1. グラビア切手と印刷局
グラビア切手とは、グラビア印刷という印刷方法で製造された切手のことです。
印刷局では、さまざまな色調の図柄や写真を再現するために、グラビア印刷の技術を使っています。
日本の切手は、印刷局以外に、国内外の印刷会社でも製造されていますが、そのどれもがグラビア印刷以外の方法によるもので、現在では、オフセットという一般的な印刷方法による切手が世界的に主流となっています。しかしながら、印刷局では今もグラビア印刷を主とし、切手を製造しています。
⇒ 切手におけるグラビア印刷とオフセット印刷の違いについては、こちらをご覧ください。
●印刷局製造のグラビア切手
|
普通切手 84円
|
切手趣味週間 84円 |
※切手の画像をクリックすると拡大します。 |
2. グラビア切手の誕生
グラビア印刷による切手は、昭和11(1936)年に初めて発行されました。切手の原画として初めて風景写真を用いることとなり、写真の再現性の良いグラビア印刷が初めて採用されたものです。
当時の切手は、彫刻された原版によって図柄を表現したものが主であったため、階調豊かに富士山の姿を再現したグラビア印刷は、戦前においては画期的な技術だったのです。
●最初のグラビア切手 | |
第1次国立公園切手シリーズ第1集 6銭 |
部分拡大 |
●同時期の切手 |
年賀切手 昭和11年用 1銭5厘
力強い彫刻線によって図柄が構成されている。 |
3. 戦後のグラビア切手
戦前のグラビア切手は単色(1色のみ)の印刷によるものでしたが、現在では特殊切手(記念切手など)の場合、5~6色で印刷されており、最高で8色使われることもあります。
初めて多色刷り(4色)のグラビア切手が発行されたのは昭和30(1955)年のことで、ドイツ製の多色グラビア印刷機が導入されたことを契機としています。同時期には、浮世絵作品を描いた大型切手において本格的に採用されて国内外で好評を博し、切手は多色グラビアの時代へと向かいます。
現在のグラビア切手は、色の深みや鮮やかさが増し、緻密な図柄が細部まで再現されており、重厚感のある豊かな表現へと進化していることがわかります。
●最初の多色グラビア切手(4色) |
●最初の大型グラビア切手(4色) |
現在のグラビア切手
天皇陛下(現上皇陛下)のご即位30年を記念して発行された切手には、8色を用いたグラビア印刷(通常は5~6色)によって 高貴な図柄が表現されています。
部分拡大 |
天皇陛下御即位30年記念 82円 |
陛下のご幼少時の着物に描かれた吉祥文様をモチーフとした切手。
グラビア8色のカラーマーク |