーダーです。

今回は、Alter Linux(Arch Linux)を初めて使う人のためのガイドブックのようなものを書いてみました。

「Arch Linux難しそう」「Alter Linux入れたけどよくわからない」という人のためのものです。

最後に、「なにか問題が起きたときに参考になるサイト」を書いておくので参考にしてください。

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このガイドブックの対象者

このサイトは以下のような人を対象にしています。

  • 初めてArch Linux/Alter Linuxを使う
  • 以前にWindowsやMac OS、Ubuntuを使っていた
  • なるべく人に質問しないで自分で解決したい
  • コマンドをただ実行するだけでなく原理を理解したい
  • コマンド操作はよくわからなくて苦手だ
  • 私はVSCodeが大好きです

逆に、以下のような人は対象ではありません。

  • パソコン、Windowsを触ったことがない
  • Linuxを一切触ったことがない
  • Alter Linuxは初めてだけどArch Linuxは使ったことがある
  • Arch Linuxなんて手抜き!(任意のディストリ)こそ至高!
  • 普通に、Windowsで、十分
  • Vim派

この記事はそれなりにUbuntuをポチポチインストールできる程度の知識を前提としています。

そのため、GentooやNixOSを使う強い人やまったくのLinux初心者は対象ではありません。

“強い方”はそのままArch Linuxの沼にハマり、全くの初心者はまずはUbuntuから試してみてください。

Alter LinuxとArch Linuxの違い

Arch Linuxとは

理念

Arch Linuxは「最小でシンプルかつエレガント」を理念としたディストリビューションです。

「シンプル」とは、「Arch Linuxによる独自の変更を最小限に抑える」と定義されています。

つまり、よほど重大なことでない限りArch Linuxが独自にバグを修正したり、特定の機能を追加したりするということはありません。(対象的な例を挙げると、UbuntuのApacheは大量のカスタマイズが行われています)

また「常に最新である」ということも明言されており、ローリングリリースを採用しています。

ローリングリリースとは、特定のバージョン番号(Windowsでいう7や8、10など)を持たず、常にシステムを最新の状態に維持する方式のことです。

このローリングリリースによって、大規模なアップグレード作業を必要とせずに常に最新のものを使用できます。

安定性

Arch Linuxは他のどのLinux系OSよりもパッケージを早く更新し、常に最新の状態に保たれています。

逆に言えば、最新の、すなわち未知の不具合が存在する可能性があるということです。

インストール

Arch LinuxにはUbuntuのような便利なインストーラが存在しません。
(最近、小さなインストーラが開発されたそうですが)

また、インストールしたらすぐにYouTubeが見れるというわけでもありません。

自分でGUIやツールをインストールしていく必要があります。

他のLinux系OSとの関係

Arch Linuxは、他のどの上流にも依存していない、完全に独立したディストリビューションです。

例えば、Ubuntuは上流としてDebianに依存していますし、Cent OSはRHELに依存しています。

そのため、Arch Linuxは他のディストリとは様々な部分が異なります。
(基本的なバイナリ互換はありますが)

他のLinux系OSとの比較はArch Wiki – Archと他のディストリビューションの比較を参照してください。

Alter Linuxとは

Alter Linuxは、そんなArch Linuxを上流としたディストリビューションです。

上流とかよくわからない、という人は「Alter LinuxはArch Linuxを改造したものなんだな」と思っていただければ結構です。

なのでパッケージやそのアップデートの大半はArch Linuxに依存しています。

硬派なArch Linuxの入門口としてGUIとインストーラがデフォルトでついています。

しかし、インストール後のメンテナンスはユーザーに一任されており、Arch Linuxと変わりません。

そして、Arch Linuxのバグのほぼ全てをAlter Linuxも持っています。

Fascode Networkはそれらに対して極力サポートを行っていますが、ユーザーに相応のスキルが要求される場合があるのも事実です。

今後はArch Linuxもまとめて「Alter/Arch Linux」と表記します。

Alter/Arch Linuxの礼儀作法

Arch系のOSには、OSを1箇所で管理するための作法のようなものがあります。

また、コミュニティを混乱させずに適切なサポートを受けるための礼儀があります。

全てのソフトはPacmanでインストールする

全てのソフトはパッケージ管理システムであるPacmanでインストールされるべきです。

OSの中心を担うパッケージやポピュラーなものは公式リポジトリに存在する場合があります。

その場合は、パッケージを公式リポジトリからインストールします。

もし、公式リポジトリに存在しない場合は、AUR(Arch User Repository)というものを使用します。

AURからPKGBUILDと呼ばれるスクリプトを取得、パッケージを作成します。

その後、作成したパッケージをPacmanでインストールします。

もし、AURにも存在しない場合は自分でPKGBUILDを書く必要があります。

DebやRPMは使えない

Arch Linuxのパッケージ管理システムであるPacmanのパッケージファイルは.pkg.tar.zstという拡張子を持っています。

.debや.rpmといったパッケージをインストールすることはできません。

公式パッケージやAURから同名のものを探し出す必要があります。

もし、旧バージョンを使いたかったり、どうしてもDebのものを使用したい場合は自分でPKGBUILDを作成する必要があります。

ソフトをダウンロードするためにブラウザを使うことはない

先の通り、全てのパッケージはPacmanを使ってインストールします。

そのため、Windowsのようにそれぞれの公式サイトからインストーラをダウンロードするといったことは一切行いません。以下のようにコマンドでパッケージを検索してインストールします。

