賃貸不動産経営管理士試験における合格率は、平成30年までは50〜60%で推移していました。しかし、令和元年以降、賃貸不動産経営管理士試験の合格率は少しずつ下がっています。
とはいえ、賃貸不動産経営管理士試験に出題される問題の難易度、受験者数などによって合格率は変動するものです。
本コラムでは、賃貸不動産経営管理士試験の合格点・合格率をもとに今後の動向について解説します。勉強プランを立てる際の参考にしてみてください。
賃貸不動産経営管理士試験の合格点・合格率の推移
賃貸不動産経営管理士試験の合格点・合格率の傾向については、令和元年以降から大きく流れが変わっています。
令和元年に実施された賃貸不動産経営管理士試験の合格点は29点(40問)、合格率36.8%でした。
令和3年の試験では、合格点40点(50問)で合格率31.5%となっています。
賃貸不動産経営管理士試験の国家資格化に伴い試験問題や受験者が増えたことが、合格率が30%を切った大きな要因だとされています。
直近7年間における賃貸不動産経営管理士試験の合格点・合格率については、下記の表を参考にしてみてください。
合格点・合格率
| 年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格点 | 合格率 |
| 平成25年 | 4,106名 | 3,946名 | 3,386名 | 28点 | 85.80% |
| 平成26年 | 4,367名 | 4,188名 | 3,219名 | 21点 | 76.86% |
| 平成27年 | 5,118名 | 4,908名 | 2,679名 | 25点 | 54.58% |
| 平成28年 | 13,862名 | 13,149名 | 7,350名 | 28点 | 55.89% |
| 平成29年 | 17,532名 | 16,624名 | 8,033名 | 27点 | 48.32% |
| 平成30年 | 19,654名 | 18,488名 | 9,379名 | 29点 | 50.73% |
| 令和元年 | 25,032名 | 23,605名 | 8,698名 | 29点 | 36.8% |
| 令和2年 | 29,591名 | 27,338名 | 8146名 | 34点 | 29.5% |
| 令和3年 | 35,553名 | 32,459名 | 10,240名 | 40点 | 31.5% |
また、賃貸不動産経営管理士試験には、事前に講習を受けることで試験科目が免除になる制度があります。
賃貸不動産経営管理士試験の講習受講者の合格率をみると、免除がない場合に比べてやや高い傾向です。
講習を受けるにはお金も時間もかかりますが、試験に合格できる可能性が高くなります。
少しでも合格率を上げるなら、講習を受けた方が良いかもしれません。
講習の修了者の合格率推移
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格点 | 合格率 |
| 平成25年 | 1,901名 | 1,689名 | 24点 | 88.84% |
| 平成26年 | 1,463名 | 1,245名 | 17点 | 85.09% |
| 平成27年 | 1,653名 | 1,056名 | 21点 | 63.88% |
| 平成28年 | 2,286名 | 1,556名 | 24点 | 68.06% |
| 平成29年 | 4,380名 | 2,342名 | 23点 | 53.47% |
| 平成30年 | 5,379名 | 2,886名 | 25点 | 53.65% |
| 令和元年 | 6,882名 | 2,641名 | 25点 | 38.40% |
| 令和2年 | 8,671名 | 2,925名 | 29点 | 33.70% |
| 令和3年 | 10,390名 | 3,738名 | 35点 | 36.0% |
合格点・合格率から見る賃貸不動産経営管理士試験の難易度
賃貸不動産経営管理士試験の今後の傾向として、難易度が上がる可能性が高いです。
ちなみに、賃貸不動産経営管理士と類似する国家資格として管理業務主任者というマンション管理業に関する資格があります。
管理業務主任者の合格率は、資格が認定が開始された2001年の合格率58.5%でした。
しかし、翌年の合格率は30%を切っており、ここ数年は合格率20~24%の間で推移しています。
あくまで参考値ですが、類似する国家資格としての参考になるのではないでしょうか。
また、今後想定される賃貸不動産経営管理士試験に影響を与える可能性のある事項として挙げられるのが「賃貸住宅管理業者の要件」です。
現状、賃貸住宅管理業者が設置を義務づけられている業務管理者についは、宅地建物取引士でもOKとなっています。
ただ、この措置は、経過措置という見方もあり経過措置が終わった際に、「賃貸住宅管理業者が、賃貸不動産経営管理士に一本化される」可能性もあります。
つまり、試験内容の難易度にも影響が及ぶかもしれないということです。
計画的な試験スケジュールを立てて早めに資格を取得しよう
今後、賃貸不動産経営管理士試験の難易度は高くなるでしょう。
試験内容も変わる可能性があることを考えると、なるべく早めに資格を取得したほうが良いかもしれません。