バカと天才は紙一重   作:濃いめのカルピス

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いつも誤字報告をしてくれる皆様本当にありがとうございます。
それとあまり評価が伸びないですね...これに関しては私自身の力不足のため何とも言えませんが、皆様の期待に添えられるように頑張っていくので今後も応援宜しくお願いします。


無人島試験 2

「ベースキャンプから結構離れちまったな、ん?あれって...ハンカチか」

 

 Aクラスのみんなと離れ1人でこの大自然を歩き回ってしばらくが経った。変わった様子は特になく、人の気配も感じなかった。そんな中で木に結び付けられているハンカチを見つけた。これは周りに人がいた形跡だ。ハンカチは女性向けのシンプルなデザイン。だがこの木の枝に結びつけるにはそれなりの身長が必要となるため最低でも男女2人がいたことがこのハンカチによって把握できる。つまりこの付近には他のクラスの生徒がいる。

 

「人が歩いた形跡、それも迷いがない人間の」

 

 ハンカチと同時に人が通った形跡を見つけることができた。それも一切の迷いがない人物の足跡だ。足を止めた形跡がなく、ただひたすら前に向かって歩き続けたことが足跡を見れば何となく分かる。俺はすぐに理解することができた、こいつは優秀な人材だと。

 

「この試験はつまらないと思ったが、君のようなクレイジーボーイと出会うことができるとはねぇ。すぐにリタイアしなくて正解だったよ」

 

 背後からの声に気付き俺が後ろを振り向くと、草木を掻き分けてゆっくりと歩いてくる金髪の生徒が見えた。その刹那、こいつがこの足跡の正体だと俺は分かった。服の上からでも分かるほど高校生とは思えない恵まれた体格をしている。そしてなによりも堂々とした態度が決め手となった。

 

「クレイジーボーイ、これも何かの縁だ。名前を教えてくれないかい?君ならこの私を楽しませてくれそうだ」

 

 終始上から目線で金髪の生徒が訪ねてくる。なんだかんだと聞かれたら答えてあげるが世の情け、減るもんじゃないし素直に教える。

 

「神谷 零だ、あんたは?」

 

「ふむ、同じ学年にも関わらずこの私の名を知らないなんてねぇ。高円寺 六助だ、早速だが実力者である君に質問があるんだがいいかな?」

 

「実力者?おいおい、俺はそんな大物じゃねぇよ」

 

「白を切るつもりかい?この私にそんな嘘は通じないよ、少し見ただけで分かるよ。君がこの私と肩を並べる実力者であることくらいね」

 

 どうやら高円寺に嘘は通じないらしい。先程高円寺は俺に会えて良かったと言っていたがそれに関しては俺も同意見だ。俺だってひと目見れば分かる、こいつはヤバい。有栖や龍園と同等、もしかすると俺や清隆に並ぶかも知れない。

 

「君にはこの場所が、どんなふうに見えているのかを聞かせてもらえないかい?」

 

 この場所とは俺たちが今いる無人島のことを指しているのであろう。そしてどんなふうにとは、この島に対して何か疑問はないのか、そういうことだろうな。

 

「まあ、正直言うと少しがっかりだな。こんな開拓しまくりの島で生活とか、それにこの試験は少しばかりやり方を工夫するだけで絶対に負けないようになってるみたいだし...とはいえ俺は自然が好きだからな、この試験割と好きだぞ」

 

「なるほどねぇ、やはり私の目に狂いはなかったようだ。クレイジーボーイ、君とお互いに本気でやり合えることがくるのを楽しみにしているよ。では私はこれで、グッバイ!」

 

「ああ、じゃあな」

 

 嵐のような奴だった、だがこれまた大収穫だ。こんな大物がいたなんてな。

 

「お前、こんなところで何してるんだ」

 

「え、清隆」

 

 高円寺と入れ替わりでまさかの清隆とご対面、しかも女連れだ。

 

「偵察か?」

 

「そんなところだ、どうだ?Dクラスの様子は?」

 

「状況としては最悪に近いな、そっちは単独行動が許される程余裕があるのか?」

 

「そうなるな、あ、佐倉さんだよね?初めまして。Aクラスの神谷です、このバカのことよろしく頼むよ」

 

「は、初めまして...」

 

 俺は紳士だがら初対面の人には挨拶すると決めている。話から聞いた通り中々のコミュ障みたいだな。

 

 

「そういえばこの先の洞窟でAクラスの生徒を見かけたぞ、名前は確か葛城..だったか?あともう1人いたが名前は知らない奴だったな」

 

 洞窟?まさか...

