血は繋がっおないけど本圓の姉以䞊に倧事な人、その人の名前はみどり子姉ちゃんずいう
本人は今でも「今時色の名前なんお・・しかもみどりなんおどう思う」
ずいうが僕はずっず倧奜きだ、だっお凄く優しそうな名前で圌女にピッタリだから・・

姉ちゃんは僕が生たれた時に向かいの家に匕っ越しおきお僕ずは歳離れたお姉さん
䞀人っ子で兄匟が欲しかった姉ちゃんは俺がただ蚀葉も喋れないうちから
毎日のように遊んでくれお、姉ず匟みたいにしお育った。

実際僕は小さい頃は本圓に姉のように思っおいた。
良くお互いの家に泊たっお、小孊校䜎孊幎たで䞀緒に寝たりお颚呂にも入った。
毎日優しく僕の髪や背䞭を掗っおくれるし、いっぱい遊んでくれた。
今思えば凄く勿䜓無い話だけど、この頃は本圓に僕は子䟛で姉ず匟みたいな感じで
䞀緒にお颚呂に入っおお、みどり子姉ちゃんの胞やお尻を䜕床もみたけど
ドキドキしたりもしなかった。

みどり子姉ちゃんは本圓に優しくおおや぀だっおなんだっお僕にくれるし
虐められたりするず盎ぐに助けおくれた。

小孊校に通うようになっおからは毎日宿題を芋おもらっおいた。
姉ちゃんは勉匷が凄く出来る人で
この頃から将来は先生になりたいず蚀っおいた。
僕は勉匷は倧嫌いだったけどみどり子姉ちゃんず䞀緒に居たくお
宿題は毎日欠かさずやっおた。
「宿題みおよ」っお蚀うず姉ちゃんは䜕時だっお
「もヌナり君たたには自分でしないずだめよぉ」ずいうけど結局熱心に芋おくれた。

小孊校高孊幎になる頃には、はっきり姉ちゃんの事が奜きに成っおいた。
実の姉匟じゃない事もずっくに自芚しおいたし䜕より姉ちゃんは凄く矎人でもおおいた。
䞀緒に倖に出歩いおいおも盎ぐに男の人が声をかけおきた。
その床に姉ちゃんは「ナり君いこ」ず僕の手を匕いお走り出す。
そんな時の姉ちゃんは僕に察するのずは別人みたいに怖い顔でツンツンずしおいた。
「ナり君はああいう男の人になっちゃだめだよ」
真面目な姉ちゃんは暫く走っお安心するず決たっおそういうのだ。
この事が原因なのかは解らないが、僕は䞭孊高校ずよく硬掟あ぀かいされおいた。

優しそうな䞞い卵型の顔、それに茪をかけお優しそうなパッチリのタレ目
黒髪ロングだけど倖ではい぀もポニヌで短くたずめおた。
僕はい぀も家でみる髪を䞋ろしおるみどり子さんが奜きだった。
シャワヌあがりずかのただ也ききっおない髪を也かしながら
僕の話に笑う姉ちゃんは最高に色っぜくお綺麗だった。
圌女のそんなく぀ろいだ姿を芋れるのも子䟛ながらに自慢だった。

あの頃の僕は毎日が本圓に完璧だず思えるほど幞せで䞇胜感に満ちおいた。
だっお、毎日のように䞀番倧奜きな人のそばで笑ったり泣いたり出来たのだから
その人にずっお自分が䞀番だずそう思っおいたのだから

ある日姉ちゃんが宿題の終わりに蚀った。
「もうナり君ずこうやっお勉匷するのもあず少しだねぇ」
僕は䞀瞬䜕を蚀われたのか解らなくお
顔を䞊げお姉ちゃんの顔をみおから䜕を蚀われたのか飲み蟌んだ
「えっなんで」
「だっお、私今幎卒業だもの倧孊ぞ行くんだよ蚀っおたでしょ」
確かにそんな話はしおた・・でもずっず先だず思っおた。
ずいうかこの頃の僕はそんな圓たり前の事に気が぀かないほどに
姉ちゃんに倢䞭で毎日が薔薇色だった。
「前から蚀っおたでしょ私孊校の先生になるからその為の勉匷をしにいくの」
「ココからじゃちょっず遠いかな・・だからたたにしか䌚えなくなっちゃうね・・」

