臨床工学技士の平均年収はどのくらいかご存知でしょうか。
医療機器のスペシャリストである臨床工学技士。就職・転職で臨床工学技士を目指している方もいるでしょう。
気になる平均年収や、収入アップの方法のためにも、当コラムを参考にしてください。
目次
そもそも臨床工学技士とは
臨床工学技士は、医師の指導の下、呼吸器、透析装置、心臓肺装置などの生命維持装置を操作し、さまざまな医療機器の保守、検査、管理を行う技術者です。
臨床工学技士の主な業務には、人工呼吸器の動作を確認する呼吸治療作業、体外循環装置を操作および検査する人工心肺作業、および血管治療に関連する人工透析装置を穿刺および操作する血液が含まれます。
清掃作業、手術室での機器の操作・管理を行う手術室作業に加え、医療施設のさまざまな分野で使用される医療機器を安全に使用し、機器の性能を維持できるように医療を行います。
検査のための機器管理作業、すべての医療スタッフが他の職種と連携して使いやすい機器の選定、いつでも安心して使えるように検査・保守、修理など、医療機器のトータルケアを担当しています。いずれの場合も医療に必要な工学的知識が必要です。
生命維持装置、透析装置、心肺装置などは、誤操作や故障により直接生命を脅かす重要な装置であるため、取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
全国には約15万人の有資格者がおり、医療業界では比較的新しい分野の仕事です。
臨床工学技士の平均年収
日本の全業種の平均年収の433万円と比較すると、臨床工学技士の平均年収は423万円でやや低い水準にあります。
全体の給与範囲は295万円から655万円と比較的広く、就職先や経験、必要なスキルによって変わってきます。
就業形態では、正社員の比率は91%で、パートタイマーの比率9%、アルバイトの比率5%で、専門的な知識や高度な能力が要求される職場なので正社員の比率が高くなっています
都道府県別|臨床工学技士の平均年収傾向
都道府県別(東京、大阪、福岡、北海道、名古屋)にピックアップして平均年収・平均月収を比較してみました。
地域によって臨床工学技士の採用の給与水準に違いがあり、東京、大阪、福岡、名古屋は全国平均と比べて、臨床工学技士の年収が高い傾向にあります。
東京では家賃などの生活費が高いですが、大都市圏に変更することで、臨床工学技士としての仕事内容の選択肢が広がり、年収が上がりやすくなります。
| 平均年収(万円) | 平均月収(万円) | |
| 全国平均 | 423.4 | 35.3 |
| 東京都 | 440.1 | 36.7 |
| 大阪府 | 440.5 | 36.7 |
| 福岡県 | 474.1 | 39.5 |
| 北海道 | 407.5 | 34 |
| 愛知県 | 456.9 | 38.1 |
東京都の臨床工学技士の年収
東京の場合、ハローワークの求人を参考にすると臨床工学技士の給与は22.6 ~ 29.4万円、推定年収は約440万円です。
給与が20万円を超える臨床工学技士の仕事が多く、他都道府県に比べて年収が高い結果です。23区と首都圏では臨床工学技士の給与水準に差はありません。
大阪府の臨床工学技士の年収
大阪府の臨床工学技士の採用を見ると、給与は22.2 ~ 27.7万円、推定年収は約440万円で、東京に次ぐ水準となっています。
中でも福岡県と愛知県は業態の違いや夜勤の影響、地域のニーズの高まりの結果と推測されます。
福岡県の臨床工学技士の年収
福岡県では、臨床工学技士の給与は20.2 ~ 26.30万円、推定年収は約474万円です。臨床工学技士の給与は福岡県の地域や施設による差が小さいと言えます。
北海道の臨床工学技士の年収
北海道の臨床工学技士の給与は19.1 ~ 26.3万円、推定年収は約407万円です。
北海道の場合は、集約拠点の過疎化も影響しているものと考えられ、全国平均の臨床工学技士の平均年収よりも15.9万円低いです。
北海道は給与の幅が大きく、札幌市の求人だけでも年収に同じような違いがあるので、北海道の地域差ではなく、施設や臨床工学技士としての地位の違いがあると考えられます。
臨床工学技士と臨床検査技師、診療放射線技師 との年収比較
