【独自】 事務方は反対していた!78億円で303人 大阪コロナ施設「吉村知事」のゴリ押し発言録を入手

現代ビジネス編集部

「関経連の提言書」どおりに

だが吉村氏はそれも否定した。

《大規模だから意味があるのでは。小規模ならホテルと変わりない》

保健医療部長は《ただ、野戦病院のニーズがあるのか》と再度はっきり懸念を示している。吉村氏は《これから自宅療養が増え、宿泊療養施設に入りきらないのでは》と野戦病院案を主張。それに対し、保健医療部長は《ホテルを増やせば》と応じている。

事務方の懸念をよそに、吉村知事は、あくまでインテックス大阪への「野戦病院」開設にこだわったのだ。この保健医療部長の懸念が概ね正しかったことは、今となってははっきりしているだろう。

インテックス大阪(同ウェブサイトより)インテックス大阪(同ウェブサイトより)

さて、きっかけとなった関経連の提言書〈新型コロナウイルス感染者のための臨時大規模医療施設に関する提言〉を見ると、確かにはっきりと野戦病院の記述がある。

《守るための新たな対策が求められている。そうした観点から、軽症者を対象に容体観察、抗体カクテル療法の実施、容体悪化への即応を行うための臨時の大規模医療施設(いわゆる「野戦病院」)の早急な設置を要望する》

関経連の提言書から、吉村氏が動き出したことは明白だ。この「知事レク」の2日後の8月20日午後4時。大阪府庁の知事応接室で、吉村知事は関経連の松本会長らと向かい合っていた。この日は前出の大阪健康医療部長も同席している。

この日は、全国知事会や第27回新型コロナウイルス対策本部会議が開催されるなど、多忙な中、吉村氏はこの会談に45分間も時間をさいた。「現代ビジネス」が入手した面談記録によれば、《課題はいろいろあるが、インテックス大阪を候補に進めていく》とトップダウンで方針を決めていたことがわかる。

 

この会談では、またしても《一番の課題は人材。公立病院は中等症病床の中核となっており手一杯》《臨時医療施設の開設には核となるチームが必要》といった声が府の幹部から出ていた。インテックスでの「野戦病院」案に事務方が懸念を示していた雰囲気が伝わってくる。

昨年8月20日に行われた関経連会長との会談記録昨年8月20日に行われた関経連会長との会談記録

だが、吉村知事はそこに耳を傾けた形跡はない。爆発的に感染拡大が進んでいた当時、医師や看護師らの不足は慢性的で、医療に必要な資材さえ十分とはいえなかった。

前出の大阪府の幹部は「本当にやるのか」と心の中で絶句したとして、こう振り返る。

「当時は、たとえば看護師の求人でも日当に5〜8万円を出しても集まらないような極限状態だった。人がいないのに、なぜ無理してやるのかと思っていました」

「インテックス大阪での野戦病院」案に、吉村知事は一気に突き進んでいく。それから8日後の8月28日の土曜日、読売テレビの「ウェークアップ」に出演すると、

《大阪に1000床単位の野戦病院を作る決断をした》

とぶち上げたのだ。

関連記事