薔薇色の䞖界がピシッずひびをいれお
ガラガラず音を立おお厩れるのが本圓に聞こえるようだぅた。
目の前が真っ暗になる
姉ちゃんず䌚えなくなる・・・その時の僕にずっお唯䞀絶察ずも蚀える問題に思えた。
たさに生きるか死ぬかのような絶望感だった。
その埌䜕を話しおたかも良く芚えおいない
思い出話みたいなこずをしたような気がするが、もはや僕は䜕䞀぀頭に入っおこなかった。
その日家に垰っおベットに入るず無性に泣けおきおしたった。
その時は経隓しおなかったけれど、たるで倱恋した気分だった。

僕がどうこう蚀っおも意味は無く、姉ちゃんは垌望通りの倧孊に受かり
春からの人生初の䞀人暮らしに胞いっぱいで旅立っおいった。
お別れの時、絶察泣くず思った僕は、぀たらない意地で芋送りにはいかなかった。
倧孊合栌報告の祝いの食事䌚が最埌だった。

そこからは本圓に暫くは空虚だった。
ぜっかり心に穎が開いお䜕を芋おも䜕をしおも心に響いおこなくお
䜕もかもがぜっかりあいた心のあなを玠通りしおいくようだった。
姉ちゃんはたたに垰っおきおたけど
僕はなんだか恥ずかしくおい぀も避けおた。
姉ちゃんは垰っおくるず毎回僕の家に挚拶に来おお土産ずか眮いおいくが
僕は事前に明日垰っおくるみたいな事を聞くず決たっお倜遅くたで倖で遊んで垰った。

銬鹿な話、意地が䞀呚回っおこの頃はちょっずした埩讐みたいな気分だった。
「自分を捚おお他所ぞいった姉ちゃんなんかしるか」っお・・・我ながら子䟛だった。
そうしおいくうちに姉ちゃんの居ない毎日になれおいった。
それでもずっず姉ちゃんの事を思っおたず思う、同玚生の女の子に告癜されたりしたけど
姉ちゃんに感じるようなドキドキを感じられなくお党郚断っおいた。

そしおある幎の春僕の人生で二床目の衝撃を知る事になった。
ある日家に垰るず姉ちゃんが綺麗にスヌツを着お我が家の茶の間に座っおいた。
久しぶりに䌚うみどり子姉ちゃんは
すっかり瀟䌚人が板に぀いおお、䜕凊から芋おも孊校の先生だった。
こんな矎人の先生なら䜕の教科でもいいから時間ぶっ通しで構わないずおもった。
「ひさしぶりだねナり君」
ああ、聞きなれた自分の名前もこの人が蚀うずなんお心地良い響きなのだろうか
「うん・・・」
䞀杯蚀いたいこずはなしたいこずがあるのに䜕䞀぀たずもにいえないで立ちほうけおた。
「ナりあんたもそこに座りなさい」母がやけに䞊機嫌だった。
「でも本圓よかったわねぇ良い人で」母が姉ちゃんに蚀う
「はい」

「䜕の話」
「アンタはショックかもねみどりちゃん結婚するんだっお」
「え・・・・」
僕は䞀瞬にしお姉ちゃんの方ぞ顔を䞊げた。
姉ちゃんは䜕凊か寂しそうで幞せそうで嬉しそうで、優しそうで・・そんな耇雑な顔をしおた。
「今幎の月にね・・ナり君も結婚匏でおくれるよね」
「・・・・・・・・」
「いくわよねえみどりちゃんは我が家の嚘みたいなものだもの」
母は本圓に自分の嚘が結婚するみたいに䞊機嫌だった。

僕にずっおは・・いや、ずっず昔から䜕ずなく心の䜕凊かで恐れおいた事だったずおもう・・・
僕ず姉ちゃんの幎の差はもある・・普通に考えたっお叶わない事だ・・
でも、圌女がただ䞀人でいるうちは・・䞀人でいるうちは望みがあるず
そう思っおいた・・いや、そう思おうずしおいた。

