テレビ朝日の情報番組「グッド!モーニング」で、新型コロナウイルス感染症について取材を受けた医師が「取材内容とはかなり異なった報道をされた」とSNS上で抗議し、波紋が広がっている。同番組は12日の放送で医師の意見を改めて紹介し、「医療現場の声を放送につなげることをおろそかにした」として謝罪した。
問題となったのは7日の放送。同局から取材を受けた医師の澁谷泰介さんのものとみられるフェイスブック(FB)の投稿によると、テレビ朝日のスタッフから6日朝、「コロナウイルスへのヨーロッパと日本の対応に関して現場の生の声を聞きたい」という取材依頼があり、同日夕方にテレビ電話での取材を受けたという。
日本のPCR検査の対応に関してコメントを求められた際、澁谷さんは「今の段階でPCR検査をいたずらに増やそうとするのは得策ではない」という趣旨で繰り返し答えたが、実際の放送ではその発言部分はカットされ、ヨーロッパ各国でのPCR検査は日本よりかなり多いという文脈の中で自身のインタビュー映像が流れたため、「PCR検査を大至急増やすべきだ!というメッセージの一部として僕の映像が編集され、真逆(まぎゃく)の意見として見える」と主張していた。
FBでは一連の経緯が説明されたうえ、澁谷さん本人によるものとみられる「放送を見て正直愕然(がくぜん)としました」「PCR検査に関してはこれから検査数をどんどん増やすべきだというコメントが欲しかったようで繰り返しコメントを求められました」「現場の生の声を多くの方に知ってもらえればと思い取材に応じさせてもらいましたが、実際には生の声すら全く届けることは出来ず不甲斐(ふがい)ない気持ちです」との書き込みがあった。
同番組は12日の放送で、メインMCの坪井直樹アナウンサーが「木曜日(7日)に放送した際に、『日本は疑わしい人だけにPCR検査をするという世界的に珍しい政策をとっていた』という澁谷医師のコメントの一部を紹介しました」「ただその後、同じVTRで別の学者の主張もお伝えしたことで、結果として澁谷医師もPCR検査を直ちに増やすべきだという主張をしている印象となりました」と説明した。
その後、澁谷さんが「PCR検査を今後増やしていくこと自体は大事だが、今、現場で不必要な検査が増えることは望んでいない」「(基礎疾患がある人や濃厚接触者など)プラスアルファのものがある人への検査は大切だが、急場で検査数だけ増やしてくれと言われてもちょっと難しいなというのが正直なところです」などと述べた取材時のVTRを約2分半にわたり放送した。
VTRの放送後、坪井アナが…
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