◆テニス 全仏オープン第8日(29日・パリ) ▽ジュニアの部女子シングルス1回戦 N・ダウブネロバ2(6―4、7―5)0石井さやか
ジュニアの部女子シングルス1回戦で、プロ野球DeNAの石井琢朗コーチの次女、16歳のさやかが4大大会デビューを果たした。0―1の第2セットは5―2と大きくリードし、第8ゲームは3回あったセットポイントを取り切れず。「2月に対戦して負けていて、フォアを狙っていって相手も狙いにくそうだったけど、後半は慣れられてしまった。チャンスが何回もあったのを取り切れなくて、相手に自信を与えてしまったのが敗因」と振り返った。明日会場入り予定の母・詩織さんにシングルスの試合を見せられず「勝ちたかったんですけど…」と悔しがった。
5歳でテニスを始め、小1~3は父・琢朗さんが広島でコーチを務めていたため「広島の広域公園でテニスをしまくって」と育った。同級生に負けたことで負けず嫌いに火が付き、昨年9月から錦織圭らが育った米IMGアカデミーに拠点を移した。持ち味の強打を生かそうとするあまり攻め急ぐクセを「我慢してプレーしよう」と指導され、改善しながら米国内の大会を転戦し、ランキングを上げて今大会の出場権を得た。
父からは「プロは厳しい。トップになれる人はひとつまみ。なりたかったら努力しなさい」と何度も言われてきた。コロナ禍での米国行きにも「そんなにさやかのことを評価してくれる人はいないよ」と後押ししてくれた。普段あまり頻繁に連絡をとらないが、試合前に「正座して見ます」と連絡がきたという。
現在はジュニアの世界ランキングで45位につけ、今年からシニアのツアー下部大会にも挑戦している。今年の目標の「WTAツアーのランキングをつけること、4大大会に出場すること」は達成。次はシニアのツアー下部大会での優勝を目指している。
初めての4大大会は、試合中に隣のコートで赤土の王、ラファエル・ナダル(スペイン)が練習していた。「すごく緊張したけど雰囲気は他の大会と全然違う。いい経験になった」と同時に、再び大舞台に出場するモチベーションにもなる。小4の頃にウィンブルドン選手権を現地観戦し、「4大大会で優勝したい」と夢を抱いた。「応援してもらえる選手」を目指して、さらに強くなっていく。
◆石井 さやか 2005年8月31日生まれ。3歳年上の姉はる佳さんの影響で5歳からテニスを始める。。21年9月から米IMGアカデミーが拠点。173センチ。家族は両親と姉、9歳下の弟将翔(しょうと)くん。憧れの選手は長身でサーブ力のあるカロリナ・プリスコバ(チェコ)。右打ち、両手バックハンド。