Amazonプライムビデオで若尾文子に続き関根恵子を掘り始めたヒマナイヌ川井です!
1970年生まれの私にとって「太陽にほえろ!」に出てた女優さん?くらいの記憶しかなかったんですがデビューはこの作品です!
平成でいうと「蛇とピアス」の吉高由里子みたいな衝撃のデビュー作という感じでしょうか?
セーラー服バックにオレンジのタイトルはズバリ「高校生ブルース」
大映がティーンの性を描く「レモンセックスシリーズ」の第一弾です。しかしスゴいシリーズのネーミング!
甘酸っぱいということでしょうか?いや、酸っぱいだけだよな、レモンは。
出演者タイトルで新人という表記は日本映画でよく見ますが新スターというのは初めて見ました!
もうデビューイコールスターなのですね!大映がいかに関根恵子という新人に期待していたかがわかります。
当時なんと15歳で17歳の高校生を演じます!まだ中学生ですよ!SPEEDみたいな世代感ですね!
3バカトリオっぽい思春期の男の子たちはセックスの話しかしません。
後ろになつかしいダンプカー!
通称ハコスカのスカイライン!
コロナかな?
ちなみに右の篠田三郎はのちのウルトラマンタロウです!細身でうっすらヒゲが平井堅に似てる!
映像考古学的なロケシーンは郊外が多いです。
当時は団地がどんどん出来ていた頃ですからワイドスクリーンに団地バック!みたいなカットが出てきます。
あと叔父さんが乗ってるクルマがモダン!
先にTwitterに投稿して聞いてみたらルノーのカラベルというクルマだそうです。
RR(リアエンジンリアドライブ)で若大将シリーズで田中邦衛扮する青大将が乗ってたモデルでもあるらしい!
西武新宿線沿線で見かけたような風景ですね。でも大映だから調布あたりかな?
高校生カップルが妊娠してしまいどーする?というのが主なストーリー。
これは中絶費用を稼ごうと少年が牛乳配達をするシーン。
と思ったら逆方向からみどりの電車が!玉電でしょうか?
牛乳配達してるシーンでは郊外の坂が出てきます。ニューシネマパラダイスのフィルム運ぶシーンみたいですね!
郊外の一軒家です。水平基調が美しいですね!
ここからは物語についてです。面白かったので広くオススメしたいです!
衝撃のラストのネタバレはなしでご紹介します。と言ってもいろんなサイトの作品解説に書いてあるんですけどね。
舞台は高校のキャンパスとその周辺で展開します。
3バカトリオは屋上から双眼鏡で女子の体育の授業を観察中!
何を見てるかというと女子のブルマーです!
この男たちがつけてるノートがひどい!
あいつは今日体育を見学してるな!とか言いながらメモしています。
なんとクラスの女子名簿に予想生理日を記録して安全にヤレそうな日をリストにしてるとう!!ひでぇ!!!
絶対にテレビで放送できないタイプの邦画です。
男女交際について論じる授業にテレビ局が音声だけ取材にやって来ます。このテレビマンの満面の笑み!
でもテレビなんて都合のいいところだけ繋ぎ合わせて面白おかしく放送するだけだ!出て行け!なんて生徒からシュプレヒコールを浴びせられます。
学園紛争で盛り上がっていた60年代の影響が脚本のトーンにも濃厚です。
主人公のカップルが最初に結ばれるのはなんと体育倉庫!
ここのシーンのモンタージュは面白いです!
そして次のシーンでゲェッーって吐いて妊娠が発覚!のちの大映ドラマ的な展開の早さです。
それにしてもこの汗はめっちゃ不自然!でも水滴が丸くなるのは若さの証拠!羨ましいですね!
ここからどーしてくれるの!と男が詰め寄られます。
このアングルすごいでしょ!フェンスを使って2人の関係性の変化を表現!眉間に×を入れています。
そんなことも知らず悪友はポルノ映画に主人公を誘ったりします。
これ早稲田松竹っぽく見えますがドアの位置が違いますね。三茶でもないし飯田橋でも池袋でもない感じ。郊外の映画館でしょうか?
親友に相談に行くのですが彼は裕福だけど孤独な鉄道オタクという役柄。蒸気機関車のポスターが部屋中に貼ってあります!
1970年といえば蒸気機関車が引退していった時期ですよね。今だと寝台列車のポスターが貼ってある鉄オタの部屋みたいな感じでしょうか?
黒澤明の「どですかでん」みたいなポーズです。彼はいい音楽聞かせてやる!と言ってレコードをかけます。そのレコードはなんと蒸気機関車の走行音!
妊娠して悩むヒロインの部屋にはクリネックスのティッシュが見えます。なんか今よりだいぶ大きく分厚く見える!
ヒロインの部屋は可愛いです!
鏡を上手く使ったアングル!この映画では鏡は象徴的に随所で使われます。
産むわ!というヒロインに屋上でどんどん追い詰められる男!
ものすごいアングル!石膏像が悩む少年の心象風景そのものです。
一方、ヒロインは悪い女友達と交友を持ち始めます。なんでみんな下着なんだよ!というだべりのシーン!
すんごいアイライン!
ウィッグもつけちゃいましょう!となります。ほぼヒッピーですね!
グレた17歳の出来上がりです!ゴーゴーバーで踊りまくりです。今でいうクラブですね!
この表情とかすげぇ!関根恵子は当時15歳ですよ!
もうほぼ別人の顔です!女優ってスゴい!
そして衝撃のクライマックス!ここはスゴいです!
どうスゴいかは書きませんがちょっと今の時代だとこういう表現はもう出来ないかも!という感じ。
演出も筆圧高くて衝撃を受けました。
そして朦朧とした2人が都会を彷徨うカットはなんと割れた鏡をカメラと人物の間に置いて移動撮影!
オプチカル合成じゃなくて撮影でやってるのがスゴい!
記憶に残る名カットです!
そして鏡で自分を見つめ直すシーンではなぜか乳首もスケスケのネグリジェ!ポスターにも使われています。
15歳の関根恵子はいろんな顔に見えるんです。そこが魅力!
脚本も無駄がなく演出もシャープで今見ても当時の衝撃作だった感がビシビシ伝わってきます!
そして男は肩を落とし女は悟りきった表情で去っていくラストシーン!痺れます!
90分と短いしぜひ見てください!
以上、Amazonプライムビデオからお送りしました!
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