玉砕(読み)ぎょくさい

故事成語を知る辞典「玉砕」の解説

玉砕

全力で戦い、名誉・忠節を守って潔く死ぬこと。

[使用例] コレヒドール地区隊三十五名は、「最後の一兵まで戦う」という通信を最後に、この地区での生存者は、衛生兵長猪俣浩一名だけであった[吉村昭戦艦武蔵|1966]

[由来] 「北斉書げんけいあん伝」に出て来る話から。六世紀の中国で北斉王朝が樹立されると、新しい皇帝は、前の王朝の皇室げん氏の者を次々に殺しました。このとき、遠縁だった元景安は、を逃れるために、新しい皇帝と同じに改姓しようかと考えました。しかし、一族の元けいこうは、「むしろ玉砕すべきもぜんするあたわず(玉のように美しく砕け散る方がましで、ありふれた瓦として生き永らえることはできない)」と述べて、それを拒否。元氏を名乗ったまま殺された、ということです。

[解説] 特に、太平洋戦争の時期に、戦死することを指してよく用いられました。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「玉砕」の解説

玉砕
ぎょくさい

第2次世界大戦中の 1943年5月 30日,アッツ島の戦いで日本軍守備隊が全滅したことを大本営が発表するときに使った言葉。以後部隊が全滅したり,壊滅すると,「瓦でまっとうするより,玉のように美しく砕ける」というの「瓦全」「玉砕」という言葉を用いた。『北斉書』元景安伝から取ったもの。

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普及版 字通「玉砕」の解説

【玉砕】ぎよくさい

玉となって砕ける。〔北斉書、元景安伝〕~姓を高氏にはんと欲す。景云く、に本宗をてて他姓をふことを得んや。大(むし)ろ玉碎すべきも、瓦すること能はずと。

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世界大百科事典内の玉砕の言及

【砂利】より

…海砂利は概して細粒であり,砂利よりもむしろ砂として利用されることのほうが多い。 砂利の用途は,セメントコンクリートや道路舗装用の粗骨材(玉石を人工的に破砕・整粒した玉砕(たまさい)も用いられる)が主である。また粗骨材としての砂利は,泥分や粘土鉱物分,塩分,非晶質のシリカ分,その他の有機物の付着および含有がなく,低吸水率,堅硬で球形率が高いものが良質とされ,粒度も単一でなく,ある粒度幅の範囲に分布していることも必要条件の一つとされている。…

※「玉砕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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