 

「...まさかとは思うけど、その洞窟はスポットだったりするのか?」

 

 そんな訳ないよな、あの葛城がそんなドジをする訳...

 

「ああ、そうなるな」

 

 はあ、戸塚がやらかしたのか。バカすぎる、しかもよりによって見つかる相手が清隆なんて。この時点Aクラスはマイナス80ポイントになりました、葛城くんの立場が更に危うくなってきております。

 

「はあ、マジかよ...あ、1つ提案なんだけど俺をDクラスのところに連れてってくれよ」

 

「俺は別に構わないが、他の奴らが何言うか分からないぞ?」

 

「じゃあ、近くまで案内してくれ。俺が偶然見つけた感じて行くからよ」

 

「はあ、分かった。変な真似はするなよ」

 

 清隆は渋々了承してくれた。こいつは俺の押しに弱い。佐倉さんは状況が把握できず放置されてしまっている。申し訳ないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「川だよ川!物凄く、綺麗な感じの!そこに装置みたいなのがあったんだよ!あれが占有とか何とかの機械だ!ここから10分もかからないから早速全員で行こうぜ!」

 

 清隆たちに着いていくと、その場は高揚した生徒が熱弁をしている真っ最中だった。茂みに隠れて話を聞く限りだと中々の高物件であるため、恐らくだがDクラスのベースキャンプはそこになるだろう。俺はまだ行くべきではないな。

 

「それは大手柄だね。水源が確保できたら僕たちの状況は大きく好転するかも知れない」

 

 平田の言うとおりだ、この試験において水源はとても重要になってくる。状況は最悪とか言っていたが、そこまで悪くはないんじゃないか?

 

「だけどまだ2チームが戻ってないから、誰かここに残っていないと困るだろうね」

 

「悪い平田、高円寺もだ。途中ではぐれた」

 

 高円寺か、やっぱりあいつなら1人でどうにでもなるんだろうな。

 

「ああ、彼ならさっき1人で戻ってきて海に泳ぎに行ったよ」

 

 おお、素晴らしい程の自由人。まさに唯我独尊って感じだな。おっとそろそろ俺も行くべきだな。

 

「はぐれるなんて、ちゃんと統率とって行かなかったわけ?」

 

 クラス全員で川を目指して移動している最中、清隆が堀北鈴音にため息をつかれて指摘された。

 堀北鈴音、彼女もまたDクラスの中では優秀な人材。清隆の話を聞く限りだと、そう認識できる。とはいえ彼女もDクラスの生徒、やはり何処かが欠如している不良品に過ぎない。

 

「その通りだぞ、清隆。次からは気をつけるように」

 

「...何故Aクラスのあなたがここにいるわけ?」

 

 当たり前のように警戒される。皆、足を止め俺に視線が送られる。

 

「まあまあ、そんなに警戒するなよ。たまたま通りかかっただけだよ」

 

「嘘をつかないで、タイミングが良すぎる。それにこの森を1人で行動している時点で怪しいわ、偵察ってところかしら?」

 

 おー、鋭いね。流石、清隆の隠れ蓑だ。能力自体は優秀という訳か。

 

「こちとらリーダーを知られてるんだ、少しくらいは情けをかけてくれよ」

 

「リーダーが知られている?どういうこと?」

 

「その件だが、先程スポットを占有しているAクラスの生徒2人を見かけた。リーダーはその2人のどちらかだ」

 

 俺の言葉に清隆が助言する。

 

