地方公務員

大阪府・大阪市の公務員になるには?業務内容や給与、試験内容と対策を解説

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「大阪府と大阪市の仕事や待遇って何が違うの?」
「受験先に迷っているけど試験の内容や倍率はどのくらいなんだろう…」

と思っている方はいませんか?

今回は「大阪府」「大阪市」のそれぞれの仕事内容や待遇、試験データを解説しています。

当コラムは、大阪府及び大阪市の職員研修をした経験があり、更には数十年にわたって、大阪府の新規採用職員研修も担当されている小林美也子講師が監修しています。

大阪府と大阪市でどちらを受けるか迷っている方、大阪府内で公務員になりたい方の参考になる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

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「大阪府」の仕事内容・給与

大阪府庁の仕事

大阪府庁の仕事には「直接住民とやり取りする」という仕事はほぼありません。

イメージとしては「国と市町村の間に入って、調整を行う仕事」や「県内に事業所を置く法人への対応」などが多いです。

例えば「国から市町村に向けての指示」や「市町村から国に向けての申請」などは直接やりとりが行われません。

どちらの場合も大阪府庁が調整、取りまとめを行って二者間を繋いでいるのです。

「国の政策のために、全市町村をまとめる」など、大阪市役所よりもスケールが多い仕事をしたいという人に向いていると言えるでしょう。

大阪府庁の給料

大阪府庁職員の初任給は以下の通りになっています。

採用区分初任給備考
高卒程度171,600円(地域手当含む)高校卒業後に職歴なしですぐに入庁した場合
大卒程度209,400円(地域手当含む)大学卒業後に職歴なしですぐに入庁した場合

大阪府庁の初任給は、学歴や職歴によって異なるため「大学(高校)卒業後に職歴なしで入庁した場合」を例に挙げました。

また、上記の数字には「地域手当」が含まれています。

そのため、郊外などに勤務する際は、記載より減少する可能性があります。

給与の月額以外にも、住居手当や通勤手当などの諸手当が条件に応じて支給されます。

また、一般行政職員の平均給与は以下の通りです。

平均年齢 平均給料 平均諸手当 平均給与
42.3歳 320,100円 118,696円 438,796円

地方公務員の平均月収が360,949円(平均年齢42.1歳)のため、高水準な給与といえるでしょう。

大阪府庁で働くと異動がある?

大阪府庁に採用されると、大阪市内にある本庁だけではなく、府税事務や土木事務所など、府内各地へ異動をすることとなります。

異動は約3年に1回あり、自身の居住地を加味される部分はありますが、転居を伴う異動となる可能性も十分にあり得ます。

「大阪府」で働くためには?

大阪府庁職員採用試験の採用区分と受験資格(2022年)

多くの公務員試験においては、年齢の上限が決まっていることが多いですが、大阪府では幅広い年齢の方の採用を行っています。

行政職の採用区分と受験資格は以下のようになっています。

受験区分 受験資格
高校卒程度 18歳から21歳の方
大学卒程度 22歳から25歳の方、もしくは21歳以下で、年度末までに大学卒業見込みの方
社会人等:26-34 26歳から34歳の方
社会人等:35-49 35歳から49歳の方

大阪府/大阪大阪府/採用試験より

大阪府庁職員採用試験の倍率や難易度(2021年)

採用区分 採用予定人数(人) 受験者数(人) 最終合格者数(人) 倍率
高校卒程度 40名程度 359 72 2.8
大学卒程度 145名程度 2,196 181 7.9
社会人等:26-34 90名程度 848 106 4.7
社会人等:35-49 20名程度 950 21 29.5

いずれの試験も倍率が高めであり、かつ3次試験まであると考えると難易度は高めと言えるでしょう。

大阪府職員採用試験の試験内容(2022年)

大阪府職員の採用試験は、他の公務員試験とは異なり「公務員試験の独自の勉強」が不要な試験となっています。(高校卒程度を除く)

ここでは大学卒程度の試験内容を紹介します。

  試験内容 試験範囲 試験時間
1次試験 SPI3 ・言語的理解力
・数的処理能力
・論理的思考力
70分
エントリーシート ※1次試験時に持参
2次試験 論文 以下の2分野の内いずれかを事前に選択
・見識または、法律・経済分野
・情報分野
60分
個別面接 ※対面面接またはWEB面接のどちらか選択可-
3次試験 個別面接 2回実施
グループワーク 5人から8人程度で、与えられた課題についての作業等を行う

