公務員の受験を考えた場合に、
「難易度は大学受験でいえばどの程度なのか?」
「合格できそうな受験先ってどこだろうか?」
「やっぱり難関大学出身でないと合格は難しいんじゃないの?」
こんな話をよく耳にしませんか?
そこで、ここでは、公務員試験が難しいといわれる理由を具体的に示しつつ、実際の難易度と合格に必要な知識を解説していきたいと思います。
このコラムを読むことで、いたずらに「公務員の難易度は高いから諦めよう」などと考えず、チャレンジする勇気を持っていただければ幸いです。
目次
公務員試験の難易度ランキングは意味がない!
よく公務員試験の難易度を偏差値換算してランキングしているサイトがあります。
ですが、全くのナンセンスです。
大学受験であれば、模擬試験から出た偏差値を物差しにしてどの大学を受験するかを決めたりします。
ですが、公務員試験は就職試験であって、「そこで働きたいか」「どんな仕事をしたいか」を考え、受けるか受けないかしかありません。
確かに、職種によって筆記試験の内容は異なります。
あなたが、働きたいと思う組織、仕事を見つけたなら、受験先の筆記試験に合わせた勉強をして、面接対策をすればいいのです。
とはいえ、公務員試験の難易度が高いといわれます。
次章以下では、これらの要因について詳しく分析し、どう対応すべきかをご説明していきましょう。
公務員試験の内容と合格ライン
公務員試験も就職試験である以上、最終的には面接試験が実施されるのは当然ですが、面接に辿り着くまでに筆記試験の壁を越えなければなりません。
ここで、例年3万人前後が受験する国家一般職(行政系)の筆記試験についてみてみましょう。
教養択一 | 一般知能(文章理解・数的処理)27題 一般知識(自然・人文・社会・時事)13題 |
専門択一 | 16科目(各5題)から8科目(40題)を選択回答 憲法、行政法、民法、経済学、財政学・経済事情、経営学、政治学、行政学、社会学、国際関係、心理学、教育学、英語(基礎)、英語(一般) |
教養記述 | 文章による表現力、課題に関する理解力などについての短い論文による筆記試験 |
教養択一は高校までに勉強した英数理国社、専門択一は大学で勉強する法律、経済などの専門分野から幅広く出題され、加えて教養記述まであります。
すると、
「高校まで数学が苦手だったから数的処理なんてできない」
「センター受験していないから教養の知識がない」
「法学部でも経済学部でもないから無理」
といったネガティヴな発言をよく耳にします。
ですが、これはチャレンジしない理由を探しているに過ぎません。
筆記試験なんて所詮は暗記です。
しかも、5肢択一です。
教養試験のレベルはセンター試験よりも優しい程度、専門択一のレベルも行政書士や宅建士といった資格試験よりも基礎的な知識を問う問題がほとんどです。
ただ、公務員試験は科目が多いので、計画性が要求されるだけです。
意欲があって、戦略を立て、半年から1年間集中力を維持できれば、合格レベルにたどり着けます。
高卒や大学中退者で、大卒レベルの公務員試験に合格した方を筆者は何人も見てきました(公務員試験のほとんどは学歴制限がありません。
大卒レベルとは、試験が大卒レベルの出題内容というだけです)。
出身大学や学部なんかでふるい落とされることはまずない、真の意味で実力主義の試験です。
公務員試験の一次試験は何%以上正解すれば突破できる?
