書評

『THE NEW KOREA』レビュー:嫌韓本を手に取る前に読んでおきたい、中立的な第三者による1次資料

2019年2月27日

※注意:当記事では歴史問題や政治に関するテーマを扱っています。なるべく言い回しには気を付けていますが、こういった内容が嫌いな場合はページを閉じていただけると幸いですm(_ _)m

昨年から今年にかけて、韓国による日本への嫌がらせが過去に類を見ないほどの頻度で相次いでいることをご存知の方も多いでしょう。

以前 K-POPに関する記事を書いた際にも(原爆Tシャツに関してのみ)コメント欄で軽く触れてはいたのですが・・・まさかその後も次々と日韓問題が噴出するとは思いもよりませんでした。

いわゆる慰安婦(売○婦)問題。いわゆる徴用工(募○工)問題。旭日旗(自衛艦旗)問題。原爆Tシャツ問題。レーダー照射問題。天皇陛下への暴言。竹島問題。これほど短期間で新たな火種を次々とまき散らしてくるなんてことは過去を振り返ってみても無かったため、連日の報道にはさすがにウンザリしています。

なお、これらの問題に対して、日本側には動かぬ証拠やソースが腐るほど存在します。文献はもちろん、ネット上にすら信ぴょう性の高いソースが山ほど公開されています。ハッキリ言って、日本が韓国に対して謝らなくてはならないことは1つもありません(と、少なくとも私はそう思っています)。

にも関わらず、韓国は例のごとく聞く耳を持たず、捏造されている自国の歴史を疑いもせず、いつものように日本に対して謝罪を要求してくる始末。ライダイハンや日本人漁民殺害&日本漁船の拿捕(第一大邦丸事件)などといった "本当にシャレにならない" 自国の負の歴史と向き合うこともせず、日本人が反撃してこない(GHQや日教組による自虐史観や憲法9条に縛られて反撃できない)のを良いことにやりたい放題やってくる韓国を目の当たりにし、もはや開いた口がふさがりません。

最近では、それまで盲目的に韓国を擁護していた一部の韓流ファン・K-POPファンの方々もさすがに違和感を感じてきたのか、少なくとも政治に関しては徐々にマトモな見方ができる方が増えてきている印象です。正直「韓国嫌いなのはオッサンや年寄りだけだ」とか「嫌韓キモい」だとか、そんな悠長なことを言っている場合ではないと思います。

近年、巷ではいわゆる "嫌韓本" と呼ばれる本が一定のブームを持続しています。

私はこれらの嫌韓本をまだ読んでいないので、内容については何とも言えません(これから少しずつ読んでいく予定です)。ただ、本のタイトルを確認する限りだと、韓国を叩きたいだけの方々も群がってきそうな扇動的なものが多いと感じますし、個人的には「やり口が嫌韓まとめサイトと一緒だな・・・」なんて思ってしまいました。

で、おそらく熱狂的な韓流ファン・K-POPファンの方々は、そういった過激なタイトルに嫌悪感を覚えた結果「嫌韓キモい」「嫌韓こわい」になっている側面もあったりするのではないかと思うんですね。あとは、SNSや YouTubeコメント欄に一定の割合で出現する軍国主義的な言い回しの方々とかもでしょうか。

私もどちらかと言えば韓国が嫌いな側の人間なのでもちろん気持ちはわかるのですが・・・何事も行き過ぎると引かれてしまうものです。自身の書いた文章やコメントを読み返しつつ、周囲にどのようなニュアンスで伝わるかまで考えられれば、耳を傾けてくれる方も増えるのではないかと思っています(自戒も込めて)。

さて、なぜ私が今回この『THE NEW KOREA―朝鮮(コリア)が劇的に豊かになった時代(とき)』という本を紹介しようと思ったかのかと言いますと、まさにこれが理由なんですね。

巷の嫌韓本のタイトルが怖くて、手を出すのを躊躇している。でも、最近の韓国の動向や態度には納得がいかない。理論武装するために、なるべく正しい情報を知っておきたい。そんな方こそ、この本を真っ先に手に取るべきであると断言します。

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著者のアレン・アイルランドさんについて

まず、この本のオリジナルはイギリスの学者であるアレン・アイルランドさんによって 1926年(大正15年/昭和元年)に発表されました。当初はニューヨークでの出版でしたが、後に韓国でも翻訳出版されています。そして 2013年、桜の花出版により日本でも対訳本(原文&翻訳文の両方が記述されている本)として出版されました。

1901年にシカゴ大学の植民地運営研究委員の責任者に任命されたアレン・アイルランドさんは、植民地・統治研究の専門家として約3年間、極東(東アジア・東南アジア)へ派遣されます。その後、イギリス・オランダ・フランス・そして日本の植民地・統治について研究を行っていたそうです。

 

『THE NEW KOREA』について

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本書を読むと、筆者がいかに中立の立場を意識して慎重に筆を進められていたかがよく分かります。決して読み手を煽るような表現はせず、つとめて上品な言い回しに徹しているのが印象的です。

そして、欧米列強・ロシア・中国などに囲まれた当時の日本が、大国に飲み込まれかけていた当時の朝鮮を守ろうと苦心していたことが手に取るように伝わってきました。

また、"職業別の人口分布" "朝鮮の鉄道開発" "商業・製造業・銀行業の年間成長" といった日本統治時代の詳細なデータ・推移の記述、資料写真なども充実していて非常に説得力があります。