「何でそんな大事なことを早く言わないのよ」

 

「悪い、今はベースキャンプを決めることのほうが大事だと思ってな」

 

「まあ、いいわ。だからといってあなたの行動を見逃す訳にはいかないわ。早々にこの場を立ち去って」

 

 悪者扱いをされこの場を立たざるを得ない状況になってしまった。こうなることは仕方ない。たが最後にこの試験、いや今後の学校生活を面白くさせるために隠れ蓑とされている堀北鈴音だけに聞こえるよう、一言だけ警告をした。

 

『 綾小路 清隆 に気を付けろ』

 

 別人と思える程、話すトーンを落とす。それは先程まで陽気に話していた俺の印象が消える程の声だった。そう言い残しその場を去っていく俺の姿を堀北はただ黙って眺めているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Dクラスの生徒たちと別れてから間もなく、女子生徒だろうか?背の低い生徒が遠目に見えた。平田がまだ戻ってない生徒がいると言っていたし、多分Dクラスの生徒だろう。

 

「え..」

 

「あ、」

 

 全然違った、そこにいたのはDではなくCクラスの生徒。伊吹澪だった、伊吹の頬は赤く腫れており殴られた後のように見える。周囲を見渡すが周りにはスポットらしきものはない。

 

「何でここにいるのよ...」

 

「こっちのセリフだ、まあ俺は恐らくお前と同じ理由だ」

 

「スポットを探してる、あんたもそうなのね」

 

「言って良かったのか?」

 

「あんたに隠しても無駄でしょ」

 

「そうか?俺はてっきり龍園の命令でクラスから追い出された風を装って人の心につけ込みスパイ活動をするものかと」

 

「本当にムカつく奴。そうよ、まさしくその通り..なんで分かるのよ」

 

「何となくだ」

 

「うざ、何カッコつけてんのよ。気持ち悪い」

 

「そんなこと言うなんて酷いな、お前のことを手伝ってやろうと思ったがやっぱり辞めた」

 

「はあ、ほんとムカつく。龍園のほうが可愛いくらいにね、分かったわよ。悪かったわ..ほら謝ったでしょ?だから手伝ってよ」

 

「お前が言った言葉をそっくりそのまま返してやるよ。で、?何をすればいいんだ?」

 

 伊吹と結んだ条件の中には『困っていたら俺が助ける』というのも含まれている。知らないフリしてその場を立ち去ってもいいんだが、『ポイントはいらないから他のクラスとやり合う際に裏で手を貸して欲しい』という条件に一部変わってしまったため。無視することはできない。

 

「別にやって欲しいことは特にないわよ。来るならもっと早く来なさいよ」

 

 無茶言うな、そんな未来予知はできない。

 

「そうか、じゃあ俺はこれで」

 

「待って、情報」

 

 最初はあんだけ嫌がってたのに、契約を交わした日から情報交換が1つの日常となっている。

 

「分かったよ。『AクラスはリーダーをDクラスに知られている』、『Dクラスのベースキャンプはこの付近である』後は...『この試験には絶対に負けない方法がある』こんなもんだな」

 

「あんたたちAクラスのことも気になるけど、『負けない方法』って何よ。勿体ぶらないで教えなさいよ」

 

「お互いのクラスが不利になる情報は教えない、そうだろ?」

 

 『絶対に負けない方法』それが教えられないと気付かないなら今後の試験ではまともに活躍できない。限段階でこれに気付いているのは多分俺と清隆だけだ。それにこれは他者がこの方法を知らないことが前提であるため、尚更教えることはできない。無論だが俺はこれを進んでやるつもりはない。何故なら俺は今、有栖の右腕ではなく葛城の部下だからな、勝手な真似はしない。頼まれたら勿論するけど。

 

「分かったわよ、今度は私の番ね。Cクラスはポイントを全て使って生活する予定。それはもう楽しいでしょうね、はあ..私もあっちが良かった」

 