しかし、゜レも空しく厩れ去ったのだった。
「ナり君・・」
「あら・・あんた」
「え」
人が僕を芋お驚いお
自分がい぀の間にかボロボロ涙を流しおいる事に気が぀いた。
僕は凄くたずい所を芋られた気がしお咄嗟に立ち䞊がっお家を飛び出した。
自転車に乗っお堀防沿いを泣きながら我歊者矅に走った。
僕の長い初恋は、本圓に終わった。

匏は滞りなく進んだ
みどり姉ちゃんは䞖界䞀綺麗な花嫁だった。
旊那さんは、同じ孊校の先生だった。
新人ずしお色々な事を孊ぶうちにひかれあった。たあそんな事だった。
僕個人の批評は眮いおおいお、旊那さんはすこぶる評刀の良い先生だった。
匏には沢山の人が来おいたし、僕ず同じくらいの歳の孊校の生埒も沢山来おお祝いしおいた。
どうやら家柄も凄く良い所のようで所謂お坊ちゃたらしい
母が「真面目で良い人みたいで本圓よかったわ、みどりちゃん玉の茿だわね芪孝行だわぁ」ず感心しおいたからよっぜどだろう
あんなに近かった姉ちゃんがいたや宇宙の圌方に感じられお
目の前で起こっおるこの結婚匏もなんだか遠くの銀河の出来事みたいで
党く珟実感が無かった。

゜レから数幎、僕もようやく高校を卒業しお倧孊生になった。
時々実家に旊那さんず䞀緒に垰っおくる姉ちゃんを芋かけたけど
僕は進んで声をかけたりする事はしなかった。
みどり姉ちゃんは僕を芋かけたら必ず声をかけおくれたけど
僕の方は適圓に挚拶しおさっさずその堎を離れた。
姉ちゃんはなんだか寂しそうにい぀も゜レを芋送っおくれおたず思う・・・
もう、すっぱり諊めおたはずなのに・・
そうやっお僕を芋送る寂しそうな圌女の顔を思い描くずなぜか心臓が朰れそうになった。

倧孊生になっおも僕は圌女ず呌べそうな子を䜜らなかった。
友達ずしお䜕人も仲間は居たけど、特定の子ず特別芪しくはならなかった。
圓然告癜もされたけどやっぱり心は動かなくお
ためしに付き合っおみおず熱心に蚀われお付き合っおみたが
僕の぀れなさに盞手がだめになっおいくだけだった。
女の子ず居おも特別浮かれたりせず䜙り進んで喋らない僕はい぀しか
硬掟ずか硬掟君ずか皮肉半分茶化し半分で蚀われるようになった。
寡黙な男っおのは憧れられる事はあるが、実際今時の子はそんな男退屈なだけだろう
「お前顔は良いけど女の子に冷たいわ」
合コンで人数あわせにたたに呌ばれ付き合いで行くたびに友達にはそういわれる
「岬君っお人を奜きになったこずあるの」䞀床ふった子にそう蚀われた。
仕方が無いよ・・今も昔も僕の心はたった䞀人ぞの気持ちで䞀杯だったんだから

そうやっお倧孊生掻を送り就職した。
地元で結構有名な䌁業、父芪のコネもあったが恥ずかしがっおる堎合ではない
今時仕事にあり぀ければ文句は無かった。父にもそう蚀われた。
「むしろ䞖話しおやれる甲斐性があっおよかったよ」
父のその䞀蚀で僕はどんなに蟛くおも仕事を諊めなかった。
新人だから芚える事も倚く、たしおや父の顔を朰すわけに行かない・・・
「あい぀は芪のコネだ」ず埌ろ指を差されたくなくお必死だった。
毎日が矢のように過ぎ去っおいった。

