ケアマネジャー(介護支援専門員)試験

ケアマネジャー試験の合格率が低い理由は?合格点や合格者の職種比率からわかること

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介護支援専門員(ケアマネジャー)は医療介護系資格の中でも合格率が低く、難関とされています。

2018年度には試験問題免除がなくなったり、受験資格要件が変更になって受験者は大きく落ち込みましたが、再度徐々に増えてきています。

では難関といわれる介護支援専門員の合格率はどのぐらいなのでしょうか?

今回はケアマネジャー試験の合格率と構成比率を年代別と職種別を一覧表にし、一覧表から見えてくる近年の傾向を解説しました。

参考にしていただければと思います。

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ケアマネジャー試験の合格点

ケアマネジャー試験の過去の合格点や合格基準を見ていきましょう。

実施年 合格基準 合格点
全体 介護支援分野 保健医療福祉サービス分野
第24回
令和3年度
(2021年)
65% 39点 14点 25点
第23回
令和2年度
(2020年度)
58% 35点 13点 22点
第22回
令和元年度
(2019年度)
68% 41点 16点 25点
第21回
平成30年度
(2018年度)
58% 35点 13点 22点
第20回
平成29年度
(2017年度)
63% 38点 15点 23点

合格基準は70%を超えるように設定されていますが、合格者の人数や不適切問題などを考慮して合格基準が調整されます。

合格者が少ない年では60%を切る年もあるようですので、自己採点をして70%に達していなくても合格発表まで待ちましょう。

また介護支援分野、保健医療福祉サービス分野のどちらかが合格点に達していない場合は不合格になります。

両分野での合格点が必要です。まんべんなく勉強をして得点をする必要があるので注意しておきましょう。

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験の合格率の推移

ケアマネジャーの合格率は例年20%前後と医療介護系資格の中でもかなり低いです。

過去5年分の受験者数と合格率を見ていきましょう。

  受験者数 合格者数
合格率
第24回 R3年度(2021年度) 54,290人  12,662人  23.3%
第23回 R2年度(2020年度) 46,415人 8,200人 17.7%
第22回 R元年度(2019年度) 41,049人 8,018人 19.5%
第21回 H30年度(2018年度) 49,332人 4,990人 10.1%
第20回 H29年度(2017年度) 131,560人 28,233人 21.5%
第19回 H28年度(2016年度) 124,585人 16,281人 13.1%
(引用:厚生労働省HP「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」より)

ケアマネジャーの次に社会福祉士が約30%弱と低いですが、ケアマネジャーの合格率は社会福祉士よりも下回る数字となっています。

では、なぜ20%前後と合格率が低く難関と言われているのでしょうか?

関連コラム:ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の難易度と保持資格ごとの学習ポイント

ケアマネジャー試験の合格率が低い理由

合格率が低い理由は、問題形式と受験する人の2つの理由があります。

理由1 正しい答えをすべて選ばないと正解にならない

1つ目の問題形式について説明します。

ケアマネジャーの試験は毎年、5肢複択の問題となっています。

一つの問題の選択肢が5択あり、その中から正解を2つまたは3つ答える物になっています。

問題数は比較的少ない上に、正答が2つないし3つともすべて合っていないと1問の正解にはなりません。

4肢択一のように選べるものでもないうえに、問題数が少ないので間違えたときの点数配分が大きいため、合格点に達しない人が多く居るのが現状です。

それだけ確実な知識が必要ということになってきます。

理由2 受験する人の属性がバラバラ

2つ目は受験する人の問題もあります。

近年、ケアマネジャーの資格保有者は毎年確実に増えて言っているものの、ケアマネジャーとして勤務している人は極わずかです。

ケアマネジャーとして働きたいと思い取得する人やスキルアップのために資格を取得したいと思う人は一生懸命勉強して試験に臨むでしょう。

しかし上司などから取得するように促されたりして、渋々受験する人も少なくありません。

医師や看護師、介護福祉士など養成所や学校を出て資格を取得する方は、入学と国家試験までにふるいにかけられて、合格レベルに達しない人は受験しないため高い合格率になっています。

