【独自】 事務方は反対していた!78億円で303人 大阪コロナ施設「吉村知事」のゴリ押し発言録を入手

現代ビジネス編集部

衆院選前に、なぜ急いだのか

「関西財界への贈り物」といってもいいかもしれない。その吉村氏の打算は、実際に功を奏した。件の衆院選で大阪の小選挙区から立候補し、落選した自民党の元代議士がこう語る。

「選挙は戦争です。大阪は『維新の会』が強いので、私は徹底的に維新批判を展開しないと、選挙には勝てなかった。

ところが衆院選直前になると、選挙区の大手企業の幹部から『吉村はよくやっている』『維新批判はダメだ。政策で勝負しないと』と横やりが入った。維新に文句を言うなというのです。他の候補者も同じような話があったと聞いています。

『人気者の吉村の批判をすれば浮動票が減りますよ』とも指摘された。関西財界が、いつしか『吉村贔屓』になっていたのでしょう」

その結果、衆院選において日本維新の会は、公示前の議席数が11だったところ、小選挙区と比例をあわせて41議席と大きく躍進した。

衆院選での吉村知事 Photo by GettyImages衆院選での吉村知事 Photo by GettyImages

「野戦病院」と「関経連」、そして「衆院選」──そのつながりをどう見るべきなのか。当の関経連の幹部の一人はこう証言する。

「インテックス大阪のセンターは、関経連の提言どおりに実現してくれたので、吉村知事の財界での評価はアップしているように思います。吉村知事がよくやっているという話は、関経連でもしょっちゅう出ますから。テレビ出演も多い吉村知事が、府民だけでなく関西財界のなかでもすっかり人気者になったのは事実です。

しかし、選挙とどう関係したのかはわかりませんね。企業、業界団体ごとに支援する候補者は違いますから。ただし、『よくやっている吉村知事や維新を批判するな』という空気が全体的にあったのは事実で、そこはプラスに働いたかもしれない」

 

閑散としたまま使命を終えたこの施設について、5月30日、吉村知事は記者会見でこう語っている。

「デルタ株の時に若い人が、自宅で肺炎になり亡くなるというケースがあった。ただ、オミクロン株では、そういう状況にならなかった。この施設は、ある意味、使う必要が生じなかった、フル回転しなくてすんだ。いざというときのための施設ですから。予測困難なことですけども、稼働する中で若い人の命にかかわるほどの変異株は生まれなかったと思っている」

税金の投入が失敗し、閑古鳥の鳴いたセンターへの失敗の反省はみじんも窺えない。この施設の設置には78億円という途方もない金額がかかった。そのうち、大阪市所有のインテックス大阪の賃貸料は30億円である。コロナでほとんど稼働がなかった国際展示場にとっては大きな収入になっている。それにほくそ笑んだのは、選挙に大勝した維新と、そのトップで日本維新の会代表・大阪市長の松井一郎氏だっただろうか。

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