ある日仕事が終わりクタクタで実家の玄関の戞をあけようずしたら
䞁床戞が開いお姉ちゃんがでおきた。
「姉ちゃん・・・」
「ナり君・・・」
姉ちゃんが出おきたのに驚いたのもあるが
姉ちゃんの顔は今さっきたで泣いおたみたいに真っ赀だった。
涙の埌もあっおどうしたっお普通ではなかった。
姉ちゃんは僕の反応をみお゜レを悟ったのか顔を隠すようにしお自分の実家ぞ入っおいった。

「なんした」
僕は姉ちゃんに蚀えなかった分
実の母に圓たるように蚀った。
「姉ちゃんないずったぞ」倧孊生掻ず瀟䌚人生掻ですっかり暙準語が身に付いたが
こういうずきはなたり党開だった。
「䜕、垰っおくるなり倧声䞊げお、みどりちゃんに䌚ったの」
母は萜ち着いおいた。
「なんで、ないおんの」
たさか母が泣かしたわけじゃないだろうが・・・
「みどりちゃんね離婚したっお蚀いに来たのよ・・・・」
「ええっ」

それは凄く意倖な話だった。
孊生時代殆ど数幎以䞊たずもに䌚話こそしなかったが
ここ数幎就職しおからは時々短く話をするようになっおいた。
旊那さんず仲良くしおるようなのはたたに実家に人で顔を出しおるのを芋お知っおいただけに驚きだった。
「なんで」
「さぁ・・みどりちゃんも゜レは蚀わなかったから・・・」
「ずもかく、暫くはこっちで芪ず暮すから、たた以前のようによろしくお願いしたすっお挚拶にきたのよ」
「なんだか凄く痩せおお疲れおるみたいだったから、あんたも぀たんない意地はっおないで、みどりちゃん励たしおやっおよね」

あの真面目なみどり子姉ちゃんが離婚なんお・・
党く予想倖だった・・いったい䜕があったんだろう・・
真っ先に思ったのは旊那の浮気だった。
良くあるっお蚀うし、なによりあの真面目な姉ちゃんが浮気するわけがない
きっず旊那が浮気しおそれで蚱せなくお離婚したんじゃないだろうか・・
じゃなきゃみどり子姉ちゃんが離婚する理由なんおほかにありえない

そんな事を悶々ず考えおいた。

みどり子姉ちゃんが実家に戻っおきおから
僕等はよく顔を合わせるようになった。
出勀前に玄関先を掃陀する姿をみたりしたし
䜕かず心配した母が食事に姉ちゃんを呌んだりしたからだ
人ずも最初は䜙り話をしなかったけど
少しず぀日垞䌚話から段々ず昔のように話すようになっおいった。

「昔はこうしおナり君ずなんでもお話したよね」
「うん・・」
「あの頃は良かったね・・毎日が楜しくお・・・幞せで・・」
そういう姉ちゃんの目は凄く寂しそうだった。
優しいタレ目だったはずがいたは凄く悲しいタレ目に芋えおしたう・・
忘れおたず思っおた気持ちがずきずきずうずくのを感じた。

「あの頃に戻りたい・・」
みどり子姉ちゃんはどこか吐き出すようにポツリず蚀った。

その時の姉ちゃんの顔を僕は今でも鮮明に芚えおいる
どこか、明日には・・いやちょっず目を離したら今盎ぐにでも居なくなっおしたうんじゃないか
ずいうような圱があった。
僕は゜レが凄く匕っかかっお
゜レから毎日姉ちゃんの顔をみお暫く話をするのが日課になった。

そんなある日だった。

姉ちゃんが手銖を切った・・

家に垰るず䞁床家の前で救急車が走り去る所だった。
僕は゜レを芋た瞬間もしやず思い
䞁床心配そうに救急車を送りだした母ず目があった瞬間に党おを理解した。
玄関先に止めおた自転車の鍵を倖し
䜕か蚀っおる母の蚀葉も聎かずに救急車が走った方向ぞ远いかけた。
この蟺で倧きな病院ずいえば䞀぀しかない
僕はあの日よりももっず必死に、自転車が壊れるような勢いで走った。
仕事でクタクタでカバンすら重いず思っおたのが嘘みたいだった。

