“足りないものだらけだった” /國重侑輝さん(立命館大学)【ギャッパーインタビュー6】

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1ヶ月で3つ作れ!

編>実際に休学中にしたことを教えてください

國重>まず自分に足りないと思ったところを休学中に全部やろうと思いました。せっかく休学したのだから、大学に通っていては行けないような環境に身を置こうと決意したんです。まずはWebスキルを高めようと思いました。インターン先を探していると、学生でも大きな仕事を任せてもらえる企業があることを知りました。長時間の面接の後、何とか採用してもらえることになったんです。その企業ではまず1ヶ月目の課題を出され、それが出来なかったら解雇という厳しいミッションを課せられました。その課題というのがwebサイトを3つ作るという事。すぐに出来るのではないかと思っていたのですがHTMLタグすら全く分からないし、調べるとプロでも月に2つ3つが限界だと知りました。でも本を5万円分くらい買い込んで徹夜を繰り返し、一応形にはなったんです。そこから通常の業務が出来るようになりました。その会社を2月から7月位まで続けました。webサイト制作からマーケティング、企画まで色んなスキルを身につけられたのは勿論のこと、会社がどういう仕組みで回っているであるとか、利益の生み出し方など基本的なことも全般的に学ぶことが出来ました。

それで次は営業を学ぶことにしました。いくら良い商材があったとしても、それを売る力がないと話にならないと感じていたので。小さな広告代理店でフルコミッション営業という完全歩合制の営業業務に参加しました。求人情報誌や通信回線を商材としていたのですが、初めの1ヶ月は全く売れませんでした。テレアポは1日500件、飛び込み営業を1日50件というペースで業務をこなしていました。苦痛の毎日で営業は全く自分に合っていないなと思いました。でも、そんな時営業には種類があるということを教えてもらいました。試行錯誤をする中で、リレーション営業と呼ばれるような、信頼と紹介で販路を広げていくような方法が自分に合った方法だと分かりました。それを2,3ヶ月続けましたね。

事業立ち上げに携わる

編>インターンシップ以外に経験したことはありますか

國重>9月頃ホームレス問題に関わっている友達と会う機会があり、事業を起こさないかという話になったんです。実際自分のやりたいこととはズレがありましたが、事業立ち上げの時の立案や調査に興味があったので引き受けることにしたんです。結果的にホームレスの雇用を目的とする街頭自転車のシェアシステムを構築しました。

編>休学をする前と終えてからで考え方の変化はあったのでしょうか

國重>論理的になりました。休学するまでの自分は何もできない自信過剰で人の話聞かないヤツでした。休学してみて実際社会は厳しいですし、求められている資質も高いんです。ある意味学生を1歩卒業できたという感じがします。営業もやればできると思っていたのですが打ちのめされましたし、インターンで吐くくらいプレッシャーをかけられました。だけどそこでスキル以上に大切なものを得たと思います。復学後色んな人に変わったと言われました。

Webと国際協力と…

編>これから将来的にやっていきたいこと、目標はありますか?

國重>やりたいことは様々なのですが、僕の場合0から1を生み出すのが好きなんです。でも単なる新しいものではなく、人に求められているものを生み出したいと思っています。ほかには誰かの世界が広がったりする選択肢・価値観が変わるのを見たいということ。高校2年生の時に自分がしたような体験をいろんな人に味わってほしいんです。それは来年3月にパプア・ニューギニアの先住民族との交流プロジェクトという形で実現させようとしています。あとは身近な人が喜ぶようなwebサービスを作りたいとも思っています。いずれは自分のやりたい様々な分野をミックスした事業を起こしたいです。パプアだけではなく、色んな国に広げていくであるとか、webサービスやITを国際協力と絡めたことをしたいと思っています。在学中に事業を起こしたり、色々なことに挑戦したいと考えているので、それで食べていけるようになれば大学は辞めると思います。

食べたこともないのに、何故おいしいと分かるの?

編>國重君のGapyearに対する考え方を教えてください

國重>ギャップイヤーは出来るだけ大学入学前に取った方がいいと思います。僕は高校生の時カナダへ短期留学していたのですが、現地の高校3年生の進路の決め方に深く共感したんです。大学へ行く明確な目的が見つかっている人は大学へ行き、決まってない人はGapyearをとるということがカナダでは当たり前でした。やりたいことを見つけて、それを実現するために大学に行くという意識の高い人たちが集まっているから、海外の大学が面白いと言われているんだと納得しました。日本人も同じような意識を持てば、日本の大学は凄く面白くなると思います。大学へ通うことにモヤモヤするなら休学することを薦めたいです。自分がなんとなくやりたいと思っていることを現場に入ってとことんやってみて、本当にやりたいか確かめてみたり、大学の外の知らない世界をたくさん見てみたりする。人によると思いますが休学という期間は大学生活、そして人生の方向性を決める上でとても有効な期間だと思います。就活で、ほとんど知らない業種をやりたいという人がいると聞きますが、何故自分が経験したこともない仕事をやりたいと言えるのか理解できない時があります。それは食べた経験がないものを、好きかどうかも分からないのに、それを一生食べ続けたいですと言っているようなものだと思います。僕は自分が好きかなと思うものは自分から一度食べに行くべきだと考えます。それで就活の時に自信を持って「以前それを食べておいしかったからそれを一生食べ続けたい。」と言えるとお互い納得できるんじゃないかと思います。でも自分が好きかなと思うものを食べるチャンスは大学に通っていても得にくいと思うので、外に出て自分の好き嫌いをはっきりさせるべきだと思います。コレだ!という仕事・生き方を見つける。その後大学に戻ってからその好きなものを手に入れられるように、残りの学生生活に標準を合わせたらいいと思います。


~取材者後記~

國重君に最初出会ったとき、なかなか掴みどころがない人だと思ったのが正直なところである。国際協力をしているかと思えば、webデザイナーをしていたりする。漠然と幅広く色んなことに興味がある人なんだなと思っていた。ところが、全てのルーツは高校の時に訪れたボルネオにあったんだと話を聞くうちに納得してしまった。

大学に対する考え方は非常に自分と似かよっていた…というか自分よりも大学に意義を見い出していないところに驚いた。自分の大学に対する見解も國重君と同じようなものであるが、それでも授業には出席している。それは単位のためであり仮に授業に出席しないにしても、それと代替された時間を使って単位取得以上に価値のある経験が出来るという自信がないからだ。1回生後期であった國重君は全く学校に行かなかった。自分にとって価値のないものにはとことんドライであるのだと思う。正直友人に頼めば取得できる単位もあったのだと思う。しかしそれをせず、ビジコン等に参加し能力を磨いてきた。肩書に捕われず社会で自己を達成するための能力を。そこにこの上ない格好良さを感じた。

成し遂げたい1つの目標のために、全ての能力を得ようとするところも常人とは違うのではないかと思う。自分の周りの学生を見ても何かやりたいことがあれば、最初は仲間集めをする人が多い。学生団体なんかだと企画・広報など分業制が基本で、それは実際の会社でもそうだ。けれど彼はその能力をすべて自分自身で賄おうとしており、実際それで夢に向かって進んでいる。起業家体質だと言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、それよりももっと熱い何かを感じた。明日社会に放り出されたとしても、生きていける人なのであろう。

取材:松下周平(gapyear.jp大阪編集部 関西大学文学部3回生)

 

 

<プロフィール>

國重侑輝

立命館大学国際関係部国際関係学科2回生 休学期間(2010年4月~2011年3月)

休学中の主な活動:インターンシップ

Twitter : @Yuki_Kunishige

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