漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「爿ショウ」 「状ジョウ」 「片ヘン」 「壮ソウ」

2018年09月28日 | 漢字の音符
 ショウ  爿部           

解字 城壁や土壇を造るとき、土をつき固める版築ハンチクで使われる板の型枠を描いた象形[字統]。型枠は両側から当てるが、その片方のかたち。対面する一方は「片」の字になる。つまり、爿片で型枠の両側がそろうことになる。また、爿は木製のベッド(寝台)や、物を置く台をタテに描いた象形ともなる。新字体に用いられるとき、爿⇒丬に変化する。
参考 爿は部首「爿しょうへん」になる。漢字の左辺(偏)について木の板の意味を表す。しかし、この部首は非常に少なく主な字は、牆ショウ・かき(爿+音符「嗇ショク」)しかない。

イメージ   
 「版築工事の型枠」
(状・片) 
 「細長い台」(牀) 
 「同音代替」(妝)
音の変化  ショウ:牀・妝  ジョウ:状  ヘン:片

版築工事の型枠
ジョウ  犬部
解字 旧字は狀で「犬(犠牲のいぬ)+爿(版築の工事の型枠)」の会意形声。版築で土台をつくる工事で、一定の段階まで完了したとき犬を犠牲にして清めること。そこから、工事の進行状況をいうようになった[字統]。新字体は、狀⇒状に変化する。
意味 (1)ものの様子やすがた。ありさま。「状況ジョウキョウ」「状態ジョウタイ」 (2)かたち。すがた。「形状ケイジョウ」「環状カンジョウ
 ヘン・かた  片部          

解字 版築工事に用いる型枠の板の象形で、「爿ショウ」と対面するもう一方の板をいう。かた一方の意味や、木の板から転じて、平たく薄いものを意味する。片は部首になる。
意味 (1)かた(片)。かたほう。「片腕かたうで」「片方かたホウ」 (2)きれはし。かけら。「木片モクヘン」「片雲ヘンウン」(ちぎれぐも) (3)わずか。「片言かたこと」「片時かたとき
参考 片は部首「片かた・かたへん」になる。漢字の左辺(偏)につき、木の板の意味を表す。常用漢字は版ハンのみ。主な字は以下のとおり。
 片(部首):版ハン(片+音符「反ハン」)、牌ハイ(片+音符「卑ヒ」)、牒チョウ(片+音符「枼ヨウ」)

細長い台
 ショウ・ソウ  木部
解字 「木(いた)+爿(細長い台)」の会意形声。木製の寝台や腰かけをいう。床ショウの本字。
意味 (1)ねどこ。寝台。「病牀ビョウショウ」(=病床)「対牀風雪タイショウフウセツ」(隣同士の寝床で吹雪の夜に友人と語りあかすこと) (2)こしかけ。「牀机ショウギ=床几」(①細長いこしかけ。②折りたたみ式のこしかけ) (3)物を置く台。

同音代替
 ショウ・ソウ・よそおう  女部
解字 「女+爿(ショウ)」の形声。ショウは装ソウ・ショウ(よそおう)に通じ、女がよそおうこと。現代中国で化粧する意は、この略字(妆)が使われる。
意味 よそおう(妝う)。よそおい。化粧する。「妝匣ショウコウ」(化粧箱)「妝梳ショウソ」(髪をとき化粧する。梳は、くしけずる意)



     ソウ<立派な男>
[壯]  ソウ・ショウ・さかん  士部

解字 旧字は壯で「爿(長い)+士(おとこ)」の会意形声。爿ショウは寝台にする長い台を縦に描いた象形で長い意。士はおとこで、壯は堂々とした背の高い男のこと[学研漢和]。新字体は旧字の爿⇒丬 に略される。
意味 (1)若者。充実した年頃。「壮年ソウネン」「壮丁ソウテイ」 (2)さかん(壮ん)。勇ましい。「勇壮ユウソウ」「壮絶ソウゼツ」 (3)大きくて立派。「壮観ソウカン」「豪壮ゴウソウ

イメージ  
 「立派な男」
(壮・装・奘) 
 「大きくて立派」(荘)
音の変化  ソウ:壮・装・荘  ジョウ:奘

立派な男
 ソウ・ショウ・よそおう  衣部
解字 旧字は裝で 「衣+壯(立派な男)」 の会意形声。立派な男が身ごしらえを整えること。転じて、男女に限らず「よそおう」「表面を飾る」意となる。
意味 (1)よそおう(装う)。よそおい。「服装フクソウ」 (2)飾る。見栄えを整える。「装飾ソウショク」「装丁ソウテイ」(本の表紙をつけ外形を整える) (3)取り付ける。「装備ソウビ」「装置ソウチ」「武装ブソウ
 ソウ・ジョウ  大部
解字 「大(おおきい)+壯(立派な男)」 の会意形声。大きく立派な男。
意味 (1)おおきい。大きく堂々としている。 (2)さかん。強大。 (3)唐代の僧の名。「玄奘三蔵ゲンジョウサンゾウ」(長安から天山南路でインドに入り仏典を学び帰国後、多くの仏典を翻訳した。『大唐西域記』『西遊記』を著わす)

おおきく立派
 ソウ・ショウ・おごそか  艸部
解字 旧字は莊で「艸(くさ)+壯(おおきく立派)」の会意形声。おおきく立派な草の意であるが、仮借カシャ(当て字)されて、「おごそか」の意で用いられる。また、倉ソウ(倉庫)に通じ、草葺きの納屋や田舎の家の意、このほか店や宿(やど)の意となる。
意味 (1)おごそか(荘か)。「荘厳ソウゴン・ショウゴン」(荘も厳も、おごそかの意)「荘重ソウチョウ」(おごそかで重々しい) (2)納屋。田舎の家。いなか。「村荘ソンソウ」「別荘ベッソウ」 (3)みせ。やど。「茶荘チャソウ」「旅荘リョソウ」 (4)[国]中世の貴族や社寺の私有地。「荘園ショウエン
<紫色は常用漢字>

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3 コメント

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音声配信で引用させて頂いてもよろしいでしょうか。 (サニー)
2020-07-10 16:00:03
初めててコメントさせて頂きます。

子どもに「片付け」の意味を伝えようとしてふと「片」ってなんだ?と考えていろいろ調べていたら「爿」という字に行き当たり、
こちらのブログへたどり着いた次第です。

実は、Radiotalkという音声配信アプリでラジオ配信をしているのですが、宜しければ、「片付け」について語る回にて、こちらのページの内容を参考にさせて頂いてもよろしいでしょうか?

突然なお願いですが、ご快諾頂けますと幸いです。(単純な好奇心の追求からの配信となりますが…)
Unknown (石沢誠司)
2020-07-11 01:59:12
コメントありがとうございます。グログの内容、自由にお使いください。
Unknown (サニー)
2020-07-11 07:43:33
ありがとうございます!
有り難く参考にさせて頂きます。

早速のお返事有難うございます。
よろしくお願いいたします。

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