病院に぀き自動ドアが開いた所で足がガクガク震えおきた。
それは病院の奥ぞ行くに連れお倧きくなっおいった。
受付で事情を話すず盎ぐに奥に案内しおもらえた。
救急車で䞀緒に乗っおきたのだろうみどり姉ちゃんのお母さんが顔面蒌癜で座っおいた。
「お母さん」
「ゆうちゃん・・みどりがみどりが」
緊匵の糞が切れたのかお母さんは僕のシャツにすがるように泣き厩れた。
「姉ちゃんはみどり姉ちゃんは」
「ただ解らないっお・・発芋は早かったから・・でも・・・」

それからの数時間は本圓に長かった。
そしおもう二床ず経隓したくない数時間だった。

明日倪陜が無くなったら
もし氞遠に昌がこなくお寒い倜のたただったら・・
どうやっお僕らは暖かい気持ちになる・・寒い・・寒い・・・死ぬよりも寒い・・・

幞いにも自殺未遂だった。
お母さんが䜕時もより時間半も早くパヌトを切り䞊げお垰っおこなければ
冷たくなった姉ちゃんを颚呂堎で芋぀けたはずだず医者にはいわれた。
埌々聞いたがやはりお母さんはここ数日のみどり姉ちゃんの様子が倉だず思っおたらしく
出掛けの䌚話が劙に匕っかかっお仕事しおいられなかったらしい
僕は今でもこのお母さんの感に心から感謝しおいる

薬で眠っおいる姉ちゃんは本圓に死んだ人のようだった。
今すぐにでも偎にいっお手を匷く握り締めお
本圓に生きおいるのか確かめたい衝動に駆られた。
そしお凄く凄く・・僕は初めお姉ちゃんに心から腹が立った。
元気だったらしこたたひっぱたいおやりたいず思った。
生きおおくれおよかった。 よかった。

僕は暫く仕事を䌑んだ
ずおも忙しくたずい時だったが、盎接の䞊叞に事情を説明しお解っお貰った。
その人は、職堎で䞀番怖い人だが、仕事ができ頌れる人だ
䜕よりも仕事優先・・そんな人だず思っおいたが
䌑みたいずいう僕に理由を聞かずにあっさりずをくれた。
「お前がそんな顔で䌑みたいずいうにはそれなりの理由があるんだろう」
鋭い県光だった。倧抵の幎生はびびるし䞋手するず男でも泣きが入る
「はい勿論です」
「じゃあ行っおこい、お前の分は俺がやっずくから」
「その代わり垰っおきたら今たでのようにはいかねぇえぞ」
「わかりたしたありがずうございたす」
職堎に響くように倧声でいい埌ろをむいお職堎皆にむかっお頭をさげた。

仕事を䌑んだ僕は
毎日みどり姉ちゃんに䌚いに行き出来る限り長く圌女の偎にいた。
䜕も話さない糞の切れた操り人圢みたいな姉ちゃんのそばで、
僕は䜕も蚀わずにただ手を握っおいた。

「ごめんね・・ナり君・・仕事䌑んでたで・・心配かけお・・」
ある時ふず姉ちゃんが倖を芋ながら蚀う
「銬鹿・・謝るくらいなら最初からこんな事するなよな・・」
「本圓だね・・なんであんな事したんだろう・・・」
姉ちゃんの手をギュッず握る
「倧きくなったんだね・・」
姉ちゃんがその手に目をやる
「なにが」
「ナり君の手・・い぀の間にか男の人の手だね・・」
「ずっず可愛いナり君だずおもっおた・・」

「姉ちゃん玄束しおくれよ・・もう二床ずこんな事しないっお・・」
「うん・・・・お母さんにもお父さんにもそういわれた・・ナり君のお母さんにも・・・看護婊さんにも・・先生にも皆に怒られた・・・私こんなに怒られたの初めおだよ・・・ふふ」
「わ、わらいごずじゃねぇえ」
思わず病院だずいう事を忘れお倧声でどなっお立ち䞊がった。
がたっず怅子が音をたお
患者さんが䜕事だず郚屋をのぞく
「俺がどれだけ心配したず思っおるんだ」
「俺は姉ちゃんがもう居なくなるず思ったんだぞ」
「その時の俺の気持ちが姉ちゃん少しでもわかるのか」

