C言語とC++は親子や兄弟のような関係にある言語です。この2つの言語は、C言語で記述されたソースコードをC++向けのコンパイラでそのままコンパイルできてしまうほど、技術的な強いつながりを持っています。ただし、C++はC言語には無い機能があるため、実用性という点ではC++に軍配が上がるかもしれません。ここでは、C言語とC++の技術的な違いやC#との関連性について解説しています。
1. C言語とは?
まず、C言語の背景や特徴について解説します。
C言語の背景
C言語は、1972年にAT&Tベル研究所で開発されました。前身であるB言語の後継版という位置づけから、C言語という名称になったとされています。C言語の開発目的は「UNIXの移植性を高めること」でした。
1969年にAT&Tベル研究所で開発されたUNIXは、小型コンピュータ向けのOSとして評価されていたものの、カーネル部分(OSの中核となる部分)がアセンブラで記述されており、移植性が高いとは言えませんでした。そのため、より多くの環境に適用できるようC言語で書き直され、世に広まっていったのです。
C言語の特徴
C言語は、手続き型のプログラミング言語で、プログラムの実行速度が速いという特徴があります。また、特定のプラットフォームに依存しない汎用性の高さから、現在でも幅広い分野で使用されています。
C言語は「低級言語(低水準言語)である」と言われることがあります。実際にC言語は低級言語の代表格であるアセンブラを処理の中に組み入れることができます。(インラインアセンブラ)これにより、より効率よくハードウェアを操作することができ、小さなリソースで高速な動作を実現できるわけです。
その反面、人間との対話性が高く、コンパイラやエディタが豊富で開発環境を整えやすいという高級言語(高水準言語)としての特徴も併せ持っています。
つまり、C言語は「ハードウェアよりの低水準な記述ができ、高速に動作し、なおかつ人間にも理解しやすい」言語なのです。高級言語が続々と生まれる現代でもC言語が評価されている背景には、C言語の持つ万能性があるのかもしれません。
2. C++とは?
次に、C言語の拡張版とも言えるC++について解説します。
C++の背景
C++は、1983年にデンマーク人のビャーネ・ストロヴストルップ氏によって開発されたオブジェクト指向言語です。C++は、C言語の基本的な文法を引き継ぎつつ、いくつかの機能が追加されています。「C」にインクリメント(コンピュータ用語で+1)の意味を持つ「++」という記号を付与し、「C言語の進化版」という意味を表していると言われています。
C++の特徴
C++は、C言語と同等レベルの実行速度を保ちつつ、コードの記述が少なく、データ量も小さい言語です。また、C言語と同じく機械語に近いため、ハードウェアに近い部分の開発に適しています。例えばOSや産業用機械などはその好例と言えるでしょう。
また、多重継承、テンプレート、関数、演算子のオーバーロード、例外処理といった豊富な機能を持つことも特徴です。
C++はC言語が得意としていた大規模業務システムや業務アプリケーション開発に加え、データ解析など「規模」「速度」を重視される分野で活用されています。現在はC言語以上に汎用性の高い言語と言えるでしょう。
ただし、C++は習得難易度が高い言語としても有名です。これは、C言語由来の「ポインタ」や「オブジェクト指向の概念」が組み合わされた結果と言えます。また、C++には複数のバージョンが存在しており、バージョンごとに機能が異なります。そのため、最新バージョンか準最新バージョンの習得がおすすめです。
3. C言語とC++の違い
では、C言語とC++の違いを整理してみましょう。前述したようにC++はC言語の拡張版です。したがって、C++で拡張された部分を中心に、2者の違いをまとめていきます。
オブジェクト指向
2者の最も大きな違いは、「C言語は手続き型プログラミング言語」であり「C++はオブジェクト指向言語」であるという点です。手続き型プログラミング言語は、手続き(処理)を中心としてプログラミングを行いますが、オブジェクト指向では「データ構造」が先にあり、これをどう処理するか(手続きするか)というステップでプログラミングを行います。
C++はC言語のオブジェクト指向版で、C言語にはない概念が取り入れられています。例えば、変数をクラスという枠でくくることで、変数同士の関連性が強まり「どの変数が何を表すか」が明確になります。さらに、変数に対する処理もクラスに組み入れることで、処理と変数がワンセットになり、「どの変数を使い、何をしようとしているか」がわかりやすくなります。
このほかにもC++は、オブジェクト指向言語の特徴である「隠ぺい(カプセル化)」「継承」「多様性」などを備えており、それまでの手続き型プログラミング言語とは一線を画す存在と言えるでしょう。
技術的な相違点
では、C言語とC++の違いをもう少し具体的な視点で整理していきましょう。
クラスの導入(構造体の違い)
C++では、C言語における構造体(struct)を拡張させ、クラスの概念を導入しました。
STL(標準ライブラリ)
C++には豊富機能を持つ専用の標準ライブラリ「STL(Standard Template Library)」が用意されています。STLのテンプレート機能は、汎用性が高く高速な処理を実装できることが強みです。また、C++は豊富なライブラリを活かしてGUIやネットワーク機能の開発に使われることもあります。
コメント記号
C言語でのコメントは「/* */」が一般的でしたが、C++では「//」も使えるようになりました。
変数宣言
C言語では、関数内における変数宣言は、原則として「ブロックの先頭」で行うというルールがありました。一方C++では、ブロック中の宣言も有効になったため、任意の箇所で変数宣言を行えるようになっています。
関数の多重定義(オーバーロード)
C言語には、「同じ名称の関数を2つ以上作成できない」という決まりがありました。これに対しC++では、異なる関数に同じ名前を与えることができます。これが関数の多重定義(オーバーロード)です。関数の多重定義が可能なると、戻り値や引数の型に応じて処理を呼び出すため、処理内のチェックや分岐処理を減らすことができます。
インライン関数
C++ではインライン関数を使うことができます。インライン関数とは、外部から関数を呼び出すことなく、組み込んでいるソースコード内でそのまま関数の処理内容が実行する機能です。呼び出し処理が省略されるため、処理速度の向上が期待できます。
引数の参照渡し
C言語では、関数に引数を渡す方法として「値渡し」や「ポインタ渡し」が用意されていました。C++ではこれに加えて「参照渡し」を使用することができます。参照渡しでは引数として「値がある場所」を渡します。
また、呼び出し先で値が変更されると、呼び出し元の値もそれと同じ値になります。参照渡しには、ソースコードの可読性が上がったり、より高速に関数を呼び出せたりといったメリットがあります。
4. C言語やC++とC#の関係性は?
最後に、C言語やC++と似た名称を持つC#についても簡単に紹介しておきます。
C#は、C言語やC++と同じように「C」を関する言語であることから、「派生」の関係にあると誤解されがちです。しかし実際にはC言語およびC++とC#の間には、それほど強いつながりはありません。端的に言えば「C#はC++とJavaの機能を合体させた言語」です。C++とは多少のつながりがあるものの、C言語とは隣接している言語ではないのです。
ただし、C#からC++の関数を呼びしたり、C#からC++に配列を渡したりと、ある程度の連携は可能です。
したがって、「親子や兄弟ではないが、遠縁にあたる言語」というような理解が適切です。
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