2013年 07月21日 (日) 23:02
こんばんは、夜月猫人です。
うーん……いいのかなー。やっちゃっていいのかなー。
そんな不安が大きいのですが、勇気を出してちょっくら小話を。
ついに「クマさん」の称号(?)を得たウォルシンガムですが、相変わらずあんまり本心を見せてくれませんね。
見たい人いますかね……?
……と言いますのも、ウォルシンガムは私の中ではむっつり野郎で、脳内では色々馬鹿なことも考えてる設定なんですが、本編の視点では一切出しようがないので、こちらでお遊び程度にチョロ出ししてみようかなぁなどと思っております。
……いや、悩んだんですけどね。ミステリアスでクール(?)なヒーローのままでいた方がいいのかなとも思ったり。
ヒロインに対して、ウォルシンガムがどう思ってるのかは隠しておいた方がいいのかなとも思ったり。
でも私としては、ウォルシンガムの生殺しと言いますか。顔には出さず脳内で色々葛藤して悶々とするウォルシンガムが実は萌えポイントだったりするので、その辺は文章にして出さないと伝わらないかなとも思ったり。
ウォルシンガムファンのイメージを崩したらごめんなさい。
逆に本編で、ムスッとしているウォルシンガムの本心を想像して、ニヤニヤ楽しんで頂く種にでもなれば幸いでございます。
このコーナー、まったくの気まぐれなので、定期的にやる予定はありませんが、またウォルシンガムを暴きたくなったらやるかもしれません。
あと、読まなくても本編にはなんら影響はありませんので、お好みでどうぞ。
そんなこんなで、以下ウォルシンガム小話です。↓
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『第40話 私のクマさん』の続き
「じゃあね、私は明後日には発つけど、全快するまで仕事に復帰しちゃダメよ。無茶して長引いたら迷惑なんだから」
彼女らしい言い回しで心配して、席を立った女王は、椅子を元あった場所に戻して扉口へと向かった。
だが、すぐには扉を開けずに立ち止まる。
部屋の外には、護衛の従者が待機している。名残を惜しむようにドアノブを掴んだまま動かなかった彼女が、急に、何かを思い出したように振り返った。
「助けてくれてありがとう。クマさん」
そう言って綺麗な笑みを見せ、ドレスの裾を翻し、ドアの向こうへと消えていく。
扉が閉まり、複数の足音が遠ざかる。彼女が見舞いに来る前の、静けさが部屋に戻った。
「…………ッ」
枕に頭を預けたまま、ウォルシンガムは右手で口を覆い、漏れそうになった息を止めた。
顔が熱い。
『……ね、クマさん。早く元気になってね』
(クマさん……?)
なんだそれは。
愛情を込めて呼ばれた愛称が、何度もリピートされる。
いつになく優しく、それでいて甘えるような声。
彼女が、弱っている男に情を寄せてしまう性質なのは理解しているが、それにしたってその甘美な響きは、つい特別な気がしてしまう。
だから、見舞いになど来ないで欲しかったのだ。
心が乱される。
そう思いながらも、先ほどのやり取りを反芻すると、顔が緩みそうになった。
『バカ、謝らないでよ』
思わぬところで、罵りながら、泣きそうな顔で睨んでくるものだから、目のやり場に困った。
とっさに逸らしてしまったが、今になって後悔する。もっと目に焼き付けておけばよかった。
今日は普段見せない表情のオンパレードで、中でも髭を撫でながら零れた笑顔は、凶悪に可愛かった。
(……コレが『萌え』というやつか……っ?)
確かに、言葉にしがたい衝動に駆られる。
そんな情動が過ぎ去るのを、歯を食いしばって耐え忍ぶが……
こらえた先にあったのは、理に適わない苛立ちだった。
頭を抱え、最後に見た女王の後ろ姿を呪う。
「……だから、勘違いさせられるこっちの身にもなれと……ッ」
この情けない怨嗟は、誰にも聞かせられない。