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・昭和のグラビア切手とさまざまな技術

グラビア凹版

 印刷局ではさまざまな印刷技術の開発や異なる技術の組み合わせが試みられてきましたが、もっとも定着したのが、グラビア印刷と凹版印刷の組み合わせによるものです。これにより、芸術性の高い切手が数多く完成されました。


最初のグラビア凹版切手

 


明仁立太子礼記念(きりんと菊)
5円 昭和27(1952)年
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 グラビア凹版は、明仁親王の立太子を記念する切手(昭和27年)において初めて採用されました。グラビアと凹版を別の印刷機で重ね刷りしたシンプルな構成の切手となっています。
 その後、昭和39年にグラビアと凹版を同時印刷できる機械が導入されたことで、本格的なグラビア凹版切手が発行されるようになりました。これにより、凹版特有の力強く緻密な画線とグラビアの持つ豊かな色調を組み合わせた、重厚感のある表現が可能となり、「東照宮陽明門」(第2次国宝シリーズ第8集)のように、グラビア凹版の名品といわれる切手も生まれました。

グラビア凹版切手の復活

 グラビア凹版切手は、製版や印刷の工程が複雑なうえ、特殊な技術を要することなどにより次第に発行数が減少し、一時期製造が途絶えてしまいます。しかしながら、「日本の建築シリーズ第1集」(平成28年)の発行により、特殊切手(記念切手など)においては約10年ぶりに復活しました。建築物がテーマに選ばれた理由については、名品として語り継がれてきた「東照宮陽明門」の影響があったということです。
 双方を比べてみると、いずれも建築物の姿を緻密な彫刻線で忠実に写し取るだけでなく、主役となる建築物の荘厳さや静ひつなたたずまいまでもが表現されるなど、甲乙つけがたい仕上がりとなっています。このように、緻密な描写や表現力が求められる切手においては、グラビア凹版の技術や特性が遺憾なく発揮されていることがわかります。  


グラビア凹版切手の名品


  第2次国宝シリーズ第8集 「東照宮陽明門」100円
  昭和53(1978)年
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復活したグラビア凹版切手


日本の建築シリーズ第1集 「平等院鳳凰堂」82円 
平成28(2016)年
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近年のグラビア凹版切手

 グラビア凹版切手は、その復活後も途絶えることなく発行されています。日本を代表する美術作品などが描かれた「切手趣味週間」において採用されるなど、「小さな芸術品」と呼ばれるにふさわしい切手が今も生み出されています。


  切手趣味週間 82円  平成30(2018)年
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