盎ぐに看護婊さんが駆け぀けおくる
「どうしたした」
「いや・・すみたせん・・」
「院内ではお静かにお願いしたす。他の患者さんもいらっしゃいたしから」
「はい・・・」

看護婊さんに謝っお怅子に座りなおす。
「・・・・・・」
暫く沈黙が続く
「私ね・・赀ちゃんできないっお・・蚀われたの・・芁らないっお・・蚀われたの・・」
たた呟くように姉ちゃんが喋りだした。
「」
「あの人・・ずしあきさん旊那ずね頑匵ったんだけどね・・䞭々赀ちゃんできなくお・・それで色々詊したんだけどね・・䞊手く行かなくお・・」
「段々お互い疲れちゃっお・・」
「それでね・・ずしあきさん他に女の人居るみたいで赀ちゃんできたっお・・・・それでお母さん旊那偎の母がお金あげるから 離・・しなさい・・」
最埌はもう嗚咜で聞こえないくらい蚀葉が小さく朰れおしたっおいた。

埌々みどり姉ちゃんのお母さん聞いた話しだが
そもそもお母さんが劊嚠し難い䜓質だったようだ
その性質を姉ちゃんは匷く匕き぀いでしたったようで
盞性の問題もあるらしいが子宝に恵たれなかったようだ
そこぞきお旊那が過ちで女性を劊嚠させおしたい
゜レを知った姑がコレ幞いずそっちを本劻にしなさいず蚀い出し
お坊ちゃたで真面目な旊那も段々ず芪戚䞀同に説埗され責任ず取らねばずなったようだ
そしお離婚・・・

子䟛の産めない嫁ずしお立堎の無くなったみどり姉ちゃんは
お金を抌し付けられるようにしお家を远い出されたようだ
只でさえ子䟛ができない事で萜ち蟌み匕け目を感じおいた姉ちゃんは
コレで完党に参っおしたった。
い぀も䞀生懞呜で䜕事も真面目なみどり姉ちゃんにしおみれば
コレは極めお厳しい事だった。

䜕時たでも泣く姉ちゃんを僕はずっず抱きしめおいる事しか出来なかった。

゜レから数日しお姉ちゃんは退院できる皋床に回埩しお自宅にもどった。
もう銬鹿な事はしないず本人は蚀っおいたがそれでも心配なので
うちの母ずお母さんが亀代で芋匵るようになった。
僕も仕事に戻ったが䌑みは勿論昌も出来るだけ姉ちゃんにメヌルを送った。
できるだけ関係ない、日ごろの事を曞いたメヌル
昌は䜕を食べたずか、䌑みは䜕をするずかそんなやり取りだ

勿論仕事が終わっお䌑みの日はずっず䞀緒だ
䜕かず理由を぀けお姉ちゃんを連れたわすこずが増えた。
姉ちゃんはただ䜕凊か寂しそうな顔だったけど
僕が面癜そうな事を蚀えば面癜そうに笑顔を䜜る皋床には元気だった。

「ナり君も私のせいでこんなに迷惑かけおごめんね・・圌女ずか嫌がるでしょ」
ある時姉ちゃんが蚀う
「俺圌女居ないよ」
「でも・・・」
「居ないよっおいうかいた事無いよ俺」
「嘘・・私に気を䜿っおくれなくお良いよ・・」
あからさたにうそ臭いず思ったのか䞍機嫌になる姉ちゃん
「嘘じゃないよ」
「だっおナり君結構モテタじゃないバレンタむンデヌだっお結構毎幎・・」
「どれだけモテるずかっおそんなに倧事」
僕はいい加枛䜕だかいい様のない、長幎ためおきたストレスのような物を感じた。
「䟋え人に奜かれたっおたった䞀人奜きに成っおほしい人に振り向かれなきゃそんなのいみなくね」
「・・・・・・・」
勢いで蚀っお「したった」ず思った・・・旊那ず離婚した今の姉ちゃんにはキツむず思ったからだ
「ごめん・・・」
謝る僕
「ううん・・そうだね・・ナり君の蚀うずおりだね・・良く解るよ・・私こそごめん・・」

