次の“朝ドラ”は、沖縄を舞台にした「ちむどんどん」!4兄妹の次女として、アメリカ統治下の沖縄に生まれた比嘉のぶが、西洋料理のシェフを目指し東京へ。やがて沖縄料理の店を開くという夢を見つけ、奮闘する姿を描く。自身も沖縄出身である暢子役の黒島結菜さんに、今の思いを聞きました。

暢子はみんなに好かれる“愛されキャラ”

去年の秋に撮影に入って、あっという間にもう5か月(取材時)。ヒロインに決まったときは不安のほうが大きかったけれど、今は毎日、撮影が楽しいです。月曜がリハーサル、火曜から金曜まで撮影で土日が休み、というルーチンが心地よくて。土日が休みって、ワクワクするものですね(笑)。体調もいいので、「“朝ドラ”生活、私に合ってる!」と思ってます。

暢子はとにかく元気で前向き。悩むこともあるけれど、素直でみんなに好かれる子です。脚本の羽原大介さんは、私のイメージで暢子を書いてくださっているそうなんですが、素の私はもうちょっと人見知りなんですよ。ただ、最近は暢子に引っ張られて、社交的になったかもしれません。暢子はどこか放っておけない“愛されキャラ”なので、そこも見習って、もっと愛されていきたいです(笑)。

羽原さんの脚本はシリアスと笑いのバランスが絶妙で、深刻な場面で急に笑いの要素が入ってきたり、かと思えばまたしんみりしたり......。一つのシーンでいろんな感情を呼び起こされるのがすごいと思います。ただ、比嘉家の食事シーンに多いんですが、漫才みたいにボケとツッコミがあるときは、ちょっと構えますね。コミカルなシーンほど、見る方に笑ってもらえるかなってプレッシャーで。ちょっと芸人さんのような気持ちになってます(笑)。

食べることが大好きな暢子は、やがて「料理で人を笑顔にしたい」と思うようになる。

キャスト・スタッフの“チーム”の一体感

比嘉家兄妹はみんな役と素の自分が近いみたいで、スタジオの外でも役のままの雰囲気で過ごしています。この前も、待ち時間にニーニー(けんしゅう/竜星涼)がワーッとしゃべってるのを、私とネーネー(良子/川口春奈)と歌子(上白石萌歌)が「へー」って聞き流していたら、「おまえら、ちゃんと聞いてるか!?」と突っ込んできて(笑)。

まるで台本に出てくるやりとりのようで、おもしろかったです。こんな関係になれたのは、沖縄ロケからですね。それまではニーニーがいないことが多くて、あまり4人一緒の撮影がなかったんです。でも、沖縄で一緒に過ごしたことで、一気に距離が縮まりました。今では、お母ちゃん(優子/仲間由紀恵)も含めて本当の家族のようで、一緒にいるとホッとするんです。

スタッフの皆さんとも“チーム”の一体感があります。実は沖縄ロケのとき、スタッフさんの台本打ち合わせを見学させてもらったんです。ドラマのプロデューサーの小林(だい)さんが「見に来る?」と誘ってくださって。台本打ち合わせに参加するのなんて初めてだったから、「すごく細かいことまで打ち合わせするんだな」「こうして話が煮詰まっていくのか」と、いろんな発見がありました。完成した台本をポンと渡されて読むのとはまた違う感覚が生まれましたし、作品をいっそう身近に感じられるようになりましたね。


昔の沖縄のことを改めて学んだ

ことしは沖縄本土復帰50年。その節目に沖縄を舞台にした“朝ドラ”が作られること、その作品に出演できることを、本当にありがたく思います。昔のことってどうしても忘れられてしまうものだから、それをこうした節目、節目で思い出したり、当時を知らない世代が改めて知ったりするきっかけになれたら光栄です。

今、私は24歳(取材時)なので、暢子の生きた時代を体験してはいません。でも、よく祖父母から聞いていた昔の沖縄の話――通貨がドルだったとか、車は右側通行だったとか、そういう生活が台本に出てくるとうれしくなります。一方で戦争時代のことは、本を読んだり資料館に行ったりしてはいたけれど、これまで深く学ぶ機会がなくて。

今回、改めて沖縄の歴史を取材して、過去をどう未来につなげていったらいいかということを考えられたのは、すごくいい時間でした。ちょうどこれから撮影するのですが、暢子はやがて沖縄を出て、東京でシェフを目指します。私自身、離れて初めて沖縄のよさを実感できた気がするんです。海の美しさ、自然の豊かさ、沖縄ならではの食材や料理のおいしさ、人の温かさ......。

「ちむどんどん」は、そんな沖縄の魅力が詰まった、温かい家族の物語です。明るく笑えて、ちょっと泣ける、とてもいいドラマになっているので、お楽しみに!......と言いつつ、放送が近づいた今が、これまででいちばん怖いかもしれません。皆さんに受け入れていただけるか不安で。でも、本当にいいチームで撮影していますし、周りの皆さんが支えてくれるので、大丈夫だと思えます。ぜひご覧ください!

2か月にわたる沖縄ロケで撮影された、美しい風景にも注目!
「ちむどんどん」とは…沖縄のことばでチム(肝=胸・心)が高鳴る様子。前向きな肯定感に満ちたワクワク感、という意味。

うちな〜TALK♪

Q 沖縄ロケの思い出は?
撮影の支度のために公民館などを借りたのですが、皆さん「頑張ってね」と声をかけてくれたり、ムーチーというお餅のお菓子を差し入れてくれたり......。地元の方が応援してくださっているのが伝わってきて、改めて頑張ろうと思いました。

Q 地元に帰ったらすることは?
絶対に海に行きます! 泳ぐわけではなくて、朝散歩に行ったり、ボーッと夕日が落ちるのを見たりするんです。東京へ行って、沖縄の海っていいなと気づいたので、行く回数が増えました。地元が沖縄で本当によかったと思う瞬間の一つです。

(NHKウイークリーステラ 2022年4月8日号より)