「県庁職員なんて難しくて難関大学出身でないと無理じゃないの?」
こんな誤解をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、県庁の採用試験はここ数年でドラスチックに変化しています。
民間企業との併願がしやすくなっていますし、筆記試験の負担が軽い採用区分もあります。
また、コロナ禍の影響もあって、採用人数も増加傾向にあります。
そこで、県庁職員の仕事内容や年収、試験情報や難易度を紹介していきます。
ぜひ本稿を参考にして、「無理かも」と敵前逃亡することなく、チャレンジして「県庁の星」を目指してください。
目次
県庁で働くとはどういうこと?
県庁職員の仕事内容
県庁職員の仕事内容は、県下の市町村、国、企業など様々な団体との調整業務、県単位で進める事業の遂行といった感じでしょうか。
例えば、総合的な開発、治山・治水事業、環境問題、産業振興、道路・河川の管理、警察、義務教育・社会福祉の水準維持、国との関係調整事務など、市町村を超えて処理すべき事務や県全体で統一すべき業務といった広域的行政サービスを担います。
広いエリアでスケールや権限の大きい地方公務員の仕事がしたい方には、県庁職員がオススメです。
県庁職員の年収・給与
県庁職員の年収は、月給(基本給+各種手当※1)+ボーナス(基本給×4ヶ月※2)の合計です。
※1県庁職員には通勤手当、住宅手当、残業手当、扶養手当など様々な手当が法律で保障されています。
※2 何ヶ月分かは毎年変化します。
総務省発表の地方公務員の給与実態調査を参考にしますと、都道府県庁の公務員の平均年収は約655万円になります。
さらに、都道府県庁の公務員年収ランキングを見ると、トップが東京都の721万円で、最下位が沖縄県の590万円でした。
確かに、沖縄は東京都に比較して圧倒的に人口も少なく税収入も多くはありませんので、県庁職員の給与にもそれが反映されると言えるでしょう。
しかし、東京は物価も高く、住居費他、生活に要する費用が沖縄の比ではありません。
なので、どちらの方が豊かな生活ができるかは一概に判断はできません。
ちなみに、国税庁の平成30年分民間給与実態統計調査結果によると、民間企業に勤務した給与所得者の平均年収は441万円でした。
この数字と比較しても、ランキング最下位の沖縄県庁職員の給与は高い水準にあるといえます。
異動・キャリアパス
県庁職員は、3〜4年おきに異動を繰り返し、採用された県庁のゼネラリストとして活躍することが期待されています。
特に、「大卒程度」で合格して採用されると、将来の幹部候補生とされて責任あるポストに配属され、昇進のスピードや昇進できる上限、給与など待遇面での優遇されることが少なくありません。
知事から副知事や副市町村長に任命される職員もいます。
転勤
県内での転勤は避けられません。
広い県庁だと転勤も一苦労と言えます。
とはいえ、婚姻・介護など家庭の都合は極力考慮され、民間企業で見られるよう理不尽な転勤はあまりないようです。
また、各県庁は1つ1つが別個独立した法人(会社のようなもの)なので、県をまたいでの転勤はありません。
※関連コラム:地方公務員の仕事内容とは?なるには?職種(種類)は?