「なるほど、ポイントを0にして最終日に他クラスのリーダーを当てて150ポイントを得るって訳か。龍園らしいな」

 

「物分かりがいいわね、そのリーダーを当てるために動いてるのが私たちって訳よ」

 

「私たち?つまりあと何人かスパイ的な存在がいると?」

 

「そう、あとBクラスに1人いるわ。てかあんたAクラスでしょ?知ってるんじゃないの?」

 

「何も知らないんだけど、もしかしてAクラスと何か関わりがあるのか?」

 

「関わりどころじゃないわよ、契約よ。...マジで知らなかったの?」

 

「契約を結んだのはいつだ?」

 

「確か1時半くらいじゃない?そういえば龍園があんたを見かけなかったって言ってた気がする。あんたが偵察してる最中に契約を結んだんじゃない?」

 

 俺がキャンプを後にしてすぐじゃねぇか、龍園と手を組むこと自体は賛成できるが大事なのはその契約の内容だ。今クラスを仕切ってるのは葛城だし不平等な契約は結ばないと思うけど。

 

「契約内容を教えてくれないか?」

 

「うろ覚えだけどね、確か...『Cクラスの200Sポイント(無人島試験のみ使えるポイント)分の物資をAクラスに譲渡すること(購入物資はAクラスが選定)』と『BとDクラスのリーダー情報を掴みAクラスに伝えること』だった筈。私が知ってるのはこれくらいよ、でも龍園のあの様子だとまだ何かあると思う。それにこの契約私たちのメリットないし」

 

 伊吹の言った通りだ、聞く限りだとCクラスに一切のメリットがない。この契約には何か裏がある。伊吹も本当に知らないみたいだし契約を結んだ本人に聞くしかなさそうだな。

 

「サンキュー伊吹、助かった。それじゃ俺は行くよ、そろそろDクラスの生徒も来そうだし」

 

「礼なんていいわよ、これは契約だし」

 

「そうだな。あ、最後にCクラスのベースキャンプの場所を教えてくれ」

 

「ベースキャンプはここを真っ直ぐ行ったところよ、そろそろ誰か来そうだから早めに何処か行ってよ」

 

 伊吹に急かされたため、軽く手を振りその場を早足で後にする。えっと時間は...まだ大丈夫だな。次はCクラスのベースキャンプだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、神谷くんじゃないですか」

 

 この緊迫感のある特別試験の真っ最中に声だけで疲れが癒えるレベルの優しくふんわりとした声、Cクラスのベースキャンプに入り俺のことに真っ先に気付いてくれたのはひよりだった。俺はこの試験が始まってから女性と絡むことが多いようだ。やはり俺も男、悪い気分ではない。

 

「久しぶりだな、ひより」

 

「はい、お久しぶりです。今日はどういった用事で?」

 

 ひよりがビーチチェアに座りながら優しく声をかけてくれた。普通は他のクラスが自分のベースキャンプ内に入った時点で警戒するんだけどな。本当にひよりはマイペースだ、と言ってもひよりは頭が切れるので下手に出る訳にはいかない。

 

「龍園のところに案内して欲しいんだけど」

 

 白を切ることはせず、本当の目的を伝える。

 

「残念です、私ではなく龍園くんに用事があったのですね..」

 

「まあ、そう悲しまないでくれ。また今度穴埋めをするよ」

 

「そうですか、ならその時また本を紹介しますね」

 

「おいおい、彼女持ちが女を口説いてんじゃねぇよ」

 

 俺とひよりのプライベートなムードを壊してくれたのは俺の目的である龍園本人だった。

 

「龍園くんが自ら来てくれるなんて珍しいですね」

 

「相手が相手だからな。ひより、こいつ借りるぞ。付いて来い話があるんだろ?」

 

 そう言って龍園はこの場を離れ人目がない場所へ移動する。俺も素直に後を付いていく。

 

「んで?わざわざベースキャンプに来るとはな、何のようだ?」

 

「契約のことだ、俺はその場にいなかったからな」

 