公務員は競争試験なので、何%以上正解すれば確実に合格できるとは言い切れませんが、筆記試験の得点目標は、教養6割、専門7割といわれています。
ただ、これもあくまで一般的な目標設定の目安にしか過ぎません。
つまり、「教養6割、専門7割」取れれば、ほぼ確実に合格できるだろうということで、実際はこの数値より低い点数で合格した例は多々あります。
職種によっては必要得点が異なることも
他方、教養・専門どちらも出題される職種では、バランスが要求され、足切りラインが設定されていることがほとんどです。
つまり、仮に専門で満点を取れたとしても、教養で一定数水準を超えていなければ不合格になるとされるのです。
実際に、試験終了後に成績開示をして教養で1点足りなかったために筆記試験が不合格だった受験生もいます。
また、ある警察官採用試験では、漢字の点数が非常に重視され、仮に教養択一で高得点を取っていても、漢字の書き取りで8割未満だと合格できないとされています。
さらに、教養記述を非常に重視する自治体もあって、教養記述の点数で順位が数百人単位で上下することもあります。
こういった自治体を受験する場合には、記述対策に勉強時間を多く割り当てることが必須となります。
専門科目が課されるか否かで難易度に差が出る
筆記試験に専門科目があると負担は増え、難易度を押し上げます。
先ほどご紹介した国家総合職をはじめとする国家公務員、地方上級(道府県と政令指定都市)のほとんど、東京都庁、東京特別区には専門科目があります。
これに対して、政令指定都市以外の市役所のほとんどは教養試験のみで受験が可能です。
教養 | 専門 | |||
択一 | 記述 | 択一 | 記述 | |
国家一般職 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
国税専門官 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
国立大学法人等職員 | ◯ | × | × | × |
地方上級※ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
東京特別区 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
東京都 | ◯ | ◯ | × | ◯ |
市役所(政令指定都市以外)※ | ◯ | ◯ | × | × |
◯…出題あり ×…出題なし
※いくつかの例外あり
ほぼ全ての公務員試験では教養試験が課されるので教養対策はどこを受験しようが、必須です。
これに加えて専門試験まであるとなれば、筆記試験対策には2~3倍のエネルギーが必要になります。
もし、本試験までの時間に余裕が無いようであれば、専門試験のある職種を避けるのが得策かも知れません。
ですが、受験科目で就職先を選ぶより、本試験までのスケジュールに余裕を持たせ、難易度を下げ、選択肢を広げるようにされることをお勧めします。
受験倍率の高さからイメージするほど難易度は高くない!
公務員試験は、公明正大に実施され、毎年、申込者数や合格者数が公表されます。
それゆえ、見た目の倍率に惑わされることが多々あります。
ここで、人気があり、難易度が高いと考えられている東京都庁(Ⅰ類B一般方式)の2019年の試験結果を参考にしてみましょう。
採用予定者数290人に対して、申込者数3,198人でした。
すると、「倍率11倍!?」と一瞬ひるんでしまいそうになりますが、実際には受験者数2,276人(3割近くが受験していません)、最終合格者数403人で倍率は5.6倍でした。
- 記念受験する人が一定数存在する(公務員の受験は無料です)
- 併願を考えてとりあえず申し込みだけはして直前に受験するかを決める人がいる
- 勉強ができないで本試験日を迎える人が相当数いる
といった点を考慮すると、実質的な倍率は高くてもせいぜい3~4倍といったところです。
また、2019年の国家一般職の実施結果は、申込者数29,893 人、一次試験合格者数10,778人 、最終合格者数7,605人で倍率は3.9倍でした。
受験者数のデータがないのですが、受験率9割として計算してみると一次試験(筆記試験)の倍率は2.5倍です。
民間企業の倍率は公表されていないだけあって、人気企業だと何百倍、何千倍という企業もあります。
それに比べればはるかに手堅い数字です。
もちろん、「倍率が低い=試験の難易度が低い」ではありません。
試験科目の多さや問題の質からしても、それなりの戦略と集中力をもって準備しなければならないのは否定できません。
ただ、世間が考えている以上に、筆記試験のハードルは低く、諦めずに勉強し続ける努力が実るのが公務員試験だといえるのは確かです。
最後に
過去の合格者たちが口を揃えて言うのは、「公務員試験は努力が実る試験」です。
学歴、出身大学、偏差値…そんなことに捕らわれることなく、意欲を持って、戦略を立て、集中力を維持すれば合格できます。
もし、公務の中に、「やりたい仕事」「入りたい組織」があると考えるなら、ぜひチャレンジしてみてください。
最後に、合格者たちが口を揃えて言った言葉をもう一つご紹介しましょう。
「勉強ってやり始めると面白くなってきた。もっと勉強したい」
アガルートアカデミーでは、公務員試験の最短合格を目指すためのカリキュラムをご用意しています。公務員試験を目指される方はぜひご検討ください。