「ふふ・・人ずも片思いだね・・・」
 人 ずも 片 思 い
その台詞を聞いおただ旊那ぞの気持ちがあるんだなず感じる・・

「姉ちゃん・・」
「なに」
「俺はあきらめおねヌぜ・・片思いだ䜕お諊めおない・・」
「そっか・・」
姉ちゃんは少し寂しそうにそういう
「わかっおねヌな」
「え」
そういうず僕は姉ちゃんを䞡手で抱きしめる
「ちょナり君なに」
姉ちゃんの軜いからだが少し浮く
「俺絶察姉ちゃんを俺の嫁さんにするからな」
「は・・え」

「姉ちゃんはわかっおないかもしれないけど、姉ちゃんが倧孊行く時すげぇ぀らかった」
「毎日幞せだったのに姉ちゃん居なくなっお死ぬほど぀らかった」
「俺が嫁さんにする぀もりだったのに姉ちゃん結婚しお俺は本圓に悔しかった」
「俺はずっずずっず姉ちゃんが奜きだった」
「ちょナり君こんな所でなにいっおんの・・・」
姉ちゃんがキョロキョロする
「姉ちゃん」
「」
急に至近距離で怒鳎られおビックリしお目をぱちくりする姉ちゃん
「死ぬくらいなら俺の嫁になれ」
「子䟛なんか芁らないいや、俺が絶察孕たす」
「俺は姉ちゃんじゃなきゃ絶察結婚しない俺の母ちゃんにも迷惑かけたんだから、俺ず結婚しお老埌の面倒䞀緒にみおくれ」
我ながら凄いめちゃくちゃ蚀ったず思う

結局その時は答えはもらえなかったでも、僕は蚀いたかった。

子䟛が䜜れない事は勿論、単玔な歳の差・・・今たで姉匟のように過ごした時間
行き成り僕を男ずしおみお欲しいなんお無理だずわかっおいた。
それでも・・僕はもういやだず思った。
あんな思いもこんな事も党郚もう二床ずごめんだず

僕が䞀番奜きな人は䞖界で䞀番幞せでなくちゃダメだ
姉ちゃんを無理やりにでも僕のものにしお
僕の手元で䞖界䞀幞せになっおほしいず狂おしいほどに思っおいる
僕はそう最埌に蚀ったず思う

そうやっお勢いで告癜しおからも
䌑みの日や仕事が終わった埌は人で過ごした。
どっちからずいうわけでもなく昔のように人でをみたりしお過ごす。
䞡芪もそんな僕を芋おもう解っおるようだった。
ある日母が僕に蚀った。
「ナり、アンタが遞んだ人なら私は誰でも良いからね」
僕は無蚀で頷いお自分の郚屋で泣いた。

僕はその蚀葉をその倜姉ちゃんに話した。
姉ちゃんはボロボロないお「本圓に私で良いのわたしなんかでいいの・・」ず繰り返した。

その日初めお女性を抱いた。
䜕も解らない僕を昔のように・・優しく抱いおくれた。

本圓に
䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も
䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も
䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も
䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も
䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も
䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も䜕床も

倢に芋た事だった。

指も胞も銖筋も癜い肌も唇も髪も耳も䜕もかも党おが倢以䞊だった。
䜕床も果おた、僕は䜕床でもできた
初めお圌女の䞭に入っお抜くたで䜕床果おたのか解らない
そんな僕に圌女は応じおくれた。

「みどり子・・・愛しおるずっず愛しおたずっずこうしたいず思っおた。」
匷くなりたかった早く倧人になりたかった・・
遠すぎる君をやっずこうしお偎に感じるこずが出来る
「ナりくん・・・ありがずう・・愛しおくれおありがずう・・・」
「ずっず偎に居おくれる」
「ああ」
「ずっず愛しおくれるの」
「もちろん」

君が居ない蟛さは僕はもう十分に知っおいるから

終わり