唐津署は6日、橋の欄干(らんかん)から飛び降りようとする20代男性に対応した玄海町の歯科助手の宮﨑美保さん(51)に感謝状を贈った。男性に優しく声をかけたり相談を促したりするなど親身になって接し、人命救助に貢献した。
同署などによると、宮﨑さんは5月6日午前、玄海町内で勤務先の患者を乗せて車を走行中、欄干の外側にいる男性を見つけた。Uターンして車を止めると、男性は欄干の内側に戻ってふさぎ込んだ様子で欄干をたたいていたという。
宮﨑さんは「気持ちを高ぶらせてはいけない」と思い、患者を送って数分後に現場へ戻った。「体調か何か悪いのですか」と声をかけると、男性は「すみません。見られていましたよね」と答えた。話をするうちに悩みを抱えていることが伝わってきた。「いろいろあると思うけど、警察などに相談してみよう」と促し、男性も応じた。通りがかったパトロール中の署員に引き継いだ。
その後、男性が前向きな気持ちになったという連絡を受けた。「普段からおせっかいなところがあり、それが出ただけ」と振り返る宮﨑さん。「(男性が)警察や周囲のケアのおかげで切り替えてくれたことがうれしかった」と語った。
寺戸剛署長は「知らない人に声をかけるのは勇気がいるが、『何かおかしい』と思っての一声が救助につながった」とたたえた。(松岡蒼大)