大阪府/行政(大学卒程度)の試験案内より

上記の通り、通常公務員試験で行われる教養試験や専門試験が行われず、民間企業で取り入れられているSPIを用いて試験が行われます。

同様に、SPIを使用した形式の試験は「社会人等:26-34」「社会人等:35-49」でも採用されています。

一方で、高校卒程度の試験においては、通常の公務員試験同様に教養択一試験が実施されます。

大阪府職員採用試験への対策

公務員試験独特の試験が実施されずに、SPIが採用されている大阪府庁においては、民間企業との併願が非常にしやすい試験と言えます。

しかし、他の公務員試験と併願するには「公務員試験の勉強」と「SPIの勉強」を両立しなければなりません。

公務員試験の教養試験とSPI試験は、似通った範囲が多いですが、大阪府庁の志望順位が高いのであれば、独自の勉強を行うべきでしょう。

「大阪府庁の志望度が高く、他の公務員試験を併願する」という人は、早くからSPIの勉強を始めるよりも、教養試験の勉強をしっかりと行うことをおすすめします。

理由としては、SPI試験と公務員試験は被ってる範囲が多く、一般的にSPIの方が難易度が易しいためです。

そのため、公務員試験の勉強を行っていれば、基礎的なSPIの対策は出来ています。

その後、試験の雰囲気を掴むためにも、試験1ヵ月程度前からSPIの勉強を始めるのが良いでしょう。

「大阪市」の仕事内容・給与

大阪市役所の仕事

大阪市役所の仕事を大阪府庁と比較した際に、大きく違う点は「より住民と近い距離間で仕事を行う」という点です。

皆さんに馴染みがある仕事で言うと「住民票の転出入の受付、処理」「社会福祉に係る相談や受付」などがあります。

「大きなスケールではなく、地域に密着し、市民と近い距離間で仕事をしたい」という人に向いていると言えるでしょう。

大阪市役所の給料

大阪市役所職員の初任給は以下の通りとなっています。

採用区分 初任給(地域手当含む)
事務行政(18-21) 170,752円
事務行政(22-25) 206,828円
事務行政(26-34) 206,828円

また、大阪市役所の平均給与は以下の通りです。

  平均年齢 平均給料 平均諸手当 平均給与
一般行政職 43.6歳 317,100円 127,676円 444,776円

大阪府庁同様、地方公務員の平均月収が360,949円(平均年齢42.1歳)と比較して、高水準な給与といえます。

大阪市役所で働くと異動がある?

大阪市役所に務めると約3年を目安に異動があります。

しかし基本的には、部内もしくは区役所間の移動のように、市外へ出ることはほぼありません。

大阪府庁と悩んでいる方は「異動の範囲」を1つのポイントとして考えてみてはどうでしょうか。

「大阪市」で働くためには?

大阪市役所採用試験の採用区分と受験資格

大阪市役所の行政職は3つの区分が存在します。具体的には以下の通りです。

受験区分受験資格
事務行政(18-21)18歳から22歳の方
事務行政(22-25)22歳から25歳の方、もしくは21歳以下で年度中に大学卒業見込みの方
事務行政(26-34)25歳から34歳の方

大阪市役所採用試験の倍率や難易度

大阪市役所の事務行政職の令和元年度の採用データは以下のようになっています。(令和2年度試験は試験日程の変更が原因となり、倍率が極端に下がったため参考にしません。)

採用区分 募集人数 受験者数(人) 合格者数(人) 倍率
事務行政(18-21) 15名程度 157 34 4.6
事務行政(22-25) 130名程度 822 150 5.5
事務行政(26-34) 15名程度 430 29 14.8

「事務行政(22-25)」の採用が中心になっていることが分かります。

「行政事務(22-25)」における、令和元年度の倍率は5.5倍となっていますが、年度によっては10倍から15倍となる事もあり、非常に難易度が高い試験と言えるでしょう。

大阪市役所採用試験の試験内容

大阪市役所の「事務行政(22-25)」における試験内容は以下のようになっています。

  試験内容 試験範囲 試験時間
1次試験 適性試験 ・言語的理解力
・数的処理能力
・論理的思考力
90分
筆記試験 ※以下のいずれかを申込時に選択
・論文(行政)
・択一式(法律)
憲法,民法,行政法,刑法,政治学・行政学,社会事情より30題中25題選択
90分
2次試験 口述試験 個別面接

1次試験の筆記試験は「論文」もしくは「択一式」を選択することができるため、併願状況や得意分野によって戦略を立てることができます。

大阪市役所採用試験への対策

大阪市役所の採用試験は、他の公務員試験との併願及び民間企業との併願がしやすい試験となっています。

特徴的なのは1次試験の筆記試験で「論文」と「択一式」を選択することができる点です。

民間企業との併願者は論文試験を選択することで、公務員試験の勉強時間を最小限に抑えることができます。

択一試験の内容は「憲法,民法,行政法,刑法,政治学・行政学,社会事情より30題中25題選択」となっています。

「刑法」については対策をしていない人が多いですが、選択制のため選択をしなければ対策不要です。

他の科目は、公務員試験で非常にメジャーな科目のため、他の試験と共通した対策をしていれば問題ありません。

公務員併願者は「論文」「択一試験」どちらを選択しても対策をしやすいと言えるでしょう。

大阪府・大阪市職員採用試験は非常に特徴的な試験

解説の通り、大阪府及び大阪市職員採用試験は、他の公務員試験と比較して非常に特徴的な試験になっています。

特に特徴的な点は「教養試験」と「専門試験」がないという点です。

この方式(いわゆる「新方式」)を採用する地方上級試験は非常に増加していますが、先駆けとなったのは大阪府と言っても過言ではありません。

試験内容の変化の背景には、橋下徹元知事の「受験準備に時間と手間がかかる従来の公務員試験はやめる」との大号令があったことが挙げられます。

橋下徹元知事の意図は以下のように考えられます。

  • 公務員試験は準備に時間と労力がかかるという理由で敬遠されることを防ぎ、優秀な人材の確保を行いたい。
  • 勉強が得意でなくとも、意欲と可能性に満ちた人材を採用したい。

この考えが他の自治体採用試験に波及して、いわゆる「新方式」が生まれたのでしょう。

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この記事の監修者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


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