「確かにお前の姿は見えなかったな、俺としては好都合だ。お前がいたらこの契約は成立しなかった」

 

「ちなみにだが、どんな契約だったんだ?どうせ破棄することは出来ないんだろ?教えてくれよ」

 

「いいぜ、教えてやる。『Cクラスが200Sポイント分の物資を譲渡すること』、『BとDクラスのリーダーを当ててAクラスに伝えること』そして『その2つを俺たちが遂行したら俺にAクラス全員が卒業まで毎月2万プライベートポイントを譲渡すること』だ。Aクラス全員と言ったがあの場にいなかったお前と坂柳は対象外だから安心しろよ」

 

 なるほどな、この契約内容だと2つのクラスのリーダーを当てることを前提とした場合、Aクラスが最低110ポイント以上残すだけで貰えるポイント自体はプラスとなる。それに200ポイント分の物資を受け取る訳だから、上手くいった場合は上限の270ポイント全てを残して試験を終えることが出来ると考えた訳だな。そうなるとスポット占有を外しても単純計算で270+100で370。クラスポイントだと370、プライベートポイントだと37000がプラスされる。

 

 だがこの契約には大きな穴が存在する。それはBクラスとDクラスが『絶対に負けない方法』を知っていた場合、そして俺たち自身がリーダーを当てられた場合だ。後者に関しては現時点でDクラスにバレてるためマイナス50からのスタートとなる。よって理想ポイントは320となる訳だ。前者だった場合は100ポイントがプラスされず、理想点は270となる。

 そして両方の場合は100ポイントはプラスされずリーダーを当てられ50ポイントマイナスとなる。結果、最終点数は220になる。更に最悪のケース、つまり坂柳派である橋本と神室の裏切りにより他のクラスに情報をバラされた場合は、クラス1つでマイナス50ポイント。最終点数は120となり契約分のポイント2万を下回るため毎月8000ポイントを搾取され続けることになる。もしこれにスポットの誤使用などが重なる可能性を考えたら大変な結末になる。葛城株価は大暴落で史上最悪の結果となる訳だ。

 

 本来、契約というものはここまで考えてするものだ。もし最悪のケースが訪れた場合は戸塚のせいでもなく、契約を結んだ葛城本人の失態となる。つまり、派閥争いは有栖の完全勝利となる。

 

「随分と頭抱えてるじゃねぇか。俺の予想だとお前らのクラスは何もなければ200ポイント以上残る計算だぜ?喜べよ」

 

「何もなければな」

 

「やっぱお前は坂柳がいないと何も出来ないのか?口だけの雑魚の様だな」

 

「安い挑発には乗らねぇよ。今の俺は葛城に従ってるんだよ、あいつがこの契約を結んだなら俺は何も言えない」

 

「何でお前が葛城の雑魚に従ってるんだ?坂柳の指示か?」

 

「違うな、ただの暇つぶしさ。葛城派だとか、坂柳派とか俺からしたらどうでもいい。どうせ勝敗は簡単に決まる」

 

「どう決まるんだ?教えてみろよ」

 

「俺が属している方が勝つ。それに葛城やお前、一之瀬だって俺たちの相手にならない」

 

「はっ、言ってくれるな。とんだバカップルだ、楽しみにしとくぜ」

 

 カップル?何を言ってるんだ?確かに有栖は優秀だ、頭脳とチェスに関しては俺と同等。だが、逆に言えばそれ以外は全て俺が勝っている。

 お前は今回の試験で足を掬われるんだ。そう俺ではなくもう独りの存在、綾小路清隆に。

 




 雨宮 楓 あまみや かえで

 誕生日 8月1日

 学力       ———————B 72
 身体能力     ———————C+57
 機転思考力    ———————C+58
 社会貢献性    ———————B 74
 ———————————————————
 総合 B (65)


 勉強、運動ともにバランスが良い生徒。仲間思いでクラスの中心に位置する存在、坂柳のことを良く慕っている生徒の1人。神谷のことを出来過ぎる存在と思っており、何か裏があるのではないかと疑問に思っている。

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