yay -Ss <検索文字>

Alter Linuxにはデフォルトでaptpacが導入されていますので、以下のように検索することもできます。

apt search <検索文字>

その後、以下のようにインストールします。

yay -S <パッケージ名>
sudo apt install <パッケージ名>

常にシステムを最新に維持する

Arch Linuxはシステムの部分アップグレードを公式にサポートしていません。

つまりシステムを常に最新に維持しておく必要があります。

これはArch Linuxの利点でもあり短所でもあります。

何を使うかは全て自分で決める

Alter Linuxには、GUIやアクセサリなど最低限必要なものは一通り入っています。

それでもUbuntuと比較するとインストールされているものはごく少数です。

Arch LinuxはGUIさえないのでそれに比較したらだいぶ多いんですけどね。

常用するには自分でソフトを入れる必要があります。

問題が発生したら

Arch Linuxのニュースを確認する

公式サイトを必ず定期的に確認しましょう。問題の修正方法などが掲載されている場合があります。

英語が堪能なら本家の公式サイトを覗くといいです。日本語版より更新が早いので。

32Bit版を使ってる人はArch Linux 32の公式サイトもチェックしましょう。

ほとんどの情報は64Bitの本家と共通ですが、固有のものもあるかもしれません。

Fascode NetworkのTwitterを確認する

Fascode Networkの公式Twitterでは、Arch LinuxやAlter Linuxのバグについて随時情報発信を行なっています。

ツイートのメンションやDMでのサポートも行っています。

Arch Wikiを調べる

DockerやVirtualBox、Gnome、Systemdなどの著名なソフトウェアには大体専門のWikiページがあります。

まずは最初にそのWikiを確認しましょう。大体の情報は見つかります。

日本語Wikiでも情報が見つかることが大半ですが、念の為英語版ArchWikiも確認した方がいいです。

たまに翻訳が追いついていない場合があり、英語版の方が新しいことがあります。

逆にArchWikiは全て英語版が基準になっているので、それ以外の言語は気にしなくて大丈夫です。

上流を調べる

問題となっているソフトの公式サイトや公式フォーラムで、同じ問題に遭遇している人がいないか検索してみましょう。

GitHubやGitLabで管理されているソフトならIssueを検索してみるといいかもしれません。

また、README(プロジェクトトップにある概要が書かれたファイル)も問題解決につながるかもしれません。

Fascodeのサポート・コミュニティを利用する

Fascode Networkのコミュニティで質問するというのも手です。

私(ハヤオ)も割とチェックしているので直接状況から解決方法を判断できるかもしれません。

他の人の意見も聞けるかもしれないのでLINEかDiscordがお勧めです。

Fascode Networkのコミュニティ

Arch Forumを利用してみる

Arch Linuxには公式フォーラムがあり、毎日多くのユーザーがチェックしています。

英語圏のForumの方がユーザーは多いですが、個人的には海外の人は当たりが強いのでお勧めしません。

日本語版のフォーラムもちゃんとあるので、そちらを使うことをお勧めします。

Arch Linux JPのSlackで質問してみるのも手かもしれません。

注意
質問を行う場合は「Arch Linuxとリポジトリを共有しているAlter Linuxというディストリビューションを使っている」ということを明記してください。

「無知な人」から「初心者」になる

恥ずかしながら筆者は自分のことを「無知な人」ではないと思っています。初心者かもしれないが。

Arch Wikiに書かれているコマンドをそのまま実行するのではなく、コマンドの意味と何をしているのかを理解することが大切です。

Linuxにはドキュメントとして「Man Page」というものがあります。

これは、コマンドや設定ファイルの仕様についてをまとめたもので、公式なドキュメントです。

「<コマンド> man」や「<設定ファイル名> man」でGoogleで検索すると簡単に見つけられます。

また、ターミナルで「man <コマンド>」とすることでもドキュメントを見ることができます。

大半は英語なのですが、Manを参照するのが仕様を把握する一番の方法です。

終わりに

Arch Linuxのスタートのためのページを作ってみました。

ここからそれぞれのリンクを辿って膨大な情報の中から目的のものを探し出す必要があります。

また、特に問題がなくてもフォーラムやWikiを眺めていることで知識が付きます。

わからないことがあったらコメント欄に書き込んでください。なるべく早く回答します。

それでは、また今度。

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