臨床工学技士と似ている医療機器の保守、検査、管理に携わる職業(臨床検査技師、診療放射線技師)との年収を比較してみましょう。
臨床工学技士の年収が423万円(平均年齢37.7歳)、臨床検査技師が496.5万円(平均年齢は41.6歳)、診療放射線技師が546.7万円(平均年齢は41.9歳)となっています。
大学病院や総合病院で救急指定先となっている施設の診療放射線技師は夜勤があるため、臨床工学技士や臨床検査技師に比べると年収が高くなっています。
臨床検査技師、診療放射線技師は平均年齢が臨床工学技士よりも高いため、平均年収も高くなっていることが考えられます。
残業20時間、夜勤、手当を除いて10年勤続した想定で比較した場合、臨床工学技士は約462万円、臨床検査技師は約452万円、診療放射線技師は488万円となっています。令和元年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)より
診療放射線技師の年収が高く、臨床工学技士、臨床検査技師の平均年収の差はほとんどありません。
臨床工学技士が年収800万・1000万円を超えるのは可能か
臨床工学技士が年収800万・1000万円を超えるのは、難易度は高いですが、決して不可能ではありません。
外資系の企業や大手医療機器メーカーであれば、800万・1000万円の年収をだす求人があります。
高度な技術やコミュニケーション能力が求められますので、事前に準備が必要です。
臨床工学技士としての資格を取得することも、年収を大幅に増やすのに役立つので参考にしてみてください。
専門臨床工学技士の資格の取得
臨床工学技士にはスキルアップとして日本臨床工学技士会が各分野の「専門臨床工学技士」の認定を行っています。
資格を取得することで、年収を増やすのに役立ちます。
日本臨床工学技士協会による臨床工学技士の認定制度には、「血液浄化を専門とする臨床工学技士」、「不整脈治療を専門とする臨床工学技士」、「呼吸器治療を専門とする臨床工学技士」、「高圧酸素治療を専門とする臨床工学技士」があります。
各種学会の認定制度
臨床工学技士の専門性はさまざまな医療分野で求められているため、学会による臨床工学技士の認定制度もあります。
日本呼吸器学会、日本呼吸器学会、日本胸部外科学会による「三者呼吸療法士」は、認定試験の資格を得るための人気のあるコースです。
「臨床ME専門資格」は、日本生体医工学会によるものであり、1型ME技術技能試験に合格し、2年以上の実務経験が必要です。
臨床技術者としての需要が高い透析分野には、日本腎臓学会、日本泌尿器科学会、日本透析医学会など5つの学会から「透析技術認定者」がいます。
臨床工学技士のその他の認定には、「体外循環技術認定」、「臨床高圧酸素療法技術者」、「日本アフェレーシス学会認定技術者」などがあります。
臨床工学技士の年収・給料をアップさせる方法
臨床工学技士の年収や職務は施設によって異なりますが、どのような働き方、施設で働けば年収を上げやすいのか見ていきましょう。
施設による臨床工学技士の年収の違い
臨床工学技士の転職の際は、基本給が同じでも、夜勤、シフト、残業の多い医療機関に転職することで年収が増えます。
多くの臨床工学技士が夜間勤務することが予想される医療施設でも、大病院は給与水準が高く、競争率が高いです。
一方、多くの透析クリニックは個人経営で給与水準もさまざまですが、20代から30代の臨床工学技士の年収は病院よりも高くなる傾向があります。
現在の給与と基本給が同じ診療所でも、夜間透析をしている場合、夜勤の回数を増やすと、夜勤の手当が増え、年収を増やすことができます。
医療機器メーカーでは臨床工学技士の資格が重宝されるので年収を上げやすくなります。
キャリアプランを念頭に置いて働く
臨床工学技士としてのキャリアを追求したいのか、年収を優先したいのか、仕事と生活のバランスを大切にしたいのか、将来について考えておきましょう。
若い頃からのキャリアプランを考え、心臓血管病院で臨床工学技士として働き、心臓カテーテル検査や人工心肺装置を習得し、外科手術に携わるようになることで、年収に反映されることが期待されます。
ただし、臨床工学技士の手術室での作業は専門性が高く、代替要員も限られているため、夜勤やオンコールなどの大変な作業になります。
臨床工学技士の年収は今後アップするか?