ケアマネジャーは一般からの受験ばかりなので、日々の仕事や子育てなどハードワークで勉強時間の確保が難しいなど、環境や自身のやる気次第によって合格できるかどうかは変わってきます。

以上の2つの理由から合格率が低くなっていることが考えられます。

しかし上位10%しか合格できないというものではありません。

職種によって合格率の差が歴然のため職種別の構成比率の解説をしていきたいと思います。

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験の合格者の職種別構成比率からわかること

年度 受験者数 合格者の職種別構成比率
介護福祉士 正・准看護師 理学療法士 社会福祉士
第24回
R3(2021)年度
54,290人   60.7 % 16.8 %  5.7 % 7.4 %
第23回
R2(2020)年度
46,415人 55.90% 16.9% 6.0% 10.00%
第22回
R元(2019)年度
41,049人 56.0% 18.0% 6.0% 7.7%
第21回
H30(2018)年度
49,332人 49.1% 18.7% 7.2% 10.4%
第20回
H29(2017)年度
131,560人 70.30% 8.5% 3.20% 7.90%
第19回
H28(2016)年度
124,585人 66.4% 9.2% 3.8% 10.7%
(引用;厚生労働省HP「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」より)

今回は介護福祉士、看護師、理学療法士、社会福祉士と「介護職」「医療職」「相談職」とわけて見ていきたいと思います。

受験者は介護福祉士が多い

職種別の構成比率を見てみると、介護福祉士が圧倒的に多くなっています。

その次に看護師、社会福祉士、理学療法士とならんでいます。その他の資格についても気になる方は厚生労働省のHPから確認してみてください。

なぜ介護福祉士の構成比率が多いのかというと、

  1. 介護福祉士のままでは給与が低く、ケアマネジャーを取得して昇給をめざすため
  2. 実際に現場で触れる機会が多く、取得後も介護保険制度の知識が必要

ということがあります。

看護師や理学療法士はもともと平均給与が高い傾向にあり、また学校では習うものの、病院にいると介護保険制度について全く触れる機会がありません。

スキルアップや昇進・昇給をめざす介護福祉士の人は多くいますが、介護保険に関係のない職場で働いている看護師や理学療法士には必要のない資格です。(看護師でもスキルアップを目指す人や管理職レベル、退院支援系職種の人は介護保険制度の知識が必要になるため受験します。)

そのため構成比率も介護福祉士が必然と高くなります。

第21回から所持資格による免除項目がなくなり合格率が低くなる

また、注目して欲しいのが第21回(H30年度)の合格率と構成比率です。

過去最低の合格率をたたき出しているのにもかかわらず、医療系の資格の構成比率が格段に上がっています。

そして介護福祉士の構成比率は20%以上も下がっているのです。

この年になにが合ったのかというと、介護保険法の改正と問題免除がなくなりました。

これまで、介護福祉士は福祉サービス15問が免除になっていました。

しかし第21回からは免除項目がどの資格からもなくなり、一律60問となっています。

これによって合格率が10.4%と非常に低くなりました。

看護師や理学療法士は保健医療サービスの基礎15問の免除がなくなっても、問題内容は基本的なことばかりなので痛手はそこまでありません。

しかし福祉サービスは、日頃関わらない別の分野の情報はあまり入らないため、勉強する範囲が広がってしまうことになります。

そのため介護福祉士の人は難易度が上がってしまい、この年は介護福祉士の人の合格者数が減少し構成比率も減少したのです。

関連コラム:ケアマネジャー試験の基本情報をわかりやすく解説!


合格率だけみるとものすごく難しい試験だと思われます。

しかし高校や大学受験ではないため、合格点に達していればみんな合格です。

学力を競い合い、ふるいにかけるものではありません。

しっかり知識を頭に入れて望めば合格できますので、ぜひ取得を目指してスキルアップをしてみてください。

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