県庁職員になるには?試験情報・難易度
採用試験の概要と試験日
県庁職員採用は、筆記試験と面接試験によって合否が決まります。
県庁の筆記試験では、主に「教養択一」「専門択一」「教養記述」が課されます。
そして、全国の県庁の1次試験は同一日程で実施されます(ここしばらくは6月第4日曜)。
採用試験の「型」
教養記述は各自治体独自の課題が出題されますが、択一試験は共通問題が利用されるわけです。
加えて、県庁同士は併願ができないことになります。
試験問題作成機関が教養択一と専門択一の問題を作成して、全国で一斉に試験を実施するわけです。
もっとも、やはり、全く他と一緒は……という県庁もあります。
なので、若干アレンジした問題を使用する県庁が出てきました。
そこで、基本となる問題を「全国型」とし、「全国型」をアレンジしたものを「関東型」「中部北陸型」と呼びます。
教養択一 | 専門択一 | |
---|---|---|
全国型 | 一般知能25問(全問回答) 一般知識25問(全問回答) | 40問(全問回答) |
関東型 | 一般知能21問(全問回答) 一般知識19問(29問から選択) | 40問(50問から選択) |
中部北陸型 | 一般知能25問(全問回答) 一般知識25問(全問回答) | 40問(50問から選択) |
ご自身が受験する県庁がどの型を採用しているかはチェックしておきましょう。
ちなみに、この同一日程で一斉に行われる試験のことを「地方上級」とか「地方上級試験」と言います。
あくまでも業界用語ですが、参考書や問題集の説明で使用されるので覚えておきましょう。
※関連コラム:【公務員試験】地方上級の試験科目や難易度、対策法を型ごとに解説
県庁ごとの試験難易度
このように、基本的に全国同じ問題で択一試験を実施するのであれば、どこの県庁を受けても同じだと思われるでしょうか?
ですが、大学入試のセンター試験を考えてください。
多くの大学で採用しているものの、どの大学も難易度は同じだと考える方はいませんよね。
県庁の採用試験も、同時に実施される択一試験、自体独自で出題される論文試験、そして面接試験の配分が異なります。
したがって、筆記試験でどれくらい選別されるのかで、筆記試験対策にかける時間や戦略が異なってきます。
また、東京や大阪のような大都市であれば、民間企業の採用がありますが、地方へ行けば行くほど、めぼしい企業の採用がないのが現状です。
加えて、東京都のような大きな自治体は毎年500〜600人と大量に採用します。
すると、地方の県庁は倍率が高くなるのは必然で、その意味での難易度は高くなります。
新方式の採用試験では面接が超超重視される
近年の公務員はますます人物本位・面接重視の傾向にあります。
さらに、県庁では、通常の採用形式(一般方式と呼ばれます)とは別に、「新方式」といわれる採用方式を実施する傾向にあります。
いずれも、「筆記試験」の負担を軽くして、民間企業と併願しやすくする採用形式を実施することが狙いです。
すると、採用予定人数のうち、何割かが「新方式」に割り当てられるので、「一般方式」の採用予定人数が減るわけです。
もちろん、「新方式」での受験を選択することもできますが、両方を併願することを認める県庁、認めない県庁があるので、注意が必要です。
県庁で働くメリットは?
県庁職員になるメリットは、何と言っても人脈が広がることです。
先に述べましたように、県庁の仕事は国、市町村、企業との交渉・連携・調整業務がメインです。
すると県の内外を問わず、業界の如何を問わず人脈は自ずと広がっていきます。
人と繋がることは煩わしさを伴う反面、一人でできないことをやってのけるパワーになります。
職場に選んだ県で、「将来の夢を実現する手がかりを掴むチャンス」に大いに恵まれたともいえます。
そして、頻繁に異動を繰り返すことは、様々な経験を積むことができます。
かつて、都庁の人事担当の方が「飽き性の人は向いていますよ」とお話されていました。
頻繁な異動があると落ち着かないと感じる方は、地方公務員はきついかも知れませんが、新しいことに頻繁に関われるのもメリットと考えられます。
同様に、県内での転勤が避けられないとしても、所詮は県内の移動です。
昔のように何時間も移動に時間がかかるものではありません。
逆に、身分保障がありながら、色んな場所に住めるのもメリットといえるのではないでしょうか。
筆者の教え子の中には、東京都に合格したのですが、給料もらいながら色んな場所に住みたいからと、島部(伊豆諸島や小笠原諸島も東京都です)を希望した強者(?)もいます。
最後に
いかがでしたでしょうか?県庁の仕事、待遇、試験の概要等がお判りいただけたのではないでしょうか?
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県庁の最短合格を目指される方はぜひご検討ください。