技術が進歩するにつれて、臨床工学技士は医療チームの必要不可欠な重要部分になると言え、年収も増大する方向にむかうでしょう。
医療分野でさまざまな機器を扱う臨床工学技士は、有望な職業と言えます。
現在、さまざまな医療機器が開発されており、今後さらに需要が高まることが見込まれています。
臨床工学技士の仕事における手当て
勤務地によって、夜勤手当、待機手当、透析勤務手当の有無があることを紹介します。
臨床工学技士が受け取る収入額は、「手当」があるかどうかによって大きく異なります。多くの病院が提供する手当の種類は次のとおりです。
夜勤手当
緊急対応を提供する病院では、臨床工学技士は残業や夜間勤務の頻度が高いため、臨床検査技士や放射線技師よりも多くの収入を得ています。
緊急対応を行わない病院では、残業の頻度が低く、夜勤やオンコール体制のない施設が多いです。
夜勤やオンコールがなければ、手当からの収入は期待できませんが、仕事と生活のバランスを重視した生活を送りたい人にはうってつけの場所です。
大病院の高給に加え、緊急時の対応として夜勤制度を導入しているため、夜勤手当や残業代を含めることで、総支給額が増えます。
待機手当
基本給に加えて、職種によってリスク手当などの手当が支給される場合がありますが、残業手当、夜勤・休日手当、オンコール制度の待機手当は、臨床工学技士の月収に大きく影響します。
透析作業手当
透析の管理や作業に携わった場合や透析作業の不具合の発見や点検作業などが対象です。
また、一般企業と同様に通勤手当や住宅手当が一般的に追加されています。
「どの手当といくら追加されるか」は病院によって異なり上限もありますので、必ず就職情報をよく確認してください。
この手当に加えて、一部の病院では、学会に出席する際に出張費を受け取ることができる場合があります。
学歴によって給料・年収は変わる?
臨床工学技士になるには、原則として、3年制の専門学校や訓練機関のある短期大学、4年制大学を卒業して国家試験に合格する必要があります。学歴によって年収に違いはあるのでしょうか?
臨床工学技士の学歴による初任給の違い
3年制教育機関の卒業生と4年制大学の卒業生を比較すると、新卒者の給与は4年制大学で5,000円から10,000円高めで多くの場合、大学の卒業生の方が年俸が高くなります。
ただし、昇給にほとんど差がないため、同年代の年収を比較してもほぼ同じです。
また、ここでの学歴は、臨床工学技士になるための研修機関での学歴です。大学卒業後、一般企業で働いていた人が専門学校に通って臨床技師になった場合、多くの医療機関は専門学校の卒業生を給与と年収として扱っています。
学歴は雇用と昇進に影響するか?
大卒者は、年収などの治療が行き届いた大病院で臨床工学技士の就職先を見つけるのに有利な傾向があります。
また、マネージャーやチーフエンジニアなどのメリットに基づく施設もありますが、4年制大学の卒業生の昇進が容易になっています。
将来的には、大卒者と専門学校卒業者の年収に差が出ることが予想できます。
今後、採用時の年収だけでなく、高度で幅広い専門知識を身につけたい方、管理職を目指したい方など、臨床工学技士になりたい機関長など、4年制大学に進むことをおすすめします。
経験年数が1年変わる
専門学校の卒業生(3年)の場合は、大学の卒業生(4年)と比較して1年の経験を積むことができます。
経験年数で上下が決まる職場もあるようですので、早く就職できれば有利になることもあります。
社会人から転職する場合、短期間で資格を取得できることで、早く就職して収入を得ることができるというメリットがあります。
社会人から転職する場合、フルタイムで働くことで得られる年収+1年間の授業料となります。
この金額を学生生活に使うことになりますので、資格を取得して転職することを目標としている場合は、できるだけ早く就職することをおすすめします。
今後、大学を卒業した臨床工学技士の数は着実に増加する傾向になるかもしれませんが、現時点では、技術者としての評価に学歴が大きく関わっているという印象はありません。
ですから、将来性という点では、大学卒業生も専門学校卒業生も、今のところ大きな違いはないと言えます。
まとめ
臨床工学技士は、医療専門職(国家資格)の中で比較的歴史の浅い専門職です。
高度化・複雑化する医療機器の運用や安全管理の維持・検査などの医療技術の進歩に伴い、臨床工学技士の需要が高まっている一方で、最近では大規模な病院や診療所だけでなく、今まで採用されなかった中小規模の民間病院でも、臨床工学技士を採用するケースが増えています。
医療機器の専門家の認識と役割は急速に高まって必要とされています。現在も人材不足が続いており、今後さらに高いニーズの拡大が見込まれます。
このような状況を踏まえ、是非ともアガルートの資格取得講座で国家試験に最短距離で合格しましょう。