何より、時系列的にも筆者の肩書を見ても分かるとおり、この本はいわゆる "一次資料(オリジナルの資料)" です。ちなみに "二次資料" というのは一次資料を参考にした文献になります。例を挙げると、韓国人ブロガーの『シンシアリー』さんは本書をキッカケとしてブログを書き始め、後に『韓国人による恥韓論』を出版されています。

ビジネス書で例えるなら『THE NEW KOREA』という本の立ち位置は、原典としては『原因と結果の法則』に、作風としては『7つの習慣』に近いのかな・・・というのが、私の個人的な印象です。タイトル・副題も含め、この手の本にありがちな扇動的な要素が見られないあたりが、本当に『7つの習慣』っぽいな~と感じます。

7つの習慣のオーディオ版を聴いてみて気づいたこと

 

"一次資料" だからこそ価値がある

身も蓋もないことを言ってしまうと、この本で語られていることの多くは既に、ネット上の情報でも断片的に知ることができます(ただし巻末に掲載されている膨大な数の資料写真集&注釈は一見の価値あり)。それでもこの本を薦める理由は、繰り返しになりますが "一次資料だから" です。

こちらのAmazonカスタマーレビューによると韓国でも 2009年に出版されているとのことなので韓国の方々も知っているとは思いますが、情報戦において声の大きい韓国に競り負けないためにも、こういった一次資料の存在は "動かぬ証拠" として大きな説得力を持っています。

もっとも、韓国の方々の "馬の耳に念仏" 的なスタンスを見る限りだと、いくら彼らに「イギリス人の専門家が、1926年に中立的立場でこういう本を書いてますよ」と突きつけたところで感情的に全否定されるのが関の山でしょう(レーダー照射問題への反応などを見てれば一目瞭然です)。ですが、本書を手に取り真実の歴史を知った日本人が、ネット時代に "世界中に向けて" 真実の歴史を発信していくことで、少しずつでも状況が変わって行けば良いのかな・・・と、一人の日本人として密かに期待していたりします。

ちなみに、中国・韓国系の移民が多いせいか分かりませんが、現状では欧米圏にも偏った歴史認識を信じて疑わない方々もいらっしゃるようです。もちろん、仮に日本に落ち度があるのであれば認めるところは認めなければならないとは思うのですが、さすがにこれはひどい。この手の中途半端に頭が良さそうな方ほど、動画投稿者・視聴者含めてコロっと騙されやすかったりしますからねぇ・・・英語できないのが歯がゆいです。

 

韓流ファン・K-POPファンの方々にこそ読んでほしい

おそらく、この手の歴史問題に詳しい方々であれば、当記事で触れた内容は常識中の常識かと思います。

なので、むしろ個人的には「最近の日韓情勢を見ていて、どちらが本当のことを言っているのか判断がつかない」と困っていらっしゃる親韓の日本の方々にこそ、この本を読んでみてほしいです。見ていると、親韓日本人も親日韓国人も「日本は過去に韓国に対してひどいことをしたかもしれないけど、今は真面目に頑張っているんだから許してあげて」みたいな感じで、ピントのズレた日本擁護をされている方々が割といらっしゃるんですよね。違う、そういうことじゃないんだ・・・

ともあれ、韓流好きでも K-POP好きでも別に構わないとは思うのですが、最低限「お隣りの国がどういった経緯で成立した国なのか?」「過去にどのようなことがあったのか?」といった事実を基礎知識として持っておいたほうが良いかと思います。その上で「それでも韓国が好き」ということであれば、それは真の韓流ファンだと思いますし、堂々と韓流好きを宣言すれば良いと思います。

また、最近出版された嫌韓本から入ろうとしている方は、可能であれば一次資料であるこちらの本から先に読んだほうが良いかもしれません(もしくは併読)。場合によっては、いたずらに韓国への悪感情を助長しかねない著書を手に取ってしまう懸念もありますし、左の方々に足下をすくわれる可能性もあります。

というか、そもそも本書は嫌韓本ではなく "当時のイギリス人専門家が集めた資料集" であり、さらに言うならば本書は巻末にて "日韓の友好を祈る(May Japan and Korea be friendly and harmonious.)" といった言葉をもって締めくくられています。

当時の資料写真を見れば一目瞭然。日本統治時代の日本人と韓国人は、実は仲が良かったのです。そして、日韓関係が悪化した根本的原因は両班(李氏朝鮮王朝時代の支配階級の方々)にあり、国民に罪はなかった。

とは言え、近年も韓国の教科書などによる反日教育が原因で、洗脳されている自覚すら無い状態のまま笑顔で反日発言をするような韓国の方々もいらっしゃいます。結局は当時の両班と同じで、黒幕をどうにかしないことには問題解決への糸口は永遠につかめないのでしょうね・・・

最後に。一つ注意点があるとするならば、この本が教科書に近いということです。事実・史実に基づいた写真・データ・文章などが淡々と提示されていくため、読書慣れしていない方はある程度の覚悟が必要になるかもしれません。現に私自身、眠気と戦いながら本書を読んでいます。

逆に言えば、その "教科書に近い読みにくさ" こそが本書を説得力のある資料たらしめる要因となっているとも言えますし、根気強く読み進める価値は確実にあるかと思います。

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